組織に入って数日後。学校からの下校をしている新一に、声をかけている少女は同じく小学4年の毛利蘭だ。
「待ってよ、新一!」
「用事があるから、一緒に帰れないと言ったろ?」
新一は溜め息をしているが、蘭を待っている。本当は予定などないが、組織からの課題を進めたいため早く帰ろうとしていた。
「いつ頃、予定ある?」
「当分は用事で予定は埋まるから、休日は遊べないぞ。」
「そうなの?」
「だから、早く帰らないと小五郎のオッチャン心配するぜ。」
蘭は新一に帰るように言われ「わかった。また明日ね!」と言って、帰っていった。安心した表情になると、優作に変装しているベルモットが車で迎えに来た。
「新一。帰るぞ…」
「わかった。」
車に乗り込んだ新一は、ベルモットに今日の予定を聞いたら、射撃訓練をするようにラムから課題を出されたようだ。そのため、別のアジトに今から向かう。
「射撃…」
「武器を使いこなせないとダメよ。組織内で、生きていけないわ。ラムから新一用に麻酔銃を支給されているから、覚えるように。」
「………少し気になったんだけど。」
「どうしたのよ?」
組織の幹部メンバーには、コードネームが与えられる説明をベルモットとラムから教えられたが、スパイが紛れ込む危険性がないのかを聞いた。
「どうして、それを気にするのかしら?」
「小説でもよくある話だろ?悪の組織を壊滅させるために、スパイ系の主人公が登場する話が。俺は入ったばかりだけどよ…気にするなは…無理な話だろ?」
「……………それもそうね。」
「逆もアリじゃね?ベルモットの意見も聞きたいんだけど。」
ベルモットは新一の考えに、面白い子供と思った。少しずつではあるが、成長速度が早くなっている。
(新一の成長がこのまま続けば、次の段階に進めそうね。ラムに相談してみようかしら?)
「アリかもしれないわね。ラムに進言しておくわね。」
「後で、ミステリー小説買ってきていいか?」
「新一は探偵になりたいの?」
新一の父親である優作は、小説家でもあるが警視庁の捜査一課に殺人事件の捜査協力をしている探偵でもある。それ以外にも、世間を騒がせている怪盗キッドと何度も対決して、宝石を守ったこともあると、ネットに掲載されていた。
(工藤優作はキッドを撃退している。例の組織からしたら、邪魔な存在になり得るようね。)
「なりたいけど…父さんみたいな探偵は嫌だ。探偵は目立つとダメだし…」
「確かに。目立たない方がいいわね。」(新一はまともな考えをするわね。評価できるわ。)
組織の射撃場がある建物に到着すると、変装を取ってエレベータに乗り込み地下にいく。
「ベルモット。組織の正装は黒服なのか?そんなイメージが…」
「自由だわ。そんな規則はないから。」(でも、ジンとウォッカは、いつも黒服よね。目立つわね。)
射撃場に到着すると、ピンガが射撃をしていた。基本使う武器はナイフ。だが、銃も使う場合もあるので、訓練している。
「ベルモット。どうして、子供を連れてきてんだ?」
「これは極秘だけど、ラムがスカウトしたわ。本格的に活動するのは、先だけどね。」
「ラムのスカウト!?そりゃスゲーな。近い将来同僚になるのか。」
「まだ、コードネームは与えられてないわ。準備期間中よ。」
新一は置かれている銃の中から、小型拳銃に触れた。持ち返したりして、感じを確かめる。
「的が遠い…」
「命中できるか?初心者ようで、25メートルはあるぜ。」
「この銃の射程距離は?」
「50メートル程度ね。実弾だからこの程度だけど、新一は麻酔銃を使うから射程距離は10メートル~15メートル。」
ベルモットが踏み台を用意して、新一は踏み台に乗る。銃を構えて、的に狙いを定めると引き金を引いた。発砲音と共に弾丸が発射されて、的の僅か左に命中した。
「惜しいな。もう少しなんだが…」
(射撃は少し甘いけど、続けていけば的に命中するわね。)
暫く、射撃訓練をする新一だが、的には命中しなかった。
「今日は終わるわよ。本屋に寄ったら帰るわよ。」
「わかった。またな…ピンガ!」
「じゃあな…ボウズ。」
新一はベルモットの車に乗り込むと、射撃場を後にするのだった。