真夜中のとある場所にある地下駐車場では、アタッシュケースを両手に抱えて、大事そうに持っている眼鏡を掛けた男性。怯えながら誰かを待っていた。
「ま、まだですかね。」
寒いわけではないが、冷や汗をかいている男性。ハンカチを取り出すと、額を拭っている。すると、1台の車が地下駐車場に入ってくる。車から出てきたのは、若い男性…矢城鈴次は組織の末端構成員の1人である。
「遅くなって申し訳ない。」
「だ、大丈夫ですよ。目的のも、物はこちらに…」
怯えながらアタッシュケースを開ける。入っていたのはUSBメモリーが入っていた。
「確かに。それでは、取引を…」
矢城は懐から小切手とボールペンを取り出して、金額を記入して、取引相手である男性に小切手を渡した。
「た、確かめますね。」
小切手を確かめる男性。問題無いとわかったので、USBメモリーの入ったアタッシュケースを矢城に渡して「と、取引は終わりましたから…帰らせてもらいますよ。」と言った。
「はい。お気をつけて。僕も届けないといけないので…」
アタッシュケースを持って車に乗り込むと、そのまま地下駐車場を後にした。怯えていた男性は顔を引っ張ったら、ベルモットの顔が現れた。
「ブルーブラック…計画通りに進んだわ。後は任せるわね。」
車内で取引で手に入れたUSBメモリーを手に取ると、笑みを浮かべている矢城。携帯を取り出して、何処かに電話を掛ける。
「……はい。降谷さん…例のUSBメモリーを手に入れました。直ぐに帰還します…」
電話を終えて、車は走り去った。
イヤホンで、盗聴器から流れてくる会話を聞いていた新一は、末端構成員にメールで《末端構成員である矢城は黒。そのまま監視を続けろ…》と指示を出した。
(ラムに報告と提案するか。)
新一はとある策を思い付いたので、ラムに報告と一緒に提案するのだった。
《ターゲットは黒。それと、提案があるんだけど…敵の情報を欲しくないか…ラム?》
翌朝。新一は組織用の携帯にメールが来ていたので、確認するとラムから来ていた。内容は《ブルーブラックの提案に乗りましょう。確かに、敵の情報は必要ですね。任務は成功扱いとします。今日から組織のNo.3です。》ラムから認められたようで、No.3に昇格した。
(……組織から首輪をされたが、これで…ある程度なら幹部構成員を操れるようになった。不利益が出なければ良い。)
新一は仕掛けていた盗聴器で、矢城の情報を聞きながら、組織用の携帯にあるメモ帳機能で、メモをしていた。
末端構成員の矢城は、公安のノックであると同時に、幹部メンバーであるコードネーム、スコッチの伝達役を任されていたようだ。
(裏切り者じゃなくて、ノックかよ!?やっぱり、紛れ込んでいたか。ラムに報告するか?探偵の任務もあるけど…後で良いな。スコッチを調べるか…偽情報だったら、意味がないが…)
今回の組織から取り寄せた盗聴器は、超小型盗聴器であり、アタッシュケースの持ち手の嵌め込み部分に仕掛けていた。分解しなければ、盗聴器を発見することは難しいだろう。
(そう言えば…警察庁に潜入している飛田さんは、どうなったんだ。ラムの直々の命令で、送ったらしいけど…)
あれから更に数日後。スコッチの情報を調べ終えた新一は、ラムに報告のメールを送信した。
《報告する。幹部メンバーにいるスコッチは、公安のノック。末端構成員にも、数人の公安が紛れ込んでいる。ラムに処理を任せたいけど…ダメか?》
《わかりした。後処理は任せてください…》
新一はメールを終えると、発信器の位置を末端構成員にメールして、手元にある発信器を破壊したのだった。