とあるバーにいる新一は、ラムからの任務で幹部メンバー達と会話をしている。だが、正体がバレてはいけないので、ベルモットの協力により、白髪の若い男性に変装している。
「お前が今回、俺達と行動する…」
「コードネーム…ギブソンだ。よろしく…」
「お前の役割は殺しじゃなくて、裏切り者やターゲットの確保を中心なのか?」
「そうだ。ラムとブルーブラックから、そう命令されている。情報収集が主な任務だからな。」
新一が名乗ったギブソンは、ラムから与えられた表向きのコードネームである。実践を経験するため、ジンが率いる幹部組と暫く行動を共にするように、指令を受けたのだ。
「ギブソン。結構若いじゃないかい…」
「俺も…そう思う。」
「キャンディとコルン。組織の構成員に年齢は関係あるのか?」
「テメェが使える人間かどうか…お手並み拝見だな。」
ウォッカはグラスに入っている酒を飲み干し、グラス越しで新一を睨み付ける。それに対して、無言で殺気を放ったらウォッカが冷や汗をかいた。
「わ、わかった。その殺気をやめろ。」
「この幹部組のリーダーはジンだよな。一応、殺し以外はジンの命令に従うように、ラムから受けている。」
「確かに、ジン兄貴がリーダーだな。」
「ギブソン…ネズミじゃねえだろうな?」
ジンはノックと疑っているが、新一は組織の人間であるが、ギブソンのコードネームを持つ人物は存在しない。そのため、正体がバレる危険性は低い。
「ノックじゃねえよ。てか、俺はラムとブルーブラックから直々に命令されたんだぜ。無理があるだろうが!」
「……使えなかったら、消すからな。」
「期待してくれよ…ジン!」
「調子狂う野郎だ。」
ギブソンの人物設定は、いつも笑みを浮かべていて、人懐っこい性格。殺しはやらない代わりに、相手を麻酔で眠らせ痕跡を消す補助的な役割を持つ。更に、情報収集を行う裏方。
「遅くなってすみません。」
遅れてきたキールが来るとジンは「何で時間までに来なかった?」と、拳銃をキールに向けている。遅れてきた理由はラムに送る報告書で、遅くなったようだ。
「報告書……良いだろ。」
「それより、この人は誰なのよ?」
「俺はギブソン。今日から幹部組と一緒に任務をするものだ。よろしく…」
「よろしくね。私はキールよ…」
新一とキールが握手を交わす。キールの目付きが鋭く睨んでいるように見えた。そのことに気づいたが、無言で笑みを浮かべた。
「そろそろ、本題に入るぞ。暗殺任務が入った。ターゲットは組織から資金援助を受けている代表取締役の男だ。」
「そのターゲットは何をやらかしたんだい?」
ターゲットの男性は会社の金を使い、違法取引の資金に運用している疑いで、近々警察に逮捕されるらしい。すぐに逮捕されていないのは、行方を眩ませているからである。逮捕されれば、組織の存在が公になる危険があるため、その前に始末するようだ。
「行方がわからないんなら、意味ないだろう?どうなんだ…ジン。」
「ターゲットには信頼できる部下がいるからな。その部下の中に、組織の末端構成員を送り込んでいる。暗殺するのはその構成員だがな。」
「………俺達は、その末端構成員がノックかどうかを判断することだな?」
「ギブソン。よくわかったな…」
「誰でも予想はできるだろ?」
「…………キャンディとコルンはターゲットと構成員の監視だ。ウォッカは運転、キールは万が一、ターゲットが逃げた際に追跡しろ。ギブソンには後で命令する。」
新一以外のメンバーはバーから出た。ジンは残りの酒を飲み終えると封筒を差し出した。
「この封筒は?」
「ギブソンにはキールを監視してもらう。確証はねえが、ネズミの疑いがあるからな。」
「キールがノック…疑っている理由は?勿論あるんだろうな…ジン?」
末端構成員が、キールが密かに誰かと連絡していたのを目撃したようだ。その3日後には、コードネーム持ちが組織から姿を消したようだ。
「その姿を消した奴は既に、コルンが始末した。」
「確かに怪しいな。わかった…監視しておく。」
新一は封筒を懐にしまうと、バーを出ていった。