ロナル子ちゃんがボロを出す話でもあります。
それぞれ違う方向性だけどゴールは同じなのいいですよね。
※ノスの出番はないですがノスロナ♀前提です
※今回はドラ→ヒナ要素あります
※パロネタも煎じてます
※メビヤツの口調はアカジャと本編を都合よく混ぜてます。
楽しんでもらえると嬉しいです。
「ただいっ、ま゙ー!?」
「ヌァー!?」
やっと帰ってこられたと三日ながらに懐かしく感じられる城のドアを開けたドラルクとジョンを出迎えたのは留守を預けていたロナルド――ではなく、ムカデよろしく何対もの足を蠢かせるバナナだった。
「なんで吸血鬼退治事務所に吸血鬼化したバナナがいるんだ!!」
今や羽と化した皮を広げて威嚇してくる吸血バナナをジョンで牽制しつつ怒鳴れば、呑気にブラインドを下ろしていたロナルドが肩越しに振り返る。いかにも面倒くさがるように眉を寄せながら。
「どっかで吸血鬼化したのが窓から入ってきたんだよ。ちょうどいいからお前ごと始末するわ」
「誰のおかげでロナ戦の人気が倍増したと思っているんだ! まったく……本来なら城主が帰ってくる前に退治しておくべきだろうに」
「よし、殺すわ」
「ヌヌヌヌヌン! ヌヌヌ! ヌヌヌ!」
「あっ、ごめんなジョン! 今どうにかする……か、らっと!」
――まさに有言実行。
次の瞬間、デスクを軽やかに飛び越えたロナルドは着地すると同時に吸血バナナを取り押さえていた。下等吸血鬼の侵入を許した失態を補って余りある身のこなしに、ドラルクとジョンは喝采を贈る。
「よくやった! 流石はゴリルドくん!」
「ヌッヌヌヌッヌ! ヌヌヌヌー!」
「えへへ……どういたしまして、ジョン。ドラ公は死ね」
往生際悪くもがくバナナを捕まえている拳の代わりなのか、いつも以上の力がこもる悪態だった。ドラルクにしてみればとんだ八つ当たりである。
「いやいや、今回の君に私を殺す資格はないからな?」
「うぐっ……ドラ公のくせに正論を言うんじゃねぇよ……」
「はい、負け惜しみー!」
悔しげに唇を尖らせるロナルドだが、こちらを睨みつけられる程には開き直れなかったのかバナナへと目を伏せた。ばつの悪そうな態度に、ドラルクはひとまず溜飲を下げてやることにする。
「それで、そのバナナはどうするのかね。うかうかしてるとドアの隙間から向こうに空気感染しかねないぞ」
「……だな」
果たして、ロナルドは素直に頷いた。
なんだかんだ五歳児ながらに事務所を構える自営業者だけあって、聡い時は聡いのである。
「バナナってことはそこらの畑にあるもんじゃないだろうし、どっかの家か店で古くなったやつなんだろうな。だとしたら届けとか出てないか確認しておいた方がいいだろうし……うん、VRCに持ってくわ」
「えっ?」
「ヌッ?」
――とはいえ、いくらなんでも物分りがよすぎやしないだろうか。
いつぞやは「オレが吸血鬼化させたと思われたくない」などという保身から通報を渋った小心者らしからぬ思い切りのよさに、ドラルクとジョンは面食らってしまった。
「じゃ、行ってくる」
当のロナルドと言えば呆然とする主従の隣を足早に通り過ぎていく。
「ちょっ、ロナルドくっ……んー……もうっ」
はっと振り返った時にはもう、ドアは閉まっていた。
行き場を失った手を引っ込めて、ドラルクは咳払いする。
「……ねぇ、ジョン」
「ヌン」
取り残されてしまった者同士、ドラルクとジョンは同じ引力に導かれるまま顔を見合わせる。
「ロナルドくん、VRCに行くって言ってたよね」
「ヌッヌ」
「あのロナルドくんが/ヌヌ ヌヌヌヌヌンヌ」
互いの驚きが重なったからには、やはりあれは現実なのだ。
「そりゃあ男子三日会わざれば刮目して見よ、なんて言うけどね……流石に成長が早すぎやしないか」
「……ヌ? ヌヌヌヌヌヌ」
「なんだい?」
「ヌヌヌヌヌンッヌ、ヌンヌヌヌヌ ヌヌッヌッヌ?」
「あっ」
ジョンの指摘で、ドラルクは思い出した。
「そうだそうだ、ロナルドくんってば女の子だったんだ」
いかにも軽い調子だが、ロナルドの正体を知った当初は紳士らしく動揺したのだ。
だのに、洗濯機にショーツを放り込んだ本人であるロナルドときたら慌てふためくドラルクに対して恥じらうどころか奇異の視線を向けてきたものだから、ロナルドが気にしていないものを気にするのが馬鹿馬鹿しくなった。
かくして、今の今まで失念していたというわけなのだった。
「うーん」
しかしながら、今から認識を切り替えるのも難しい。ドラルクにとってもうロナルドはロナルドなのだから。
「よし、こうしよう。ゴリラ三日会わざれば刮目して見よ」
「ヌーン……ヌーイッヌ」
果たして、腹毛に宇宙を宿したイデアの丸の承認は得られた。
それは真理へのお墨付きであると同時に、一つの事柄に拘泥しすぎないのも享楽のコツであるという天恵でもあった。
「私たちがいない間のことなんて後で聞けばいいんだし、とりあえずクッキーでも焼いて待とうか」
「ヌッヌー!」
「クッキーだと!」
「ギョワーッ!? 今度は何!?」
「私だ!!!」
ジョンが泣き縋る砂山と化したドラルクの前にしゃがみこんだのは、瞳を爛々と輝かせるヒナイチだった。
いつも通り床下から飛び出してした彼女はドラルクとジョンが抗議するよりも先にまくし立てる。
「待ちかねたぞ! なにせもう三日もお前のクッキーを食べていないからな! 我慢していた分も焼いてもらうぞ!」
「た、滞納処分……」
「ヌヌーヌーヌー……」
どちらにしても取り立てられる覚えのない要求だった。
だが
「……というか」
ドラルクの琴線に触れたのはそんな
「三日ぶりに会うというのに、まず口にするのがクッキーの催促なのか……いや、まぁ、君らしいと言えばらしいのだが……」
「ヌァー……ヌッヌーヌンヌヌー」
「たっ、確かに私はクッキーモンスターではあるが……お前たちがいない間寂しかったのも本当だからな!」
ヒナイチも自分の振る舞いに問題があると気づいたのか、頬を赤く上気させながら弁明してくる。必死な様は、いじらしくて愛らしい。
「ほう?」
――ドラルクの目には、そう映っていた。
「すまない、先にこれを言うべきだったな……おかえり。ドラルク、ジョン」
「……うむ、ただいま」
「ヌヌイヌ!」
クッキーに先を越されたのは癪ではあったものの、拮抗はもちろん逆転の可能性があるとわかったことは喜ばしい。共に立ち上がる内に追い越していた丸い頭を見下ろして、ドラルクは「どれ」と口角を吊り上げた。
「再会祝も兼ねてお茶会をしようか。二人とも、お行儀よく待っていておくれよ?」
「ヌーイー! ヌン ヌンヌヌヌーヌヌ ヌヌヌイ! ニューン!」
「む、りんごのケーキきたらパイも食べたくなるな……ええい、もうとにかく沢山作ってくれ!!」
「はいはい」
「私とジョンもそうだが、ロナルドもお腹を空かせていそうだったからな。折角の宴なのに取り合いになっては敵わん」
慈悲深くも欲深い無茶振りに王の素質さえ感じかけたドラルクだが、キリンに変身するよりも先に問うべき違和感に気付いてしまった。
「ロナルドくんが? さっき会った時はそんなこと言ってなかったけど……」
「ヌンヌン」
遠慮のなさではヒナイチに勝るとも劣らないロナルドが、出かける前に「夜食作っとけ」と言い忘れるとは考え難い。
「えっ」
訝しむドラルクとジョンだが、ヒナイチもまた困惑を露わにする。
「違うのか? さっき見かけた時に声をかけるのも憚られる形相でバナナを食べていたから、てっきり空腹なのだとばかり……」
「はぁあ!? 食べてたの!? あれを!?」
「ヌーッヌヌ ヌヌイヌヌ!?」
実際に何度も吸血〇〇の不味さに悶絶した経験故なのか、ドラルク以上に取り乱したジョンがヒナイチに詰め寄る。
「ヌヌヌヌヌン ヌイヌーヌヌッヌ!?」
「あ、ああ……食べた後はどこかに走っていったから体に問題はないと思うが……」
「ヌヌッヌ……ヌヌ、ヌンヌ? ヌイヌーヌヌーヌ イヌッヌ イッヌヌヌヌ……」
「VRC?」
抱き留めたジョンの背を撫でながら、ヒナイチはドラルクを見上げる。
「お前たちは何をそんなに驚いているんだ。説明してくれ」
「あー……実は、その、かくかくしかじかで」
「ちん!? じゃあロナルドは吸血鬼化したバナナを食べたというのか!? ロナ戦でまずいと書いていた!?」
「タイミングからして、多分」
「だからあんな顔に……いや、でも何故。退治するならもっとちゃんとした方法があるだろう……まさか、その手の性癖に目覚めてしまったのか……!?」
「いやいや……」
確かに吸血〇〇を食べる内にその不味さが癖になってしまった可能性は否定しきれないが、ヒナイチの証言を鑑みるに違うだろう。というより、そうでなければ困る。
悪食相手の料理など御免被りたい身として他の可能性を探そうと自分なりにロナルドの奇行に思いを馳せるドラルクだが
「しっかしなんでまた……」
わざわざVRCに提出するなどと偽ってまでまずいとわかり切っている吸血バナナを食べた動機など、本人でなければわかるはずがなかった。しかし肝心のロナルドはまだ帰ってこない。
「むぅ……ぐぐ……んぁー!!」
ありとあらゆる疑問が喉の奥でこんがらがる不快感に耐えきれず、ドラルクはつい喚いてしまった。
「ええい! 一体どうしたんだあの若造は!!」
迸る苛立ちのまま地団駄を踏もうとしたところで、ジョンとヒナイチが息を呑む気配に気付いてはっと我に返る。
「あ、ああ…すまない、取り乱してしまった……」
紳士にあるまじき醜態に恥じ入るドラルクに対して、ヒナイチは柔らかく笑った。
「いや、気にするな。身内を心配するあまり平常心を失うのはよくあることだ」
「はぁっ!?」
――いっそのこと、からかわれたりたしなまれた方がまだマシだったろう。
「お前はロナルドの相棒だからは」
真っ直ぐな眼差しで肯定されてしまっては、もう観念するしかなかった。絆されたともいえる。
せめて格好だけはつけようと、こそばゆさに押し出された本心を苦々しく噛み締める。
「まぁ、ね。うん」
「ヌンヌ ヌンヌイ……」
「……まったく、ロナルドくんめ……帰ってきたら尋問だ。揺さぶって揺さぶって揺さぶってやる」
「ヌヌリヌヌヌ ヌヌヌヌヌヌ」
「ジョン!?」
可愛い使い魔の裏切りに狼狽するドラルクに、ヒナイチが真面目ぶった面持ちで追い打ちをかける。
「そうだろうな」
「君まで!!」
「お前たちに嘘をついたことを考えると、よっぽど隠したいに違いない……それに」
「……それに?」
「お前が返り討ちにされては、クッキーが食べられなくなる」
「それは作る私への心配なんだよね?」
「ヌァー!」
「君も君で今のは何に対しての嘆きかね? ん?」
そそくさと目をそらすジョンの顎を指先で撫でつつ、ドラルクは苦笑してしまった。
本来ならジョンもヒナイチもそろそろたしなめなければならない頃合いだ。
そう頭ではわかっているのに微笑ましさが勝ってしまうのは、曲がりなりにも相棒と認めたロナルドに嘘をつかれた影響だろう。
体裁を整えたところで、ショックが消えたりしないのだ。
――とはいえ、ドラルクは享楽主義者でもある。
このまま傷心に浸るのは性に合わない。なにより癪に障るのだ。
騙したロナルドはもちろん、悶々とするばかりの
ちっとも面白くない状況は引っ掻き回してしまえと、プライドが竜の咆哮よろしく疼き出す。
「……君たちが言う通り、返り討ちにされるのはごめんだ。とはいえ、有耶無耶にされるのもつまら?」
「ヌヌ ヌーヌヌヌ?」
「どうするのかって? そりゃもう、暴くしかないだろう」
「ヌァ!?」
「ちん!?」
愛らしき者たちの驚き――もとい、畏怖が鼓膜から心へと小気味よく響く。まったくもって愉快この上ない。
広げたマントの中にジョンとヒナイチを招きながら、ドラルクは低く嘯いたのだった。
「我々でロナルドくんの秘密を解き明かそうじゃないか」
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メビはロナルドが好き。
ロナルドが笑ってると嬉しい。
ノースディンと会った後はいつも笑ってる。
嬉しい。
でも、心配。
ノースディンは女たらし。
前にいっぱい女の子をナンパした。ハーレムも作ってた。
約束守ってるのも。
勉強してるのも。
獲物を口説くため。
ノースディンのため。
ロナルドは全部知ってる。
だからメビが邪魔しちゃだめ。
でもメビはノースディンを信用できない。
「我々でロナルドくんの秘密を解き明かそうじゃないか」
――メビは。
――――メビは。
――――――メビは。
「ビービビビビー ビービービビビービビ ビビービビビビ 」
見極める。
ノースディンのこと。
ロナルドが好きでもロナルドを裏切ったらメビは許さない。
だから絶対
▷メーラー起動
▷送信先:ノースディン
▷録画データ添付
▷送信完了
ロナルドを泣かせないで。