見て衝動的に書いたものの、多分続きは書かない
世界は嘘だらけだ。
欺瞞、偽装、虚偽、虚言、捏造───etc、etc。
誰かが誰かのために、己が己のために……誰もが虚像の仮面を被っている。
それがこの世界……そして社会だというものだとそう気付いたのはボクが産まれてから5年目の辺りだったろうか。
「───ルビーさんとアクアさん入りまーす!」
それでも、そんな嘘だらけの中でもひと握りの『愛』という
「映像スタジオ戻ります!」
「VTR明けまで10秒!」
だからこそ
───4、3、2……ッ!
「ボクはお前たち兄妹が羨ましいよ。兄さん、姉さん」
───どうか、貴方たち2人の人生に幸多からんことを
「……始めます!」
タンっと、子気味のいい音が鳴った。
ボクの人生の区切りを付けてくれたような気がした。
◆
ずっと暗闇の中で過ごしてきた。初めての暗闇は暗く、狭い。水の中に居るようだった。
次感じた暗闇は……どこまでも自由だった。初めて感じた暗闇と違って狭くない、そして身体に触れる爽快な風を感じた。
そしていま感じる暗闇は
「────ねーぇ? 本当に私たちだけなの?」
「はぁ? 何度も言っただろ、ダイヤには僕たちと同じような兆候は見られない。言葉だって喋れないし、立って歩いたりもしない…………僕たちとは違って本当のアイの子供だ」
「…………そっか。でもさでもさ!? 私たちの弟! アイの子供だよっ!? 絶対普通の子供とは違うって!」
「まあ、ある意味普通とは違うよな」
「いや、それブラックジョークすぎだから」
ただ、ただ騒がしかった。なんだろう、要領を得ない。どうだのこうだの何かが聴こえる。
多分、言葉だ。それだけは分かる、でも何を言ってるのかはまだわからない。
「早くお話しようねぇ、だーいやっ」
「待ってるからな」
でも何かポカポカする。
どれだけこの暗闇の中で過ごしてきたかわからない、ずっと身体がふわふわとしてる感覚があってまともに聴こえるアレと同じように言葉が話せない。
───あぁ、早くこの人たちと喋ってみたいな。
◆
いままでのあらすじ、というか始まり。
説明しようとすれば随分と長く、複雑で更に言えば心が重くなる話だ。
簡単に言えば……なんだが。
前世で背後から迫る怪しい男に気付かず俺は崖から突き落とされていた。目を覚まし、気付けば……推しのアイドルの子供として生まれ変わっていたッ!!
いや、どういうことなんだと聞かれれば俺もどういうことなんだろうな? と返答を返さざるを得ないのだが……。
これは事実で、目の前にある現実だった。
現実は小説より奇なり……とは正にこの現状を指し示す言葉だと言っても過言じゃないだろう。
前世の成人男性としての記憶を持ったまま、赤子に生まれ変わり。いま風にいうなら転生というべきか。
なんで前世の記憶が残ってるのか、どういう原理なのかいずれ仕組みを解き明かすつもりだと……そう思っているが、推しのアイドルに思い切り甘やかしてもらえるこの環境!
堪能せざるを得ないだろう!
ああ、疲れた社会人の心に思い切り染みる──
「はんぎゃ──っ! はんぎゃ──っ!」
そうだった。この家にはまだ住人が居る。
俺の双子として産まれた 星野 瑠美衣 この現代社会に沿うような攻めたキラキラネームだ。
これで、ルビーと呼ぶらしい。だがこの名前はまだマシな方だ、俺なんて 星野 愛久愛海 だ……是非ともいますぐ交換して貰いたいくらいだ。
熱烈なファンも居る苺プロダクションが運営するB小町所属 星野 アイから産まれた自身の半身。
当時、16歳にして妊娠が発覚。前世俺が働いていた病院ににて星野アイは尋ねてきた。
そこからだ、俺の因果が絡まっていったのは。
そこからはトントン拍子だ。世間一般的にアイドルである星野アイが妊娠しているなどとバレては大騒ぎどころの話では無い。
そこで俺は推しのアイドルが妊娠しているなんて事実を受け止め切れず心と脳が破壊されつつも、星野アイの何がなんでも子供を産みたいという願いの元、アイが子供を産むその日まで担当医に付き日々を過ごしていった。
だがそこからだ、仕事も一段落して帰路に着こうとしていたそのときだった。
病院前に怪しい男を発見した。男は俺に「星野 アイの担当医か?」と尋ねてきた。最初は関係者である線を疑ったが、直ぐにそんなわけがないと気付き男を問い詰めた。
しかし男はそのまま逃げ出し、最後には最初に言った通りだ。崖から落とされ気付けばアイの子供として生まれ変わっていた。
推しの子供として生まれ変わるだなんてなんの因果だろうか?
あまりにも度し難い……しかしそれとは別に幸福でもある。
昔も今も、俺はどうしようもなく彼女の