モンスターだらけのARKを生き延びろ   作:あるこばれの

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 本日二回目の投稿になります。前回の最後に不穏な空気が流れていましたが、裕太君の運命はどうなるのでしょうか?それでは本編スタート!


Version3.3:女王、降臨す

 あの後、俺は外に出て草食動物たちに混じって食料となる果実を採集した。あいつらは臆病な気質なようで、近づくと距離を取ろうとしたり、威嚇の様な行動を取ってきたりしたが、こちらが身を屈め無害な事をアピールすると何事もなかったかのようにまた草を啄み始めた。案外あっさりとした変わり身に、動物園の動物みたく人間に慣れている?ようにも感じたが、それはないだろうと断じる。多くの動物が人間に対して強い警戒心を持っているのは、門外漢の俺でも流石に知っている。きっと、あれ程の規模の生物であれば、パンツ一丁の人類など仮に襲ってきてもどうにでも出来ると判断したのだろう。俺は自然の中での人間の無力さを再度痛感した。そうして、俺は果実が生える草の茂みに向かった。あいつらが食べた後と思しき茂みが目に入ったが、この前俺が食べなかった黒い果実だけがきれいに残っていた。どうやらあいつらも黒い実は食べない様にしているらしい。そこから、やはりあれは相当に不味いか、何らかの毒性があると考えて良いだろう。あの時安易な気持ちで口に入れずに良かったと、俺は胸を撫で下ろした。それから俺はまだ漁られていない茂みを発見し、既に食用可能と分かっている赤と青と黄色の果実を千切り、その場で頂いた。

 

 

 

 

 食事を終え、一息着こうとした矢先、凶いの兆しは突然に訪れた。あの草食恐竜たちが突然に慌てふためき始めたのだ。苦し気な鳴き声を上げながら海岸の奥にある森林の方向に向かって走り始めたのだ。子供に至っては周囲の状況が呑み込めず、パニックを起こした様にキョロキョロと周辺を見渡しながら大人の周りを徘徊している。群れの中で最も大きな個体が、「グォーグォー」と頭を振り上げながら仲間に何かを訴えかける様に鬼気迫る鳴き声を上げている。それから、子供はあたふたとしながらも別の大人に先導されて森の方へ走り去って行った。あのダチョウ型の鳥も草食竜と一緒になって森の方へ駆けて行った。俺はこの状況を見て、これはただ事ではないと判断した。そのため、俺は急いで家に避難しようと駆け出した。その刹那のことであった。

 

 

 

 突如として大きな火の玉が飛んできたのだ。これは比喩でも何でもなく、本当に文字通りの火球だった。その火球は、子供を逃がすために最後まで残っていた一番大きな草食恐竜に着弾した。その瞬間動けなくなる程の轟音が鳴り響いた。俺は無意識に耳を塞ぎその場に蹲ってしまった。草食竜はあの火の玉が着弾した後も何とか立ち上がろうと藻掻いている。常識では考えられない凄まじい生命力だ。俺は火球の発生源を確認しようと、周囲を見渡す。だが、東西南北どこを向いてもそれらしき存在は見られない。なぜならば、その主は空の上から現れたからだ。バサバサと空を切る音が鳴り響いたと思うと、「ギィィー!」とけたたましい声を上げながらその主は頑強な脚で、息も絶え絶えな草食竜を押さえつけ、止めを刺したのだった。そいつは周囲の様子を窺っている。そして、俺を視界に捉えたそいつは、周囲が揺れる程に大音量の咆哮を上げたのだった。

 

 

 俺は目の前の存在するはずの無い存在に畏怖し、戦慄した。「それ」は紋章にのみ産み出された存在。絶対にこの世に現れることの無い存在、ワイバーンだった。そいつは、頭部から背中、脚、尻尾にかけてほぼ全身を柳色の甲殻で覆われており、背中から尻尾にかけては細く鋭利な棘が無数に生えている。翼の先端には太い円錐形の棘が七本ほど生えている。翼膜には、「目」を思わせる模様がたくさんあり、それがより逃げ場のない恐怖を掻き立てる。脚部は非常に筋肉質で太く頑丈な見た目をしており、足の爪はあの肉食恐竜のそれに類似した形状だ。さらに、顎からは鋭利な棘が一本伸びている。そして何より、恐ろしいのはその大きさだ。恐らく全長は20 [m]を悠に超えていて、高さも4 [m]はある。この前の巨大昆虫や青い肉食恐竜など目ではない。彼らも十分に化け物と呼べるほどの威圧感や恐怖感を持っていたが、この竜を前にしたらそんなものが児戯に思えるほどに奴は別格だ。そして、その体躯から放たれる咆哮は、俺に本当の恐怖という物を今味わわさせるには十分であった。全身の嫌な汗が止まらない。下半身からは糞尿が止めどなく溢れ出している。俺の顔は止まらない嘔吐と涙で見るも無残な有様と化している。俺は目の前の絶対的な存在に対して跪いて命乞いをする事しか出来なかった。

 

 

 だが、竜はそんな俺の状況など知った事かという態度で再び火球を放ってきた。その火球は野球選手の投球もかくやというスピードで俺に向かって一直線に飛んでくる。次の瞬間、俺は業火に飲まれていた。一瞬のうちに全身の皮膚は焼けただれ、黒く変色していった。俺はその事を意識する暇もなくこと切れたのだった。

 

 

You were killed by a Rathian.




 本編の補足ですが、裕太君はレイアの下顎の突起を棘だと思っていましたが、実際の設定ではあれは授乳器官の様なものです。あそこに肉を引っ掛けて子供に与えるようです。

 次回もお楽しみにお待ちください!
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