モンスターだらけのARKを生き延びろ   作:あるこばれの

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 今回はついに裕太君は初期リス地点から移動するようです。まだ見ぬ島の生物たちに皆々刮目せよ(将軍並感)

 それでは本編スタート!


Version4.1:新天地を目指して

 この島から脱出するためには、船を始めとして多くの物資が必要になるだろう。ここが日本本土や大陸からどれだけ離れているのかは分からない。ここがセントヘレナ島の様な絶海の孤島だった場合、確実に数ヶ月間は漂流する事になる。というか、島を取り巻く状況から考えて間違いなくここは絶海の孤島だろう。俺は歴史学専攻のしがない文系大学生だ。船の詳しい仕組みなんて分からないし、そもそもモノづくりの素養などない。都合よくエングラムに近代的な船があるかも分からないし、そもそも丈夫な鉄を精錬するために必要な諸々の資源がここにあるのかすら疑わしい。最悪俺は木製のいかだで数か月間漂流する事になるだろう。そのため、水や食料を中心に物理的に許されるだけの物資は確保しなければならない。そのために、まず必要なのはここでの生活基盤と安全地帯の獲得だ。生活基盤に関しては、昨日までの要領で作業を続けていけば半月から一月あれば、衣食住は俺一人ならなんとか暮らせるだけの分は確保できるだろう。しかしながら、それはここの生物や自然環境の影響を受けず、物事が円滑に進んだと仮定した場合の話だ。ブナハブラやリオレイアの件から、ここはもう安全地帯とは言えない。本当の意味でこの島にそんな場所があるのかはさておき、この場所で再起を図るのは、賢い選択とは言えない事は明白だ。一先ずは、ここから離れて新天地を探そう。幸い今なら、辺りに巨大な生物の影は無い。行動をするなら今のうちだ。

 

 

 

 

 

 森林に入るという選択肢は取りたくない。また、ランポスに襲われる可能性もあるからな。それに、インドア派の俺には森での活動の勝手は全くと言っていい程分からない。出来ることならば、活動するうえで物理的な制約が少ない場所を選びたい。俺は海岸沿いに北へ歩を進めてゆく。この島の海岸線は縦に大きいようで、歩いても歩いても同じような景色が続く。砂浜にはヤシの木の様な南国を思わせる樹木や果実が取れる茂みが点在している。時折、小動物たちを見かける。例えば今もモグラの様な生物が顔を出したり、こちらに気付いてはすぐに地面の中に引っ込んだりしている。モコっと目の前の地面が拳大の大きさに盛り上がった。またさっきのモグラが顔を出したようだ。こちらを見つめて首を傾げる様な動作をしている。可愛い。もし、こいつらの存在が知れ渡ったら愛玩動物として滅茶苦茶人気が出そうだ。そのくらい愛らしい見た目をしている。大きさは一般的なモグラと大差は無さそうだ。顔は所謂癒し系な雰囲気を漂わせている。漫画のキャラとかでいそうな程、細い目をしている。本当に線みたいだ。何というか鈍そうで、眠そうだ。そんなほんわかとした顔にも関わらず、頭頂部から生えた毛は何故かモヒカンの様な形状にまとめられており、ミスマッチな感じを引き出している。それに、そこの毛だけ金色なのもそれに拍車を掛けているようにも思える。この顔ではどう足掻いても世紀末な雰囲気を醸し出すのは不可能だろう。だが、そんなキュートな顔とは裏腹に、こいつの爪はかなり頑丈な形状をしている。普通のモグラとは違い、五本指ではなく、馬の蹄のようにまとまった形状をしており、両方の側面からはそれぞれ小さな指が生えている。それに先端はかなり鋭利で、前肢だけ見るとかなり厳つい印象を受ける。顔とのギャップはかなり大きいが、これはこれで動物好きには受けが良さそうだ。そんな事を考えながら進んでいると、モグラは「キュウッ」と声を上げて物凄い速さで地面に潜っていった。鈍そうな見た目をしていたが、案外そんなことは無かったらしい。そういう所は何というか、この島の生き物らしいなと俺は少し感心してしまった。

 

 

 

 

 

 

 歩き続けていると、河が俺の行く手を阻んできた。河口部だからか、幅も大きく、最大のところでは100 [m]程はあるように見える。一見しただけで、人間の身長を悠に超える深さがありそうだ。ここを渡るべきか?それは否だ。目の前のこれはプールではない。素人が急に入っても、ただ身を危険に晒すだけだろう。それに、河の中にも危険生物が潜んでいる可能性も十分に有り得る。

 

 

 

 

 念のため、河の中を地上から覗いてみる。幸い水の透明度は高めなので川岸に立った状態でもある程度は中が見える。そんな俺の目に映った川の中の光景は、中々に壮絶な物だった。まず、4、50 [cm] はあるピラニアの様な魚が数十匹の群れを成して泳いでいた。腹は赤味が掛かっていて、目も真っ赤だ。頭には先端が尖った角のような物が生えており、その様子はリーゼントを髣髴とさせる。そして、最も危険に思えるのはあいつらの口から生えた人間の親指くらいのサイズはある鋭く、大きな牙だ。下顎からは突き上げる様に上向きに、上あごからも下に向かって牙が伸びている。熱帯の地方では良く人間がピラニアの被害に遭っていると聞いたことがあるが、なる程これは頷ける。見た目からして明らかに近寄るべきではないの明白だし、群らがられればサイズ差があれど、いつの間に食い荒らされていそうだ。それだけではない。この河には大物もいる。緑色のナマズのような外見をした魚だ。5 [m]は確実にある。背びれは後頭部から尾ひれまでにかけて、縦に長い三角形の形状で面積を逓減させながら十本ほど生えている。色は胸びれと同様で、オレンジっぽい感じだ。尾ひれは、全身の比率から考えて、申し訳程度の大きさしかない。口にはナマズ特有の側方に伸びる口髭と、触角のように伸びる四本の顎鬚を蓄えている。さらには、鋭い無数の牙が見え隠れしている。ナマズはこちらに気付いたのか猛スピードで、川の淵から川岸に向かって泳いで来た。俺は咄嗟に川岸から十メートル程距離を取った。奴は、地上に上ってこそ来ないが、岸から顔を出してこちらを威嚇するように、大きく口を開いている。自身の頭の大きさの倍以上の幅で開いた口と、そこから生える無数の牙はとても悍ましく、また迫力に満ちていた。ピラニアたちも騒ぎを聞きつけたのか、トビウオのように水面で大ジャンプを行い、獲物を捕らえようと躍起になっていた。俺はこの地獄絵図のような光景に辟易した。だが、それほどの驚きはもはや感じなかった。リオレイアの様な竜も存在する島だ。何の変哲もない河に巨大魚が住み着いていている異様な環境にも、俺は特段の違和感は感じなかった。これは、ここで引き返すのが無難だろう。俺は足早に踵を返した。

 

 

 

 

 

 それから、少し歩いた所で俺は周辺を見渡した。この近辺には高台になっている部分があって、その上には草原が広がっている。立地としては悪くなさそうだ。木や茂みも多少足を伸ばせば確保できる程には点在しており、生活に必要な物はあらかた確保できそうだ。高台下では、大きな生物もリオレイアに殺された時に遭遇した草食恐竜ぐらいしか見当たらない。ぱっと見の感想ではあるが、陸地に関してはこの辺りは平和そうだ。であれば、あの丘の上の草原に一旦の居を構えるのも悪くは無いだろう。決めた、あそこへ向かおう。

 

 

 

 

 急勾配を徒歩で登り、崖の上にたどり着く頃には息が上がる程クタクタになっていた。こんな所でも自身の体力の無さを突き付けられる。この辺りは奥の森にさえ不用意に立ち入らなければ安全と言えるだろう。周囲の様子は平和そのものだ。背中には灰色の毛が、腹から首筋にかけては白の毛が生えたシカが草を啄んでいる。数匹で群れているようで、頭頂部の耳の間から真上に向かって角が生えている個体と生えていない個体がいる。多分、オスとメスの違いなのだろうか。俺はこの島で初めて見た「普通」の生物にどこか安心感を覚えた。それくらいの事で安らぐ程には、この島の異様な生物たちは現代の常識とかけ離れていて、その脅威は俺の心身を確実に消耗させていたのだ。安全を確認した俺は早速住居と衣服を作成すべく、資材の調達に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 俺は森と草原の境界にある木を何本か伐採し、藁の建材類を量産した。ちなみに、斧やピッケルは海岸を出立するときに作っておいたのだ。流石に、家の中に置いてあった前の分は、リオレイアの放った業火には耐えられず燃え尽きていた。慣れたもので、数時間も立たないうちにリオレイアに襲撃される前と同等の大きさの家を作る事ができ、さらにたき火もおまけで付いてきた。それから、俺はこの前取得したエングラムである「布装備」を一式作る事にした。いつまでもパンツ一丁なのは御免だ。というか、作り方を教えてくれるのなら最初から着せてくれるのと大差ないのではないか?俺はそんな不満を抱きながらも、茂みの草を刈り取り、数本に束ねて繊維状にしていく。エングラムが寄こしてきた「イメージ」によると、これを編み込んでいけば服が作れるらしい。俺に裁縫の知識は無い。だが、俺の手は一人手に名前も碌に知らない作業を延々とこなしていく。毎度思うが、自分の身体が自分の物でなくなっている感じがして不気味だ。しかし、俺が生きていくためには、この感覚に身を委ねる他ない。そうこうしている内に、一枚のシャツが出来上がっていた。俺はそれに袖を通した。なんと、サイズは丁度ピッタリだった。無意識にそうなるよう誘導したエングラムという技術は中々に恐ろしいものだ。これは人の営み、もっと言うと人間という存在の在り方すらも変えてしまう程の、いわば禁忌のテクノロジーかも知れない。これが世間に知れたらと思うと、その後の顛末が頭に浮かび、俺は恐ろしくなってしまった。だが、今は非常事態だ。それに、これは俺をここに連れてきたであろう連中の置き土産だ。決して溺れない様に自分を持たなければならないが、逆に利用してやらない手は無い。思考に耽る俺の意識を他所に、無意識の作業は続き、ついには帽子とズボンまでもが完成したのだった。

 

 

 

 

 

 ズボンとシャツを着た俺は幾分かマシな格好になった。尤も原始人感が満載なのは否定出来ないが。ここまでは順調に事が運んだが、ついに難題に衝突した。グローブと靴を作るのに動物の皮が必要だそうなのだ。困った。グローブはともかく、靴はこれからの事を考えるなら是非欲しい。これまで裸足で生活してきたから、足の裏が痛い。靴のエングラムを見つけたときは嬉しかったが、そう都合の良い事ばかりではないらしい。俺が狩れるような生物は辺りを見渡しても見つからない。それに、これまでに会った草食動物に仮に襲いかかったとしても返り討ちに遭うのが関の山だ。靴に関しては悔しいが、一旦諦めよう。そう思った瞬間だった。俺の目の前にウサギの様な小動物が飛び出してきたのは。




 今回登場したモンスター・環境生物は順に、モギー、キガニア、ガライーバ、ケルビ、そして???です。裕太君はケルビの事を普通の生物と思っていますが、こいつはどんな環境にでも適応する適応力お化けです。あれ?普通とは一体?



 さて、裕太君は無事に再起を果たすことは出来るのでしょうか?!そして、島から脱出は出来るのでしょうか?

 次回もお楽しみにお待ちください!
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