モンスターだらけのARKを生き延びろ   作:あるこばれの

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 今回、初めての狩猟回を描きました!描写するのが本当に難しいですね。ここら辺は追々表現力を磨いていきたいものです(笑)

 それでは本編スタート!


Version4.2:狩人よ、前へ

 運命のいたずらとは残酷なものだ。今の俺が物に飢えた状態でなければ目の前のプードルの様な毛並みのウサギも愛らしく見守る事が出来たのかも知れない。俺は今、皮を求めている。そして、現在狩るのに手頃な相手が眼前にいる。さらに、お誂え向きな事に、俺に対して警戒心を持つこと無くすり寄って来ている。こいつを狩れば、今後の生活に大きな足掛かりとすることが出来る。俺の中に大きな葛藤が生まれた。

 

 

 

 だが、俺に目の前の生物を殺められるのだろうか?小さな魚や虫ならともかく、大きめの哺乳類や鳥類といった生物を攻撃するのは心のどこかでまだ抵抗があるんだ。そんなことを考えてもこの弱肉強食の島においては無意味なことくらい分かっている。俺だって何度も強者の餌食になってきた。本当に気持ちの問題、ただそれだけなのだ。いくら可愛らしい生物とはいえ、虫なんかと同じ命に変わりはない。俺たちは常に何らかの生命を奪って生きている。食物を得るため、住居を得るため、衣料を得るため、直接的にでも、間接的にでも多くの命を奪ったうえでこれらは成り立っているはずだ。現代ではそれらの完成品を直接入手できるから、俺たちは自覚していないだけで、命を糧にする、または生活圏のために命の芽を摘むという過程が確かに存在することは有史以来何も変わってはいないはずだ。つまり、俺は生きていく中でこれまでに多くの命を奪ってきたのだ。ただ、命のやり取りが目に見える状態にあるか、それが水面下で起こっているかの違いでしかないのではないか。それに、動物の命にだけ罪悪感を感じるというのもおかしな話だ。植物を摘むことだって立派に殺しだ。動物は臨終の際に悲痛な声を上げるから罪悪感が湧くが、植物にはそれが無い。だからこそ、俺たちは一つの生命を殺しているという事に気付かない、もしくは目を背ける言い訳にしているのではないだろうか。俺はもう果実を食した時点で、木を切り倒した時点で、さらにはもっと前から躊躇う資格など、とうに失っている。

 

 

 

 

 俺はそんな理屈を自分に言い聞かせ、無理にでも自分を奮い立たせようとする。このチャンスを見逃せばいつ同じ物が回ってくるのか分からない。いつまでも弱いままでは、永遠にこの島に囚われ続けるだけだ。俺は覚悟を決め、石斧を握った右手に力を込める。ウサギはそんなこちらの様子に気付くことなく、俺の近くで丸くなっている。今しかない。俺は息を殺し、草を踏む音にすら注意しながらゆっくりと、慎重に近付いた。そして、俺はウサギに向かって思いっきり、斧を振り上げた。

 

 

 その感覚はたった一瞬のものだった。斧がウサギの首に深く突き刺さった。手に伝わった嫌な感触はすぐに消え去った。ウサギの白とピンクが可愛らしかった体毛は鮮血の赤色に染まっていく。ウサギは横たわり、弱弱しく腹部が収縮運動をしている。俺はもう一度先程の傷口に斧を突き立てた。ウサギの身体が一瞬だけビクンと跳ね、ついには動かなくなった。その目からは光が失われており、亡骸となった事がはっきりと分かった。俺は目の前の骸に頭を下げ、手を合わせた。俺は、例え弱肉強食の世界にあろうとも感謝を忘れてはいけないと思っている。俺は本来この生態系に属する者ではない。だからこそ、俺は決して暴慢になってはならない。俺は使わせていただく身でしかなく、どれ程恐ろしい怪物であろうと、小動物であろうとその恵みを頂いていることに変わりはないからだ。俺は命のやり取りを通じて、「いただきます」という言葉の本当の意味を知れたのかも知れない。それから、俺は見よう見まねの慣れない手つきでウサギの解体を始めた。取り敢えず、お金持ちの家にありそうなアニマルカーペットの形を思い出して、それっぽくなる様にやってみよう。一先ず、俺は近くの石を拾って斧の刃先がなるべく鋭くなるように磨いた。それから、俺はウサギの腹部斧を突き立て、腹から首に掛けて切れ込みを入れていった。ピンクの毛皮から飛んでくる粉末はどこかカビの様な臭いがし、何度か蒸せそうになった。そうしてしばらく格闘した後、俺は何とか目当ての皮を手に入れる事ができた。

 

 

 

 

 また、夜が訪れようとしている。俺は家の前に置いた、たき火でさっきのウサギから取れた肉を焼いていた。インプラントのログを確認したところ、ウサギはどうやら「カモシワラシ」という名前らしい。この島には似合わない和の趣のある名前だと感じた。この島に来てから、肉類の様なしっかりとした物を食べるのは初めてだ。俺はたき火から漂って来る香ばしい匂いと、肉汁が滴り火に当たって弾ける音に心を躍らせた。つい先ほどまで、狩るか否かを迷っていたのに、現金な物だと我ながら思う。今日一日で、俺の生活はかなり前進したと思う。新天地を見つけ、家を作り、ついに服や靴も手に入れる事ができた。さらには、初めての狩りも成功させ、こうして食事にありつけている。このインプラントやエングラムは本当に敵なのか味方なのか分からないな。さて、肉が焼けた様なので、一旦難しい事は抜きにして早速食べてみよう。

 

 

 久々の肉は、何も味付けをしていないにも関わらず、これまで食べたどんな肉よりも美味かった。蛋白で脂肪分は少ないが、柔らかくあっさりとしていて幾らでも食べられそうだ。鮮度が高いからか、噛むたびに肉汁が溢れて、口の中いっぱいに旨味が染み込んだ脂が心地よく広がっていく。それに、カモシワラシの肉は旨味が強くて、肉自体の味わいが強い気がする。昔食べた熟成肉という物を思い出した。

 

 

 

 

 

 最後に、俺はブナハブラ対策のため消火し、家の中で眠りに就いた。明日も休んでいる暇はない、今日はゆっくり休んで英気を養うとしよう。

 

 




 初めての狩猟はなんと環境生物のカモシワラシでした。環境生物が好きな方には申し訳ないです…戦闘の描写は思ったように書けず、なかなか苦戦しました。戦闘描写をたくさん書かれている作者様方の表現力に脱帽致しました。


 さて、今週はあと1、2本程度だせたらなぁと思っています。それでは、次回もお楽しみにお待ちください!
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