モンスターだらけのARKを生き延びろ   作:あるこばれの

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 本格的な小説は初めてなので、慣れない部分もありますが、コツコツ更新していくのでよろしくお願いします。更新は週一か隔週を目安に行う予定です。


The Island編
Version1.0:未知の島


 俺こと、桃園裕太(とうえん ゆうた)はどこにでもいるような平凡な大学生だ。最近のマイブームはソシャゲのガチャなんかの結果をSNSに投稿すること。21世紀日本生まれの現代っ子にはありがちな趣味だと信じたい。今日も今日とて、俺は退屈な講義を横目に教室の片隅でスマートフォンの画面とにらめっこをする。代り映えのない毎日に嫌気が指す。講義が終わると、俺は真っ先に教室を出る。それが毎日のルーティーンだ。そうして、いつものように教室の扉を開け外に出ようとしたその刹那、突如として俺の視界は真っ白に染まった。

 

 不思議な光景だった。目に映る人や風景が急に歪んだと思ったら、一瞬のうちにホワイトアウトして気が付けば、辺り一面すべてが真っ白な世界に俺はいた。でもどういう訳か驚きや戸惑いの感情はない。何故か初めからこうなるのが分かっていたような不可思議な感覚、夢から醒めて現実に戻ったような感覚、これが今の俺の正直な感想だ。寸刻の後、俺の目の前に人間の女性を思わせる形の光が現れた。彼女のシルエットは人間そのものだ。しかし、その全身は青白い透明な光で形作られ、内部には血管や臓器を髣髴とさせる光の筋が浮かんでおり一目でただの人間ではないと思わされる。まるでサイバーパンクの世界から飛び出してきたような現実離れした見た目だ。ただ、なぜか俺は彼女を見て安心感を覚えた。形容するなら、そう自分の母親と話している時のような感情だ。初対面の人?に対してこうした感情を抱くのは初めてだ。俺の本能が彼女を理解している、そんな気さえしてしまう。

 

「あなたを待っていました。気が遠くなるほどの長い間。」

 

 彼女は、挨拶も済ませぬまま忽然と語り始めた。

 

「時間という概念など忘れるくらい。私にはまだ"希望"が残っていたのね。」

 

 俺は彼女の話がまるで分からず、顔を顰める。しかし、彼女はそんな俺の様子を意に介さずに話を続ける。

 

「絶望に包まれたこの世界にあなたという光が差し込むなんて。何も信じられずにいた私はこの運命に抗えなかった。」

 

 初対面で何も話が分からないにも関わらず、ここまで褒めちぎられるとついつい照れ臭くなってしまう。俺も案外単純な性分なのかもしれない。そんな俺の心情を知ってか知らずか、彼女はさらに続ける。

 

「私のところまで来て。すべてはあなたにかかってるの。世界を冒険し、様々な生物と触れ合い、力と技を磨いて。かつて私がそうしたように。さあ、真実にたどり着いて、私を見つけて。それができるのはあなたしかいない。」

 

 彼女の話はいまいち要領を得なかった。真実?それは俺がここにいるのと何か関係があるのか?私を見つけて?あなたは俺の目の前にいるのではないのか?彼女は俺に何を求めているのだろうか。分からない。ただ、俺は何となくではあるが、彼女の言うとおりに、正体を突きとめる事が重要であると思った。そのため、俺はこれらの疑問について彼女に問いかけようとしたが、何故か声を出せなかった。俺は消えゆく彼女の前でただ茫然と立ち尽くしていた。

 

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 不思議な夢を見ていた気がする。内容は全く覚えていないけど、何か俺にとって重要なことだったように感じる。まあ、考えても仕方のない事か。そういえば、さっきまで大学で講義を受けていたんだった。きっとその途中で寝落ちでもしたんだろう。俺はそう思って、目を開け、講堂の時計を確認しようとする。しかし、そこには時計どころか、いつもの大学の景色も学生や教授達の姿も見当たらなかった。代わりに俺の目に飛び込んで来たのは、一面の青い空と広い海、そして南国情緒漂うヤシの木だった。

 

「な、なんじゃこりゃーー!!」

 

 俺は柄にもなく大声で叫んでしまった。

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