モンスターだらけのARKを生き延びろ   作:あるこばれの

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 今回からようやく新キャラが登場します。


Version15.0:再会

 side ???

 

 「おい、呑気に寝ている場合ではないぞ。早く起きろ。」

 

 

 

 今日は休みなんだからもう少し寝かせてくれたって良いじゃないか。急かす様な声色の友人とは裏腹に僕は未だ眠気から醒めず、再び微睡みの中に誘われそうになる。昨夜は作業が捗ったからつい夜更かしをしてしまったんだ。だから、もう少し寝たい。というか、いつの間に彼は僕の部屋に入ったんだろう?そんな事を思っていると、不意に身体が宙に浮く感覚がした。僕は思わず目を開ける。

 

 

 

 「ようやく起きてくれたか。秀夫。」

 

 

 

 小柄で瘦せ型な僕とは対象的な、筋骨隆々とした恵体の友人は軽々と僕を掴み上げ呆れた表情で言った。そんな彼の名前は、道尾隆翔(みちお りゅうと)。僕とは小学校以来の付き合いで、今も同じ大学に通っている。所謂、幼馴染というやつだ。その鍛え抜かれた体格から勘違いされがちだが、彼は意外にもインテリ系でいざという時頼りになる。

 

 

 

 それにしても、太陽の光が眩しい。何だか空気も美味しい気がする。僕はキョロキョロと首を振り、周囲を見渡した。見慣れない景色に段々と血の気が引いていくのが分かる。青い空に、綺麗な海、そして溢れんばかりの大森林、なんと僕たちは未知の場所にいつの間にかいたらしい。

 

 

 

 「うわっ!なんで僕たちがこんなところにいるのさ!」

 

 

 

 僕は慌てて彼に問いかける。彼とは長年付き合いがあるけど、こんな意地の悪いドッキリをする様な性格じゃなかったはずだ。ていうか、そんなことされたら普通に絶交だよ!

 

 

 

 「俺にも分からない。目が覚めたらお前と二人でここにいたんだ。」

 

 

 

 僕は昨日は深夜まで一人、自室でレポート作成に勤しんでいたはずだ。彼を部屋に招き入れてはいないし、酒に酔って何処とも知れぬ場所に飛び出した訳でもない。本当に心当たりが無い。彼の困惑した様子からも、僕と同じ境遇である事が伺えた。しかも、よく見たら二人ともパンツ一丁で文字通りの身一つだ。それに、左腕には菱形の機器が埋め込まれている。ますます、謎が深まる。いやいや、今はそんな事を考えている場合ではない。どうにかして帰る方法を考えないと。そんな事を考えていると僕は優しく地面に降ろされ、彼は言葉を発した。

 

 

 

 「取り敢えず、この辺りを探索して人がいないか探そう。誰かいたら事情を話せば保護してもらえるかも知れない。それに、俺たち二人がここにいるという事は、裕太もここに来ている可能性もある。」

 

 

 

 

 そうか、確かにそれも強ち有り得ない訳ではなさそうだ。彼が言っていた裕太とは、僕のもう一人の親友だ。隆君よりも付き合いが長くて、かれこれ幼稚園からずっと同じだ。昔からこの三人で一緒にいることが多かった。僕にとっては二人とも掛け替えのない大事な友達だ。裕君はしっかりしている様で、少し抜けている部分があるから心配だ。何かの拍子に藪蛇をつついてないと良いんだけど。良くないことが起こる前に早く動くべきだ。そう思った矢先、僕たちの頭上を過ぎ去る大きな影があった。僕たちは思わず二人揃って空を見上げた。そこには絶対に現代のこの世界には存在し得ない生物が優雅に空を舞っていた。

 

 

 

 

 あれは間違いなく翼竜だ。恐竜と共に絶滅し、現代では途絶えたあの翼竜だ。僕は目を疑った。変な場所で目覚めた事と言い、あの翼竜と言い、僕は夢や幻覚でも見ているんじゃないだろうか?僕は思いっきり自分の頬を引っ張る。だが、目の前の世界が消え去る事は無く、青い翼竜の群れは鮮明なシルエットを保ち続けている。隆君も隣で目を皿にしたまま頭上を仰いで固まっている。それらの様子は今この景色が紛れもない現実に起こった現象である事を思い知らせている。

 

 

 

 

 

 

 よく見ると、あの翼竜は既に発見されている種との相違点が多い。身体の大まかなシルエットはプテラノドン科などが属する翼指竜亜目を思わせるが、決定的に違う点がある。それは長く伸びる尻尾と発達した後肢だ。通常、翼指竜亜目の尻尾は退化したものと考えられている。長い尻尾を持つのは彼らよりも原始的な系統である嘴口竜亜目にある特徴だ。こちらの有名な分類にはディモルフォドン科がいる。これだけを切り取って考えればあの翼竜は原始的な特徴を残したまま進化し、現代まで人知れず生き残った種であるとも考えられる。だが、あの発達した後肢はそれだけでは説明出来ない。どちらの系統の特徴にも該当しないのだ。樹上で暮らす種はある程度後脚が発達した種もいたようだが、あの青い翼竜の様に、地上の生物には劣るものの、肉食恐竜の脚をそのまま翼竜の下半身に取り付けたと思わせる程の発達具合ではない。そこから、僕の中で一つの仮説が生まれた。それは、あの翼竜は現代では知られていない未知の系譜を持つ種なのではないかという事だ。その考えが脳裏に浮かんだ瞬間、気が昂るのを感じた。僕たちは世紀の大発見の立会人になれたんだ。そんな実感がようやく押し寄せてくる。僕は生物分野の専攻ではないが、それでも科学の道を歩む者の端くれ。こんな一世一代の瞬間を目の前にして興奮しない訳が無い。

 

 

 

 

 

 

 隣では隆君が震えて、ただ無言で佇んでいる。きっと、彼にもこの発見が信じられない物なのだろう。それも無理はない。なにせ、隆君は昔から生き物が好きで、大学でも生物学を専攻している。だからこそ、生き物に賭ける情熱は人一倍強いのだ。そんな彼が世紀の大発見の生き証人になってしまったんだ。その感動もひとしおに違いない。だけど、いつまでも呆気に取れら続ける訳にもいかない。僕たちはフィールドワークをしに来たのではない。僕たちの体力に余裕があるうちに帰るための算段を建てないと、この発見を持ち帰ることは出来ない。こんな時だからこそ冷静にならないと!

 

 

 

 「隆君!起きて!戻ってきて!今はそれよりも先に裕君を探さなきゃ。それに、生きて帰れれば、また来れるかも知れないんだから。ねっ?」

 

 

 

 

 僕は未だ固まって動かない隆君の大きな体を頑張って揺さぶる。しばらく続けていると、流石に彼も現実に戻って来てくれた。

 

 

 「ああ、すまない。お前の言う通りだ。目的を忘れてしまう所だった。」

 

 

 

 なんとか我に返った僕たち二人は、もう一人の親友を探すために歩き始めた。

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 僕たちはあれから当ても無く彷徨っていた。僕たち以外の人の手掛かりは残念ながら未だ発見できていない。ここは海に囲まれているようだし、無人島かとも思ったが、そう単純な場所でもないらしい。遠目に宙に浮かぶ金属の巨塔が見えた時は、度肝を抜かれて、また自分の世界にトリップしてしまった。驚くことにあの塔は地面との接合点が無いのだ。まったくどういった原理で建造された物なのか想像が及ばない。そんな超未来の人工物と古代の雰囲気を持つ生物がある島。まるで、映画の世界にでも迷い込んだ感覚だ。そんな不思議な世界が夢でもなければ、何かのアトラクションでもない。調べたい。そんな気持ちが沸々と湧き上がってくる。この島には未知の科学がそこかしこに渦巻いている。裕君と合流できたら、すぐにでも三人で調査に出向きたいほどだ。頭を冷やさなければならない状況だというのは重々理解している。だが、好奇心は留まる事を知らない。それは僕だけじゃなくて、隆君も同じだろう。

 

 

 

 

 

 探せど探せど当てはない。普段から鍛えていて体力のある隆君はまだまだ平気らしいが、僕には炎天下の行脚は身体に堪える。という訳で、今は二人で木陰に腰掛けて休憩している。そんな僕たちの元に突然の来訪者が現れた。その正体は黄色い光を発するホタルに似た昆虫だった。それも数匹ではなく、数十匹、数百匹と数え切れない位の大群だ。昼行性のホタルは光らないイメージがあったが、この群れの個体たちはこの快晴の中でも視認できるほど煌々と輝いている。隆君いわく昼間にここまで光るタイプの種類は聞いたことが無いとのことだ。あの翼竜の件で霞んでいるが、これも大きな発見と言えるかも知れない。二人でそんな事を話していると、虫たちが、僕たちの周囲に集り始めた。とはいえ、こちらに何か危害を加えてくる様子はない。むしろ、ホタルを間近で観察するなど普段なら絶対に出来ないので、有難いまである。そう思ったのも束の間、今度は群れの個体全てが一つの方向に向かって一気に飛び始めた。虫たちの飛翔はきれいな一本の筋の様に見えて昼間ながらとても美しかった。僕たちは少しの間、顔を見合わせた。そして、どうせ何も手掛かりを得られないのなら少しの寄り道程度なら問題ないだろうと考え、僕たち二人は虫たちが描く軌跡を追い掛けた。

 

 

 

 

 

 虫たちが辿り着いた先は、大海原を望む崖の先だった。崖の先端まで飛んだ虫はたち、そこから垂直に急降下し始めた。崖の下に何かあるのだろうか。もしかすると、あの虫の巣がある可能性もある。だが、崖際で動き回るは危険だ。

 

 

 

 

 「取り敢えず、崖際から顔だけ出して下の様子を確認するのはどうだ。危ないし、確認だけしたらすぐに引き上げよう。」

 

 

 

 

 隆君が提案してきた。どうやら、彼も気になるらしい。僕とてこの下に何があるのか気になるのは変わらないので、肯定する。そうして、崖際で腹這いになり、少しだけ頭を突き出して、下に何か無いか探す。すると、すぐに目ぼしい物が見つかった。明らかに人工的な加工が施された石畳の床が崖を支点とした片持ち構造で固定されている。そして、その上には見た事の無い型式のコンピュータ端末とあの虫たちが集まる人影があった。虫の大群の隙間から見覚えのある顔が見えた。

 

 

 

 「やっぱり、そうだ!」

 

 

 

 間違える筈がない。探し求めた親友の姿がそこにあった。

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side 桃園裕太

 

 

 男性にしては高く、女性的、それでいてどこか茶目っ気のある声が崖の上から聞こえた。俺はとうとう幻聴が聴こえる様になってしまったのだろうか。親友の声が聴こえた気がする。こんなところにいる筈が無いのに。それでも声がした方向へ目を向けてしまうのは、どうしようもない人間の性だ。それから、俺の目に飛び込んで来たのは、大学生にしては幼くて女の子っぽい、忘れ様もない大切な親友の顔だった。これは本当に現実なのか?先程から不可思議な事ばかり起こっている。俺は目を擦り、もう一度同じ方角を眺める。今度は見事な筋肉を携えた巨漢が崖際から姿を見せていた。

 

 

 

 

 途端に俺の視界が歪んだ。忘れる訳がない。二度と会えないと思っていた二人の親友の姿が見えた瞬間、俺の頬に熱い筋が伝った。嬉しさが半分、そしてあの二人がこんな碌でもない場所に来てしまったというやるせなさがもう半分。この複雑な思いがより感情を掻き乱し、それに応じて視界の歪みは大きくなり続けていった。




 最近は暑くてモチベーションが…
 皆様はいかがお過ごしでしょうか?個人的にはモンハンnowが始まるまでには少しでも落ち着いて欲しい物です。
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