今回はちょっと長めなのでご注意を!それでは本編始まります!
昼下がり、島の海岸に笛の音が響いていた。
「これが"追従"の笛ニャ。」
オリバーが再び吹くと、先程テイムしたアプトノスは彼の後に続いて歩き出した。オリバーが直進すればアプトノスはその後ろをきれいに付いていき、その場でグルグルと回ると、流石に旋回が難しいのか、一緒に回る事はしなかったが、首を左右に振って常にオリバーを視界に入れていた。今度は諭す様な大らかなリズムの音色が発せられた。すると、今までの動きをすっと止め、今度はその場に立ち尽くして微動だにしなくなった。
「これは"無抵抗"の笛にゃ。落ち着かせたいときやその場に留まって欲しいときなんかに使うといいニャ。ただし、一回命令すると何があっても律儀に従おうとするから注意が必要ニャ。皆さんも同じようにやればきっと言う事を聞いてくれるニャ。」
それから、オリバーによる講義は続いていった。これらの命令以外にも、襲撃を受けた際に反撃行動を取らせる「中立」や、指差した場所へと移動させるものや、有事の際には一目散にその場から逃げるように仕向ける「逃走」などがあった。どの命令にもアプトノスは完璧なまでに従っていた。中々に愛いやつだ。それとも、あの骨製の笛に実は途轍もない効果が隠されていたりするのだろうか?
「気になったんだけど、その命令を出すのってやっぱりその笛が必要だったりするのか?そうだったら今からでも作らないといけないし。」
「ああ、それなら必要ないニャ。ボクは音を出すのに都合が良いから角笛を使ってるだけで、似た音色を出せるなら音源は特に気にする必要は無いニャ。」
なるほど、道具は関係ないという事か。それなら俺たちは各々やり易いような手段を用いれば良いという訳だ。アプトノスが特段賢かったというのが真相らしい。何はともあれ、これから関わっていく上で道具に関係する縛りが緩いのは有難い事だ。少しずつでも慣れていこう。
「そうだ、それなら口笛で代用するのはどうかな?それなら何も作る必要も、持ち歩く必要もないし、いざって時にもすぐ対応できると思うよ。」
秀夫が提案する。確かに、それなら特別な準備は必要無い。それなりに練習すれば、屋外でもそれなりの音量は出せるから運用上差し当っての問題は無いように感じる。ともなれば、物は試しだ。先程教えてもらったメロディーを思い出しながら、口を尖らせる。すると、アプトノスは俺の方へと視線を向けてきた。その眼はまるで、餌を待つ子犬の様にこちら様子を窺うものだった。俺が動くのを待っているのか。何となく察しが付いたので、俺は適当に周辺を歩き回った。アプトノスはオリバーの時と変わらず俺の後ろをしっかりと追って来た。停止の口笛を吹くと本当にその通りに動いてくれた。最初に見た時は身体も大きくて何だか怖かったが、こうして触れ合ってみるととても、従順で愛らしい。ペットを家族と表現する人の気持ちが理解できた気がする。アプトノスは俺の胸に顔を埋めて頬ずりをしている。
「ははっ、ご飯が食べたいのか?ほら、」
俺は摘み取ったメジョベリーをアプトノスの口元へと運んだ。アプトノスは尻尾を振りながら、美味しそうに頬張っている。俺たちはしばしの間じゃれ合っていた。
「ああ、楽しそうなところをすまん。ちょっとオリバーに聞きたいことがあるんだが、いいか?」
隆翔が申し訳なさそうに口を開いた。隆翔はいつになく難しそうな顔をしている。これは何か気になる事がある時、それもかなり重要な事項である時の雰囲気だ。こういう時は大抵、真面目に話した方が身の為になる。俺は名残惜しさを残しながらも、アプトノスから離れた。
「二つあるんだが、一つはその命令の方法はアプトノスにのみ使えるものなのか、それとも別の種類の動物にも効くのかという事だ。それと、もう一つは関連してその方法を発見した経緯について詳しく聞きたいんだ。」
確かに気になると言えば、気になるが、それ程重要な事なのだろうか?隆翔の意図が分からず、頭の中で疑問符が浮かぶ。
「最初の質問だけど、アプトノス以外の子たちもこれで言う事を聞いてくれるニャ。ボクたちの集落では昔からこの音色を使って、家畜をまとめたり、大型モンスターと闘ったりしていたニャ。その経験から察するに拠点にいるキナコちゃんにも恐らく有効だニャ。」
確かにこの島の生き物は皆、賢い。それ故に俺は何度も狩られ続けている節がある。そう考えると、全く違う生物のアプトノスとカモシワラシに同じサインが通じる事の説明になる、のか?駄目だ。こういう分野は全く持ってよく分からない。ここは詳しい隆翔に考えるのは任せよう。
「なるほど、ありがとう。ちなみに、その有効な動物の範囲はどのくらいだった?例えば、鳥には効かないけど、翼竜には効いたとか、例外的な物があれば教えて欲しい。」
「ボクたちもそんなにたくさんの種類の動物をテイムしてた訳じゃないから完全には分からないけど、テイムしてた子たちに限ればみんな例外も過不足もなく言う事を聞いてくれたニャ。それこそ、虫さんから翼竜、アプトノスやガルクみたいな大きな生き物までみんなだニャ。」
「な、なんだと!」
隆翔はいつになくオリバーの口から語られる情報に食いついていた。何やら神妙な面持ちで考え込んでいる。確かに、実際上重要な事項だとは思うが、そこまで考え込む必要があるのだろうか?俺はむしろ、様々な生物を同じ要領で従えられるという点では喜ばしい情報だと思うのだが。
「なあ隆翔、どうしてそんなに考え込んでるんだ?気になることがあるなら教えて欲しい。」
思わず、そう尋ねた。
「ああ、ごめん。順を追って話すよ。まず、一度餌付けしただけの動物が直々人間に懐くのがそもそもおかしいんだ。考えてもみてくれ。アプトノスは人間よりも遥かにデカい。大人しい気質とは言え、その気になれば一蹴りで人間なんてお釈迦だ。人間に餌を恵んでもらわないと生きていけない程、食糧が乏しい環境でもない。むしろ真逆だ。そんな中で、彼らが人間に従うメリットなんてあるか?加えて、何の訓練もしていないのに餌をもらった瞬間に人間の言う事を委細違いなく聞くなんて本来は有り得ない。いくら賢い種と言えど、訓練や調教は大なり小なり必要なはずだ。」
本質的に、アプトノスという種族は人間よりも強い。表面的な大人しさに惑わされてしまっていたが、隆翔の言う通り、彼らからすれば本気を出せば人間なんて一瞬だ。この島の植物の状態を鑑みれば、尚の事人間に媚びを売る必要などないし、共生したところで、悪鬼羅刹の如きモンスターが蔓延るこの島においては然したるメリットも無い。第一、共生するならリモセトスの様にもっと体格が大きくて力のある種とした方が、断然抑止力になる。今の今まで気づかなかったが、言われてみればその通りだ。
それに、どうやらアプトノスが賢いからすぐに命令を聞いてくれていたというのも、説明としては不適切なようだ。ああ、そうだ。警察犬や盲導犬、あと猿回しのサルなどを例に取れば分かり易い。確かに彼らは動物としては賢い部類に入る。だがそれでも、人間が望む働きをしてくれているのは、子供の頃から何年もかけて行われた訓練の賜物に他ならない。決して、彼らはただの一回の餌付けを行うだけで都合良くこちらの指示を聞いてくれることなどまずないということだ。ここまで来て、俺は何となくではあるが隆翔の言いたいことを掴めた。
「次に、虫から、爬虫類、恐らく哺乳類に至るまでの多様な生物が、同じ音を同じ意味で理解しているのもおかしい。そもそも、動物によって可聴周波数帯や捉えられる音階の範囲は違うんだ。だから、こんなにも広い範囲の生物が皆一様に同じ意味の符号として音を捉えているというのは100%有り得ないとまでは言わないが、それでも相当おかしな話なんだ。」
それもそうだ。実際、同じ人間同士でも同じ一つの音の意味の捉え方は、文化や生活習慣などによって、てんでバラバラだ。そう考えると、生物種の垣根を超えて一つの意味を共有するというのは奇跡を通り越して、奇妙という他ない。
「総括すると、テイムされた生物たちの特徴は人間にとって”だけ”あまりにも都合が良すぎるんだ。最早、収斂進化をしたというだけで説明するのは無理がある。これは、あまりにも突飛で何の根拠もない妄想でしかないが、この島の生物は本当は野生の生き物じゃないんじゃないのかと思うんだ。ここに放たれる前に人間から何らかの訓練や調教を受けている、そう仮定するとこの疑問の全てではないが、大半を説明できる。」
隆翔の論を聞いた途端、俺の頭の中に電流が走った。多くの事柄が俺の中で繋がったのだ。あの日「待つ者」が俺にこの島の生物をテイムするよう言った理由。これまでは、そうまでしなければこの島を生き延びることが出来ないという意味でしか捉えていなかった。いや、それも半分正解か。だが、その言葉が真に意味する処。それは、彼女がこの島の生物の特性を知っていたから、一見無謀にも思える手段を強く薦めたのは、可能だという確信があったからに他ならない。思い返せば、彼女はこの島の生物のことを「人間に従順で忠実」と表現していた。そこから考えると、ここは「自然豊かな奇跡の島」ではなく、本当はある程度調教された動物が放し飼いにされている「サファリパーク」だったという仮説が生まれる訳だ。
待てよ、そういえば前にも、この島の生態系に関する似た様な言説を目にした事がある。そうだ!ヘレナ・ウォーカー博士の日記だ。どんな内容だったか。俺は必死に記憶を手繰り寄せる。ああ、思い出したぞ。
「隆翔、それに関してなんだが、前にこの島で活動していた生物学者と思われる人物の日記を拾ったことがあって、そこにお前が言ってるのと似た様な事が書いてあったんだ。内容を要約すると、この島の捕食者は食べられる側の数と比較して倍近くいて、それだと生態系が自然の状態ではそもそも成り立たないっていうこと。あと、本質的に重要かは分からないけど、雪山にティラノサウルスがいたって言う事だ。」
「ありがとう、裕太。参考になった。この情報は今後の探索で重要になるかも知れないし、方針を考える際にも役立つ可能性がある。それと、オリバー、こっちが質問をしたのにも関わらず、そっちのけで話し込んでしまって済まない。今後は気を付けるよ。」
隆翔はオリバーに向かって頭を下げた。
「いえいえ、気にする必要は無いニャ。初めての話題で聞いてて新鮮でしたし。あ、そうそう、二つ目の質問の、どうやって笛の音色の存在を知ったかについてですが、これはボクのいた集落で代々伝わっていた物なので正確な由来とかは分からないニャ。ただ、集落の偉い人の話だと、今から遡る事数千年前、まだこの島に人間がいた頃の時代に、”森のビーストクイーン”と言われた人物が持っていたノウハウがどこからか漏れ出して口伝や書物を通して伝わったらしいニャ。ちなみに、その御仁はとんでもなく強くて一人で島のほとんどの獣を倒せて、しかもその獣たちを従えて軍団を作っていたらしいニャ。まあ、伝承だから本当の話ではないと思うけどニャ。」
あっけらかんとした様子で話すオリバー。俺としては聞きたいことが山ほど出来たが、ここは自重しよう。腹も減って来たしな。
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それから、俺たちは雑談も程々に、遅めの昼食を取った。とは言っても、弁当の様な大層な物ではなく、食料保存庫で作ったジャーキーを立ち食いしただけだ。遠出するのに少し物足りない気もするが、携帯性や保存性、食べやすさなどを考慮した結果のそれなので文句は言えない。
「そうだ、帰りに少し寄り道をしてもいいですニャ?最近は拠点の整備とかもあって、採集に行けてなかったので手持ちの護身用の道具が底を付きかけているニャ。」
「大変だよ!僕たちのことは気にしなくて大丈夫だから。むしろ、僕たちも役に立つ物のありかは知っておきたいから、ご一緒させて欲しい位だよ。」
秀夫が同意を示した。俺たちも異論はない。全くもってその通りだ。むしろ俺たちが連れて行ってくれと頼む側だろう。
みんな一息付けて、椅子代わりにしていた岩場から立ち上がろうとした矢先のことだった。朝から秀夫に面倒を任せていた導蟲が唐突に今いる海岸から森の方向へと飛んで行ったのだ。何かあるのだろうか?幸いにして、導蟲が止まったのは森の入口付近だったので、俺たちはアプトノス共々そこへ向かった。そこには大小さまざまなではあるが、どれも肉食恐竜と同じ形をした足跡の数々があった。
「なあ、早く逃げないと不味いんじゃないか?」
俺は不安のあまり、そう漏らした。
「落ち着くニャ。多分ドスランポス一向ニャ。確かに、まだ足跡は乾燥しきれてないし、泥も水も詰まってないからそこまで時間が経ってないニャ。ただ、痕跡は森の奥に向かって伸びてるからその方向に行かないように注意するニャ。」
オリバーは淡々とした口調で言い放った。俺たちはオリバーの指示に従い、開けた海岸を進んで拠点に戻る事にした。足跡から離れ元の海岸に戻った瞬間の出来事だった。
「ブォーン!ォーン!」
アプトノスが唸り声を上げながら俺たちの周りをグルグルと回り始めた。段々とそのスピードは上がってゆく。その声も何かに怯えたかのように弱々しく掠れてゆく。そのうち、アプトノスの脚は震え出し、ついにはその場に立つことさえ出来なくなってしまった。ただ、弱々しい声を上げ、その場でのた打ち回っている。明らかに異常だ。かつてリオレイアと遭遇した時に居合わせた個体はパニックになりながらも何とか逃げようとはしていた。まさか、リオレイアを超える様な脅威が迫っているとでもいうのだろうか?だが、せっかく手に入れたアプトノスを易々と手放すわけにはいかない。何とかする手立ては無いかと探っていると、オリバーからこういう時は無抵抗の笛を吹き続ければ落ち着く可能性があると言われ、俺たちは四人で吹き続けた。だが、その努力も虚しく、アプトノスには届かなかった。どうする事も出来ずに途方に暮れていると、導蟲が普段の黄緑色から、赤オベリスクの時と同じ青色に染まっていった。その瞬間、辺りは濃い霧に包まれた。クソっ!何が起こっているんだ?時刻は昼過ぎ。霧が出る様な時間帯ではないし、これまでの島の生活でも遭遇したことの無い現象だ。何だか頭がクラクラしてきた。眠いわけではないが、何故か視界が覚束ない。ピントが合わせられないのだ。耳も何故だか何かが詰まった様な感じがして周囲の音がくぐもって聴こえる。世界が一瞬にしてノイズまみれになるという、どうしようもない不快感に襲われる。頭がフワフワする。本格的にヤバい。気が付けば、俺は地面に膝を着き、意識が朦朧とする中、力なく蹲っていた。
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「あれっ?ここは?」
晴れ渡る空の下、俺は気が付けば立ち尽くしていた。何をやってたんだっけか?上手く思い出せない。うぅ、頭が痛い。
「裕君、大丈夫?動ける?」
隣から声が聴こえた。秀夫の声だ。
「ああ、なんとかな。一体何があったんだ?」
「急に霧が立ち込めたと思ったら、甘い変な臭いがして息を止めてたんだ。そしたら、何故か声が出せなくなって、霧が晴れたら戻ったんだけど、裕君はずっと上の空だったから心配で。」
霧?ああ、そうだ。確かアプトノスの様子が急におかしくなって、それを鎮めようとしていたら出て来たんだっけか。その間の記憶が酷くあいまいだ。まるで、狐にでもつままれた様な、神隠しにでもあったかの様ななんとも不思議で不愉快な気分だ。先程はあれだけ暴れていたアプトノスも今では大人しくなっている。本当に何だったんだ?こう、変な事が続いていたら外に留まり続けるのに気は乗らない。早いとこ帰ってしまおう。そう思い、踵を返そうとした、その時であった。導蟲が遥か前方に向かって飛び去って行ったのだ。こんな状況だ。追うべきか悩むが。
「モンスターの可能性が高いニャ。こっちに来るかも知れないから深追いは禁物ニャ。大丈夫、導蟲はしばらく飼い主がついてこなかったら勝手に戻って来てくれるニャ。」
俺はすかさずアプトノスに逃走の笛を吹いた。今一番優先すべきはアプトノスだ。ここでおめおめと失う訳にはいかない。危険が
近付いているというのならすぐにでもこの場を離れるべきだ。
「隆翔、アプトノスの傍についてやっていてくれ!」
「分かった!」
隆翔はアプトノスを追って一足早く走り始めた。それを見届けると、俺たちもすぐにこの場から離れようとした。この際、何が起こっているのかなど関係ない。とにかくみんなの身の安全が第一だ。俺たちは健脚なアプトノスに遅れを取るまいと必死で脚を駆動させる。あまりにもアプトノスが速くて追い付けそうも無かったので、隆翔は途中で追従に命令を変えてくれたようだ。ただ、それでもアプトノスのペースは速い。非常時のペースメーカーとしてはこの上ない働きだ。
走り出してまだ間もない。まだまだ走れそうだ。そう思った矢先、不意に停止の口笛が鳴り響いた。前方ではアプトノスが既に止まっていた。何事かと思い、向こう側を見つめると、俺たちの行く手を阻むようにして三匹の見た事の無いモンスターがこちらを威嚇していた。その正体はトカゲの様な、イグアナ様な見た目をした如何にも肉食という雰囲気を纏った生物だった。体長は、4 [m]より少し大きいぐらいで、体高は1 [m]は軽く超えている。島の生物としては小柄な部類だが、それでもかの有名なコモドドラゴンよりも遥かに大きく、威圧感がある。頭から背中、尻尾にかけては鮮やかな黄色の鱗に覆われており、ドギツイ印象を受ける。それとは裏腹に、首の地面に向かって下側から腹部にかけての皮膚は黒く、身体の上半分とは真逆のバランスだ。恐らく、ランポスと同じ様に森の中ではこれが保護色として機能するのだろう。その目元には三本の黒い線が走っており、厳つさに拍車を掛けている。そんな奴らの中でも一際特徴的なのは、スラリと細く長く伸びた四肢だ。一般的なトカゲの脚は短く、胴体が地面に付くか否かの瀬戸際の体高をしていることが多いが、奴らはの脚は胴体との比率にして犬や猫と同じ程度あり、それに応じて体高も大きくなっている。その所為か、対峙した際の威圧感は大きなトカゲとは比較にならないレベルで強い。
「ジャグラス?おかしいニャ。この辺は奴らの縄張りから外れているはずニャ。チッ、きっとさっきの霧のせいニャ。」
どうやら、奴らは「ジャグラス」という名前らしい。アプトノスは、上体を大きく持ち上げ怒気を孕んだ様な声を上げて、ジャグラスたちに威嚇している。相手は三匹の群れと言えど、対格差があるのは明白だ。ジャグラスたちは後ずさりながらもアプトノスの身を虎視眈々と狙っている。俺たちは、アプトノスを守るために護身用に持ってきていた石の槍を構える。ランポスを殺った時の感触を思い出すに、この鈍らでは大したダメージは期待できないが、何もしないよりは圧倒的にマシだ。しかしながら現状は、お互いに決め手に欠ける状況である。場は膠着状態に陥った。
その均衡を破ったのは、意外や意外、なんと無抵抗を告げる角笛の音色だった。
「ここは、ボクに任せるニャ。」
そう高らかに宣言するなり、オリバーは自身のポーチからコガネムシと石ころをくっ付けて草の蔓で巻いた物体を取り出した。あの虫は、間違いない。あのリオレイアでさえ怯ませる強烈な閃光を放つ昆虫、光蟲だ。
「虎の子、最後の一発ニャ。」
オリバーは光蟲をジャグラスに向けて投擲した。その刹那これから起こる出来事を理解した俺たちは瞬時に目を庇った。それと同時に閃光がさく裂した時特有の弾ける様な耳を付く音が鳴り響く。目を開けると、オリバーの両腕には手甲鉤が装備されていた。
ジャグラスたちは、文字通り目が回っているのか、だらしなく頭を持ち上げ、口をあんぐりと開けてその場で立ち尽くしている。恰好の隙だ。オリバーは、横一列に並んだ三匹の群れの内、真ん中の個体に向かって目にも留まらぬ速さでベアバッグを決めた。爪は見事に件のジャグラスの顔面にクリーンヒットした。ジャグラスは情けない声を上げて怯み、大きく後ずさりした。オリバーはその一瞬の小さな隙すらも見逃さないという勢いで、一気に空中へと飛び上がった。それと同時に、身体を何回転もさせながら、これまた目で追いきれない程の凄まじい速度で両腕を何度も振り回し、ジャグラスに怒涛の連撃を浴びせていた。それらの攻撃はいずれもジャグラスの首元や頭部に集中しており、気付けば一体のジャグラスは絶命していた。
オリバーは、着地したその瞬間には、身体のばねを作り、再び跳び上がってしまった。次に狙うは左側の個体。跳び上がったオリバーはすかさず攻撃態勢に移った。車輪の様に空中で何度も回転し、その度に爪はジャグラスの皮膚を抉る。三度オリバーが地面に着く頃には二匹目の個体も絶命していた。
残るは一匹。だが、最後の個体は既に視界を取り戻したのか、身体を低くして戦う準備が完了している。いち早く動き出したのはジャグラスの方だった。だが、オリバーも負けじとステップでジャグラスの側面に回り込む。それと同時にオリバーは装着していた手甲鉤を地面に投げ捨てた。何をする気かと訝しんだのも束の間、今度はドングリ型のポーチから掌サイズよりは少し大きめの木樽を取り出した。傍から見れば、オリバーは明らかに隙を晒している様に見える。ジャグラスの目にもそう映ったのか、身体を横に大きくひねりながらも、口を大きく開けオリバーに噛み付こうと接近を試みている。対するオリバーはその場から動かない。俺はこのままでは不味いと感じ、反射的に駆け出そうとしていた。だが、オリバーの表情に焦りの色はなかった。むしろ、その顔にはこのシチュエーションには似つかわしくない不敵な笑みが張り付いていた。俺には、それが言外に「加勢は必要ない」と言っている様にも感じられたのだ。無意識の内に俺の身体は引いていた。
この状況でオリバーが取った手は余りにも常識外れの物だった。彼はただ、樽を持つ手を前へと突き出した。リスクの高すぎる行動。だが、彼とて長くこの地獄めいた島を生き延びていた歴戦の生存者の一人、その勘は確かな物だった。その手先の位置は、見事にジャグラスの口が来るであろう場所と一致していたのだ。オリバーの手に握られていた樽はジャグラスの口にすっぽりと収まった。ほんの刹那、ジャグラスは驚きの顔色を見せ、僅かに動きを緩めたのだ。オリバーはそれを見逃さなかった。その一瞬で、樽から手を放し、バク転をしてその場から大きく後退、離脱した。その直後、海岸に爆発音が響き渡る。硝煙が晴れたその場所には、最後のジャグラスの亡骸だけが転がっていた。
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「ありがとう、オリバー。また命の危機を救われたよ。」
「オリバー君にはいつも助けて貰ってばっかりだね。ありがとう。とてもかっこ良かったよ。」
「オリバー一人に任せっきりにしてしまって申し訳ない。俺は初めて見たがすごい戦いだったよ。感謝している。」
俺たち三人は口々にオリバーへの感謝と賛辞の言葉を贈る。オリバーは得意げに胸を張る。
「どういたしましてニャ。リュートさんこそ、咄嗟にアプトノスを停止させたのは良い判断だったニャ。あのまま進んでたらきっと大惨事になってたニャ。」
先程までの殺伐とした空気は鳴りを潜め、一転して和やかな雰囲気がこの場を支配する。
「さあ、こうしてはいられないし、早く戻、」
秀夫が言いかけた時だった。
「ヒデオさん、後ろニャ!」
振り返ると、高速で地面を這いずる巨大な影が間近に迫っていた。オリバーの声が届く頃には秀夫の姿はもうこの場には無かった。代わりにいたのは、スラリと細い体躯のジャグラスとは対照的な重みのある体格と、先程の奴らよりも二回りは大きな体躯を持った巨大なジャグラスだった。ランポスとドスランポスの関係性に則っるならば、「ドスジャグラス」とでも呼称すべきか。ドスジャグラスの腹は空気が詰まった風船の様に大きく膨れ上がり、その表面積の大半が地面に接触している。その影響からか、背中から上の上体は持ち上がっており、頭は人間の背丈よりも高い位置にある。その形相は正しく捕食者そのもの。否応なく俺は理解させられた。秀夫はもういないのだと。それを悟った瞬間、全身から血の気がサッと引いていくのが分かった。ここ最近は物事が上手く進み過ぎていた。だからこそ、忘れてしまっていたのだ。この島は本来、獰猛な物だと、理不尽な物だと。
時間にして僅か、十数秒。10、20、数えきれない程のジャグラスに俺たちは包囲されていた。前に進んでも、後ろに下がっても、等しく獣は存在している。今の俺たちに逃げ場は、無い。奴らの視線は一様にアプトノスの方を向いており、その須らくが獲物を舐めずり回す様な、残忍さと狡猾さを感じさせるものだった。アプトノスは全身をブルブルと震わせながらも、俺たちの一歩前に出て懸命に大地を踏みしめ、掠れる声を振り絞ってジャグラスの群れに威嚇をしている。主人を守ろうとしているのか?それも、自らの恐怖を押し殺してまでも。だが、多勢に無勢。ジャグラスたちが引く様子はない。ついには、ドスジャグラスはアプトノスへと突進する構えを取った。
「くっ、うおぉぉっぉぉぉぉぉおーーー!」
渾身の叫び声が木霊した。声の主は石槍を片手にドスジャグラスに向かって駆け出した。ジャグラスたちの注目は一斉にそちらへ集まった。
「止せっ!隆翔!」
俺の呼びかけは届かず、隆翔は突き進んで行った。隆翔の鍛え上げられた剛腕から放たれた全身全霊の一突きは、ドスジャグラスの柔軟な腹を目掛けて一気に進んだ。だが、その槍が奴の外皮を貫くことは無かった。槍が奴の皮膚に触れた途端、木製の柄はボキリと虚しい音を立て槍先は宙を舞った。ドスジャグラスは刺されるまでの僅かな時間の間に腹を萎ませ、堅牢な鱗に覆われた腹斜部を盾にして身を守ったのだ。ドスジャグラスに睨まれた隆翔は急いで踵を返そうとするが、時すでに遅し。止めに入ろうとしたオリバー共々、群れの全てのジャグラスの攻撃を一手に引き受けることになってしまった。アプトノスや俺を無視して、四方八方からジャグラスたちが二人に目掛けて飛び掛かる。空中に投げ出されたオリバーは地面に打ち付けられながらも何とか脱出に成功していた。しかし、隆翔は間に合わず、うじゃうじゃと動く黄色の絨毯の下敷きとなってしまった。僅かに空いた隙間から赤い液体が垣間見えた。現実を受け入れられず意識が遠のいていく。だが、現実とは残酷な物でそんな最後の逃避すら許してはくれない。漂う鼻を突く異臭は嫌でも俺を現実に連れ戻す。ドスジャグラスは地面に吐瀉物を撒き散らしている。ジャグラスたちはそれに喜んで群がり、貪っている。俺の目には映ってしまった。奴の吐瀉物の中に、人間の手や頭だった物が入っていたのを。
俺はただ、崩れ落ちることしか出来なかった。脳裏に浮かぶのは、三人で過ごした思い出。幼い頃に出会ってから一杯遊んで、勉強して、色んな所に行って、そんな日常はこの島に漂流してからは、戻ってこないかも知れないと何度も考えた。それでも、奇跡が起きて、また三人で一緒にいられる様になって、新しい仲間も増えて、これからだったというのに。
ドスジャグラスと、食事に満足した群れの一部の個体は次なる獲物となりうるアプトノスに対して再び狙いを定めた。俺はただそれを虚ろに見つめていた。逃げなきゃいけないのに、身体は言う事を聞かない。隆翔とオリバーが繋いでくれたこの命、無駄にして良い筈が無いのに。分かっているのに。目の前の惨劇はその気力を完全に奪い去った。奴の頭は刻一刻と俺とアプトノスの元に近づいて来る。俺は目を閉じた。
「グルルルヤー!」
ドスジャグラスの威嚇をする様な、何か嫌がる様な声が不意に聞こえた。俺は再び目を開いた。その瞬間、俺の脚元に二つの物体が投げ込まれた。一つは黄色の粘っこい液体が入った瓶と、もう一つは白?銀?色に輝く煙の入った瓶だった。俺はそれらが飛んで来た方向に目をやった。そこには、ドスジャグラスの背中にしがみ付くオリバーの姿があった。
「ユータさん!これが正真正銘ボクの最後の物資ニャ。ボクはさっきので足をやられてしまってもう満足に走れないニャ。」
そう言いながらオリバーはドスジャグラスの背中のたてがみをナイフでザクザクと刺し続けている。嫌がるドスジャグラスは振り落とそうと身体を強く揺するが、オリバーも負けじとその両腕に力を込めている。
「いいですニャ!とにかくその黄色の薬を飲んで、煙を体に振りかけるニャ!それから、森の中まで走ってジャグラスの群れをおびき寄せるニャ!イチかバチかさっきのドスランポスの痕跡を追えニャ!」
オリバーの意図は読めない。だが、何か考えがあるのは理解できた。そうだ、ここでアプトノスを死守できれば人数が減った現状でも立て直しはまだ出来るかも知れない。二人の無念を晴らすためにも俺はここでやり切らなければならないんだ!俺は黄色の薬が入った瓶を一気飲みし、白の煙を頭から被った。無性に活力が身体中に満ちた感覚がする。
「走るニャ!」
オリバーが叫ぶと同時に俺は全力で走り出した。体が軽い。これならどこまでも走り続けられる気がする。俺がこの独特な臭いのする煙を纏うと、ドスジャグラスの視線の矛先は完全に俺へと向いた。それに伴って群れのジャグラスたちも俺に注目する。それを確認したオリバーは背中から降り、アプトノスの元へ寄った。俺はそんな様子を横目に、森の中へ入った。先程の足跡があった場所まで向かう。そうすると、導蟲は足跡へと群がり、すぐに森の奥へと向かっていった。背後からは、ドスジャグラスの鳴き声が聴こえてくる。追い付かれるのは時間の問題だ。俺は時にゴツゴツとした地面に脚を取られながらも、時に倒木をジャンプして何とか避けながらも、時に、狭い場所へと迂回しながらも、持てる限りの力を振り絞って進み続けた。だが、その健闘も虚しく導蟲が止まると同時に、俺はジャグラスの群れに完全に包囲された。
終わりの時間がすぐそこにまで来ている。ジャグラスたちが飛び掛かろうとする姿勢を取り、もう数瞬後には、俺はミンチになろうとしていた。そんな時、背後から聞き覚えのある獣声が響いたと思うと、俺は押し倒され、地面にうつ伏せに倒れ込んだ。俺は辛うじて動く首を後ろにねじり、その主を確認する。案の定、その元凶はランポスであった。ランポスの足の爪は俺の背中に食い込み、そこから出血しているのが分かる。ランポスは嬉々とした目でその牙を俺に突き立てようとする。だが、その直前、ランポスは不意に俺の正面に広がるジャグラスの群れを視界に入れた。その瞬間、ランポスは俺のことなど放り出して、後ずさりした。獲物に夢中で気付いていなかったのだろうか。ジャグラスたちは射殺さんとするばかりの、鋭い視線をランポスに送っている。俺は背中の痛みを堪え、地面を這いずる。幸いにして、ランポスもジャグラスも俺のことなど既に眼中に無かったらしく、追撃を喰らう事は無かった。俺は近くの茂みに身を隠すことに成功した。
薬の効果が切れたのか、特に酷使した脚に対して途轍もない疲労感が押し寄せた。足が棒になるとはこういうことを指すんだろう。しばらくこの場から動けそうにない。ここは隠れてやり過ごすのが無難だろう。しかし、そんな状況でも茂みの向こうでは事は運び続けていた。ランポスは、ドスジャグラス一行を見るや否や、身を縮めて萎縮したような態度になったのも束の間、「グー、グー、グー」と唸り声を上げた。すると、何処からともなく数十匹のランポスの群れが現れた。形勢逆転とでも言うべきか、今度はジャグラスの群れがランポスの群れに囲まれる事になった。ランポスの包囲の陣形が完成すると、森の奥から群れのリーダーであろうドスランポスが悠々と現れた。ドスランポスはドスジャグラスを一瞥すると、「グォー」と雄叫びを上げた。その次の瞬間には、ランポス達が一斉にドスジャグラスに対して飛び掛かりを行った。対するドスジャグラス腹を膨らませ、大口を開けてランポスの群れ目掛けて突撃する。その効果は覿面でドスジャグラスの進路上にいた2、3匹のランポスは巻き込まれ、丸呑みにされた。それでもランポスは波状攻撃を繰り返し、ついには4匹のランポスがドスジャグラスの背中に着地し、爪を立てたり、噛み付いたりしている。どうやら同じ群れを成す生物同士でも戦い方は大きく異なるようだ。片やランポスはリーダーの絶対的な指示の下統率の取れた軍隊然とした動きで相手に迫っている。片やジャグラスはランポスほどの統率は無く、個々の暴力で対抗する言うなればアウトロー的なスタイルを取っている。この二つに明確な優劣は無いようで、お互いに同じくらいのペースで少しづつ数を減らしている。
複数のランポスに貼り付かれたドスジャグラスは、横に大きく転がって、一回転する事で難なく叩き落した。ドスランポスはそれを見るなり、自ら群れの最前列に出た。それと同時に両者互いに威嚇し合う。先に仕掛けたのはドスランポスだ。ドスジャグラスが腹を膨らまる際の僅かな隙に乗じ、大きく跳躍してその腹に跳びつく。そして、速度に任せて一気にドスジャグラスを押し倒した。それからは、腹に爪を立て、口元の鋭い牙で喉元に噛み付いていた。部下のランポスもドスジャグラスの上に跨って、噛み付いている。だが、流石にやられっ放しとはいかない様で、ドスジャグラスは腹を少し凹ませて力任せに乗る者たちを振り払って起き上がった。その衝撃でドスランポスは大きく吹き飛ばされた。これが好機と言わんばかりにドスジャグラスはドスランポスへ向かって突撃する。ドスランポスが機動力を活かした奇襲攻撃を利用していたのに対して、ドスジャグラスはその大柄な体格を存分に生かした肉弾戦を展開した。一思いに接近し、のた打ち回るドスランポスに対しボディプレスをかました。そこからさらに、ゼロ距離で吐瀉物が発射された。心なしか、ドスランポスの顔が歪んだように見える。これまで静観を決め込んでいたジャグラスたちはドスランポスのピンチを嗅ぎつけるや否や、総攻撃を開始した。だが、ここは流石群れのボス、集団に揉まれながらも、体勢を立て直した。お互い、身体に傷が目立っている。これだけの激しい攻防を繰り広げた代償か、今はどちらも仕掛ける様なことはせず、戦況は睨み合いの膠着状態に陥った。しばらくの間お互いに威嚇し合っていた。だが、それが永遠に続くはずも無く、ランポスの群れは森の奥へと、ジャグラスの群れは森の外の方向へとそれぞれ、引き返していった。結果として見れば、痛み分けと言った所だろうか。
俺は助かったんだ。
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大きな波が去って、否が応でも現実を思い出させられる。得た物に対して払った代価は余りにも大きすぎた。拠点に戻るための道も分からない。俺は何もいなくなった森の中に独人取り残され、さながら亡霊のごとく呆然と歩むことしか出来なかった。
また導蟲が青くなった。思えば、この現象が起こってから良くない事が続いている。正に凶兆だ。俺は心の中で毒づきながらも、行く当てが無いので仕方なく導蟲について行く。導蟲が止まったそこは、何の変哲もない森の中。あるのは、鬱蒼と茂る木と、足元を阻む邪魔な草だけだ。だが、導蟲の青さは今までにないほど鮮やかになった。そこには丈の高い草が生い茂っている。赤オベリスクのカビみたく特異性を感じる物では、決してない。俺は傷が痛むのを堪えながら、草の中に身を屈めその中を確認した。
それはこの自然豊かな森には相応しくない物だった。それは金属製の直方体と言っても差し支えない形状の箱だった。しかも、えらく近未来的なデザインの。左腕のインプラントが光り出す。そして、インプラントをかざすと、箱の上面は両開きの方向にスライドし、その中身が露わになった。そこには青白い粉末が閉じ込められた一本の瓶と、六角形の格子画面と思われる部分に刻まれた珍妙なタブレット端末の様な薄い板だった。
その粉末は温かかった。温度がいい塩梅と言う意味ではない。心理的な温かさだ。何かこう、団欒の時を過ごしているこの様な温かい気持ちにさせてくれる。ただの粉のはずなのに、底知れない魔力がある。これこそが、島を掌握する唯一の手段だ!身体に取り込め!お前も一つになろう!そんな思考が俺の頭に「入ってきた。」
俺は何を考えているんだ!?いくら何でも、その辺で拾った得体の知れない物を口にするのはまずい。いや、そんなことはどうでもいい。有り得ないのは重々承知しているが、俺はこの瓶に話しかけられている様な気がする。恐ろしい。これを見ていると、心を支配されている様な、乗っ取られた様な妙な感じがする。無性に怖くなった俺はこの瓶をそっと箱に戻した。それから、俺はこれ以上この場に居たくなくなって、タブレットの様な板だけを持って足早にこの場を立ち去った。
俺が拾ったこのよく分からない板には、よく見ると人命らしき文字が彫られている。「Yongki 」と書いてあった。
久々に新モンスターの登場ですね。今回登場したのはジャグラスとドスジャグラスです。彼らはMHWが初出のモンスターで同作では最初に戦う大型モンスターとなっています。また、子分だけは現行最新作のRiseにも登場しています。最近だとMHnowにも登場しているので、そっちで一杯かったよっていう狩人の皆さんも多いと思います。
最近はリアルが忙しくて投稿が滞りがちでしたが、大分落ち着いたので、これから年末にかけて投稿頻度を上げていきたいと思います!