ハイスクールD×D 眷属になれない部員の話 作:アルタイル10
その次の日、俺はある少女を外で待っていた。名前はアーシア。兵藤が助けたシスターの少女だ。その子は昨日レイナーレに神器を抜かれ、死んだはずだったが、部長の持っていた
なぜ俺が待っているかというと、一番家が近かった俺に今日だけ預けたからだ。イッセーは納得しなかったが転生したてで、あまり無茶をさせるべきではないと部長に言われてしぶしぶ了承した。俺はそれを拒否したが押し切られるかたちとなった。アーシアが寝床として提供した部屋から出てきた。
「すいません。お待たせしました」
「ああ」
ぶっきらぼうに返事を返す。
このような態度を取ってしまうかというと彼女が元シスターという部分にある。俺は教会関係者が嫌いだからだ。どの教会関係者も昨日あった神父たちと同じようなものと思っている。確かに、儀式で殺されたのはかわいそうだと思う。
だが、それはそれ。結局は俺の教会関係者の嫌いという根本的な部分は変わりない。だが、少し気になることがあるため聞いた。
「アーシアさん」
「は、はい!なんでしょう?」
少し怯え気味なアーシアさん。
「俺が教会嫌いって言うのは昨日のことでわかっているよね。俺は教会関係者は全て殺したい。そう思っていた」
「そうなんですか……へ、いた?」
「俺は君を見ていて、少し違和感を感じたんだ。俺は教会関係者、シスターや神父、悪魔祓いは全部昨日あった奴らみたいなのと思ってた。だが、君は違った。昨日、自分の心配よりも他人の心配をしていたし、力を自分の私利私欲のために使っていなかった。俺はそんな人を教会で会ったことがないんだ」
「……もしかして、桐谷さんは、もともと教会にいたんですか?」
いきなり来る質問に少しばかり殺気がもれる。だが、それをなんとか抑えてアーシアさんに言った。
「そうだよ。己の私利私欲のために他人を平気で殺すような場所だろ?神を信じているとかいいながら、裏では平然と人を殺す、クソッたれな場所に」
「教会はそんな場所じゃありません!教会は毎日祈りを捧げ、困った人がいるなら誰にでも手を差し伸べてくれる、とても良い場所です!」
「でも俺は、そこで何度もひどい目に遭ったんだよ!自分に力があると言われてつれてかれると地獄のような日々!それを逃げようとしたりすると殺される!あそこには恐怖しかなかった!分かるか、その時の俺の気持ちが!」
少し怒気が言葉に乗ってしまった。だが、仕方ないことだ。
「分かりません……。ですが、そんな人は教会にはいません!教会は主を崇め、人々を救う場所です!何かの間違いです!」
「間違いじゃない!俺は、教会関係者に何度も何度も……!」
思い出すだけでいらいらしてくる。さっきもあたりに充満してアーシアは涙目になっている。握っている拳には血が滲んでおり、床にまで垂れている。それを見たアーシアは俺の拳に手をかざして神器、
「あなたが過去にどんなひどいことをされたのかは分かりません。ですが、あなたの知る教会関係者は絶対にいません。そんなことをする人は聖職者として最低です。教会から追放されます」
「追放される?」
アーシアの先ほどの言葉を聞いて頭が少し冷える。
「そうです。そんなひどいことをする人は教会から追放されるはずです。シスターや神父は困った人に手をさしのばてくれる優しい人たちですから。自らの私利私欲のためにそんな汚職をしません。それじゃあ、主に合わせる顔もありません」
「つまり、俺の今まで思っていた教会関係の人たちは?」
「たぶん、教会から追放されたはぐれたちの集まりでしょう。教会にいられなくなり、同じもの同士が集まったんだと思われます」
「……」
そう聞くと俺は今までの神父たちとこの少女の行動を思い出してみた。あまりにも乖離しすぎていて言葉が出ないほどだ。
それにあんな行動をするのは教会関係者ではなく、教会から追放されたものらしい。俺はどうやら根本的なところから教会関係者を間違っていたようだ。
「アーシアさん」
「は、はい」
「申し訳ない。馬鹿だから俺は教会関係者をはぐれとの違いに気付いていなかったみたいだ。だから、そんな奴らが教会にいるとずっと思いこんでいたみたい。アーシアさんに言われて少し変わったよ。君みたいな子があんなところの人間なはずがない。勘違いをして、怒鳴ったり見苦しいところを見せてしまって本当に申し訳ない」
「い、いえ、とんでもないです!私は教会関係者がひどく言われるのがとても腑に落ちなかったので、本当の聖職者を知ってもらうために話しただけですし」
「それでも、俺はアーシアさんのおかげで、少しは楽になったよ。教会関係者を見てまだなれないかもしれないけど、ちょっとずつでも、接し方を変えていくよ」
「はい!それだけでもうれしいです!主も喜んではうぅ」
アーシアは天を見て祈るように手を合わせると顔をしかめていた。これは悪魔に転生したことによって、祈りなどの行動が自分へのダメージになるからだ。
「大丈夫?」
「はう~、大丈夫ですけど、ですが主への感謝をはうぅ」
アーシアは悪魔に向いてないんじゃないかな?こんな信仰の強い子が悪魔になると大変そうだ。
「それじゃあ、早く学校に行きこうか。部長たちを待たせるのも申し訳ない」
「……そうですね。早くイッセーさんにこの格好を見せたいです!」
俺とアーシアは少し急ぎ足で学校に向かった。
☆
学校に着くと部長とイッセーがいちゃいちゃしていた。それを見たアーシアが嫉妬していた。以上。
「朝からお熱いですね」
「何を言ってるのかしらコーキ?こんなの下僕とのスキンシップよ。あなたもしてほしい?」
「いや、遠慮しておきます」
そう言うと部長はくすくす笑う。そしてアーシアを見ると言った。
「アーシア、あなたは悪魔になったことに後悔してる?」
確かに、この子は自分の意思で悪魔になったわけじゃない。だから部長も少しばかり負い目を感じているのだろうか?イッセーは少しばかり緊張している。
「いいえ、そのことについてはリアス部長には感謝しています。どんな形であれ、こうして私は生きていて、イッセーさんと一緒にいられるわけですから。とても幸せです」
朝から思ったけど本当に良い子だな。本当の教会関係者もこんな人ばかりなんだろうな。教会関係者には謝らないとな。イッセーはその言葉を聞いて顔を紅潮させながら涙を流していた。部長もその言葉を聞いて嬉しそうにしている。
「そう、それならいいわ。今日からあなたも下僕悪魔としてイッセーと一緒に走り回ってもらうから」
「はい!頑張ります!」
元気よく返事を返すアーシア。イッセーはとても、嬉しそうにしている。するとようやくアーシアの服装に気付いたのか言った。
「アーシア、それって駒王学園の制服じゃ?」
「はい!似合いますか……?」
アーシアはイッセーに恥ずかしそうに聞くと親指を立てて言った。
「最高だ!後で俺と写メをとろう!」
「え、は、はい」
アーシアは少し戸惑っているがとても嬉しそうだ。
「アーシアにもこの学園へ通ってもらうことになったのよ。あなたたちと同い年みたいだから二年生ね。クラスも同じにしたわ。転校初日ということになってるから、イッセーとコーキ、アーシアに何かあったらフォローをお願いね」
「よろしくお願いします。イッセーさん。桐谷さん」
「こちらこそよろしく。桐谷じゃなくてコーキで良いよ、アーシアさん」
「分かりました、コーキさん」
そう言うと、イッセーが睨んでくる。
「おい、そういえば昨日アーシアをお前の家に止めたけど変なことをしなかっただろうな?」
「何もしてないよ。イッセー」
そう言うとほっと息をつき、今度は笑って言った。
「昨日言ってなかったけど、ありがとな。アーシアを助けるために一緒に来てくれて」
「別にいいよ、そんなこと。同じ部の仲間だろ?」
そう言うとこちらも笑う。
「おう!これからもよろしくな、コーキ」
「こちらこそよろしく、イッセー」
どうやら、イッセーも俺を認めてくれたらしい。扉が開くと姫島さんと塔城さん、祐斗がはいってきた。
「おはようございます、部長、イッセー君、コーキ君、アーシアさん」
「……おはようございます。部長、イッセー先輩、コーキ先輩、アーシア先輩」
「ごきげんよう、部長、イッセー君、コーキ君、アーシアちゃん」
それぞれがもう兵藤ではなくイッセーとよび、アーシアを一員と認めている。それを感じたのかアーシアとイッセーは嬉しそうだ。そして、部長が立ち上がると言った
「さて、全員揃ったところでささやかなパーティを始めましょうか」
部長が指を鳴らすとテーブルの上に大きなケーキが出現した。それを見て俺は部長に許可をもらって置かせてもらった冷蔵庫の中からジュースを何本か持って来て机の上におく。
「た、たまには皆集まって朝からこういうのも良いでしょ?あ、新しい部員も出来たことだしケーキを作ってみたからみんなで食べましょう」
恥ずかしがりながら部長は言った。パーティーはとても楽しいものだった。イッセーが俺と祐斗の分を切り分けたかと思うと、細い一切れを渡してきが、イッセー自身が少し大きく切ったケーキを落としてしまうという因果応報な出来事もあった。一番驚いたのは、塔城さんが俺に言ってきたことだ。
「コーキ先輩、昨日のことで話しがあるんですが?」
ん?昨日、もしかして、頭に血が上ってきたことのことか。なるべく過去を聞かないでって言ってるんだけど。と思ったが、昨日の呼び捨ての件らしい。
「ああ、あのときか。呼び捨てされたのが嫌だったら謝るよ。ごめん」
「いえ、そのことではないです」
「えっ?」
「私や朱乃先輩だけ苗字にさんづけしています。信用できないんですか?」
「いや、信用してるよ」
「なら、下の名前で呼んでくれても良いんじゃありませんか?」
いつの間にか姫島さんもこちらに来ていた。
「みんなと同じように接してください。コーキ先輩」
「そうですわよ、コーキ君。もうお互い信用してるなら下の名前で呼んでください」
二人がそういうので二人の名前を呼んだ。
「小猫さん。朱乃さん。これからはそう呼びます」
そう言うと満足そうに二人は頷いた。こんなことも会ったが最後はイッセーのモノマネ、ドラゴン破でパーティは締められた。