ハイスクールD×D 眷属になれない部員の話   作:アルタイル10

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戦闘校舎のフェニックス
平穏と魔力量


 アーシアさんが学園に通うようになってから数日が過ぎ、滞在先の家庭もイッセーの家へと決まった。あの出来事からはとても平和な日が続いている。

 

「アーシアさん、イッセー、おはよう」

「おう、コーキ。はよーっす」

「コーキさん、おはようございます」

 

 ちょうど学校の行き道でアーシアさんとイッセーと合流したので挨拶をする。二人とも挨拶を返してくれて一緒に登校している。しかし、アーシアさんとイッセーが一緒に登校しているとどうも、変な小言が多い気がする。

 

「なんでエロ猿で有名な兵藤とアルジェントさんが一緒に登校を……」

「バカな……ありえない……」

「嘘よ、リアスお姉さまだけじゃなくて、アーシアさんまで毒牙に……」

「兵藤×木場じゃなくて、兵藤×まじめ君!新しい境地が見えるわ!」

 

 最後の人は何を言っているか全く分からない。というか、俺の名前ぐらいしっかりといってほしいと思う。まあ、それは置いといて、イッセーは辺りからの憎悪の視線を受けてふふふ、とにやけていた。憎悪の視線を受けて笑うとは、イッセーは何が嬉しいんだろうか?アーシアさんも心配そうだ。そんな中を俺らは歩いて学校に到着すると教室に向かう。

 

「アーシアちゃーん!おはよー!」

「おはよう、アーシアさん。今日もブロンドがキラキラと輝いているね」

 

 教室に着くなり、残りの変態組がアーシアさんに挨拶を返す。アーシアさんもにっこりと二人に挨拶を返す。二人は涙を流して喜んだ後、松田はイッセーにボディーブローを食らわせていた。俺はそそくさと離れていつもどおりの教室の風景を眺める。イッセーはいつものメンバーでまた馬鹿やっている。本当に朝からよくやるな、あの三人。

 

 今日も学校はとても平和だ。

 

 

 

 

 その日の夜、俺は部活に顔を出していた。眠気覚ましの缶コーヒーで喉を潤しながら、買ってきたお菓子を食べていた。食べているお菓子はシュークリーム。隣町でちょっと最近話題になっていたので部のみんなの分買ってきている。俺だってその辺の気配りぐらいは出来る。自分の分のシュークリームを頬張る。さくさくなシューに舌の上でとろけるような甘みのカスタードクリーム。やはり、シュークリームの生地はさくさくに限る。

 

 隣に座る小猫さんも無表情だがとても嬉しそうだ。夢中になってシュークリームを食べている。そして食べ終わると少し物足りなさそうにしていたので余分に買っていたのを渡す。

 

「まだ食べる?」

「……ありがとうございます」

 

 そう言って小猫さんはまたシュークリームを食べるのに夢中になる。俺は缶コーヒーを飲み干して机の上に空の缶を置く。

 

 その時、ちょうどイッセーとアーシアさんが戻ってきた。

 

「ただいま戻りました!」

「あらあら、お疲れ様。今お茶を淹れますわ。それと、コーキ君が美味しいシュークリームを買ってきてくれたのでそれとご一緒にどうぞ」

 

 朱乃さんがそう言うとアーシアさんがとても嬉しそうにしていた。やはり、女の子は甘いものがとても好きなのだろう。アーシアさんは礼を言ってきたので手を振り、答える。

 

「やあ、イッセー君、夜のデートはどうだった?」

 

 祐斗がイッセーにそう聞いていた。イッセーはそれに親指をグッと立てて答えた。

 

「最高に決まってんだろ!」

「……深夜の不順異性交遊」

 

 隣にいる小猫さんはイッセーに向けてそう言った。まあ確かにそういう感じだけどそこら辺は許してあげようよ。アーシアさんも嬉しそうなんだし。

 

 そして、イッセーは部長に、今日のことを報告するために俺の斜め前にいる部長のほうに足を向けて報告する。

 

「部長ただいま戻りました」

 

 しかし、部長の返事はない。部長はどこか上の空でイッセーの言葉が聞こえないくらい悩んでいるみたいだ。深い溜め息を吐いているし。というか、少しおかしい。いつもなら、一番最初にイッセーとアーシアさんが帰ってきたら労いの言葉をかけるはずだが、今回はかけていない。というか、最近部長は悩んでいることが多い。力にはなりたいが、部長から離してくれるのを待つしかない。

 

 反応のない部長に少し大きな声で部長に言う。

 

「部長、ただいま帰還しました!」

 

 その言葉にようやく部長ははっと我に帰った様子。

 

「ご、ごめんなさい。少しボーッとしていたわ。ご苦労様、イッセー、アーシア」

 

 部長はそう二人を労うとあたりを部員全員いることを確認して言った。

 

「さて、今夜からアーシアにもデビューしてもらいましょうか」

 

 デビュー、つまり悪魔としての契約を出来るようになったということだろう。アーシアさんは分からないようだったのでイッセーが説明していた。このあたりは俺はさっぱり分からないので説明も出来ない。

 

 部長はアーシアさんとイッセーを少し弄ると、アーシアさんを呼んで手になにやら書いていた。確かあれはグレモリーの魔方陣だった気がする。朱乃さんが出している魔法陣がそれと同じなのでたぶんそうだろう。

 

「よし、朱乃、アーシアが魔方陣を通れるだけの魔力があるか、調べてみて。ついでに、コーキの分も」

「はい、部長。さ、コーキ君もこちらにいらして下さい」

 

 そう言われたので、朱乃さんの所にアーシアさんと一緒に行く。まずはアーシアさんの額に手を当てて、指先から淡い光が出て何かを調べていた。

 

「イッセーの前例があるから、ちょっと調べないとね。さすがにイッセーみたいな魔力の少ないのはないと思うけれど」

 

 イッセーって魔力が少ないのか。通りで、力は感じるけど魔力の反応があまりないと思った。そして朱乃さんはアーシアさんの額から手を離して部長に報告した。

 

「部長。大丈夫ですわ。問題ありません。それどころか、眷属悪魔としては部長と私に次ぐ魔力の持ち主かもしれません。魔力のキャパシティが豊富ですわ」

「それは吉報だわ。『僧侶』としての器を存分に活かせるわね。それで次はコーキよ」

 

 そう言って俺は朱乃さんに向けて手を出す。別に魔力を測るのはどこでも良い。朱乃さんは俺の手に触れて魔力を調べている。するとしばらくして驚きの表情を浮かべていた。

 

「すごいですわ……。こんな魔力の多さ見たことありません……。部長や私をはるかに超えた量。もしかしたら、魔王様クラスかも、いえ、それ以上かもしれません」

 

 朱乃さんの言葉に全員驚いていた。魔王様、その単語は何回か聞いたことはあるがどんな人物かは分からないが魔界を統べるものということは把握している。その魔王様と同じ位の魔力を持っていたとは自分でも驚きだ。師匠(ばあちゃん)は、ただあんたは人より魔力が多いだけ、と言われていなかったからそこまで気にしていなかったがそんなにあったとは。

 

「すごいですコーキさん!」

「ええ、とても良い才能を持っています」

 

 俺の魔力量を聞いてアーシアさんは自分のことのように喜んでくれ、朱乃さんは少しうらやましそうに見ていたが褒めてくれた。部長は何も言わなかったが、満足そうに頷いていた。そして、アーシアさんに転移の説明をした後、急にイッセーが涙を流し始める。それを怪訝そうな表情でイッセーの顔を部長が覗き込んだ。

 

「イッセー、何でないているのかしら?」

「部長、駄目です、こんなの絶対駄目です!」

 

 首を横に激しく振りながらイッセーは言った。何が駄目なのだろうか?

 

「部長!アーシア、一人じゃ不安です!アーシアが!アーシアが変な奴らに変な要求されたら俺、我慢できません!」

 

 そういいながら部長に詰め寄るイッセー。これには部長もさすがに困惑していた。

 

「イッセー、呼び出した悪魔に対して過度のいやらしい依頼は私たちのところには来ないようになってるの。そういうのを望んでいる人間はその手の専門の悪魔が依頼を引き受けてくれるわ。私のところは安心なのよ?悪魔にだってちゃんと専門職があるんだから」

「部長、本当ですか?本当なんですね?」

「そんなにアーシアさんが心配なら、イッセーがついていけば良いんじゃないかな?別にイッセーに魔力がなくたってアーシアさんが少し多く消費すれば転移も問題なく出来るんじゃないでしょうか?」

 

 部長にそういう。イッセーは少し過保護な気がする。だが、もしもアーシアさんが一人で行くと言ったらアーシアがさん契約に行っている間イッセーが落ち着かないだろう。それを理解しているのか部長もすんなりOKしてくれた。

 

「あ、ありがとうございます部長!」

「礼ならコーキに言いなさい」

「ありがとよ、コーキ!アーシア、変態相手は俺に任せてくれ!アーシアは普通に何事もなく契約を取ってくれれば良いからな!」

「わ、わかりました!」

 

 少し緊張気味なアーシアさんの手を取り入った。そして朱乃さんがアーシアさんにちょうど良い依頼が来ていると紹介して、アーシアさんはそれを受けた。

 

「行くぞ、アーシア!」

「はい、イッセーさん!」

 

 そしてイッセーたちが魔方陣をから消えるのを確認すると俺は今日は帰らせていただくことにした。人間の俺にとっては今の時間帯はどちらかというと活動時間ではないのだ。部長たちにそのことを伝えると、俺は家路に着いた。

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