ハイスクールD×D 眷属になれない部員の話 作:アルタイル10
特に学校でも何も無い。平和が一番だ。しかし、なぜ俺の担任は俺にばかり仕事を押し付けるのだろうか?そろそろ、誰か別の人に頼んだって良いじゃないか。そう思いながらも結局は仕事をしてしまう俺も俺なのだが。頼まれたプリントの束の整理を終えて部室へと向かう。
旧校舎について中に入る。結界が張られているため、あまり内部の魔力を知ることが出来ないはずなのだが今日の旧校舎の内部は普段感じない強力な魔力が混濁している。普段いない人がいる証拠だ。部長たちも迎撃というより、何のアクションを起こしていないと言うことは客人だと思う。
そんなことを思いながら部室のあるところまで行き、扉を開けて中に入った。中には銀髪のメイドさんと金髪のスーツをして着崩している男性がいる。男性は部長の横に座って方に手を置いていた。誰なのだろうか?そんなことを思っていると男が手をこちらに向けたかと思うとその手から炎が放たれる。だが、一目見ただけでその炎がただの炎じゃないことぐらい分かった。指に魔力を込めて流動のルーンを宙に描くと、目の前にルーンが光ってそれを防いだ。
今回流動のルーンに込めた意味は、浄化。炎を流れる魔力から分析して普通の水じゃ消せないことが分かったので浄化という形で消すことにした。しかし、出した量が多いため少し時間がかかる。自分の周りに炎がまとわりついて、燃えている。
「何をしているの、ライザー!」
「何って、人間がこの空間に入ってきたから燃やしただけだが?ここには悪魔以外立ち入り禁止だったはずだろ?」
「彼は私の仲間よ!」
「眷属でもないものを入れるのはよくないな、リアス」
「そんなの私のかってよ!」
部長はたぶんライザーと呼ばれる金髪の男に怒鳴っているのだろう。というより、イッセーや祐斗、小猫さん、アーシアさんや朱乃さんは俺の名前を叫んでいた。それに応答するように言った。
「大丈夫ですよ」
そう言ってようやく浄化を終えた、炎を払って姿を現した。
「貴様、フェニックスの業火に焼かれて燃え尽きるはずなのになぜ生きている?」
「決まってるじゃないですか。あなたの魔力を浄化してただの炎に変えたんですよ。というか、いきなりあんなものを人に向けてやるなんて少しばかり、度がすぎるんじゃないですか?」
「知ったことか。それより貴様、浄化などと忌々しい言葉を言いやがって。今度は本気で消し炭にするぞ」
そう言って立ち上がり、手から炎をだす。しかし、それを見た銀髪のメイドさんが言った。
「ライザー様、落ち着いてください。彼はお嬢様が認めたものなのでここに来ているのでで一応お嬢様の客人となります。これ以上の危害を加えようとするなれば私もそれなりの対応をしなければなりません」
まさかの銀髪のメイドさんが助けてくれた。それを聞いたライザーという奴は顔を青くして炎をしまうと席に腰を降ろした。そして再びえらそうに座った。
今の現状を理解していない俺は、部長にではなく、祐斗に現状を聞いた。
祐斗曰く、あのライザーという男は、フェニックスという上級悪魔で部長の婚約相手らしい。しかし、部長は自分の認めた男性としか結婚しないといい、ライザーの婚約の件を拒否しているとのことだ。
まあ、いくらイケメンだろうと馴れ馴れしいのとは結婚するなんて嫌だろう。そこら辺は、部長の気持ちを察してほしい。とそんなことを聞いている間に部長とライザーの間には険悪な雰囲気が漂っている。そこに仲裁を入ろうとおもったが、俺が言ったところで逆効果だろう。と、先ほどと同じように銀髪のメイドさんが仲裁に入った。
「お嬢様、ライザー様。落ち着いてください。これ以上やるのでしたら私も黙ってみているわけにもいかなくなります。私はサーゼクス様の名誉のために遠慮などしないつもりです」
迫力のある言葉で二人とも口を閉ざしてしまった。そして互いに臨戦状態を解いた。
「こうなることは、旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の方々も重々承知でした。正直申し上げますと、これが最後の話し合いの場だったのです。これでも決着がつかない場合のことを皆様方は予測し、最終手段を取り入れることにしました」
「最終手段?どういうこと、グレイフィア」
「お嬢様、ご自分の意思を押し通すのでしたら、ライザーさまと『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか?」
レーティングゲーム。確か、チェスの真似事で駒(転生悪魔などの眷属)たちとともに相手の王を先に倒したほうが勝ちとか言う、あのボスがチームデスマッチだった気がする。そこら辺は知らない。というか、話されてない。聞かないでも良いと思ったからだ。
「お嬢様もご存知の通り、公式な『レーティングゲーム』は成熟した悪魔しか参加できません。しかし、非公式の純潔悪魔同士のゲームならば半人前の悪魔でも参加できます。この場合、多くが」
「身内同士、それか御家同士のいがみ合いよね」
銀髪のメイド、グレイフィアさんの言葉を遮って部長は言った。そして挑発に乗るかのごとく、部長はライザーとレーティングゲームをすることとなった。
「ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる」
「いいだろう。そちらが勝てば好きにすればいい。俺が勝てばリアスは俺と即結婚してもらう」
「承知いたしました。お二人のご意思は私グレイフィアが確認させていただきました。ご両家の立会人として、私がこのゲームの式を取らせてもらいます。よろしいですね」
「ええ」
「ああ」
「分かりました。ご両家の皆様には私からお伝えします」
両者はにらみ合う。その間には火花でも飛んでいそうなほど、強い眼光をぶつけ合っていた。横ではイッセーが当惑していた。どうせ、レーティングゲームのことだろう。そして、ライザーは部長から一度視線を外して、あたり、というかこちらに向けると嘲笑を浮かべる。
「なあ、リアス。まさか、あの人間以外の面子が君の下僕なのか?」
「だとしたらどうなの?」
言い方が悪かったのか、部長が少し癪に障ったようで若干イラついている。
「これじゃあ、話しにならないんじゃないか?君の『女王』である『雷の巫女』具体しか俺の可愛い下僕に対抗できそうにないな」
そう言ってライザーは指をぱちんと鳴らすと、魔方陣が出現する。見たことない魔方陣だ。部長の家のものとは違うものだ。魔方陣からどんどん人が出てくる。出てきたのは十五人だ。そして全員揃うとライザーは宣言する。
「これが俺の可愛い下僕たちだ」
魔術師らしき者に騎士らしき者、獣人らしき者もいる。しかも全員女の子。これを見てイッセーは涙を流している。それを見たライザーは部長に引いてる表情を浮かべながら聞いた。
「お、おい、リアス……。この下僕くん、俺を見て大号泣してるんだが」
「その子の夢がハーレムなの。きっと、ライザーの下僕悪魔を見て感動してるんだと思うわ」
そう言うとイッセーはうんうんと頷いている。それを見たライザーの眷属の女の子は心底気持悪そうに言った。
「きもーい」
「ライザー様ー、この人、気持ち悪ーい」
そこまで言ってやるな、イッセーはいつも言われてると言っても、さすがにそこまで言われると可哀想だろ。それを見たライザーはにやりとして、さっき、きもいとイッセーに言った女の子にディープなキスを始めた。さすがのこれには部長も呆れている。
官能的な喘ぎ声が部室内に響き。イッセーは前かがみの姿勢になっている。アーシアさんはその光景を見て赤面して、頭から煙が出てるみたいだった。
ライザーは唇を離すともう一人にもキスを始める。二回戦なんて始めやがった。そして、ライザーは二回戦を終了すると嘲笑を浮かべながらイッセーに言った。
「お前じゃこんなこと一生できまい。下級悪魔君」
「俺が思ってることを言うんじゃねぇー!ちくしょう!ブーステッド・ギア!」
そう叫んで左腕に、赤龍帝の篭手を発現させる。そしてライザーに指を指して叫んだ・
「お前見たいな女ったらしと部長は不釣合いだ!」
「は?お前はその女ったらしに憧れてるんだろ?」
全くもっての正論だ。だが、それでもイッセーは言い返す。
「うるせぇ!それと部長のことは別だ!そんな調子じゃ、部長と結婚した後も他の女の子といちゃいちゃしまくるんだろ!」
「英雄、色を好む。確か、人間界の諺だったな?良い言葉だ。まあ、これは俺と下僕のスキンシップ。お前だってリアスに可愛がってもらってるだろ?」
そう言われてもイッセーは怯まずに言い返した。
「何が英雄だ!お前なんか、ただの種まき鳥野郎じゃねえか!火の鳥フェニックス?ははは!まさに焼き鳥だぜ!」
その言葉にライザーの表情が変化する。
「調子こいてるんじゃねぇェェ!上級悪魔に対する態度がなってねぇぞ!リアス、下僕の教育はどうなってんだ!」
部長は知るかと言った風にそっぽを向くだけ。そしてイッセーは
「焼き鳥野郎!テメェなんて俺のブーステッド・ギアでぶっ倒してやる!ゲームなんて必要ねぇ!ここで全員倒してやるよ!」
『Boost!!』
イッセーの篭手から機械的な音声が発せられる。それと同時にライザーに向かって、突っ込んだ。
ライザーは先ほどの怒りの表情は今度は呆れた表情になる。
「ミラ。やれ」
「はい、ライザー様」
そういわれて出てきたのは小柄な女の子。その子はどこからか棍を取り出すとイッセーに突きを入れて吹っ飛ばした。
「イッセーさん!」
イッセーは何をやられたか気付いていないようだ。アーシアさんはイッセーに近づいて、聖母の微笑で治療を受ける。アーシアさんに治療されているイッセーを見たライザーは言い放つ。
「弱いな、おまえ。さっき戦ったのは俺の『兵士』のミラだ。俺の下僕ではまだ弱いが、少なくともお前よりは実戦経験も悪魔としての質も上だ。ブーステッド・ギア?はっ。確かにそいつは凶悪でやり方次第で、神や魔王様すら屠れる最強の神器だ。過去にも使い手は数える程度存在したが、今までに神や魔王様を消滅させたことなんてない。この意味がわかるか?その神器は不完全であり、使い手も使いこなせない意味のない神器なんだよ!」
そう言われてイッセーは悔しそうに奥歯をかんでいた。
「部長。この戦い俺も参加して言いですか?」
「コーキ?」
その言葉に今まで黙っていた部長が反応する。
「部員、まだあって間もない人にここまで侮辱されるとさすが俺は耐え切れませんよ。俺はそこまで出来た人間じゃないんで、そろそろ、飛び掛ってもおかしくないです」
「……」
部長は考えている。しかし、帰ってきた答えは俺にとっては最悪なものだった。
「いいえ、駄目よコーキ。これは私と眷属の問題。あなたは部員で、人間なの。私のために言ってくれてるのはとてもありがたいわ。でも、あなたにもしものことがあったらそれこそ元もこうもないわ。今回は本当にごめんなさい。気持ちだけで十分よ」
「ですが!」
「そうだ、人間。これは上級悪魔の問題だ。部外者は入ってくるな」
ライザーもそう言ってくる。俺もイッセー同様奥歯を噛み締める。俺は何も出来ないのかよ、人間だからって、部外者だからって。俺だって仲間なんだ。そして、ライザーは十日後にレーティングゲームをすると決めて、魔方陣を出し、その中に十五人の眷属とともに消えて行った。