ハイスクールD×D 眷属になれない部員の話   作:アルタイル10

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修行と課題

 その次の日、俺は目を覚まし、シャワーを浴びて、身だしなみを整えていると、リビングから物音が聞こえてきた。そちらに行くとジャージ姿の祐斗がいた。こんな朝早くからどうしたんだろう?

 

「コーキ君、今からすぐに宿泊する準備をしてくれるかな?」

「何で?」

 

 全く意図が読めない。祐斗に聞き返すといつものスマイルで答えてくれた。

 

「今から山にこもって修行するよ。それと部長からの伝言で、あなたにはレーティングゲームには出せないけど、私たちをサポートしてくれってさ」

 

 その言葉を聞き、俺は少し気持ちが晴れた気がした。

 

 

 

「ぜーはー、ぜーはー」

「イッセー、大丈夫か?」

 

 荷物を持つイッセーは息を切らしてきつそうにしている。

 

「な、なんで、お前は無事なんだよ……。これが荷物の差なのか?」

「何言ってるんだ?こんなのチョモランマに比べたら軽いものだろ?」

「チョモランマって……まさか」

「標高八千メートル以上ある山。旅の時、中国に入るときそこを越えて行ったんだ」

 

 それを聞いて絶句していた。

 

「ほら、イッセー。コーキ。早くなさい」

 

 遥か前方を歩く部長からの檄が飛んでくる。部長の横にいるアーシアさんはイッセーを心配そうに見ていた。

 

「あの私も手伝いますから」

「いいのよ、イッセーはあれくらいしないと強くなれないわ」

 

 二人は会話が耳に届く。まあ、確かにこれぐらいしなければ、ライザーの眷族の足元にも及ばないだろう。とそんなことをしている間にイッセーと同じくらいの荷物を持った祐斗が通り過ぎていく。顔も俺と同様、涼しい顔で難なく歩いていた。その腕にはたくさんの山菜が摘まれている。

 

「……お先に」

 

 今度はイッセーや祐斗以上の荷物を担いだ小猫さんが通り過ぎた。その瞬間、負けてえられるかと言って、イッセーは山を駆け上って行った。それを見送ると俺も再び歩き始めた。

 

 

 

 

 別荘に着くと、倒れこんだイッセーがいた。女性陣は動きやすい格好に着替えるために二階に行ったそうだ。俺は自分の荷物を置くとジャージを一回脱いだ。鉛が大量に吊り下げられており、それを外すと体を動かす。特に問題もなく動く。それを見ていたイッセーが聞いてきた。

 

「まさか、それ体に吊るしてたのか?」

「そうだけど?」

「あんまり聞きたくないけど……何キロ?」

「七十」

 

 そう聞くと、イッセーは声を上げられないのか開いた口が塞がっていない。そして汗を拭くと、鉛にも付いていた汗を拭いた。それを終えると木場も自分のジャージを取り出していて、浴室に向かっていた。

 

「じゃあ、僕も着替えてくるから。覗かないでね」

「マジで殴るぞ!この野郎!」

 

 イッセーは殺意の籠もった視線で祐斗を睨んだ。俺は別に気にせずに新しいジャージに着替えた。そして、祐斗も浴室から出て来るのと同時に、上から女性陣も降りてきた。

 

「さて修行を始めるわよ」

 

その合図で各自の内容を伝えると分かれた。

 

 

 

 

 まず俺は小猫さんと組むことになった。

 

「よろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 礼をして、ある程度はなれたところで構えを取る。ついでに俺は構えをとっておらずごく自然体の立ち姿だ。それを見た小猫さんは少し怪訝そうな表情を浮かべたがすぐに戦闘体勢であると理解して突っ込んで来る。

 

 初めに牽制のような蹴りではなく、一撃で倒すような蹴り。かわさずに前に出て、一番蹴りの威力のない太ももの部分に足を当てる。そしてそのまま蹴っている足を掴み、バランスを崩して倒す。しかし、それを小猫さんはバク転の要領で地面に手を着いて一回転する。すぐに手を離してある程度距離を取る。そしてバク転を終えていない小猫さんに接近する。そしてそのままエルボーを顔面に向けて殴りかかる。だが、それを交わされ逆に殴りかかる。それも、腕が伸びきる前に払い、蹴りを入れる。しかし、それを無視してそのまま俺の足を掴んで投げ飛ばした。

 

「おぉ!?」

 

 後ろに木があったので、当たる一メートル位手前で半回転して足をつける。そして小猫さんを見るとすでに目の前まで迫っており、拳を打ち込んできていた。しかし、それを分かっていたので地面に手をつけて、掴むとそのまま地面に自分の体を地面に無理やり引き付けて避ける。その上から小猫さんが足をそのまま踏みつけるように下ろしてきたのでそれを交わして足を払い倒す。それと同時に背中を蹴り上げる。それを上手い具合に避けられるが、それは予想済み。本命はもう片方の足で。避けた先でガードのために構えた腕を思い切り蹴る直前で動きを止めて、殴る。小猫さんはそれを当たる前によけて距離をとった。

 

「フェイントにかかった後の行動が少し遅いよ。相手もこのぐらいしてくるかわからないけど、これぐらいはがんばって見切ってくれ」

「はい」

 

 数分して、休憩時間になったため打ち合いをやめる。あの後は何度か良い一撃を何度も撃ってきたが当たってはない。

 

「どういう感じだった?」

「正直、コーキ先輩の動きは少し独特でした。攻撃のインパクトをずらされて私の一撃の威力を最大限に減らされていいものが入りませんでした」

「うん、そうだね。小猫さんは一撃一撃は本当に良いんだけど、フェイントって言うものが少ないんだ。そして、その撃ち込んでくるフェイントと本当に当てる一撃の攻撃が判断しやすいんだ。それさえ治せば今はいいと思う。無駄に多くのことを取り組もうとすると逆に悪くなったりする部分が多くなるからゆっくりと着実に行こうか」

「はい」

「じゃあ、もう何セットやろうか」

「お願いします」

 

 そして、俺は小猫さんのトレーニングで一つ一つ駄目なところを報告して動きをよくしていった。

 

 

 

 次は祐斗とともに剣の打ち合いだ。祐斗はスピードを主とした剣で、騎士であるため更にその剣撃が上がっている。しかし、剣は速度だけがものを言うわけではない。俺は祐斗の剣を弾いて応戦する。高速の一撃だが速度に慣れれば対応できる。そして次の上段斬りの一撃に合わせて木刀の根元に突きを放つ。その一撃で木刀は折れて、木刀を引いて祐斗の首に突き立てる。

 

「剣術に関しては問題ないんだけど、なんていうんだろ、祐斗の剣術はもう流派?っていうのかな?それがもう完全に固定されてるからもうあまり崩せないんだよね。逆に崩しちゃうと隙が生まれやすくなる。だけど、スピードがあっても重みが少しないから重みを加えたほうがいいと思うんだ」

「それは参考になる意見だね。君が思うにどうやればいいと思う?」

「俺的には、この木刀より重いものを使うと良いと思う。少しでも重い剣を使ったほうが剣撃のスピードも上がるし、剣に重みが乗ると俺は考えてる」

「なるほど」

「でも、重すぎた剣は駄目だね。重すぎると逆に今までの自分にあっている型が崩れる可能性があるから、せめて今までの木刀の1,5倍辺りからがちょうど良いかな」

「分かった。一回それで打ち合いをしてみよう」

 

 ということで、木刀の中に鉛を入れて再戦をすることにした。祐斗はまだ慣れていないため、少し安定しない。ほんの数分しただけで、腕に力があまり入ってなく、木刀を振るというよりも木刀に振られてるといっても良いくらいだ。そして、祐斗は木刀を地面に突き刺して息を整える。

 

「なんていうか、これはこれできついね。いつも似た重さの剣を扱ってたから少し重くしただけでこんなになるなんて思わなかったよ」

「そうだね。でも、このくらいでへばってちゃ間に合わないよ。少しでもライザーの眷属たちと対等にならなきゃ」

「はは、これは手厳しい」

「ということで、再開します」

 

 再び木刀を握った祐斗に木刀を押し付けた。

 

 トレーニングを終えたときは祐斗は汗だくで膝を付き立てるのが少し厳しい状態になっていた。

 

 

 

 

 次は朱乃さんとともに魔力の制御と魔力で物体を制御することになった。朱乃さんはアーシアさんに魔力の制御と操作を教えていた。

 

「すいません、コーキ君。そろそろ、夕餉の準備を始めたいのでアーシアさんの魔力制御を教えて差し上げてください」

「分かりました」

「コーキさん、お願いします」

 

 アーシアさんの魔力制御の腕を見るために朱乃さんに教えてもらったところまでしてもらう。ペットボトルの水に魔力を流し込むと水が僅かに動き始めて変化しだすが、ペットボトルから溢れるという程度だった。まあ、初めてにしては良いほうだとは思う。

 

「コーキさんはどんな風に操作してるんですか?」

「俺か?うーん、説明するのが少し難しいな。いつも、感覚的にやってるから」

「そうですか……」

「ゴメンね、力になれなくて」

 

 そう言ってアーシアさんはペットボトルに手をかざして模索していた。しかし、あまり上手く行かない。もしかしたらイメージがないのでは?そう思って聞いてみた。

 

「アーシアさんってそれをどうしたいと思っているの?」

「さっき、イッセーさんと一緒にいたとき、朱乃さんがペットボトルの中の水に魔力を加えて棘にしてから突き破ったんですよ。それを練習してるんですが、上手くいかないんです……」

「そう。ちょっと、朱乃さんの作った棘って言うのがあまりよくないのかもしれない。少し、イメージを変えてみようか」

「イメージですか?」

「そう。例えば、バラの棘。とてもちくちくするトゲだよ」

「うーん、なんかイメージがそっちのほうが出来やすいかもです」

「じゃあ、バラのトゲをイメージしてからやってみよう」

 

 そう言ってアーシアさんは目を閉じてペットボトルの水に向けて手をかざす。そして魔力を流しながら、バラの棘、バラの棘と唱えながら操作していく。魔力は、イメージをしやすいものにしたからか形を形成していく。ペットボトルの水が動き出し、ペットボトルに小さい穴を作るトゲが現れる。

 

「成功したよ」

「本当ですか!?」

 

 そう言って目を開けて確認したアーシアさんはペットボトルから飛び出る水を見て嬉しそうにしていた。

 

「じゃあ、今度はもう少しトゲを大きく、鋭くイメージしてみようか」

「はい!」

 

 予備のペットボトルを持ってきて、流動のルーンを描くとペットボトルに水を補給して再び、アーシアさんは特訓に励んだ。

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