ハイスクールD×D 眷属になれない部員の話 作:アルタイル10
修行も一週間を迎える。小猫さんも祐斗も俺の言ったことをしっかり出来るようになって正直、模擬戦をしているのだが魔力強化していない状態では本当に危険になってきた。イッセーもようやく教えた殴り方を少しは分かってきたのか少し良い感じになってきている。だが、修行中の表情を見ていてもどうも暗い感じだ。
修行は順調なのだが時間がない。だいぶ皆、動きもよくなっているのだがライザー眷属の相手になるかは分からない。俺自体がライザーの眷属がどの位か分からないのもある。そして、その夜、みんなが寝静まっているころに一人、山の開けているところに来ていた。
「ここなら、ある程度大丈夫だろう」
そう呟くように言うと、魔力を指に収束させる。そして流動のルーンを描く。そして発動させると魔力の分だけ水が出現する。それに更に魔力を加えて制御下におくと飴玉くらいに分離させて宙に留まらせる。
これはフリードのときにも使ったものだ。なぜ、これを作ったかというと、フリードが完全とは言わないが避けていたからである。避けられるということはまだこれにも改善の余地があるということなので試しに今までの魔力を制御ではなく、速度を重視してみた。そして、それを一斉に射出する。目の前にある木を一瞬で穴だらけにする。威力も申し分ないしのだが、もう少し試してみることにした。
次は分離せずにそのまま一点に連続で打ち続けるもの、ウォーターカッターと同じだ。やってみると木が切れるのだが横にスライド移動させる時の速度が速すぎると切れないし、自分にも危険性が伴う。これは論外だ。
他にもいろいろ試したのだが、やはり最初の奴が一番マシであった。やっぱり速度を加える改善だけでよかった。魔力が思った以上に使ったので帰る事にした。
帰るとリビングのほうで明かりがついていたんで誰か起きているのだろうと思い、覗くとそこにはイッセーと部長がいて、イッセーは嗚咽を堪えながら泣いていて、自分が弱いと弱気になっている。そんな、イッセーを部長が撫でていた。
少しは気になったが、これ以上覗くのは野暮だろうと思い、自分の部屋に帰り、汗をある程度ふき取るとベットにもぐりこんだ。
☆
次の日の朝、今回は修行前に全員練習場に来ていた。昨日のこともあるが少しはイッセーも昨日泣いて吐き出したこともあって吹っ切れていた。
「イッセー、ブーステッド・ギアを使いなさい」
練習前に部長がそういった。そういえば、イッセーはこの修行中に一回も神器を使用していなかった。
「祐斗、相手をしてくれる?」
「はい」
部長に言われて、祐斗が前に出る。どうやら祐斗と、イッセーと模擬戦をさせるようだ。
「イッセー、模擬戦をする前にブーステッド・ギアを発動させて、二分間ブーストさせなさい。それから試合開始よ」
部長にそういわれて、イッセーはブーステッド・ギアを発現させるとブーストし始めた。そして二分後、イッセーがブーステッド・ギアにこれ以上倍化さえないようにすると、イッセーと祐斗の模擬戦が開始した。
祐斗は木刀。イッセーは素手で戦うらしい。まあ、自分の一番得意な奴のほうが良いし。イッセーには俺も、基本殴り方や蹴りのことしか教えていないから良い選択だと思う。
始まってすぐに動いたのは祐斗。速い速度でイッセーの前に到達すると横薙ぎに木刀を振るう。それをイッセーは両腕をクロスすることでガードした。鈍い音が響くがイッセーは無事だった。それにさすがに祐斗も驚いていた。そして、俺が教えたとおりの拳を祐斗顎に向けて放った。
しかし、祐斗も当たる前にスウェーで避けて飛び上がる。しかし、イッセーにはそれが見えていない。そして祐斗を見失ったイッセーは、キョロキョロとあたりを探すが祐斗を見つけられていない。そしてようやく上を見たときには祐斗はすでにイッセーの頭のすぐそこまで来ていた。
そのまま、イッセーの頭に木刀が振り下ろされ、ゴッという鈍い音を立てる。それを我慢して降り立った直前の祐斗に向けて蹴りを放った。
それも難なく交わされた。どうしようか迷っているのか動きが止まる。
「イッセー!魔力の一撃を撃ってみなさい!魔力の塊をだすとき、自分が一番イメージしやすい形で撃つの!」
部長の指示に従い、イッセーは手に魔力を集めて形にする。それはとても小さな魔力の球。とてもじゃないが攻撃したところでダメージが入るとは思えない。しかし、それでも部長に言われたとおり、祐斗に向かって放り出した。
しかし、現在、イッセーはブーステッド・ギアで体を力を何乗にも倍化しているのだ。あんな小さな米粒程度の魔力でもどうなるだろう。
魔力は手から離れた瞬間、莫大なエネルギーを持った巨大な魔力球に変わった。三分も倍化するとここまでの威力に変わるのか。
感心しながら、魔力の塊を見ていると結構な速度で祐斗に向かって行っている。だが、祐斗はそれを難なく避けて見せた。
魔力の塊はそのまま直線的に進み続けて最終的に隣の山に着弾すると凄まじい爆音と爆風を撒き散らしながら、隣の山を跡形もなく吹き飛ばした。まあ、あれだけの莫大なエネルギーならばあれぐらいあって当然だろう。
それを見ていたイッセーの篭手からはリセットと音声が発せられて、力が抜けていくのが分かる。
「そこまでよ」
部長の言葉を合図に祐斗は木刀を下ろし、イッセーは腰を抜かしたかのように地面に座り込んだ。さすがにあれだけの威力を自分が出したなんて信じられないようだ。
「お疲れ様、二人とも。さて、模擬戦の感想でも聞こうかしら。祐斗、イッセーはどうだった?」
「はい、正直、かなり驚いています。最初の一撃で決めようと思ったんですがイッセー君のガードがかなり固くて崩すことが出来ませんでした。打ち破れると思ったんですけどね。次に上からの振り下ろしで完全にノックダウンしようとしたんですがこれも無理でした」
ハハハと笑う祐斗は木刀をみんなの前に出した。木刀は根元の部分に亀裂が入り、次に何かを殴ったりしようとすれば折れてしまうレベルだ。
「魔力で木刀を覆って強化したんですけど、それでもイッセー君の体が硬すぎて大したダメージを与えられずッ手感じです。あのままやっていたら僕は得物を失って、逃げ回るしかなかったでしょう」
まあ、これが実戦だったら分からないだろう。これが木刀ではなく真剣、本物の剣ならこの勝負は祐斗が勝つ可能性があったかもしれない。まあ、これは模擬のため、そこまで深く考えなくても良いだろう。
「ありがとう、祐斗。そういうことらしいわよ、イッセー。あなたは私に『自分は一番弱くて、才能もない』と言ったわね?」
「は、はい」
「それは、半分正解。ブーステッド・ギアを発動していないあなたはこの中の誰一人にも勝つことが出来ないほど弱いわ。けれど、籠手の力を使うとあなたの強さは次元が変わる」
そう言って部長は吹き飛んだ山に視線を向ける。
「あの一撃は上級悪魔クラス。あれが当たれば大抵のものは消し飛ぶわ。それだけの威力をさっきの一撃は持っていた。基礎を鍛えたあなたの体は、莫大に増加していく神器の力を蓄えることのできる器になったわ。現時点でも力の受け皿としては相当なものよ。あなたは基礎能力を鍛えていけば最強になっていくのう。始まりがどれだけ小さい力だろうとあなたの力はその籠手さえあれば倍化されていってとてつもない力を持つことが出来る。あなたはそれだけ成長したのよ」
イッセーがまるで信じられないという風に自分の籠手を見ている。それを見た部長が自信満々に言った。
「あなたはゲーム要。イッセーの攻撃力が状況を大きく左右するの。あなた一人で戦うのなら力の倍化中、隙だらけで怖いでしょうが、勝負はチーム戦。あなたをフォローしてくれる仲間がここにいるわ。私たちを信じなさい。そうすれば、イッセーも私たちも強くなれる。たとえ、どんなに苦しい局面になっていてもあなたがその力を使いこなせればひっくり返すことだって可能よ。そうしたら私たちは勝てるわ!」
その言葉にイッセーは部長の顔を見る。そして部長も真っ直ぐイッセーを見て言う。
「あなたを馬鹿にしたものに見せ付けてやりなさい。相手があの不死身のフェニックスだろうと関係ないわ。リアス・グレモリーとその眷属悪魔がどれだけ強いのか、彼らに思い知らせてやるのよ!」
「はい!」
俺たちは力強く返事を返す。
その後、俺らは更に自分たちを強化するために修行に励んだ。
そして修行も無事に終え、舞台はレーティングゲームへと進んだ。