ハイスクールD×D 眷属になれない部員の話 作:アルタイル10
公園の出来事から数日が経っている。俺はいつもどおりの生活に加え、兵藤の様子を観察している。成り立ての悪魔は日光に弱いと部長から聞いているため、見ていたが転生してから兵藤の反応が悪くなっている。いつもどおり、松田と元浜が猥談で話しかけているが、一誠の反応は薄い。
(悪魔って言うのは少し難儀だねー。学生の身分ならなおさら、朝に授業とかあるんだし
寝る時間とかどうしてるんだろう。兵藤は生活からして人間と変わらないけど……)
兵藤を見ていると、少し気になってくる。さすがに悪魔と言えど睡眠は必要だろう。深夜に悪魔の契約と言うものをしているのだから寝る時間はほとんどない気がする。そこら辺は今度部長たちにでも効けばいいか。
そんなことを考えながら窓の外を見ていると、部長が登校してきた。ほとんど全員が部長に視線を奪われている。そして、部長がこちらの教室に目を向けた。たぶん兵藤を見ているんだろうすると今度はこちらを見ると僅かに唇を動かしていた。
(……兵藤の監視ね……了解しました)
唇を動かして了承すると部長は口角を上げて機嫌よく登校して行った。といっても現在俺も自分の意思で兵藤を監視していたので丁度いいだろうと言うことで了承した。さてと、今日は少し大変かもしれないなと感じながら、一日を始めるのであった。
☆
兵藤の監視を始めたが、特に変わった様子などは全く見受けられない。ただ、朝から昼は少し気分が悪そうにしていただけだ。放課後になって、買える準備をして、兵藤たちが教室を出た後に、自然に教室を出る。そして、兵藤を尾行し始める。今日は朝の会話から松田の家に行ってDVD観賞と言っていたから、松田の家に向かっているのだろう。そして松田の家に着くとそのまま、家に入って行った。こっからはほとんど持久戦だろう。出てくるまでずっと待って置かなければならない。相当な根気が要る。特にやることもなく玄関を見ておく、単純な作業だが、道行く人からは奇怪な目で見られ、挙句の果てには警察を呼ばれそうになると別の位置に移動するを繰り返す。
放課後から約五時間が経過してようやく松田の家から兵藤が出てきた。その後をゆっくりと尾行していく。そして兵藤と元浜が別れてから数分、何か空気が変わった。どこかで感じたことのあるような空気。どこにいるんだとあたりを見ると兵藤の奥にスーツを着た男がいた。そして、兵藤と二言三言会話、というよりあちらが一方的に兵藤に質問をぶつけている。しかし、その途中に、兵藤は走って別の道に入り込んで行った。
スーツの男は背中から烏のような黒い羽を生やすと兵藤の後を追うように飛んで行った。これはまずいことになったなと思い、簡易魔方陣を持って、部長を思い浮かべる。そしてしばらくすると、紅の魔法陣が出てきて、部長が現れる。
「どうしたの、コーキ」
「烏のような羽が生えたスーツの男が兵藤を追いかけて行ったんで説明を。たぶん、部長がこの前説明したはぐれ悪魔って奴と勘違いしたんでしょう」
「大体わかったわ。とにかく、追いかけるわよ」
部長の指示に従い、俺は兵藤ではなく、あの黒い羽を生やした男の気配を追って走る。その後に部長はついてくる。そして行き着いたところは、この前、兵藤が殺されていた公園だった。
「まさか、またここに訪れるなんてね」
「そうですね。それよりももう少し急ぎましょう」
俺はそう言って公園内に入って行った。そして兵藤を見つけたときにはすでに表藤は腹をまた貫かれていた。少しデジャヴを感じる。そして、俺は銃をカードから取り出すと男と兵藤との間に向かって引き金を引いた。パンと乾いた音が静かな公園に響く。ほぼ一瞬で着弾点に到達して地面がえぐられた。男はすぐにその場から離れてこちらを向く。男は特に俺のほうに向けている。その男に向かって部長は言った。
「その子に触れないで頂戴」
部長は歩いて兵藤の所まで行く。その後に俺が男を警戒しながらついて行く。
「紅い髪……グレモリー家のものか……。もう一人、お前は誰だ?」
「名乗るなら自分から名乗るのが礼儀ですよ」
「我が名はドーナシークだ、小僧」
「これはご丁寧に。俺はオカルト研究部の部員、桐谷光輝です」
そう返した。しかし、ドーナシークと名乗った男は怒鳴るように言った。
「私はそんなことが聞きたかったのではない!貴様のような人間がなぜ悪魔と一緒にいると聞いているんだ」
「短気な人だな。こっちも急がないといけないんですけど。それと、これ以上長居をするならそれ相応の覚悟をしてもらいますよ」
そう言って銃の引き金に力を込める。すると男は、舌打ちをしてから、翼をはためかせ飛び立つ。
「リアス・グレモリー。貴様とは見えないことを願う。が、小僧は別だ。いつか貴様を葬りに行くぞ」
「あら、この子は私の眷属ではないけど大切な部員なの、この子同様、次傷つけたらやらせてもらうわ」
部長がそう言うと、ドーナシークは舌打ちして暗黒の空に姿を消した。そして気配も消えるのを確認すると銃を下ろして、カードの中にしまう。
「部長、兵藤は大丈夫ですか?」
「いいえ、結構ひどいわね。貴方のカードで傷口を塞いでくれる?」
「わかりました。でも、今作成中で他人に使えるのは一枚だけです。後は部長だけでも何とかできますよね?」
「ええ、すまないわね。コーキ」
そう言って兵藤の傷にカードを置いて魔力を流す。カードが発光して傷を見る見るふさいでいく。そして完全に傷口が塞がったのを確認すると部長のほうを向いた。
「終わりました。でも、やったのは傷を塞ぐだけで、血は増やしてないんでそこは部長にお願いします」
「わかったわ。ありがとう、コーキ。今日はお疲れ様。帰って休んで頂戴」
「分かりました。では、俺はこれで」
部長に一礼すると俺はそのまま家に帰りつくと、すぐに眠りについた。
☆
次の日、朝は兵藤と部長が一緒に登校してきたという噂が学校中に広がっていた。兵藤と部長の関係について考えるような感じの噂があって、兵藤はひどい言われようだった。そして放課後になると俺は先生に呼び出され、明日配る書類などの印刷手伝いしていた。何でしなきゃいけないんだと思いながらも印刷をし終えて先生に渡すと、部室に向かった。
中に入ると、いつものメンバーと兵藤がいた。俺が入ってくると兵藤は驚いていた。
「なんでお前がここにいるんだ!?」
「なぜって、俺も部員だからだよ」
そう言って俺はあいているソファーに座ると部長が口を開いた。
「これで全員揃ったわね。それで兵藤一誠君。いえ、イッセー」
「は、はい」
兵藤が緊張した様子で返事をする。
「私たち、オカルト研究部は貴方を歓迎するわ」
「え、ああ、はい」
「悪魔としてね」
その言葉に兵藤は何か複雑な表情を浮かべた。