ハイスクールD×D 眷属になれない部員の話 作:アルタイル10
「粗茶です」
ソファーに座る兵藤に姫島さんがお茶を出していた。姫島さんの淹れてくれたお茶はとても美味しい。俺も飲みたいなと思っていたら俺の分も出してくれた。
「ありがとう姫島さん」
「いえいえ」
こういう気配りが上手な人が部室にいるだけで相当変わるなと考えながらお茶を飲む。やっぱり美味しい。どの銘柄を使っているか今度聞いてみよう。全員分のお茶を出すと部長が姫島さんに言う。
「朱乃、あなたもこちらに座ってちょうだい」
「はい、部長」
そう言って、部長の隣に姫島さんが座った。俺が座っている逆隣だ。何で俺がここに座ってるかと言うと、対面席はもう埋まっていたからだ。特に座る場所を気にしない俺はここに座っている。
そして、全員の視線が兵藤に集まる。さすがにこれには兵藤は緊張しているようだ。そんな様子の部長が兵藤に向けて言った。
「単刀直入に言うわ。私たち悪魔なの」
俺は悪魔じゃないんですが、と心の中で思ったが、話し中に口を挟むのは無粋だろうと何も言わない。信じられないと言う風な顔をしている兵藤を見ながら部長は話を続ける。
「信じられないって顔ね。まあ、仕方ないわ。でも、あなた昨夜、黒い翼の男を見たでしょう?」
そう言うと昨日あったドーナシークのことを思い出した。
「あれは堕天使。元々は神に仕えていた天使だったんだけれど、邪な感情を持っていたため、地獄に堕ちてしまった存在。私たち悪魔の敵でもあるわ」
あのドーナシークって言う男は堕天使らしい。つまり、堕天使は悪魔の敵でもあるから兵藤を殺そうとしたのだろう。そして、部長の話を聞いてある程度のことを理解する。
部長曰く、悪魔、堕天使と冥界の覇権を争っていたところに問答無用にそれらを殺しに来た天使がかなり昔から大きな戦争をしていたらしい。それを聞いた兵藤は信じられないと言う感じと胡散臭いと思っているのだろう。
「いやいや、先輩。いくらなんでもそれはちょっと普通の男子高校生である俺には難易度高めのお話ですよ?え?オカルト研究部ってやっぱりこういう部活?」
そう言う兵藤に向けて部長が言う。
「オカルト研究部は仮の姿よ。私の趣味。本当は私たち悪魔の集まりなの」
また、俺は悪魔じゃないですよ。というか、部長の趣味なんですか、これ。部長はいきなり兵藤に向けて核心を迫った。
「――天野夕麻」
その名前は俺は聞いたことがある。それは数日前に兵藤に告白してきたという女の名前だ。しかし、クラスの全員は忘れていて兵藤も聞きまわっていたがいなかったと言う謎の人物だ。俺や部長たちは覚えていたから何らかの魔術だろう。部長が兵藤に話している内容を聞くと、どうやら天野夕麻もドーナシークと同様、堕天使らしい。兵藤は最初は怒気の混じった声音で言っていたが部長は話を進めていく。
「この堕天使はとある目的があってあなたと接触した。そしてその目的を果たしたから、あなたの周囲から自分の記憶と記録を消させたの」
「目的?」
「そう、あなたを殺すため」
「ッ!な、なんで俺がそんな!」
部長がそう言うと兵藤はかなり動揺して声を荒げる。当たり前の反応だろう。何もしていないのにいきなり殺すためとか言われれば。いや、兵藤の場合、かなりのエロいことをばかりしているからいつ刺されてもおかしくない気がする。
部長が兵藤を落ち着くように言って説明を続ける。そして兵藤に
「神器とは、特定の人間の身に宿る、規格外の力。たとえば、歴史上に残る人物の多くが、その神器所有者だと言われているんだ。神器の力で歴史に名を残した」
「現在でも体に神器を宿す人々はいるのよ。世界的に活躍する方々がいらっしゃるでしょう?あの方々の多くも神器を有しているのです」
姫島さんが祐斗の後に補足で説明してくれる。
「大半は人間社会の規模でしか機能しないものばかり。ところが、中には私たち悪魔や堕天使の存在を脅かすほどの力を持った神器があるの。イッセー、手を上にかざして頂戴」
部長がそう言うと戸惑うが、部長が急かすと左腕を上げた。
「目を閉じて、あなたの中で一番強いと感じる何かを心の中で想像してみてちょうだい」
「い、一番強い存在……。ド、ドラグ・ソボールの空孫悟かな……」
「では、それを想像して、その人物が一番強く見える姿を思い浮かべるのよ」
ドラグ・ソボールって何?俺はそんなの聞いたこと無いぞ。今度祐斗か塔城さんあたりに聞いてみよう。そう決めて、兵藤を見る。部長は兵藤に指示をする。兵藤は部長の言う通り立ち上がった。そして何かの構えを取ると、そのまま手を上下に合わせて突き出すと同時に叫んだ。
「ドラゴン波!」
なんかかっこいいと思ってしまった。しかし、あんなポーズをこんな人前でして恥ずかしくは無いのだろうか。
「さあ、目を開けて。この魔力漂う空間でなら神器も容易に発現するはず」
そう言われて兵藤は目をゆっくりと開ける。すると兵藤の左腕が光りだした。たぶん神器が発現するんだろう。光がやんだ時には赤色の篭手らしきものが装着されていた。凝った装飾に手の甲には丸い宝玉がはめ込まれている。あれが兵藤の神器。
「な、なんじゃ、こりゃぁぁぁぁ!」
兵藤は腕にある篭手を見て、驚き叫んだ。
「それが神器。あなたのものよ。一度ちゃんと発現できれば、あとはあなたの意思でどこにいても発動可能のなるわ」
そう言ってその後は兵藤が殺された理由がその神器にあると話される。
「瀕死のなかで、あなたのが私を呼んだのよ。この紙から私を召喚してね。でも、あなたを最初に助けようとしたのはコーキよ」
そう言うと兵藤は驚いていた。
「そうですけど結果的に助けたのは部長ですよ。俺は結局助けられませんでしたし」
結局は兵藤が生きているのは部長のおかげだ。
「お前っていい奴だったんだな。最初会ったときは女子に囲まれて敵だと思ってたけど、今思えばお前あの後はそんなこともなくなってからは、正直どうでもいい奴だと思ってたけど」
「それって俺を褒めてるの、侮辱してるの?」
さすがにこれには額に青筋を浮かぶぞ。その言葉を聞いてた、姫島さんはいつもどおり微笑を浮かべ、部長と祐斗もこれには苦笑、そして、塔城さんはいつもどおりだが僅かに口元が緩んでいる。本当に失礼だな。
「まあ、落ち着いてコーキ。それで、あなたがこのチラシに私たちが配ってるものよ。私たち悪魔を召喚するためのもの。最近は魔方陣を描くまでして悪魔を呼び寄せる人はいないから、こうしてチラシとして、悪魔を召喚しそうな人に配ってるのよ」
普段なら姫島さんたちが呼ばれるはずだったらしいが部長を呼ぶほど願いが強かったらしい。そこで、兵藤が神器がが宿っていたことを知っていたらしい。だから兵藤を生き返らせた。悪魔として。
「悪魔としてね。イッセー、あなたは私、リアス・グレモリーの眷属として生まれ変わったわ。私の下僕の悪魔として」
そしてそのことを話した部長たちの背中からコウモリのような翼、悪魔の翼が生えた。もちろん、兵藤からもだ。
「改めて紹介するわね。祐斗」
「僕は木場祐斗。兵藤一誠くんやコーキくんと同じ二年生ってことは分かってるよね。僕も悪魔ですよろしく」
「……一年生。……塔城小猫です。よろしくお願い済ます。……悪魔です」
「三年生、姫島朱乃ですわ。一応、研究部の副部長を兼任しております。今後ともよろしくお願いします。これでも悪魔ですわ」
「祐斗の言う通り。って言うか俺は兵藤と顔見知りなんでしなくていいですかね?」
部長に言うと首を横に振った。どうやらしなくてはならないらしい。
「二年生の桐谷光輝。改めてよろしく、兵藤。俺は人間です」
「えっ?人間?」
兵藤はここにいる全員が悪魔と思っていたらしく、意外そうに確認のために聞き返していた。その言葉を聞いて首を縦に振る。そして、最後に我らがオカルト研究部の部長の自己紹介をする。
「そして、私が彼らの主であり、悪魔であるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくね、イッセー」
俺は眷属じゃないから下僕ではないんですけど、そう言いたかったがそれも野暮って言うものだろうから黙っとくことにした。