ちょっと前に話題になった奴です
「ん~...ん~...」
「はよ~...にゃむ?」
俺がスタジオに着くと、ドラムも叩かず、スマホを見て唸っているにゃむがいた。
「ん、あおこ。おはよ」
「何見てんの?」
「これ」
にゃむのスマホを見ると、表示されてるのはとある記事だった。
『ネットを騒がせる2次元の歌姫、初華説』
「...なにこれ」
「だよね~。あたしもそう思って色々調べてみたんだけどさ」
今、巷を騒がせる歌姫、『仲町あられ』。
曰く、髪色とか歌っていた場所とか、色々特徴が一致してるらしい。
「あおこの率直な意見としては、どう思う?」
「くだんねぇ。そんなわけないだろ...まぁ、少なくとも
俺の言葉に首を傾げたが、何か納得がいったようで、しかし何か腑に落ちない顔で、なるほどと漏らす。
「妹ちゃんの説なら、ありえなくはない」
「いやぁ...どうなのそれは」
「正直こじつけ。極論だしな」
髪色は同じようだが、目の色は違う。
遺伝子を弄ってるとかなら別だが、そんな技術を人間にできるほど、この国は進んでいないだろう。
...まぁ、出来なくはないだろうが、少なくとも法と倫理がGOサインを出すことは当分ない。
「本人に聞くのはナンセンスだし、ここは遺伝子のつながりでも信じて、初華にこの画像を見せるか」
「それもどうなの~?」
まだ決まったわけじゃないし、人違いならそれでも問題ない。
この程度、公式が声明を出すほどでもない。
と、ドアが開く音。
「おはようございます」
「おはよう~」
「ん、二人とも、おはよ」
初音と祥子が揃って入ってきた。
「ん、さきこもういこもおはよ~」
「おはようございます、お二人とも早いのですね」
「早めに起きただけだよ、あ、そうだ初華」
にゃむのスマホを借り、初華に記事を見せる。
「これは?」
「ネットの与太話。この子が初華に...初音に似てんだってさ」
「...髪色はそっくりですが、歌声は似つきませんわね」
腹違いならあまり似ないのも納得する。
そうにもかかわらず、何故初華説が出てきたのか、というところだ。
「...初華」
「...そう、なのか?」
「...ううん、初華かもって聞いてみたけど、似てないかな。もちろん、まだ小さい頃だったし、歌もそこまで上手じゃないときだったから。今はどうなのか分からない」
「...まぁ、そうだろうよ」
成長したら、忘れてしまうものだ。
大事な思い出だったはずなのにと、後悔することはいつだってある。
「...でも、本当に初華なら、嬉しいかも」
「なんで?」
「初華はさ、アイドルになりたいって言ってたんだ。私もなれるよって言ったから、ほんとになってたら、嬉しいなって」
「...そうだと、いいな」
「...Ave Mujica...」
ムジカのライブページを見ながら、私は呟く。
やっと、同じ土俵に立てる気がしたから。
色々なことを言って、言われて。
それで勝手に置いてかれた気になって。
「...逢えたら、ちゃんと謝るんだ」
だからそこまで、秘密。
今日も
「みんな~!ダレマチー?
「そういや祥子、にゃむが高松に似てるって記事も上がってんだよね」
「即刻削除いたしましょう。ついでにその記事を書いた方にもお話を」
「目怖、マジギレじゃん」
「キレてませんわ。ちょっとお話しするだけですので」
「...ハイ」
個人的にはあられちゃん=初華説否定派です
でも準備期間的にできそうなのも、ちょっと嫌かも