...と思ったけど別に逃避することないよね、今の雰囲気。
12話もなだらかに終わればいいなぁと、それでは。
「はぁ...」
最近、体が重い。
別に、日頃の生活がきついわけじゃない。
強いて言うなら、高校生の起床時間に俺の生活リズムが合わないだけで、それ以外は何もない。
「それをきついと言うのでは?」
右側から声を掛けられ、同時に頭の上に何かを置かれる感覚。
それを掴みながら目線を向ければ、俺の手の中にあるものと同じものを飲んでいる海鈴の姿。
「...椎名のやつじゃないのこれ」
「今日は欠席らしいので」
「押しつけ先に迷ったのか」
「失礼ですね。日頃の労わりですよ。それに、この間のサンドイッチのお礼も兼ねてます」
「律儀だな。そういうことなら頂くよ、ありがとう」
背面のストロー袋を取り外し、そのまま飲み口側を軽く叩いてストローを取り出す。
それを伸ばして紙パックに突き立て、口に運びながら時計とクラスの状況を見る。
現在時刻は8時40分。
椎名ならこの時間にはもう来てるだろうし、欠席ではないにしろ、朝のホームルームには間に合わないだろう。
それにしても。
「...すっくね」
「奇遇ですね。私もそう思います」
「だよねぇ」
HRの始まりは45分なので、そろそろ寝坊組が来る頃かな。
とか考えながら今のクラス人数を数えると、10人ほどしかいない。
このクラスは30人編成なので、20人があと5分の間に滑り込むことになる。
「んな無茶な...」
「早起きができないか、アラームに裏切られたのでしょう」
「悲しきかな...」
と、前のドアが開き、担任が姿を現す。
「では、私はこれで。今日はバイトですか?」
「うん。また後で、かな?」
「はい、また後で」
「終わっ、たぁ...」
6限が終わったチャイムで教室内の空気が弛緩する。
張り詰めていた息を吐いて、背中を背もたれに押し付けて伸ばして一息。
視界に入った時計を見て、急いで準備をする。
「...っと、遅刻するな」
「おや、働き者ですね」
「そういうわけだ、じゃあな!」
足早に教室を後にし、靴を引っ掛けて走る。
予定時間にしてあと15分。
全力でないにしろ、8割ぐらい出さないと間に合わないよなぁとか思いながら、スピードを徐々に上げていく。
「ギリギリセーフ...だと思いたい」
「おはよう碧くん!今日休みかと思って焦ったよ~」
「ははは...すみません」
「まぁ学生は学業が本分だからね~」
だからといって遅刻は許されるわけではないだろう。
「もうちょっと余裕もって来れるようにするので」
「体壊したら元も子もないからね?」
「分かってますよ。じゃあ、今日もよろしくお願いします」
ロッカールームでRiNGのスタッフTシャツに着替え、今日の業務を始めよう。
13話、何やるの?