日曜日。
俺はどうしても、彼女らの顔が離れずにいた。
クラスメイト二人に似ていた、ギタボとベース。
昨日は先入観でそんな訳ないと決めつけたけれど、よく考えてみれば、彼女らがくれたチケットのライブに彼女たちに似た人間がいた、というのは、ほぼ確定なのではないか。
「ドロリス...ティモリス...」
先日上がったライブレポートを読みながら呟く。
どうやらラテン語で意味が振られているらしい。
ドロリスは悲しみ、ティモリスは恐れ。
今の二人には結びつける線がない。
「あーもう!イライラする!!」
ダメだ、思考がぐっちゃぐちゃで何をするにもムカつきそう。
「ギター弾き行くか...」
前の自主練の付き添い以降、ちょいちょい触るようにしている。
腕は衰えてないとは八幡談だが、そこまで自信は持てない。
適当なTAB譜を落としたタブレットと、スマホさ譜をカバンに入れ、ギターケースを持って家を出た。
「どうやってたっけ...?」
初華と八幡の自主練に付き合ってた時の感覚がまるっきり消えた。
どんな感じで手を動かして腕を動かして、という感覚がまるっきり飛んだ。
「ダメだ、余計にイライラしてきた」
人間思い通りに行かないとイライラするものだ。
かと言って何かに当たるほど子供ではない。
と、スタジオの扉が開く。
「あお」
「...え?」
借りてたスタジオに乱入者。
正体は
「ギター、やらないの?」
「お前はいい加減人が使ってるとこ入ってくるのやめような?」
「...?」
「いやはてなじゃなくてさ」
何を考えてるか全くわからない。
凛々子さんが甘やかす理由もわからないし、やけに椎名が気にしてるのもわからないから、もうこいつに関して何もわからない。
「スコア、みせて」
「あ、おい...」
「んー...ん、やろ」
「いやお前ギターだろ...」
俺の制止も聞かず、楽奈はせっせと準備を始める。
ギターを構えてチューニングすると、すぐに好き勝手やり始める。
「おい、一応聞くけどパート分けどうするつもりだ?」
「あおはギターやっていい」
「いやお前は...まぁいいよ。始めるぞ」
スタジオのほぼすべての時間を楽奈とのセッションに費やし、楽奈と別れた俺は、RiNGを出てからも違和感を覚えていた。
「やっぱり、あの感覚は...」
楽奈と一緒に弾いた時でも、結局あの感覚は戻ってこなかった。
「楽しかった、のか?」
自分で分からないんじゃもう末期だなと自分を嘲笑い、近くに見えた公園の自販機でコーヒーを買い、ベンチに座る。
「はぁ...」
何が何だか分からない。
別に気にしなくてもいいような感覚のはずなのに、記憶から離れようとしない。
それに、気を抜くとすぐ右腕が震えだすんだ。
気にしない方が無理だろう。
「マジで、どうしちゃったんだろうな、俺」
コーヒーの缶をゴミ箱に投げ入れ、家に帰ってベッドに身を沈めても、その問いの答えが出ることは無かった。
最近はサブタイを付ける方に手間取ってる
結末を考えてないからどうしようか悩み中