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小話1:俺と仮面と世界観
「ところでさ」
「何でしょうか」
4th masqueradeの打ち合わせ後、ふと気になったことを豊川に聞いてみた。
「俺って後ろ向いてるじゃん」
「そうですわね」
「仮面は世界観で守られるけど、初華...ドロリスとの身長差がさ」
俺が言おうとしてることに意図が掴めないのか、豊川はきょとんとしている。
「...というと?」
「いや...180超えてる女の子ってそうそう見ないじゃん?だからさ、その...理由づけどうするのかなって」
「ご心配なく。このご時世ですから」
「ご時世...まぁそれで行けるか」
「...俺の初登場、めっちゃ俺って言っちゃったけど」
「一人称が俺の女性だっていらっしゃいますわ、おかしいことではないでしょう」
「...それもそうか」
「疑問は晴れまして?」
「お陰様で。時間とらせて悪かった」
お礼を言ってその場を後にしようとすると、「でも」と背中に投げかけられる。
「でも?」
「...ノリノリなのは結構ですが、頭を左右に振るのは...」
「...さんざんヘドバンしてるのに...?」
「お黙り、ですわ」
「...分かったよ」
結局4thでも頭をぶんぶん振って怒られるのは別の話。
小話2:俺と仮面と担当楽器
バンド練習の10分休憩、俺とドラム以外が水分補給でスタジオから出て行った。
「ねーあおこ」
「あお、こ?」
若干疑問符を付けながら、音源の方に振り向く。
ドラム、アモーリス。
表の顔は動画投稿者「にゃむち」、本名を祐天寺にゃむ。
「名前に「こ」がつくと可愛いんだよ?ういこ、むーこ、うみこ!」
「...で、ひとりだけ「ち」なのは触れませんけど、なんですか?」
「あおこってドラム叩けるの?」
「やったことは...無いですね」
記憶の限り、ドラムを叩いた経験はない。
「ギターもベースも勝手違うのに弾けるからさ、ドラム叩けちゃったりしないかなーって」
「...仮に叩けたとして、ドラムはサポートしませんよ」
「えー?なんでよー?」
「ダブルギターは良い、ダブルベースはまぁまだわかる、でもダブルドラムは聞いたことないですし」
「違うよ、あたしと代わるの」
「もっと嫌です、暇な時間絶対動画撮るでしょアンタ」
そう言えば、彼女はギクッという効果音が聞こえそうなほど顔を引き攣らせた。
「い、いやぁ~?ほら、ドラムって疲れるしぃ~?」
「上手い人は疲れないらしいですよ、叩き方でも見直せば十何曲ぐらいできるようになるでしょ」
「うー...あおこ手強い」
「...仮に俺がドラムやっても、みんなに迷惑がかかるので」
愚痴の様にこぼしたのを彼女は目聡く拾った。
「おっと?そっちが本音かな?」
「...本音、というか。部外者の俺が世界観壊すなんて、あっちゃいけないでしょ」
「うわー真面目。やってけないよ?」
「もう壊れてるんで気遣いは結構ですよ。『
「...ふーん」
こんくらい重い縛りを貰ってた方が、俺は戦える、気がする。
「じゃあ今度ドラム練習しようよ!」
「しません。したとしてあんたとは代わりませんよ」
「ケチー」
「ケチで結構」
小話3:花咲川の一幕
「はー...さっむ」
手袋を付け忘れた。
おかげで手全体の感覚がない、昇降口の自販機で買ったホットコーヒー缶を手で包んで、暖をとる。
「おはようございます、碧さん」
「みぎゅっ!?」
「面白い反応ですね、立希さんもそれくらいだと面白いのですが」
「真冬日の首ピタはダメでしょ、どう考えても」
俺の首筋に紙パックを当てて、そのままそれを飲み始める海鈴と、それを見て引き気味で苦言を呈する椎名。
割とこの風景がいつも通りだったりする。
「はー...ぎゅっ!?」
「あはは、ぎゅって」
「...アンタそういうことする人だったか?」
2度目の強襲は初華によるもの。
しかし、そんな事をする人ではなかったような。
「うーん、反応が面白かったから?」
「アイドルスマイルで躱そうとしないでもらっていいですか、めちゃくちゃ冷たいんですけど」
「じゃあ、はい」
「...人目は気にしてくれ」
今度は俺の首筋に両手を当て始めた初華。
バンド練の時ならいいが、今は学校だ。
「え...二人ってそういう関係なの?」
「アイドルがスキャンダルはまずいのでは?」
「...温めてるだけだよ?」
「...十分温まったから離してくれ、その二人とその他多数の視線が痛い」
居た堪れなくなったので教室を出る。
登校時に買った缶コーヒーは、すっかりぬるくなってしまった。
実際バンドの楽器何でもできるスーパーハイスペック(ウー)マンは存在するのか