迷う心の在り処   作:ユイトアクエリア

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Luminaの幕間とVeritasの幕間とその他諸々とアニムジカへの期待で爆速書き上げをした



16.5:素顔と仮面の相違

某日、練習スタジオにて。

 

「ねぇ、ルイナス」

 

仮面も、あの舞台で纏う衣装も身に纏ってない状態の()()が、俺をそう呼ぶ。

 

「生憎今の状態はルイナスではないが、何の用だ。ドロリス」

 

雰囲気的に合わせるべきだと考え、ドロリスと呼ぶ。

 

「僕、キミをもっと知りたいんだ」

「...というと?」

「デートしない?」

「しないよ。悪いな」

 

この辺で舞台と現実の区別をつけてもらわねば、俺がいろいろ危ない。

そう、色々と。

何とは言わないけど。

 

「...そっか」

「悪いな。暇なとき...はないけど、時間なら作るよ」

「ほんと!?ほんとにほんと!?」

「ほんとだよ、だから離れろ」

「...ルイナスは、僕のこと、嫌い?」

 

大人しく引き下がるから安心したのだが、そういう訳でもないようだ。

どうやらドロリスは初華より、心を隠すのが苦手らしい。

 

「嫌いじゃない」

「...でも、好きでもない?」

「どこで覚えた?」

「オブリビオニスが教えてくれたんだ。『好きと嫌いの反対は無関心ですわよ』って」

 

どこかに、大嫌いを裏返したとて、そこに大好きは隠れてない、って歌詞があったな。

 

「ま、確かにそうなんだけど。ここで俺が好きって言うと、立ち回りに問題が生じるんだ」

「...え、っと?」

「あー...要するに、舞台上でのパフォーマンスに影響が出る」

「...じゃあ、好きとか嫌いとか、言わない方がいい?」

「まぁなるべくは。ドロリスの好感度は高めだよ」

 

謎のフォローをする。

 

「好感度...好きってこと?」

「まぁ大雑把に言えば」

「...でも、それは他の人にも言ってる?」

「...あー、まぁ、うん」

「なんで?」

「...大事なんだよ、そういう立ち回りが。嫌われないために」

 

目線を外しながら呟く俺を、ドロリスは見つめる。

 

「...ルイナスも、怖いんだ。人から、拒絶されるのが」

「そうだよ。俺は異端者だからな。オブリビオニスから名前を貰っただけの、ただのゲスト」

「...違うよ。ルイナスも、僕たちの仲間だ。一緒に、光を探す...」

「...なら悪いけど、俺は光を探せない」

「なん、で?」

「俺は、光を知らない」

 

ルイナスならわかるのかもしれない。

彼女らが目指す光の正体を。

けれど、今ここにいるのは神崎碧であり、ルイナスではない。

だから、何もわからない。

そんな思考を、ドロリスがじゃあ、と言いながら、俺の手を握って壊す。

 

「一緒に探そう。僕たちと一緒に。ルイナスが分かるくらいの光を」

「...あればいいな。イレギュラーを受け入れる光が」

「あるよ。僕たちは、いつまでも一緒なんだから」

「...それとこれとは、関係ない気もするけど」

 

第三者からみたらちょっといい雰囲気っぽいが、ここは練習スタジオ。

しかもメンバーが来る前、ということもあって。

 

「...碧」

「...おはよ、睦」

 

なんだか気まずそうな顔で睦が入ってくる。

続いてメンバーが揃う。

最後に豊川が入ってきて、その足で俺の傍まで来て、

 

「やはり、付き合ってるんですのね?」

 

と薄く笑いながら俺に言う。

 

「...違うよ。俺は釣り合わないって言ったろ」

「...自虐癖は直した方がいいですわ。いつか強い恨みを買いますわよ」

 

なんだか妙に説得力がある言葉だと思いながら、いまだ繋がれたままの手を追って初華の顔を見ると。

 

「...あれ、私...?」

 

正気に戻ってた、一安心。

 

「おはよ、初華」

「お、はよう。...なんで手繋いでたの?」

「...いろいろあったよ。あとで話すわ」

 

話した結果、また誤解が生まれたのは別の話。

 




おはよう!午前4時に何してるんだい?
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