迷う心の在り処   作:ユイトアクエリア

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かける時間が本編<サブタイ
あると思います(?)


18:守る居場所

動かない。

腕が、手が、足が、顔が。

動かせない。

真顔で機械的に弾くことが、精一杯。

表情を隠せる仮面はない。

傍から見た俺が、真面目なギタリストに見えることを、期待したい。

 

「っ...はぁ、はぁ...」

 

普段着に着替え、ソファに身を沈め、思考を回す。

仮面が外れてから、一層演奏に入りこまないといけなくなった。

俺の気持ちの問題だが、やはりあの仮面なしではルイナスになりきれない。

どうしても、偽物になってしまう。

けれど、そんなのは言い訳に過ぎない。

やらなければ、俺の存在意義はない。

 

『...碧くん?』

 

控え室の扉の向こう、遠慮がちに我らのフロントの声が聞こえる。

 

「...あいてるよ」

『...じゃあ、失礼します』

 

扉を開けて入ってきたのは、私服姿の初華。

 

「何か用事?」

「ううん。その、今日のギターのことで」

「...やっぱ、違和感ある?」

 

そう聞くと、初華は少し迷って、頷く。

 

「だよね、俺もそう思ってる。ごめん」

「何か、理由があるの?」

「俺がルイナスになれないから」

「...なれ、ない?」

 

気持ちの問題、または視野の問題。

色々な要因を以て、俺はルイナスに成る。

 

「ごめんな、迷惑かけてる」

「自覚があるなら結構ですわ」

「...いるなら一言言えよ」

 

反省の声に返答したのは、少し高めの厳しい声。

 

「ギターの不安定さが粗削りで擁護できなくなりますわ」

「そうかい。なら努力するよ」

「生半可なものでは話になりません。プロとしての自覚を持ってください」

「プロ、ね。一個聞くけどさ」

 

俺がずっと、気になってる事。

 

「何のために、AveMujicaやってんの?」

「何のため、とは?」

「プロになって、どうすんの?」

「それは...」

 

言葉を濁すのは、メンバーには言えないのか、それとも。

 

「一応ないとは思うけど、遊びでやってるわけじゃないんだろ」

「当たり前ですわ」

「じゃあいい。遊びだとしたら俺はやめてた」

 

今は、探る時じゃないんだろうな。

パフォーマンスにも支障が出そうだ。

 

「...プロでい続けたいなら、メンバーのケアぐらいしろよ。もちろん、自分のも」

「それは、どういう」

「睦。限界が近いぞ」

 

豊川とは幼馴染だと聞いている。

Mujicaへの加入理由も、豊川のためを思って、とのことだった。

 

「幼馴染なんだろ」

「えぇ」

「ならなおさらだ。()()()()()()()()()()()

 

忠告に初華が疑問を呈す。

 

「睦ちゃんが...?」

「疲労を隠すのがうまいのか、それとも周りが節穴すぎて気付いてないのか知らないけど、あんな詰め詰めのスケジュールで、よく生きていられるな」

「先方からの指定がほとんどですわ。仕方ない部分も」

「仕方ない、で。睦は納得したのか?」

 

海鈴のスケジュール表が出た時から、疑問に思うべきだった。

睦が、「若葉の娘」であることが、ここまでスケジュールを詰めるのかと。

 

「一度ちゃんと話し合った方がいい。スケジュールの件も、あいつのキャパも」

「...どうして、そこまで気に掛けるのですか?」

「メンバーだぞ?当たり前だろ。昔から知ってるお前と違って、俺は今しか知らないけど」

 

あんまり言いたくはないけれど、AveMujica存続のためには、言っておくべきだろう。

 

「いつ壊れても、おかしくないぞ」

 

それだけ言って、俺は控え室を後にした。

これで少しは、負担が減るといいんだけど。

 

「というか、らしくないな。どうしたんだろう、俺」

 

 

 




本当にどうしたんだろうね
モーティス、碧と絡ませたい気持ちはある
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