迷う心の在り処   作:ユイトアクエリア

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23:夢中

「...ここは...?」

 

目が覚めると、どこかのステージ袖。

ステージでは、ライブをしている。

この感じ、夢か。

同じような夢を、前にも見た。

確か、風邪を引いた時。

その時は、ドロリスの後ろに俺じゃないルイナスがいた。

 

「...今度は、モーティスの場所か」

 

ちゃんとアップデートされてる。

俺が見てる夢なら、当たり前か。

とはいえ。

 

「その場所は、俺の場所だ」

 

足を踏み出そうとして、動かない。

明晰夢の類だと思ってたが、悪夢のそれか。

やがて、ライブが終わる。

メンバーがこちら側に捌けてくる。

認識はされない、当然だ。

けど、一人だけ。

 

『よぉ』

「...見えるのか」

『そんな死んだ時みたいなこと言ってんじゃねえよ。面白くねえ』

 

ローブを被ったそいつは、よく見れば。

 

「...俺?」

『ご名答。お前だよ。まぁ性格には、「ルイナス」って名乗った方が分かりやすいかな?』

「なんで、俺の場所にいる?」

『んなもん決まってんだろうが。お前の位置をそっくりそのままもらうためだよ』

 

させない、そんなこと。

 

『お前がどう思おうが勝手だけど、このバンドはそう長くは続かない。それはお前もわかってんだよな?』

「...認めたくはないけどね」

『そしたらいったん全部終わらせてから、もっかいやり直せばいいじゃねえかってな?天才かと思ったよ』

「...もう、二度と戻らない」

 

ただでさえボロボロなんだ、このまま壊れたらもう二度と戻らない。

 

『おいおい、甘いこと言ってんじゃねえよ』

「俺は本気だよ。人周りだけどうにかできれば、このバンドは」

『だから、それがダメだっつってんだろ?現にモーティスも言ってたじゃねえか。「このままの祥子ちゃんなら、ずっと戻ってこない」ってさ』

「...それさえ、改善できれば」

『いっその事抱いてやりゃ解決するんじゃねえのか?』

「するわけねえだろぶっ飛ばしてやろうか」

 

真面目な顔でとんでもないこと言いだすな、この人形。

...自分の顔面が真面目だと思ったことはあんまりないが。

 

『俺も本気だよ、別にヤりたいから言ってるわけじゃねえのさ』

「どう考えてもそうとしか聞こえなかったぞ、お前それでも俺か?」

『失礼な。お前だって最初は可愛いなぁとか思ってただろ』

「...思わなかった、とは言わないけど」

 

話が逸れてきた。

 

『じゃあ戻そう。俺がしばらく出る、以上』

「だからそれじゃわかんねえっつってんの」

『...お前、自分がここにいる理由分かってねえな?』

「夢だからじゃないのか」

『違う、お前練習中に倒れたんだよ、たぶん今は病院』

 

そういえば背中とか痛かったような。

 

『だからお前はここで滅茶苦茶会話できるわけよ、心の中って言ってもいい』

「...自問自答を繰り返しても、答えは出ないってか」

『そういうこと。だから俺が出る。お前はしばらく寝てろ』

 

そう言って、ルイナスは俺の腹を殴る。

痛覚などないはずだが、不思議と痛かった。

 

『...安心しろ、お前が出てくる頃には全部終わってる』

 

 

 




夢中を文字通り夢の中って意味で読ませるの、なかなかないよね
いやパクったわけじゃなくてもともと構想があったっていうか...後出しなら何とでも言えますね、すみません。
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