「...ここは...?」
目が覚めると、どこかのステージ袖。
ステージでは、ライブをしている。
この感じ、夢か。
同じような夢を、前にも見た。
確か、風邪を引いた時。
その時は、ドロリスの後ろに俺じゃないルイナスがいた。
「...今度は、モーティスの場所か」
ちゃんとアップデートされてる。
俺が見てる夢なら、当たり前か。
とはいえ。
「その場所は、俺の場所だ」
足を踏み出そうとして、動かない。
明晰夢の類だと思ってたが、悪夢のそれか。
やがて、ライブが終わる。
メンバーがこちら側に捌けてくる。
認識はされない、当然だ。
けど、一人だけ。
『よぉ』
「...見えるのか」
『そんな死んだ時みたいなこと言ってんじゃねえよ。面白くねえ』
ローブを被ったそいつは、よく見れば。
「...俺?」
『ご名答。お前だよ。まぁ性格には、「ルイナス」って名乗った方が分かりやすいかな?』
「なんで、俺の場所にいる?」
『んなもん決まってんだろうが。お前の位置をそっくりそのままもらうためだよ』
させない、そんなこと。
『お前がどう思おうが勝手だけど、このバンドはそう長くは続かない。それはお前もわかってんだよな?』
「...認めたくはないけどね」
『そしたらいったん全部終わらせてから、もっかいやり直せばいいじゃねえかってな?天才かと思ったよ』
「...もう、二度と戻らない」
ただでさえボロボロなんだ、このまま壊れたらもう二度と戻らない。
『おいおい、甘いこと言ってんじゃねえよ』
「俺は本気だよ。人周りだけどうにかできれば、このバンドは」
『だから、それがダメだっつってんだろ?現にモーティスも言ってたじゃねえか。「このままの祥子ちゃんなら、ずっと戻ってこない」ってさ』
「...それさえ、改善できれば」
『いっその事抱いてやりゃ解決するんじゃねえのか?』
「するわけねえだろぶっ飛ばしてやろうか」
真面目な顔でとんでもないこと言いだすな、この人形。
...自分の顔面が真面目だと思ったことはあんまりないが。
『俺も本気だよ、別にヤりたいから言ってるわけじゃねえのさ』
「どう考えてもそうとしか聞こえなかったぞ、お前それでも俺か?」
『失礼な。お前だって最初は可愛いなぁとか思ってただろ』
「...思わなかった、とは言わないけど」
話が逸れてきた。
『じゃあ戻そう。俺がしばらく出る、以上』
「だからそれじゃわかんねえっつってんの」
『...お前、自分がここにいる理由分かってねえな?』
「夢だからじゃないのか」
『違う、お前練習中に倒れたんだよ、たぶん今は病院』
そういえば背中とか痛かったような。
『だからお前はここで滅茶苦茶会話できるわけよ、心の中って言ってもいい』
「...自問自答を繰り返しても、答えは出ないってか」
『そういうこと。だから俺が出る。お前はしばらく寝てろ』
そう言って、ルイナスは俺の腹を殴る。
痛覚などないはずだが、不思議と痛かった。
『...安心しろ、お前が出てくる頃には全部終わってる』
夢中を文字通り夢の中って意味で読ませるの、なかなかないよね
いやパクったわけじゃなくてもともと構想があったっていうか...後出しなら何とでも言えますね、すみません。