同じ事務所なら
会っててもおかしくないということで
「ギター、難しいな...」
ずっと思ってる事である。
6→7への切り替えは本当に難しい。
祥子の目の前で当然のように7弦を弾いたこともあったけど、あれはあれで奇跡の産物だと思う。
「いいや、一旦休憩」
ギターを置き、スタジオを後にする。
ロビーで飲み物を買って、そのまま休憩する。
心を休める時間を作るのも、大事だと思う。
「はー...」
500の清涼飲料水を半分ぐらい飲んだところで一息。
ぶっ続けでギターを弾いてた俺の体は、思ってる以上に水分を欲してたようだ。
「すげえな、うちのフロントは」
「ありがと」
「びっ!?」
独り言のつもりだったが、どうやら当の本人にばっちり聞かれてた。
恥ずかしい。消えたい。
「驚きすぎだよ」
「じゃあ音もなく後ろに立つなよ、初華」
「碧くんの驚くところ、ちょっと見たかったから」
「...そうかい」
呆れて目線を横にずらすと、見たことある、が直接会ったことのない顔が。
視線を戻して初華の服装を見る。
「sumimiの収録か?」
「うん。終わったから休憩」
「そ、おつかれ」
「...ういちゃん、その」
隣の子は...まなとか言ったか。
もしかすると俺のことは知らないのかもしれない。
「まなちゃん、碧くんとははじめましてだっけ?」
「あっ、そういえば!はじめまして、sumimiのまなです!」
「こちらこそ。神崎碧です、よろしくお願いします」
ご丁寧に頭まで下げてくれたので、こちらも返す。
「ういちゃんからお話聞いてたんだ、ギター上手でかっこいい人がいるって」
「ま、まなちゃん」
「まぁ、当たらずとも...って感じですけど」
ギター上手はまぁ分からなくはないが、カッコイイかどうかはその人の好みによるところがある。
これも、お世辞ってやつなんだろうな。芸能界って言うのはそういうのを覚えないといけないらしい。
「ほんとにういちゃん言ってたんだから!碧くんのこと褒めてた!」
「...ありがとう、ございます」
相変わらず、褒められるのは慣れない。
特に、容姿のことなんて。
「そんな碧くんには、はい!」
「...ドーナツ?いいんですか?」
「うん!いっぱい貰ったんだけど、二人じゃ食べられないね~って言ってたところだったの」
「...じゃあ、ありがたく。いただきます」
合間の糖分補給にとっておこう。
「...まなちゃん、プロデューサーが呼んでたの、忘れてない?」
「あれ?今何時?」
スマホをかざしながら、1時ジャストだと答えると、まなさんの顔色が変わっていく。
「わ、あと10分しかない!ごめんね碧くん、また今度!」
陸上選手もびっくりなスピードで走っていった。
「っていうわけだから、ごめんね碧くん」
「ん、アイドルも大変だね」
「あはは...碧くんは、まだ練習?」
「まぁ、そのつもり」
「じゃあ、終わったら合わせに行ってもいい?」
断る理由は特にはない。
「いいよ、鍵開けとく。部屋番は後で送っとくよ」
「ありがとう。じゃあ、行ってくるね」
「ん、頑張って」
そう言えば、初華は笑って小さく手を振った。
この対応といい、まなさんのあの感じといい。
sumimiのファンが多い理由、なんとなくわかった気がした。
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まなちゃん出番少なくてエミュバリ難しい