迷う心の在り処   作:ユイトアクエリア

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11話の初華(初音)劇場ヤバかったねぇ~


30:真実

「んで、来てもらったわけだけど」

「うん」

 

後日、初華を呼び出して詳細を聞くことにした。

曰く、みんなの前では話しにくく、かつツアーが終われば少しゆとりもできるだろうから、という理由で、今はツアー最終日の翌々日。

昨日は疲れをとるための完全オフ、今日は午前に少しミーティングを入れた後、オフということだったので、このタイミングで話してもらうことにした。

 

「...その、あのね」

「...どんな秘密抱えてようが、受け止めてやる」

「...ありがとう。その...私ね」

 

初華は横の椅子に置いてあるリュックから、写真立てを取り出した。

それをそのまま、こちらにスライドさせてくる。

 

「...これは?」

「私の小さい頃の写真。残ってるのは、それだけだったから」

 

元気にピースサインをするベージュ髪の子。

それとは反対に、カメラから目線を逸らし、怯えているようにも見える、ベージュ髪の子。

そして、その二人の肩を抱いて笑顔を浮かべる男性。

その横に寄り添い、柔らかい笑顔を浮かべる女性。

 

「初華の、小さい頃...その、どっちが、初華?」

「...こっち」

 

目線がずれている方を指さす初華。

納得はする。しかし、ならば。

 

「こっちの、元気な子は?」

「...()()()()()

「え?」

 

初華はどっちか、という問いに、怯えてる方を指した。

ならば反対はと聞けば、初華ちゃんと答えた。

 

「...初華じゃ、ない?」

 

小さく頷く初華。

 

「なる、ほどね。ちょっと時間くれ」

 

つまり、今目の前にいるのは初華ではなく別人。

何らかの理由があって初華を名乗っている。

 

「えーっと...便宜上本物って呼ぶけど、本物の初華はどこに?」

「...多分、まだ島に。勝手に出てきちゃったから」

「...喧嘩別れ?」

 

そう聞けば、初華は微妙な角度で頷いた。

 

「...うん、まぁ、そんな感じ。長くなるし、きっと...ううん、絶対嫌な話だから、その」

「いいよ、受け止める」

「...ありがとう。優しいね」

「...そんなんじゃない。頼りにされたくて、そう演じてるだけ」

「それでも、すごい。私は、そうはできなかった」

 

そう言って、ぽつぽつと語り始める。

 

簡単にまとめる。

初華...目の前にいる彼女の本当の名前は「初音」であり、「初華」、及び母親は島にいる。

初音の父親は「豊川定治(さだはる)」...祥子の実の祖父である。

初音と初華は異父姉妹であり、初華の父の死をきっかけにこちらに単身上京してきた。

そこで出会った純田まなとユニットを結成して、sumimiの活動をスタート。

このころからすでに、自身を「初華」と名乗っていたらしい。

 

「はー...なる、ほどねぇ...」

 

聞けば聞くほど混乱する話だ。

けれど、そこまでしてこちらに来た訳は。

 

「なぁ、全く関係ないけど聞くぞ」

「...なに?」

「祥子のこと、好きなの?」

「え!?え、っと、その...」

「別に好きでも何も言わないよ」

 

多様性...とはちょっとズレるんだろうけど、別に否定はしない。

愛の形はそれぞれだ、歪んでいようと、狂っていようと。

 

「その...さきちゃんは、初めて、私に希望をくれたから」

「希望?」

「生きる、希望。光を、くれたの。さきちゃんは、私の光」

「...そっか。だったら、ちゃんと伝えなきゃダメだな」

「え...?」

 

愛情は無意識化で動いてるのが一番怖かったりする。

行き過ぎると逆に気持ち悪がられたりする。

だから、明確にしておかなければいけない。

見える化って大事だしな。違うか。

 

「...全部、受け止めてもらおう」

「で、でも」

「祥子が言ったんだぞ、『あなたの人生、私にくださいませんか?』って」

「それ、が...?」

「ムジカの縛りでもあり、契約だ。祥子がほっぽり出さない限り、ムジカは続く」

 

それに。

 

「人生預けてるのに、隠し事はなしだろ?」

「...そう、だね。分かった。話すよ。でも」

「そばにいてやる、怖いことはないよ」

 

風除け、弾除け。

あらゆる事象を退ける盾に、俺はなるべきだ。

 

 




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ところで初華って存在してるんですかね
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