迷う心の在り処   作:ユイトアクエリア

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アニメムジカ終わっちゃった!
と思ったら続編生えちゃった!!
だからって終わらせるわけじゃないぜ(?)


31:開示

翌日、初華を抜いたムジカの4人を会議室に集めた。

初華...初音とは通話を繋げて、別室にいてもらっている。

本人へのあれこれを言われる前に俺が矢面に立つべきと、俺が勝手に判断した。

 

「さて、集まってもらったのは他でもない。結構大事な話をするためだ」

「大事?ういこがいないのと関係ある?」

 

にゃむが部屋を見回して言う。

 

「そ、本人の許可は取ってる。この場に本人がいないのは...精神的なあれだ」

「私達からどう言われるか分からないから、一旦退避、ということですか」

 

...見間違いじゃなければ、ちょっと寂しそうに見えたな。

 

「そういうこと。じゃ、語弊がないようにまとめたのを簡単に話すぞ」

 

初音が豊川の血縁であることは、言わなかった。

 

 

「...初華が」

「三角さんの名前は初華ではなく初音で」

「今までずっと言ってなかった、ってことだよねぇ」

「...大分、飲み込むのに時間が必要ですわね」

 

まぁ、無理もない。

電話の向こう側の彼女は、大丈夫だろうか。

 

「じゃ、率直に聞こう。どう思った?」

「どう、とは?」

「我らのフロントが名前を偽っていたことについて」

 

少し嫌な聞き方をしたが、これも真意を聞き出すため。

後で詰められるのは、俺一人だけでいい。

 

「...名前がどうあろうが、彼女は大事なメンバーですわ。それに変わりはありません」

「...今までと、一緒」

「ういこだろうがはつこだろうが変わんないし」

「...信用、されてなかったんですね」

 

海鈴の言葉で、気が抜けてしまった。

 

「海鈴、信用で落ち込むのやめようか。誰でも言えることじゃないんだから」

「...まぁ、そうでしょうけど。でも、三角さんは三角さんです」

「...だってよ、初華」

 

ポケットに忍ばせた携帯を取り出して、問いかける。

程なくしてドアが開き、おずおずと初華が入ってきた。

 

「えっ、聞いてたの?」

「初華を責めるのはなしだぞ。全部俺がやったことだ」

「でも、聞いていたならわかるでしょう?これからも変わりませんわ、初音」

「さき、ちゃん」

 

祥子の言葉で緊張が解けたのか、その場にへたり込む初音。

 

「...隠し事はもうなさそうだし、祥子、後で時間くれ」

「分かりましたわ」

 

 

ツアーで披露した新曲や、諸々の合わせを終え、祥子と共に別室に移動する。

 

「それで、話とは?」

「...初音のことだ。これはみんなの前で言うことじゃないと思って」

 

祥子は疑問符を浮かべた顔をする。当然だ。

 

「結構衝撃的なことを話す。覚悟はあるか?」

「えぇ」

「じゃあ、簡潔に。初音はあんたの爺さんの子だ」

「...え?」

 

飲み込めないのも、よく分かる。

 

「つまり、隠し子...?」

「豊川からしたらそうなるのか。じゃあそうだな」

「...そう、ですの。なら」

 

祥子はいきなり立ち上がった。

 

「これは、初音と碧以外、知らないことですのね?」

「...どうなんだろうな、初音が初華を名乗ってsumimiが出来てたのは、少なからず爺さんの力添えあってだろうのことだし。推測だけどな」

「とすると?」

「事務所には話が通ってるんじゃないかなって。もちろん守秘義務だから外には漏れない」

「と、すれば」

 

祥子が何か企んでいる顔をする。

 

「これは、使えますわね」

「使える?」

「隠し子がいたとなれば、グループの沽券に関わりますわ。そんなの、使えるに決まってるじゃありませんか」

 

自信満々に言う彼女を見て、そうだ、祥子はそういう子だったと思い出す。

 

「...碧?何を笑っているんですの?」

「いや、祥子はそういう人だったなって思い出しただけ。仮に解散なんかしても、祥子はきっと挫けなかっただろうな」

 

俺がそう言うと、祥子は「いいえ」と、かぶりを振る。

 

「あなたがいなければ、ここまで持ち直さなかったし、解散もしていたでしょう。あなたのおかげですわ。ありがとう」

「...いや、俺は何もしてないよ」

 

直接的に手を下したものは一つもない。

メンバ―各個人が、あるいは俺じゃない(ルイナス)が。

俺は何もしてない。

 

「碧。感謝は素直に受け取るべきですわ」

「...そうだな。ありがとう」

「もっと嬉しそうにしてくださいまし」

「...それが出来たら、苦労しないんだ」

 

素直に受け取るべき、俺がずっとできないこと。

俺がずっと、恐れていること。

 

「碧。あなたが言ったんですのよ?隠し事はなしだって」

「違...くはないのか。まぁ大したことじゃないよ」

「言ってごらんなさい」

「お礼の裏、勘ぐっちゃって怖いんだ」

 

ただそれだけ。

 

「...感謝しているのが分かる。でも、余計に何かあるって思っちゃって」

「...では、表立って言いますわ。私の「ありがとう」は「これからもよろしく」の意を込めてますわ」

「...なんかズレてる気がするけど、まぁいいか」

 

祥子は、こういう人だ。

何も知らない俺が、言えたことじゃないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




豊川祥子、豊川祥子神とかになってレベル10億とかになりませんか?
なりませんか()
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