メンバーの名前が変わったからと言って、特に何も変わらない。
強いて言うなら、でかい隠し事がなくなったことと、AveMujicaに関してだけは、実質祥子が実権を握って結構好き勝手やってる所だろうか。
グループ最高権力の隠し子がいる情報は、それほどまでに大きいらしい。
「...豊川さん、これは?」
「sumimiとの合同ライブ、それの企画書ですわ」
これも、それの一環なのだろう。
「...初華の負担すごくね?」
「わ、私、頑張るよ!」
「さきちゃんのためなら」という主語が隠れているような気もするが、それはそれ。
「んで、相方とは連絡取れてんの?」
「うん、まなちゃんもノリノリでOKくれたよ」
「...アイドル、すげえな」
ノリノリで、なのはよくわからんが、まぁ出てくれるなら良しか。
「ということなので、碧。頼まれごとをしていただけますか?」
「頼まれ事?俺じゃなきゃダメか?」
「はい。今回のライブに、呼んで欲しい人がいますわ」
呼んで欲しい、とは。
オーディエンスか?
「...ま、俺に言うってことは大体見当つくけど。一応聞くわ、誰?」
「立希...というより、MyGO!!!!!ですわ」
「チケットは?」
「いいえ?こちら側に来ていただきますわ」
つまり、オーディエンスではない。
「演者側ってこと?」
「出ていただきましょう、私たちのマスカレードに」
「ってことなんだけど、どう?」
「それ、祥子が言ったの?」
「そういう命令だったからね。で、どう?」
翌日、珍しく起きてる椎名に声をかけてみる。
あんまり気乗りしなさそうだけど。
「...私だけじゃ、なんとも。燈とかに、聞かないと」
「じゃあ決まったら連絡くれ、うちの神様は前向きに検討してくれって言ってるよ」
「...ん、わかった」
中庭に出ながら、少し考える。
一度見たことある、高松燈。
多分、彼女ならやりたいとやってくれるだろうとは思うんだが。
まぁ、一応返答待ちということで。
「...碧さん」
「海鈴?」
「私、信用されてないんでしょうか」
「いやなんでさ」
鉄心みたいなツッコミはさておき。
「同じクラスなら私か三角さんに頼んでも良かったのに、どうして碧さんなんでしょう」
「それは知らないよ。でもま、信用ないことはないでしょ」
「何を根拠にそんなことを」
「今度の新譜。パッと見3日であれを弾けるベーシストはいないでしょ」
海鈴の腕を買ってのことだろう。
「なら、良いんですよ」
「...海鈴がいいなら、それでいいよ」
心なしかウキウキに見えた。
信用って難しいな。