迷う心の在り処   作:ユイトアクエリア

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32:準備段階

メンバーの名前が変わったからと言って、特に何も変わらない。

強いて言うなら、でかい隠し事がなくなったことと、AveMujicaに関してだけは、実質祥子が実権を握って結構好き勝手やってる所だろうか。

グループ最高権力の隠し子がいる情報は、それほどまでに大きいらしい。

 

「...豊川さん、これは?」

「sumimiとの合同ライブ、それの企画書ですわ」

 

これも、それの一環なのだろう。

 

「...初華の負担すごくね?」

「わ、私、頑張るよ!」

 

「さきちゃんのためなら」という主語が隠れているような気もするが、それはそれ。

 

「んで、相方とは連絡取れてんの?」

「うん、まなちゃんもノリノリでOKくれたよ」

「...アイドル、すげえな」

 

ノリノリで、なのはよくわからんが、まぁ出てくれるなら良しか。

 

「ということなので、碧。頼まれごとをしていただけますか?」

「頼まれ事?俺じゃなきゃダメか?」

「はい。今回のライブに、呼んで欲しい人がいますわ」

 

呼んで欲しい、とは。

オーディエンスか?

 

「...ま、俺に言うってことは大体見当つくけど。一応聞くわ、誰?」

「立希...というより、MyGO!!!!!ですわ」

「チケットは?」

「いいえ?こちら側に来ていただきますわ」

 

つまり、オーディエンスではない。

 

「演者側ってこと?」

「出ていただきましょう、私たちのマスカレードに」

 


 

「ってことなんだけど、どう?」

「それ、祥子が言ったの?」

「そういう命令だったからね。で、どう?」

 

翌日、珍しく起きてる椎名に声をかけてみる。

あんまり気乗りしなさそうだけど。

 

「...私だけじゃ、なんとも。燈とかに、聞かないと」

「じゃあ決まったら連絡くれ、うちの神様は前向きに検討してくれって言ってるよ」

「...ん、わかった」

 

中庭に出ながら、少し考える。

一度見たことある、高松燈。

多分、彼女ならやりたいとやってくれるだろうとは思うんだが。

まぁ、一応返答待ちということで。

 

「...碧さん」

「海鈴?」

「私、信用されてないんでしょうか」

「いやなんでさ」

 

鉄心みたいなツッコミはさておき。

 

「同じクラスなら私か三角さんに頼んでも良かったのに、どうして碧さんなんでしょう」

「それは知らないよ。でもま、信用ないことはないでしょ」

「何を根拠にそんなことを」

「今度の新譜。パッと見3日であれを弾けるベーシストはいないでしょ」

 

海鈴の腕を買ってのことだろう。

 

「なら、良いんですよ」

「...海鈴がいいなら、それでいいよ」

 

心なしかウキウキに見えた。

信用って難しいな。

 

 

 

 

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