ちゃんと書きます、海鈴のも
合同ライブ会議中、ふと思ったことを口走る。
「すっごい無邪気に提案するし気に障ったら全然殺してくれていいんだけど」
「随分と物騒ですわね。そんなことはしませんわ、どうぞ?」
祥子が苦笑交じりに促してくれる。
「CRYCHIC、できるじゃん」
「...それが、何か?」
「sumimiが2、MyGO!!!!!が5、Mujicaも5、CRYCHICが2でちょうどよくならない?」
セトリの話ね、と付け加えると、祥子は少し悩んで、
「いいですわね、やりましょう」
と言った。
「祥ちゃん!?」
「何か問題でも?初華」
聞かれた初華は、少し口ごもる。
「いや、その...忘れたかったんじゃないのかなって」
「勢いとはいえ結成したバンドです。忘れるなんてそんな薄情な」
「でも祥子、CRYCHICも睦も知らないって前言ってたよね」
立希が指すと、祥子が「そ、れは、その」とおろおろしてから、
「...申し訳、ありませんでしたわ」
と、椅子から立って頭を下げた。
「いやいいってそこまでしなくても!解決した、なら、それで」
「立希ちゃん、すごい怒ってたもんね」
「そよりんもね~」
CRYCHIC、という名前が地雷原であることは変わらないが、前ほどの雰囲気にならなくなった、というのは、本人たちで折り合いがついた、ということなのだろう。
「それに、ちゃんと終わりだとは言ってませんもの」
「祥ちゃん、前に『わたくしが終わらせましたわ』って言ってたよね?」
「あの、時は...その、忘れてくださいまし!それより合同ライブの会議ですわ!!」
「...とりあえず、こんなところですわね。では後日、まとめた資料をお送りいたします。本日は皆さま、お疲れさまでした」
祥子の号令で空気が弛緩する。
書記を兼ねている俺は、提案をまとめて資料に落とし込む作業が残っているが。
「...こんなとこでいいかな、あとは書き出して~...」
「碧もお疲れさまでした、書記は大変だったでしょう?」
「いや、あ~...まぁ大変だったけど、楽しかったぞ」
「それは何より、ですわ。明後日までは仕上げてくださる?」
「明後日...了解、データでいい?」
「えぇ」
やはり人に頼りにされるのはうれしいものがある。
5倍以上の速度でキーボードを叩く手が進む。
「碧、ご機嫌?」
「頼られることは嬉しいからね。役に立つことしてるのが一番生きてるって感じするし」
「あお、まっちゃ」
「はいはい」
膝に頭を乗せる楽奈を撫でながら、片手でキーボードを叩いていく。
「...碧」
「ん?...あー...かがんで」
「...うん」
とうとうキーボードを叩く手がなくなってしまった。
「碧は、CRYCHIC、好き?」
「...叶うなら、客席からずっと追ってたかった。でも今、Mujicaに関われて、俺は嬉しいよ」
「...良かった」
撫でていた手がキーボードに置かれ、右肩に睦の顔が置かれる。
と、隣に違う人の気配。
「随分と懐かれておりますのね」
「妬いてる?」
「妬いてないですわ」
「お隣失礼しますわね」と、祥子が隣の席に座る。
「いや、友達取られて妬いてるかなって」
「いえ、むしろ仲良くしていただけで嬉しいですわ」
「碧、いつもありがとう」
耳元でしゃべられてるせいで、少しくすぐったい。
「...いや、俺の方こそ。受け入れてくれて、ありがとな」
「誘ったのはこちらですから。とはいえ、碧の存在あってこそ、今のAveMujicaですわ。感謝しております」
「ありがとう、碧。だいすき」
祥子がびっくりしてるのが横目で確認できた。
「...そういうのはもっといい人に取っとけよ」
「碧にしか言わない」
「...あのな」
「碧、耳真っ赤。かわいい」
睦の弄りをうけながら、何とか資料を完成させた。
モーティス期を経てさらにクソデカ矢印になっちまったぞ、どうすんだ碧(丸投げ)