迷う心の在り処   作:ユイトアクエリア

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36:Masquerade Replayed

合同ライブ会議二日目。

 

「抑えられた会場はここです。武道館ほどではないですが、大きさは十分です」

「昨日も思ったけど、二日間って。うちらそんな曲ないけど」

「碧天伴走、迷星叫、迷路日々、聿日箋秋、焚音打、壱雫空...先方の希望で2曲ほど省略していますが、6曲です」

「それに対してこっちが、AveMujica、KiLLKiSS、Crucifix X、八芒星ダンス、顔、天球(そら)のMusica...と新しいのが1つで合計7曲...ま、できなくはないか。セトリとか演出とか変えれば」

 

合計13曲、sumimiとCRYCHIC、合わせて17曲といったところ。

ライブには十分な曲数だろう。

というか、学生バンドが6曲7曲持ってるのがそもそもすごいってことにならないのは、ムジカにいるせいで麻痺してるのか?

 

「問題は、演出をどう変えるか、ですわね」

「ベタなのはセトリ変更と出演順の逆転、あとは曲のアレンジ...」

「あ、はいはい!前にやった演出をもう一回やるとか盛り上がりますよね!」

 

愛音の意見に、祥子が指を鳴らす。

 

「それですわ!というわけで、武道館ライブの再演をいたしましょう」

「どういう訳?他にもあったでしょ」

 

...なんというか、遠慮がなくなったなぁ。

 

「あれ以上に盛り上がる演出はあって?それに、やりだした張本人が、『他に』なんていうのは無責任じゃありませんこと?」

「え、あれやるの?」

 

武道館ライブの再演、それすなわち、正体の開示の再演。

 

「あれやるんだ、仮面残ってる?」

「事務所の倉庫にまだあったかと。うちの事務所は物持ちがいいですから」

 

ふと、俺がオーディエンスだったら見てみたい演出を一つ思いつく。

 

「祥子。どうせやるなら、こっち(AveMujica)じゃなくて、あっち(MyGO!!!!!)にやらせないか?」

「...面白いですわね」

 

あくまで独断、当然MyGO!!!!!は反対する権利がある。

それを主張するかのように、一人立ち上がる。

 

「ちょっと。こっちの意見も聞いてほしいんだけど」

「立希は反対でして?」

「演技なんかできないし、何より燈に...」

「燈、どうですか?」

 

立希の反論を聞かずして、高松の意見を聞く祥子。

一昔前だったら絶対嚙みついて...いや、そもそもこの状況がありえないのか。

 

「わ、たし...やってみたい、かも」

「燈!?」

「ともりん!いっぱい練習しようね!!」

「うん...!」

 

これである。

なんというか...娘だかを嫁がせて実質的な実権を握る殿様を思い出すような...そんな感じがする。

 

「燈が、言うなら...」

「燈ちゃん、こういう時頑固だから」

「おもしれー」

「...じゃ、そういうことで。全部一任するなら仮面剥ぐ役も変えないとな」

 


 

MyGO!!!!!メンバー一人につき、AveMujicaメンバーが一人ついて、武道館ライブを体に覚えさせていく。

 

配役としては、

 

燈←初華

愛音←睦

楽奈←にゃむ

そよ←祥子

立希←海鈴

 

で、実際の配役もこのまま行う。

 

「ともりんが真ん中なの?」

「何で?」

「ともりん初華みたいにきりっとしてないっていうか...」

「は?なに?」

「りっきーこわーい!」

 

ってこともあったり。

 

「んー...」

「ちゃんとわかったの...?」

「あきた」

「ちゃんと覚えたら抹茶やるからおとなしく覚えろ」

「わかった」

 

なんてこともあったり。

 

「ところで祥ちゃん、なんでこの配役なの?」

「基本はパート合わせとしていますが、貴女が仮面を剝ぐとは思えませんし、立希の相手は同じクラスの方が良いかと思いまして」

「光栄です。手取り足取り指導させていただきます」

「愛音、覚えるの早い、すごい」

「わぁ...!燈ちゃんかっこいいよ!」

「ぁ、ありがとう...」

 

ってこともあったりした。

自分たちが教わったからと言って、他人に教えられるとは限らないとひしひしと実感した瞬間だった。

 

――3時間後。

 

「首尾はどう?」

「いい感じ...というところですわね」

「...おぉ、様になってるね」

 

セリフこそまだおぼつかないものの、動きは完全にMujicaをコピーしていると言っていい。

この分で行けば、1か月後までには間に合うだろう。

 

「通すか?」

「一度やってみるのがいいでしょう。改善点は後でまとめて出せばいいですわね」

「了解」

 


 

『...ドロリス。――我、悲しみを恐れる勿れ』

『モーティス。――我、死を恐れる勿れ』

『ティモリス。――我、恐れることを恐れる勿れ』

『アモーリス。――我、愛を恐れるなかれ』

『オブリビオニス。――我、忘却を恐れる勿れ』

 

仮面をつけた人形が5人、玉座に座る。

 

『さぁさ、時間だ。もうすぐお客様が来るぞ』

 

仮面をつけた背の高い人形が、手を1回たたきながら登場する。

 

『...誰が、来るの』

『ドロリス、前を』

 

『お友達だよ』

『失礼。モーティス、髪を整えておこう』

 

『新しい持ち主になる人』

『ティモリス、襟元はまっすぐに』

 

『今日こそ見つけてもらう』

『アモーリス、身だしなみと笑顔を完璧にしておくんだよ』

 

『一番の自分を見てもらわなきゃ』

『わかってるな、オブリビオニス』

 

長身の人形が2回手をたたく。

 

『ようこそ。AveMujicaのマスカレードへ。今宵はゲストの皆様のために、麗しい人形たちをご用意いたしました』

 

長身の人形は玉座の後ろを歩きだす。

 

『聡明なティモリス、慈愛のアモーリス、心優しきドロリス、気高きオブリビオニス、従順なモーティス。どの人形も一級品でございます。特にオブリビオニス、こちらに』

 

ドロリスとオブリビオニスの玉座の間をすり抜け、前に立つ長身の人形。

手を差し出すと、その手を取って歩き出すオブリビオニス。

 

『どうですか?この完璧な笑顔』

『完璧?ほんと?』

 

アモーリスが疑問の声を上げ、玉座から降り、オブリビオニスに近づく。

 

『仮面がついてるのに、完璧なわけがない。外した方がいい』

 

ステージの中心に立ったアモーリスは、自分の仮面を外し、投げ捨てる。

 

『アモーリス...!』

『聞こえない。モーティスの顔は?』

 

オブリビオニスの声は届かず。

モーティスの仮面を剝いで捨てる。

モーティスは顔を覆ってしまう。

 

『何のつもり?』

『顔見せて』

 

ティモリスの仮面まで剝がされてしまう。

 

『反応ない。面白くない』

 

ティモリスの仮面を投げ捨てるアモーリス。

 

『一度下がろう』

『どこ行くの?オブリビオニス』

 

アモーリスはオブリビオニスの行く手を阻む。

 

『完璧な笑顔なんでしょ?ちゃんと、見せて』

 

オブリビオニスの仮面すら剝がしてしまった。

 

『ドロリス、どうするの』

『ぁ...え、と...』

 

オブリビオニスはドロリスに首を振る。

外さなくてもいいという風に。

 

『っ...』

 

ドロリスは意を決して立ち上がり、自身の仮面に手をかけ、外した。

 

『ふふん。まんぞく』

 

その光景を見たアモーリスは満足げにつぶやき、舞台袖に捌けていく。

 

『...今宵、月の光の下に、真の姿が表れました。しかし、人形でなくなったわけではない。ロフトムーンはまだ、我らのことを...見ていてくれている。どうか落胆しないでいただきたい!それでは皆様、またあとでお会いしましょう』

 

長身の人形がそう締めると、光が消えた。

 

 




わかれ道打ち上げガチャで仮面付けてたから書きたくなっちゃった
MyGO!!!!!サイドでAveMujicaやるのはいいけどAveMujicaサイドでAveMujicaやってくれんだよな?
わざわざティザーみたいなカット入れといて今回きりなんてことはないよな?
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