――力貸せよ。
『オレか?』
――合わせるなら、お前がいい。
『分かった。本当にいいのか?』
――任せた。
『というわけだ』
「えーと...つまりルイナスは、楽奈の真似をするためだけに呼ばれたってこと?」
『そ。「練習するなら音が近い方がいい」ってことだな』
「だからって本物みたいな音出されても困るんだけど」
それはそうだ。
オレだってそう思う。
「というか、そのために呼ばれたお前はどうなの?」
『まぁ...ムジカ以外で出番ないし。ちょうどギター弾きたかったし』
「おまえはそれでいいの...?」
立希の困惑もわかる。
と、立希以外のメンバーから疑惑の目が向いてることに気づく。
『...あれ、もしかしてMyGO!!!!!とははじめましてかな?』
碧とは3度目ましてぐらいだと思ってたんだけどな、そう思っていると。
「...もしかして、モーティスちゃんみたいな感じ?」
と声が上がった。
『近いね、そよ。モーティスよりは単純だよ。ただの二重人格だからね』
二重人格が単純かと言われればそうじゃないけど、少なくともモーティスの無限人格チェンジよりは単純だろう。
「あれ?そよりん照れてる?」
よく見れば、そよの顔が少し赤い。
「照れてない。愛音ちゃんうるさい」
『仲良しでいいことだ』
ムジカのビジネス感も好きだが、やはり今の方が好きだ。
そして、MyGO!!!!!は、それとは違う空気感。
『さて、オレはまだまだやれるけど、どうする?』
「まだやるよ、当然でしょ。次、これね」
『ん~...はいよ、OK』
スコアの記憶はこいつの得意技だ。
記憶の共有ができるようになって、だいぶ楽になった。
もっと、降ろす。
RiNGの野良猫、エキセンティックガール...
『――バンド、やろ』
「ぁ、うん...っ!」
MyGO!!!!!用スタジオから出たオレは、休憩スペースで精神世界に深く潜る。
特に意味もない、体を返すために。
『は~...楽しかった』
「...相変わらず、楽しそうに弾くな」
碧は寂しそうな顔をする。
『当然だろ。...お前は、楽しくないのか?』
「...分からないんだ。楽しいはずなんだ。みんなと一緒に、音楽をやれる。それは、とっても楽しいことのはず、なのに」
『心の穴が、埋まらない?』
そう聞くと、碧はゆっくりと頷く。
いつまでも代替品であるという認識が抜けきらない。
祥子にギターが不可欠だと言われた時、きっと嬉しかっただろう。
それでも、埋まらなかった。
いや。
オレが
碧の理想像がオレ、ムジカの時はオレが出てしまうから、差は広がっていく。
碧のギターを、演技を。
オレは軽々と超えてしまう。
仮面がはがれた時ですら、碧は壊れてオレが出ずっぱりだ。
――オレの、せい。
「難儀だなぁ、自分に悩むなんて」
『...すまない』
「いいんだよ。俺は気にしてない」
『でも、それじゃお前が』
「いいって。俺はイレギュラーなんだってば。泡沫の夢でも、幸せだよ」
空元気で笑うなよ。
自分なんだから、そう思ってることが嘘だってオレが一番知ってる。
それに、これが夢じゃないことは、オレが一番よく知ってる。
だから。
『お前、ちょっと寝てろ』
「いや、いいけどさ。何するんだよ」
『お前がどれだけ愛されてるか、わからせてやる』
予定変更だ。
『ただいま戻りましまし』
「サポートお疲れ様です。浮気じゃなくて安心しました」
『オレにはムジカしかねえのよ、浮気なんかするかって』
――違和感。
「...祥」
「...なんとなく、わかりますわ。碧であって、碧ではない」
祥子には伝わったようだ。
「碧、お疲れ様ですわ」
『さんくす、やっぱ人のバンドの曲って難しいなぁ』
白々しい演技。
...自分が言えたことではないのは、百も承知だ。
「...碧なら、難しい。ルイナスなら、簡単」
『...さすが、モーティス。もうバレちゃうか』
モーティスじゃないけど、とても痛い目線が突き刺さる。
と思えば、すぐに碧がいつも向けるやさしい目になった。
『...ま、いいよ。ついでなんだけどさ』
ルイナスはその場に正座して、一言。
『
「...え?」
頭まで下げて、さらに一言。
『何をしてもいいから、こいつがムジカに必要だって、わからせてやってくれ』
碧くんは自己肯定感カスです
そうしないとムジカメンバー食い散らかすので(??)