迷う心の在り処   作:ユイトアクエリア

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39.5:その後

睦を失った(モーティスに成った)あの日から、睦のことを気にしていると自覚はしている。

本当の姉妹のように育ってきて、お互いの意思もわかると信じ切って、睦に辛い言葉を浴びせてしまった。

その結果でああなってしまったわけだが、繋ぎ止めてくれたのは碧だった。

まだ、ありがとうを言ってない。

だから。

 

「睦...」

 

碧と睦にしかわからない向こう側、そこに自分も行けたのなら。

幼いころ遊んだ「よく喋っていた睦」のことも。

 

――私は、睦のことをもう少し知れたのでしょうか。

 

後悔しようとも、その時間が返ってこないことは、自分がよく知っている。

今はただ、祈るだけ。

 

「ご武運を」

 

二人とも帰ってくると信じて、そう呟いた。

 

 

 

どうしてまだ生きてるんだろう。

戻ってきたくなんてなかった。

余りにも違いがありすぎる。

それに耐えられなかった。

ずっとこれが続くから。

消えたいって思った。

 

「お帰り、碧」

 

そんなの聞きたくない。

まだ生きなきゃいけない。

どうしてもそれだけが辛い。

 

「碧、ですのね」

 

嬉しくもないくせに。

安心しきった顔するな。

頼むから泣かないでくれ。

 

「...ははっ」

 

勝手に一人で病んでたのがバカみたいじゃないか。

もう、どうでもいいか。

 

「...ごめん、ただいま」

「心配かけすぎですわ。後でビンタですわよ」

「今でもいいよ。全員から5発ずつまでなら受ける覚悟はある」

 


 

両の頬がひりひりと痛むのを感じながら、碧は正座をしている。

ひりひりの理由は、全員から手痛いビンタを1発ずつもらったからで、正座の理由は、ただ碧自身が反省の意を示しているから。

 

「本当に心配した。二度と消えたいとか言わないで」

「...すみません」

「分かればいい。碧はわかる子。いいこいいこ」

「...ごめんなさい」

 

正座して委縮している碧と、それを許した睦が碧の頭を撫でている。

 

「むーこ、お母ちゃんみたい」

「...碧さん、だいぶ受け入れているようですが」

「いえ、あれは罪の意識で逃げたくても逃げられないだけですわ。よくわかります」

「祥ちゃん...」

 

碧は碧で、睦に頭を撫でられているのが、そこまで苦じゃないことに自分で驚いていた。

あるいは、甘えることを無意識に避けてただけなのかもしれない。

 

「睦、あの」

「...逃げるなら、次はちゅーする」

「...好きなだけ撫でろ」

「言い方は好きじゃないけど、碧だから許す。いいこ」

 

...この状況が一番ましだから受け入れてるだけなのかも、しれない。

それは、本人にしかわからない。

 

 

 




無数の役割/人格があるなら
親みたいな人格があってもいいじゃないとか思ったけど
みなみちゃんもたあくんも親やってたか怪しいよね
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