本当の姉妹のように育ってきて、お互いの意思もわかると信じ切って、睦に辛い言葉を浴びせてしまった。
その結果でああなってしまったわけだが、繋ぎ止めてくれたのは碧だった。
まだ、ありがとうを言ってない。
だから。
「睦...」
碧と睦にしかわからない向こう側、そこに自分も行けたのなら。
幼いころ遊んだ「よく喋っていた睦」のことも。
――私は、睦のことをもう少し知れたのでしょうか。
後悔しようとも、その時間が返ってこないことは、自分がよく知っている。
今はただ、祈るだけ。
「ご武運を」
二人とも帰ってくると信じて、そう呟いた。
どうしてまだ生きてるんだろう。
戻ってきたくなんてなかった。
余りにも違いがありすぎる。
それに耐えられなかった。
ずっとこれが続くから。
消えたいって思った。
「お帰り、碧」
そんなの聞きたくない。
まだ生きなきゃいけない。
どうしてもそれだけが辛い。
「碧、ですのね」
嬉しくもないくせに。
安心しきった顔するな。
頼むから泣かないでくれ。
「...ははっ」
勝手に一人で病んでたのがバカみたいじゃないか。
もう、どうでもいいか。
「...ごめん、ただいま」
「心配かけすぎですわ。後でビンタですわよ」
「今でもいいよ。全員から5発ずつまでなら受ける覚悟はある」
両の頬がひりひりと痛むのを感じながら、碧は正座をしている。
ひりひりの理由は、全員から手痛いビンタを1発ずつもらったからで、正座の理由は、ただ碧自身が反省の意を示しているから。
「本当に心配した。二度と消えたいとか言わないで」
「...すみません」
「分かればいい。碧はわかる子。いいこいいこ」
「...ごめんなさい」
正座して委縮している碧と、それを許した睦が碧の頭を撫でている。
「むーこ、お母ちゃんみたい」
「...碧さん、だいぶ受け入れているようですが」
「いえ、あれは罪の意識で逃げたくても逃げられないだけですわ。よくわかります」
「祥ちゃん...」
碧は碧で、睦に頭を撫でられているのが、そこまで苦じゃないことに自分で驚いていた。
あるいは、甘えることを無意識に避けてただけなのかもしれない。
「睦、あの」
「...逃げるなら、次はちゅーする」
「...好きなだけ撫でろ」
「言い方は好きじゃないけど、碧だから許す。いいこ」
...この状況が一番ましだから受け入れてるだけなのかも、しれない。
それは、本人にしかわからない。
無数の役割/人格があるなら
親みたいな人格があってもいいじゃないとか思ったけど
みなみちゃんもたあくんも親やってたか怪しいよね