迷う心の在り処   作:ユイトアクエリア

84 / 94
欠ける記憶、進むべき道


51:Memoria Deficiens, Via Sequenda

「ん...ん?」

 

大量吐血で気づいたら意識が飛んでた碧です。おはようございます。

点滴やら酸素マスクやらなんやら繋がれてます、一命は取り留めたって感じかなぁ。

多分いっぱい血吐いたからだろうね、のどが痛い。

 

「生きてるな...」

 

しかしまぁ、ぶっちゃけ死んでもよかった感は否めない。

これから先もきっとこういう事態に直面するだろうし、そのたびに死にたかったなあの時って思うのは避けたい。

まぁ、極論か。

それに。

 

「...死んじゃいや、か」

 

加護と呪いは表裏一体、死ねない呪いは不死の加護。

呪術師、あるいは呪詛師の家系であれば、言霊に呪いを含ませることもできたんだろうさ。

そんなことを思っていると、カラカラと控えめの音が鳴り、病室のドアが開いた。

 

「...碧」

 

祥子だ。

びっくりさせないように、今起きた感じにしておくか。

 

「...ん、祥...?」

「碧!?目が覚めましたのね!よかった...」

 

なんでかびっくりされちゃった。

なんでだろうな。

 

「...俺、何日寝てたの?」

「ざっと...3日ですわ」

「...ギター弾けないかもなぁ」

 

1日のさぼりは3日分の怠り、3日+入院中もまともにギターなんか弾いてないから、勘を取り戻すのに1か月以上かかるな。

ま、俺がギター弾く席が残ってればの話だけど。

 

「皆さんを呼びますわね」

「あぁ、うん...まぁ、生き永らえた、ってだけだろうけど」

「...それについて、お医者様からお話がありました」

 

深刻な表情。

今回は奇跡です、次はないです、とかかな。

まぁ血縁的なもんだし、仕方ないかもな。

 

「今回の碧の病状、お医者様にも分からなかったそうです」

「...まぁ、豊川の血じゃねえかなとは思ってるけど...ん、分からなかった?」

 

どういうことだ?

 

「再検査は?」

「ないものを調べることはできませんので」

「...えっと?」

「...碧の今回の原因不明の吐血、すでに治っている、とのことです」

 

は?

いやいや、おかしい。

血の話だぞ?

 

「えぇ、あなたさんざん吐いたでしょう?その血は」

「まぁそうだけど...体の血ぜんぶ吐けるわけじゃないんだぞ?」

「えぇ、ですがあの量。失血死の可能性だってあったのです。輸血で対応したそうですわ」

「...まぁ、不可能じゃないか」

 

でも、ここは一般病院のはずだ。

そんな高等な技術を持った医者がいるのか?

 

「...あなた、一応芸能人ですのよ?その辺の病院に入れたらパニックになるでしょう?」

「...意識ない推し見てて楽しいかな...」

 

ともかくここは大学病院以上の病院であり、一応は血液置換はできるのか。

まぁ大量に血吐いたし、普通に緊急輸血のほうが可能性高いけど。

なら症状が治まったのも納得は行く。

 

「ともかく、完治おめでとうですわ、碧」

「...完治、したのかね」

 

しばらく血を吐かないだけ、そう考えるほうが心構え的にも自然だ。

完全に治ったわけではないのだろう、きっと。

またいつ血を吐くかはわからないし、心構えはしとかなきゃな。

 

...心?

 

何か、大事な何かを。

忘れているような、そんな感じがする。

 

 

 

 

 

 

 

率直に言って

  • おもろい
  • おもろくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。