2部史上サブタイが一番かっこいい(当社比)
インスト音源の最後の1音が鳴り終わる。
「――っ」
弾き終わった後、達成感があった。
まだ、弾きたい。
けれど、腕がもう動いてくれない。
「碧」
目の前に来ていた祥子が、ギターから俺の指を剥がしていく。
そして、俺の頭を撫でた。
「よく頑張りましたわね」
「...やめろ、恥ずかしい」
とはいえ突っぱねるのもなんだか嫌なのでされるがままにされてると、後ろのほうからコホンと咳払いが聞こえた。
振り向いて見れば、すでに4人揃っている。
「あおこ復活で素直にうれしいとか思ってたんだけど、何イチャイチャしてんの?」
「身内なので甘やかすのは当然ですが」
「...見てたなら言ってよ」
形容しがたい顔をしているにゃむ、いつも通り無表情の海鈴、無表情だけど若干柔らかく見える睦、なんだかめちゃくちゃ威嚇してる初華。
そして慈愛の目で俺を見る祥子。
「ともかく、弾けましたわね、一曲」
「...や、こんなんじゃ」
ムジカとしては、という言葉は飲み込まされた。
「冗談はよしなさい。今の音、皆様どう思います?」
「...そのまま、歌えた」
「隣で弾きたかった」
「あれについてくのはしんどいなぁって思った」
「いいギターでした」
四者四様、褒められていることには違いないのだろう。
少なくとも、俺からルイナスが消えてなお、拒絶はされていないようだ。
そう思ってると、睦が俺の手を取って呟く。
「あれから、練習、した?」
「...してないよ。記憶が教えてくれた」
「ルイナスが?」
「...あいつは、俺に思い出すなって言ったよ」
「...そう」
悲しそうな顔をした。
だろうよ。
「...やっぱ、ここには俺の席はないんだろ」
「え?」
「ルイナスってやつの力が必要なら、呼んでもいい」
「だめ...っ!碧、死んじゃう」
さっきまで無表情だったのに、とたんに焦った顔して止めに来た。
――あいつと向き合った時、血を吐いたのを思い出した。
きっと、そういうことなんだ。
「...別に、死んだっていい」
半ば諦めの様に口から出た言葉は、その場で一番人間らしい人間に反論された。
「ちょっと、変なこと言わないでくれる?」
「事実だろ」
もう止まらなかった。
口からぺらぺらと言葉が漏れていく。
「この場にいる人間は、「神崎 碧」を求めてるわけじゃないんだろ。そもそも、ムジカに6人目はいなかった。俺が座った席は、俺ではなくルイナスの席だった。違うか?」
「違う、それは」
「感情論はいい、事実が聞きたい。ギターができる人間を求めて、俺を呼んだ、そこまではいい。俺の中にムジカの理想像がいたから、俺を切るに切れなかった、そうだろ」
俺の中の推論をまくしたてれば、反論はなかった。
つまり、そういうことだった――
「いいえ、全部が間違っていますわ」
「...は?」
さっきまで俺を撫でていた祥子でも、キーボードを叩くオブリビオニスでもなかった。
Ave Mujicaの女神、オブリビオニスがそこにいた。
「碧。あなた、いつまで自分を下げるおつもりですの?あなたをスカウトしたのは紛れもなく私。ですが、わたくしはあなたのギターの腕を買ったのです。ルイナスではない」
「...だから、そこからの話で」
「ですから、あなたを必要とするのは当然です。私、言ったはずですわ。人生を寄越せと。投げ出すのですか?」
「...一回死んだんだ、もう寄越した人生は消えたよ」
「ならばもう一度、わたくしに預けなさい。その命、死ぬまで使って差し上げますわ」
...無茶苦茶だ。
言ってること全てが正しいようで矛盾している。
「なに、言ってんだよ。全然わかんねえよ」
「ならば、端的に申し上げます。貴方の力を貸しなさい、神崎 碧。あなたの力なくして、Ave Mujicaは完成しません。ルイナスの力などと言って自分を必要としないのなら、私が新しく名前を与えましょう。ルクシスと名乗りなさい。あなたは、私たちの光ですわ」
「...ルクシス...?」
「えぇ。立ちなさいルクシス。私たちの光になりなさい」
きっとこの神様はバカなんだろう。
人間にも親しみを与えるために、あえて抜けている風を演じているのか、それとも。
なんにせよ、名前を与えるのはリスキーだ。また分離するかもしれない。
「言っておきますが、拒否権はありませんわ」
「もし、断るといったら?」
「襲いますわ」
「おそ...え?」
...聞き間違いだろうか?
「神たる私を穢した責任を取ることになりますが、よろしいですか?」
「いやいやマッチポンプじゃん」
「大奥ではよく用いられた手法ですわ」
「大奥でも逆レまではしなかったわバカ!」
...一応高1なんだよな?なんでこんな一般的に下ネタ的な話が出てくるんだ?
一応お盛んな時期ではあるけどさ。
「それで、返事は?」
「はいかYESしかないやつやめような?...わーった。やるよ」
「では励みなさい、ルクシス。Ave Mujicaの光として」
たしか、ムジカの世界観は神話になったんだったな。
片膝をついて、オブリビオニスの手を取る。
「我、ルクシス。あなたの剣となりましょう」
「記憶が戻りまして?」
「いや、見よう見まね」
後ろのフロント組の目線がなんか怖いからこれくらいにしとこう。
立ち上がって一歩引く。
祥子がキーボードの前で2度手をたたく。
「では、始めましょう。ですが、気持ちは大事ですので。今一度、仮初の名を与える儀式を」
各メンバーが定位置につく。
『モーティス』『――我、死を恐れる勿れ』
『ティモリス』『――我、恐れることを恐れる勿れ』
『アモーリス』『――我、愛を恐れる勿れ』
『オブリビオニス。――我、忘却を恐れる勿れ』
『ドロリス』『――我、悲しみを恐れる勿れ』
メンバーを見渡したオブリビオニスが、自身を含めた5人の名付けを終えた。
『そして、ルクシス』
『――我、光を恐れる勿れ』
『参りましょう。黒のバースデイ』
R→Lと意味がネガ→ポジになったのが結構お気に入りポイント、これが俗にいう光堕ち
あと間にXが入るとハートレスっぽくて好き、キングダムハーツミリしらだけど
さて、2度目の生まれ変わり。メグルモノってことですね(??)
率直に言って
-
おもろい
-
おもろくない