ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります   作:テムテムLvMAX

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主人公。そして歯車は動き出す。

「うわ、でっか」

 

 

 入学式の会場を見た僕の第一声は腑抜けた声が出ていた。

 

 クーネさんとシドリーとは割り振られた席順の違いで別れ、一人離れた席につく。

 

 前世の入学式は一般には体育館を利用することが多いだろう、それはアルカ王立学園も同じで体育館に似た教練棟と呼ばれる建物で行う。

 

 ただその教練棟の広さは貴族の館が小さく見える程の面積と、魔術にも耐えられるように頑強に作られた無骨な内装が目を引く。

 

 凄いお金掛かってるねー

 

 なんて、コメントしてみたりするけども、式が始まるまでまだ時間に余裕がある。

 

 

「ちょっとお兄さん、そうそこのお兄さん」

 

「……貴方は?」

 

「ルージュ・プレコット、お兄さん知ってるよね?」

 

「???」

 

「魔術屋のイロハを教えたのは私のおばあちゃんだよ! もう!」

 

「あっ! 孫娘ちゃんか! 久しぶりだねぇ」

 

 

 たまたま遭遇したのは魔術屋のおばちゃんの孫娘、ルージュちゃんだ。魔力のオーブを卸しているとたまに会う位の間柄だったがちゃんと覚えててくれたのね。お兄さん嬉しいです。こっちは忘れてたけどね、面目ねぇ。

 

 三つ編みの髪の毛とタレ目がトレードマークの、可愛らしい小柄の女の子。ヒロインではありません。

 

 うーかわええのう、わし可愛い系よりクール系が好きだけど鞍替えしちゃうかも〜

 

 

「もう孫娘ちゃんって呼ばないでよね、ルージュで良いよ同じクラスだしさ」

 

「了解了解、今後もよろしくルージュ」

 

「ご贔屓に!」

 

 

 うん、あのおばあちゃんあってこの娘ありって感じだよ、将来は商売上手になるな、絶対。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

『これより生徒会長よりお言葉を頂戴する、一同起立』

 

 

 入学式がついに始まり特に問題なく行事は進んでいった。

 壇上に立つのは学園長ハイネス・コーンズウェル、名前の通りメルディエル先輩の血縁者である、祖父。孫に甘いし子供に甘いし学園が好きだと言う教師が天職の人。先代王でもあらせられる人当たりの良いおじーさん。

 

 

「えー学園長です。

 生徒の皆さん、あまり長く話すと怒られるので手短に大事なことを言いますのでよく聞いておいて下さい。

 

 学園では全てが平等に扱われ、蔑まれ貶められる事無い環境であるべし、君たち未来ある子供達を育てている我々も気を付けねばならないが、当事者の君たちもそれを心掛けて欲しい。

 

 それと

 

 競争、結構。

 上下関係、結構。

 ただ、悪徳は許さぬ。

 英雄アルカの信念を忘れず、全ての生徒諸君には励んでもらいたい。

 

 はい、以上。あとは孫にお任せじゃ、頼むぞ〜い」

 

 

 学園長の有り難いお言葉を貰った所でメインイベント来ましたね。

 

 メルディエル先輩が学園長に代わって壇上に立つ、以前出会った時のような柔らかい雰囲気は無く、あるのは畏怖と尊敬を集めるマスターナンバー序列一位『ジャッジメント・ワン』のメルディエル・コーンズウェルの姿だ。

 

 

「おはよう、後輩たち。今日という日は僕も待ち望んでいたよ。

 僕は生徒会長として皆の規範となるべく振る舞っているし今後もそうするつもりだよ、人を導く立場の責任とも言えるかな? 

 

 まぁそんな事はどうでもいい、僕はね毎回している事があるんだ。それは新入生である君たちの意気込み発表。ここへ来てちょっと喋ってもらおうな……えーと」

 

 

 来た。来た来た来た来た! 

 これで分かる、分かってしまう、この世界の行く末を決める主人公が! 

 

 メルディエル先輩が品定めするように指先を顎に当てて新入生たちを見回していく、端から端へ眺め終わると「うん」と頷きその手で指差す、その先に居る人物こそが主人公────

 

 

 

「クーネ・キングガード!」

 

「ひょえぇぇぇぇぇっ!」

 

「「なんだってぇぇぇぇ!?」」

 

 

 ええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!??? 

 

 な、なんでクーネさんが! 

 

 いや待てよ、ゲームでは主人公の出生は明かされていなかったし性別もプレイヤーの選択次第では女性だ、それに親友ポジのキャラクターでヒロイン達の好感度を教えてくれるキャラもいる、それを僕に置き換えるとどうだ? うんピッタリハマる……

 

 いやいや、でもサブクエストの少女だぞ。

 

 主人公が居ないと魔界王詰むし……

 

 

「の、隣のアシュレイ・アルガナン君!」

 

「えっ」

 

「ほっ……」

 

 

 ────ふざっけんな畜生めー! 

 

 

 盛大にフェイントしやがってオラァン! クーネさん主人公説本当に考えちまったあ! 無駄にひやひやさせやがってこの拗らせて主人公にストーカーしちゃう系ヒロインがよぉ! あることないこと言いふらしてやろうかぁ! 

 

 

「あ、あぁ、アシュレイ……で、です!」

 

 

 落ち着け僕、大事なのは生徒会長への異議申し立てではなく主人公アシュレイ・アルガナンだ。

 

 容姿は主人公らしくキリッと整い爽やかな印象、身長もメルディエル先輩と比較してやや高め、公式サイトでメルディエル先輩は175はあるって書いてあるから180は硬いか。

 

 僕? 165、何だよ小さくて悪かったな。

 

 イケメン、典型的な好青年、褒めるところしか無いな? これだから顔面偏差値上位者はさぁ……

 

 

「い、意気込み? ですけど……その、はい、え、ええっ……うぅ恥ずかしぃ」

 

「さぁ勇気を出して、君を知ってもらおうよ、ね?」

 

 

 メルディエル先輩のフォローが光る、その子下手したら貴女のフィアンセですよ

 

 

「はい────私はこの学園で成し遂げたい事があります、両親の為に世界を見て回る為に冒険者になりたいんです。そして世界に隠された遺跡を巡り魔界や精霊界を深く探求したいです! 

 あの、い、以上です」

 

「うん良いね、いい目標だよ」

 

 

 さて、このあとは荒れるので割愛、なんせ学園トップが何の条件もなしに弟子を取るなんてあり得ないもんね。

 

 

 

 

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