ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります   作:テムテムLvMAX

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悪夢。そしてヒロイン。

 順風満帆な学生生活、なんてものは置き去りにしたまえ。

 

 望むのは安寧秩序、魔界王無き世界。

 

 であるならば備えよ、蓄えよ、他者すら利用し勝ち取れ。

 

 英雄の子孫を言い包め説き伏せ惹き付ける、薬や魔術を使っても良い、お前がそのもの達の伴侶となり()()となるのだ。

 

 

 忘れるなアシュレイ・アルガナン

 

 

 ────お 前 が 英 雄 に な る の だ

 

 

 

 

「ウワァァァァァ!!??」

 

 

 な、なんなの。なんだったの今の……ぼ、ボクの夢なの? あんなの見たこと無いのに。

 

 村が燃えていた、火の粉が舞って村人が逃げ回る。その中で一人の人間がボクを見ていた、あの人を知っている? 分からないけど何故か懐かしいような、それでいて寒気立つ視線だった。

 

 

「ふぁ〜、朝からなんだ? アシュレイ」

 

 

 エリン君を起こしてしまった……ごめんね

 

 学生寮は同じクラスの二人で一室、基本的に同性で組まれる。ボクとエリン君はクラスが変わらない限り同室になる、ごめんねこんな人間が同室で面倒くさいよね……

 

 

「夢見が悪いのかな?」

 

「うん、ちょっとね」

 

「悪夢だった?」

 

 

 悪夢……じゃないかな、あれはきっとボクの被害妄想だ。気持ちが不安定になるといつもそうだ、いつものことだから良いも悪いも無い。

 

 

 

「違うよ」

 

 

 でも、寂しい夢だった。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

「違うよ」

 

 

 

 

 違うよ、か。ならなんでそんな憂鬱な表情で話すんだ? 隠し事下手くそだよアシュレイ。

 

 アシュレイと同室になれたのは幸いだった、イベントの発生を直ぐに察知出来て対策が立てやすいと思っていたがこんなに早く『悪夢の宣告』が発生するとはね。

 

 正直焦るな、イベントがイベントなだけに。

 

 ゲームでの『悪夢の宣告』というイベントはメインストーリーで明かされない主人公の謎を解き明かすサブイベントだ。

 

 イベント発生は序盤に起きるが達成するには最終盤まで掛かる、どのヒロインルートでもこのイベントを完走しないとトゥルーエンドにならない、なのでやり込むプレイヤーにはこっちがメインストーリーになる。別にヒロインで展開が変わるものでもないしね。

 

 まぁ僕の目的はあくまでも魔界王の討伐、トゥルーエンドになってもならなくても良い。むしろ今は現実なこの世界でそんな事に時間を掛けるより被害を出さないように急ぐ方が万倍効果的だ。

 

 すまんなアシュレイ、その悩み抱えたままエンディングに向かってくれ。その後ならいくらでも教えてあげるさ。

 

 

「なら良い、あまり気にするなよ? たかが夢さ、夢」

 

「そうだね」

 

「それよりも、こんな夜中によくも起こしてくれたな」

 

「あはは──許して?」

 

「ダメです」

 

 

 罰として僕の考案した安眠グッズの実験台になっていただいた、強制的に視界を奪うアイマスク、音を全てシャットアウトする耳栓、スライムのように形が自在の枕、などなど。

 

 翌朝アシュレイに使い心地を聞いたら評判は悪かった、スライム枕だけはまともに商品に出来そうと言うがその顔は苦虫を噛み潰したようだった。そんなに気持ち悪かったか……結構気持ちいいのに。

 

 

《エリン、ちょっといいかの?》

 

《コウテン様、何用ですか?》

 

 

 朝のホームルームでコウテン様から念話が飛んできた。

 今はクーネの実家に居候して暇になると僕に話を振ってくる、基本的に自由人だからいつ来るかと構えてないとビックリする。

 

 

《ワシも学園に通いたいのじゃ、なんとかならんか?》

 

《無理かな》

 

《即答?! なんじゃお主契約者を袖にするのか!》

 

《袖も何も竜族と人族が同じ学園で生活出来ます?》

 

《むぅ》

 

《どうしてもと言うのなら学園長にでも掛け合って下さい、御自分で。貴女の名前を明かせば簡単に入れてくれますよ》

 

《そうか! なら今すぐ行動じゃ!》

 

 

 今すぐ、今すぐ? え、今くるの? 

 

 あ、気配がどんどん近くに来てる、はっや全速力じゃないか、馬で一日掛かる距離なのにあと五分もすれば学園に着くぞこれ。

 

 

 ──ぼくしーらない

 

 

 もうこれは棚に上げておく、知らん。

 

 さてと、ホームルームが終わり一限目の授業だが歴史だ。すまん歴史は既に終わらせた身だ、聞き流すついでに今後の方針を固めさせてもらうよ先生。

 

 確かめたいのはアシュレイのヒロインだ。ハーレムなら僕の出る幕は無い。うらめしや。

 

 各ヒロイン毎に固有のイベントがあってエンディングがある、どのヒロインでも結果は魔界王の討伐に集束する。

 

 だから大事なのはその過程だ、酷い分岐ルートに入るとマスターナンバー全員と主人公とヒロインとか言う地獄のマッチングを組むことになる、クソゲーなので回避して欲しい、これだけは絶対に。

 

 

 ふむ。となると僕はどういう立ち回りで生活すべきか見えてくる、アシュレイの恋愛アドバイザー、そしてヒロイン達のメンタルカウンセラーだ。修羅場にならないようにね。

 

 それにアシュレイとヒロイン達の動向をある程度操作出来ればマスターナンバー全員が結果として味方になってくれるかも、生徒会長あたりから号令出してくれたら従う筈だからね。

 

 

 こうやって具体的に魔界王対策が見えてくると安心する。しかしまだ足りない、魔界王は強い、僕達は強くならねば。

 

 

 ──修行(レベリング)するか。

 

 

 

 

 

 

 

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