ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります   作:テムテムLvMAX

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修行。そして修行。

 魔術屋のエリンでーす。年収は既に100万フォルを超えた男です。どやや。

 

 

 さぁそんな男が学園で何をするのか? 

 

 決まってますよね、修行です。

 

 アシュレイがいずれ魔界王を倒すその日まで僕も生き残らなければならない、金魚のフンもいつまでもくっついて居られないのと同じ様に彼が折れたら僕も折れる時、だから背中を押してやらねば。その為の修行なのだ。今キツイなら明日は楽になる、そんな感じでやっていこうと思います。

 

 

 

「ミラン先生僕に魔術を教えて下さい」

 

「君は、錬魔術の子だったね。魔術の何を知りたいのかな」

 

 

 修行となると頼れるのはやはりミラン先生になる、魔術を教えるのはどの教師も同じだけどミラン先生はより特化している魔術の人だ。

 

 絶界魔術を超えようとしたチャレンジャーであり、その代償に両目と心臓以外の内臓を支払った狂気の魔術師。一般には伏せられた情報だけど僕には前世知識がありましてね、筒抜けなんですわ。

 

 それがミラン・クエストス。

 

 教わるならうってつけだと思わない? 

 

 

「絶界魔術ってあるじゃないですか」

 

「そうだね、君ならその内たどり着けるさ」

 

「それはそうですとも。でも聞きたい事はその上、『極界魔術(きょくかいまじゅつ)』なんっ!?」

 

「どこで聞いたッ!」

 

 

 一気に激昂したミラン先生に胸ぐら掴まれて壁に押し付けられる、大の男が引き剥がせない力でだ。

 

 軽く抵抗しているけど離れる気配がない、絶対に許さないという意志を感じる。

 

 

「ぐぅっ……せ、先生、これは僕が自力で辿り着いた結果ですよ」

 

「自力? オレの過去を? “あの時”全て燃やしたはずだ!」

 

 

 押さえる力が一層強くなり、とても生徒に向けて良い視線じゃない射殺すような人殺しの目をしていた。

 ちょっと不味い、死にそう。

 

 

「あの時がどの時かは知りませんが、うっ、図書館の古い文献に走り書きがあったでしょ? 端の方に、ね? 『逆さ水晶』の実験台に使っていたら、偶然……」

 

「そこから辿り着いたのか? それだけの情報で?」

 

 

 無言を貫く、『逆さ水晶』というのは物体の過去を見るアイテムだがそんなものは方便だ、実際は事前に知っていたのだから情報に対する嘘の理由付けである。

 

 無言のまましばらく見つめあい、先生は折れてくれたようだ。

 

 

「……これだから錬魔術師は油断ならない、良いでしょう、君なら教えて上げますよ。死んでも知りませんけどね」

 

 

 胸ぐらを掴む力が抜けやっと解放された、何気に人よけ魔術も使いやがったな、返答間違えたら殺されてたかも。

 

 ミラン先生の過去は外伝漫画『アシタナイト 英雄を目指した人々』に描かれる、遂にゲーム飛び出した設定が出てきたが公式のお出しした設定は絶対。

 その中でもミラン先生に焦点を当てた話『狂気の魔術師』というのがある。

 

 狂気の魔術師、そう呼ばれて居たのはミラン先生が若く英雄に焦がれていた頃。

 クエストス家は『神話の五英雄』の一つデイリンド家と因縁があった。神話の時代のクエストスとデイリンドは大層仲がよく子供らを結婚させたがその子供夫婦の仲がすこぶる悪くなり両家を巻き込んだ喧嘩、いや紛争が起きてしまいそれ以降絶縁状態、顔すら合わせない。

 

 クインティアも問答無用で絶界魔術の行使を厭わないだろう、筋金入りの不仲なのだ。学園だから自制しているだけである。

 

 そんなクエストス家、デイリンド家と覇を争う魔術の家柄なのでどうしても才能を求められ、力が尊ばれた。

 

 そういう環境で育てばミラン先生が禁忌に手を出すのは仕方のないことだったかも知れない。

 

 精霊界に住まう精霊ではない霊獣と呼ばれる尊き獣を無理矢理自分の体に封印して魔力リソースにしてしまった、それで霊獣の長『グランシルフ』の怒りに触れたミラン先生は内臓と両目を喰われて失った。今も生きていられるのは封印した霊獣を元に編み上げた『極界魔術』があるから。

 

 霊獣を体内に封印するという誰も思いつかないこの悪行、近代魔術史に残る大事件として事細かく情報を残した魔術師が居たのだが……消された。

 

 まぁそれが決定打となりクエストス家からは追放を言い渡され、姉のミリア先生がクエストス家当主となってからやっと復帰した。

 

 そして姉と共に学園へ来たのだった。

 

 

 というのが僕の知るミラン先生。

 あくまで推理、という形で全部本人にぶちまけたら

 

「そこまで分かるのかい? 錬魔術って怖すぎるよ……」

 

 と、言われた。大丈夫ですよこんな事するの僕だけですから。

 

 

「エリン君、私の過去を知ったからには逃さないからね?」

 

「そんな厄介彼女みたいな事言わなくても……」

 

「君はそれだけのことをしたんだよ、誰にでも秘密があるし知られたくもない。知った君には知った罪があり、知られた私には知られたが故の権利がある。そう思わないかい」

 

 

 そうだった、ミラン先生って懐に入ると面倒くさいキャラだった。それだけ仲間だと思われて心開いてるってことなんだけど、面倒くさいなぁ……

 

 

 極界魔術習得のための仕方ない出費だと思えば安いかな。うん。

 

 

 

 

 

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