ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります 作:テムテムLvMAX
グッドアフタヌーン、エリンだ。
エイツの横槍でクインティア嬢をお誘い出来ずにあの時は引き下がったが出直して放課後、今度こそクインティア嬢をパーティに入れたい。
首を縦に振るまで帰さーん! とアシュレイにも言って聞かせた、あからさまにドン引きされた。
これは君のためにやっているのだよアシュレイ君、イケメンだからちゃちゃっと落してヒロインにしろ。
校門前で待ち伏せてクインティア嬢を見つけた、取り巻きはご丁寧に退場していただく。
「クインティア様、少しお時間頂きたい」
「まぁエリンさん……とアシュレイさん」
「所詮ボクはついでだよ、ついで……アハハ」
凹むなお前がメインだからな?
近くにある噴水広場のベンチに腰掛け少し落ち着いて話せるように自作のお茶と茶請けを用意する。お貴族様のお話には付き物だ。
「お話というのはダンジョン実習のパーティですわね?」
「えぇそうでございます」
「そこまでワタクシに凝る必要は無いのではなくて? 貴方、何か善からぬ事をお考えですこと?」
「ほらぁエリン君疑われてるよ」
「確かにデイリンド家の令嬢となれば疑う事もあるでしょう、しかし僕は学生のクインティア様にお願いしているのです」
「ふふふそれにしてはかしこまった言動ですわね? 同じ学年ですのよ?」
「ハッ!? これは一本取られましたね」
ぐぬぬ商売人のサガで貴族には丁寧になってしまう……くやちい。おいアシュレイ隣でニヤニヤするな顔面にスライム乗せるぞ。
「そこまでワタクシに望むのなら一つお願いを聞いてくださらない?」
ん? お願いとな、思い当たる節があるにはあるが……多分違うよなぁ。分からん、何だろ。
「『惚れ薬』が欲しいのですわ」
「惚れ薬、ですか。訳を聞いても?」
「えぇ良くてよ。
エイツ・エルジャンはご存知でしょう。あのお方はワタクシの許嫁、婚約者に当たる方なのですがハッキリ言って好みではないのです。ですが婚約破棄をしようにも婚約を決めたのはお父様、貴族の宿命として家のために尽くさねばならない事も承知してはいます」
「成る程。僕にも想像出来ました、頭では理解出来ていても感情が納得出来ていない。なので、相手に断らせるべく惚れ薬を使って自分以外の婚約者を見つけてもらおう、そういうわけですか」
「察しが良くて助かりますわ」
「そういう事でしたら惚れ薬を差し上げましょう」
懐から常備していた薬を取り出して錬魔術で調合する、小瓶に移し替えたピンク色の液体が惚れ薬。
シドリーには断られたがクインティア嬢には売れた、毎度あり〜
「え~と、ボクは知らないフリをしたら良いのかな?」
「「君は何も見なかったし聞いてない」」
「ッス」
はい、クインティア嬢を変則的にではありますがパーティに引き込めたのでした。ちゃんちゃん。
で、終わるはずもない。クインティア嬢はイベントを進める上でパーティに加えないと駄目だ、だがこの時点でエイツがクインティア嬢と関わりを断つとイベント進行に歪みが出てしまう。
エイツがトリガーとなっているクインティアルートのストーリーの大半が消えるので、超えるべき困難が無くなり成長出来なくなる。かと言ってエイツは毒にも薬にもならない阿呆なので居ないなら居ないでいい。
「おやおやまた君か……ノーマルクラスの生徒は礼儀を弁えないね?」
下校中のエイツに見つかった、こいついちいちうざいな。
エイツはエルジャン家の威光を傘にして好き放題振る舞う馬鹿だ、『アシタナイト』で敵キャラといえばコイツが満場一致で一位に選ばれる。
何よりもプレイヤーからヘイトを買う言動が多い、こいつのせいでモニター素手で叩き割ったやつが居ると噂が出てくるほどだ。
「何度も言うけど人の婚約者に手を出さないで欲しいな?」
「ですがここは学園、貴族と言えど交友関係まで指図される覚えはありませんよ」
「そんな事本当に信じているのかい? エリン・サーディブル。どこまで行こうとも貴族は貴族、平民は平民なんだよね。身の程を知ってくれよ? 馬鹿じゃないんだからさ?」
あーイライラする、こいつほんま煽りの天才やな。
僕がクインティアだったらグラビティデス使って跡形も残さず消してるわ。
「エルジャン様、ここはお引取りを。ワタクシ既にエリンさんのチームメイトですわ」
「何を考えている? 君は貴族だよ、誰もが望む力を持った選ばれた立場の人間なんだよ? 石を投げれば当たるような凡人と組むなんて間違っている」
「でしたらエルジャン様はご自分は非凡かつ唯一無二だとおっしゃられるのですか? ワタクシにはそう聞こえます」
僕の位置からはクインティア嬢が握り締めた拳が出血したのか手から赤色が滲んでいるのが見えた。僕達の為にそこまで怒ってくれるのか。
「あぁ気を悪くしたねクインティア、君はとっても強いから僕も敵わない。けれどそこの薄汚い売人や根暗なポンコツとは天と地ほどの差があると自負しているよ」
「貴方ッ! 言って良いことと悪いことがありましてよっ!」
「だったらどうするのかな?」
──決闘ですわ!
やめろ、僕は気にしていない。と言いたかったがその前にとある人物が二人の前に現れ高らかに宣言する。
「よろしい! 生徒会の名のもとに決闘を認める。見届人はナンバー15、ディリアル・セニルスが引き受けた」
『ルールゲイザー』ナンバー15がそこにいた。