ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります 作:テムテムLvMAX
クインティアの決闘は双方の提案で翌日に行われる、元々予定されていたダンジョン実習は繰り越され三日後になった。
クインティアがエイツと決闘するのは本来ならもっと後のイベントなんだけどね……
原作のクインティアはエイツに不満を溜め込んで嫌がらせの為に主人公とパーティを組んだ、でも僕はコチラからパーティに誘い惚れ薬を渡した。
ふむ、この差異がイベントを歪めたんだろう、迂闊だった。
変に焦って強引に進めた事が原因だとするならこれは僕の失策、受け止めて次に活かそう。
反省はここまでにクインティアの決闘の勝敗は気にしなければならない。
「クインティア、決闘についてはどれほどの経験を?」
「嗜む程度には。ですが家の者が相手でしたので本当の実力は知りません、まぁ何とかなりますわよ。それとエリンさんは今ぐらい砕けた方がよろしくってよ、ワタクシそちらのほうが好きですわ」
あらどーも。
今は、明日の決闘が不安だからクインティアの部屋で作戦会議をしている所だ。原作ならこの決闘だけではエイツの態度は変わらないだろうしクインティアもそこまで大した変化は無いはず、大事なのは勝つ事。
決闘で決まったことを決闘以外の手段で翻す事は大きな不名誉となり貴族であることを誇るエイツはそれを物凄く気にする。
だから勝てばクインティアの主張を力づくで分からせられてエイツも世間体を気にして手を出すことも無くなるだろう、比較的少なくなるというのが本当の所だが。
「エイツの戦闘技術は知っているか?」
「一通りは、それは向こうも同じでしょうね」
お互いに手の内は知っているなら僕のアドバンテージは活かせそうにないか、エイツが得意とする魔術は原作から知っているし戦い方も知っている。
エイツは障壁魔術が得意でその見下した態度と同じ様に上から押し潰す戦い方をする。それに剣の腕も悪く無い、障壁に防御を任せた攻めの剣術を使う。
魔術剣士と呼ばれるスタイルだ、純粋な魔術師のクインティアとは相性が悪い。ただ重力魔術が相手に移動制限を掛けやすい事もあって不利という不利は少ない。
「エイツには勝てそうなのか?」
「数ヶ月前に手合わせした感覚だと五分五分の勝率ですわね、ワタクシの全力は出せないにしてもエルジャン様は強敵ですわ」
クインティアの入学テストで見せたあの絶界魔術は間違いなく誰でも殺せる魔術だった、英雄なら喜んだけど人の社会で生きるにはあまりにも強すぎる。クインティアの負け筋はそれに気をかけすぎて手加減しすぎることだ。
この決闘の勝敗は読みづらいな……
今は彼女を信じるしか無いか。
「クインティアは強い人だ、負けないよな?」
「当然勝利しますわ? ワタクシのチームメイトを貶した償いは、きっちりさせますのでどっしりお待ちさない」
「うん、期待しているよ」
◆
「……とは言ったけどなぁ」
自室に戻ってから一人呟く。誰にも聞かれない言葉はどこかに消えた。
何とかイベントを良い形に終わらせたいと行動しているけど、知ってるイベントが順番めちゃくちゃになって進行してるから分からない事だらけだ。
今回の決闘イベントにどうやってアシュレイを絡ませれば良い、アシュレイのヒロインにしないと不味いのは分かっているんだ。早めに手を打たないと……でもどこで? 不自然な介入は不和を生む、バットエンドは嫌だ。
「はぁ……」
ため息しか出ない、なんでこんなに思うように行かないんだろ
「お、おーいエリンくん」
「なんだアシュレイ」
「いやあの悩んでそうだから声を掛けたんだ……同じ部屋の仲間だし……ダメだったかな?」
モジモジしながらアシュレイが心配して声を掛けてくれた。
「アシュレイ、話があるからここに座ってくれ」
「ひょっ、う、うん。お邪魔します」
お邪魔しますってなんだよ。
俺のベッドに二人で腰掛け、僕はアシュレイにこう言った。
「アシュレイ、クインティアは好きか?」
「は? ま、まぁ嫌いじゃないけど……」
「恋人にしたいか? 結婚したいか?」
「いやそれはどうかなボクには高すぎる華だし釣り合わないし……」
「釣り合うならしたいか?」
「そりゃあんなキレイな子なら……ってなんでこんな質問するのさ」
「野次馬根性」
「君ってそういう事言うんだね、ボクがクインティアさんとくっついたらひたすらイジるんだね? そうなんだね?」
「そうかも知れない、そうじゃないかも知れない」
「なんでそこで煙に巻くの、普通に認める所だよそこ」
「アシュレイが生涯独身にならないように優良物件をオススメしているのだ、ありがたく思え。そしてくっつくなら早いほうが良いぞ、なんならフォローはいくらでもする」
「……なんかおかしくない? 今のエリン」
みっともないことに八つ当たりだ、ごめんなさいするからもっとして良いか? 思い通りにならないことにイライラするなんてまるで魔王じゃないか、恥ずかしい。
この日はアシュレイに謝罪をしてもう寝た。
いつもより早い就寝だ、イライラする自分にイライラするのはもう疲れた。