ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります 作:テムテムLvMAX
はい金魚のフンです(未来)
魔術屋のおばちゃんが帰ってきません、もうかれこれ一週間は姿を見てないです。
これでは止めようにも止まらない、この調子なら隣町まで行ってそうではある。
もうどうしょうもないのでこの一週間に錬魔術の練習がてらあるアイテムを製作してしていた、『アシタナイト』プレイヤーの皆様おまたせしましたね……
作中屈指のクソキャラぁ! を一撃で葬り去るプレイヤー三種の神器の一つ『蛇の短剣』でござい。強力なダメージデバフ『猛毒』を敵に高確率で付与するチキンプレイのお供。
どのルートにも序盤で必ず出会うモンスターがいましてね、それが『ワイバーン』と言う空飛ぶドラゴンモドキトカゲでありまして必ず確定でバグ使っても回避できずにプレイヤーを殺しにくる、しかもそれが負けイベではなく固定エンカウントなの。
ゲーム的にはまだセーブ出来ず負けたら最初からやらされる安心のクソ仕様。
学園と主人公の住む家の間に『学園街道』と言うフィールドが存在しているのだが、そこには大きな川が流れそこに掛かる橋を乗り越えないと学園に辿り着けない、その橋に固定エンカする『ワイバーン』が設置されているのだ、クソ。
しかもかなり後半のダンジョンのモンスターなのでステータスが高くほぼ一方的になぶり殺される、またクソ。
突破するには一度ゲームオーバーになってやり直すか、序盤で作るにはコストが掛かりすぎる『蛇の短剣』の猛毒に頼って倒れるまで粘るか、この二択。
僕が知る限りかなり初期のアップデートで消えたはずなんですが隣町から流れてきた人が「学園へ向かう橋でワイバーンに家畜をやられた」と噂を広めていた、そうなると僕のようなか弱い人間にワイバーンなんて倒せる筈もないので万が一出会ったらぶち転がす為に『蛇の短剣』を作ったんです。
これのために5万フォル消し飛んだ、絶対殺す。
おばちゃんが戻ったと聞きつけ魔術屋へ出向くと興奮気味に話しかけてくる、なんか若干血走った目が怖い。あれ絶対寝てないよ……
「坊っちゃん‼良いの見つけてきたよ!」
「はぁ……?」
「名付けて『エリンの魔術商店』でどうだい? もう看板も注文したけど」
「いいんじゃないっすか!?」
なんで本人の意向丸無視して看板も用意してるんだよおばちゃん!!!
あの日から更に2週間して帰ってきたおばちゃんが出会い頭に捲し立ててくる、とても良い人なのは分かるでも本人置いてけぼりはないよぉ、しかも開店資金おばちゃん持ちでしょ? 断れないじゃん。
ということで僕ことエリン・サーディブルは11歳の誕生日に店をプレゼントされましたとさ。
両親に説明したら「「いつかお前ならやると思っていたから」」も口を揃えて言われてしまった、普段からそんなこと思われてたのか……そんな事は無いはずなのに……あっ同年代と遊ばずに錬魔術の訓練しかやって無いわ。十分おかしな子供ですわ。
「仕入先や商品の陳列は教えてあげるから坊っちゃんが売りたい商品を考えなさい、作るなら素材を取引先から取り寄せるから早めに言うんだよ?」
嵐のように来てから嵐のように去っていったおばちゃんの背中を見送りながら任されてしまった店舗の経営方針を考えるのだった。
「あっ! 魔力のオーブまた値上がりしたから追加よろしくね! じゃ!」
……これで本当に去っていたおばちゃん、僕の店には自分が使いたいアイテムを卸すとして、金策用の魔力のオーブも量産しよっと。最近やっと強化するためのコツが分かってきた。近いうちに形になったら売り出そうかな。
◆
「エリンさん『癒しのハープ』一つ!」
「こっちは『落雷の杖』が欲しいんじゃが?」
「あのー『ホーリーシールド』って取り扱いあります?」
「あれ──」
「どの──」
「──―これ」
「エリンさんあの私──」
────
──―
──
―
忙しいぃぃぃ……仕事に、仕事に殺される(プルプル)
おばちゃんに店を貰ってから3年たった、僕も14歳になり大人の仲間入りといっても過言ではない年齢に成ったわけだが、現在寿命が縮む勢いで仕事をしている。
接客しつつ商品を作り魔術屋のおばちゃんへ卸すアイテムの製作と在庫管理、売上の計上、その他諸々……裏方として両親に働いてもらわなかったからすぐに潰れたね、この店。
自分でもびっくりしたけど僕って商才があるみたい、おばちゃんは占い師もやっているようで初めから分かっていたと最近になって聞かされたからちょっと信憑性は無いけど、商才が爆発して3年で隣町含め最も繁盛している店となることが出来た。
子供が店長と言う事で敬遠していたお客様達に僕の錬魔術の腕前を店頭で見せてやればコロコロっと手のひらを返して商品を買って行ってくれる
この世界の格言に「人は嘘をつくが、魔術は嘘はつけない」と言うものがある。ついに強化するまでになった僕の錬魔術は地味ながらもお客様の心を納得させる技術が詰まっていると言っても過言ではない。
「あの、エリンさん!」
「はいお客様、いかがされましたか?」
同年代のお客様のお呼び出し、一体何が気に食わなかったのか、それともクレーマーか? 何にせよ丁寧に接客しよう。