ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります 作:テムテムLvMAX
高性能金魚のフンです。
突然ですが皆様、ゲームの進行上で重要じゃないストーリーってあるじゃないですか。
サブイベント、サブストーリー、サブクエスト、呼び方は色々有るけれどもそのメインじゃないストーリーって、簡単な説明文とか添えられていることが多いよね、フレーバーテキストってやつ。
【少女の涙が落ちる時】
そんな名前のサブストーリーがアシタナイトにはあった。
主人公が学園へ向かう前に発生するイベントで、内容はとある少女の両親を助けること。
主人公が両親の元を訪れ、情報収集をする。そこで病の正体が呪いだと言う事を主人公は気付く、この気付き方が主人公の謎の一つ、いわば伏線なのだが今は置く。
集めた情報から探索しつつ原因究明する。ここでは少女の家柄が元貴族であることが発覚する、そこから主人公は出自絡みの事件だと推論し捜索対象を絞り込む。
そしてだ、呪いが一体誰の思惑で掛けられたのかが判明する。少女の両親を呪ったのはジーシー家の長男だと分かる、ジーシー家の長男ダッドリーは貴族に恨みがあり、元貴族である少女の両親、特に父親の方に八つ当たり気味に呪いを掛けたのだとか。
これを主人公は拳で説得した後に解呪させ、ダッドリーを王立司法機関へ引き渡すことで決着。
これがサブストーリーの全てだ、ここでは別に少女の名前や貴族としての階級などは出てこない。所詮サブはサブなのだ。
ただしこれはゲームの話、サブクエストの少女はクーネと名前を持っているしご両親だってそうだ。今は現実なのだから何が起きても不思議ではない。
「まぁそれも可能性の話か」
「可能性?」
「クーネさんの将来がふと気になっただけですよ」
「将来は学園で【マスターナンバー】入りです!」
……クーネさんも大きく出たな、いや学園を目指すなら自然か。長い道のりになるぞ? 応援してるからな、僕は金魚のフンで十分さ。
では改めてマスターナンバーとは、学園の序列制度である。
何百人といる生徒の中から優れた才能を持ち、実力を示した選ばれし生徒。1から15まで割り振られ、1が最も優れている生徒、全てに置いて抜きん出る完璧完全の傑物が選ばれる。
マスターナンバーは学園での特権が与えられ授業免除、学歴保証、王立施設への就職斡旋、王族への面会すら許される。
アシタナイトのメインストーリーでは主人公を鍛える師匠ポジでメタ的にはエンドコンテンツだ、1位を倒せば作中最強のボスへの挑戦権を得る。
正直近寄りたくない人物ばっかりで全員一癖も二癖もあるキャラなので僕のメンタルでは対応しきれない。
「おーい、エリンさん? 考え事ですかー?」
「しまった。すいませんね、マスターナンバーについて考えていたのですよ」
「それも良いですけどもう私の家に着きましたよ、どうぞ中へ、両親をお願いします」
「はい、お任せあれ」
◆
クーネさんのご両親、僕の見立てなら余裕で助かる。この事はクーネさんには伝えてある、当然ご両親にもだ。
そして話を聞く限りご両親の病は呪いで、犯人もダッドリーで間違いなさそう。
正直証拠探してウロウロするのも面倒なので手っ取り早く呪いを解除しちゃいますか。
皆さんはこう思ったこと無いですか?
──いやそれ主人公の魔術(アイテム)でどうにかなるやん
ありますよね? ストーリーの進行上死んでしまうキャラに対して今蘇生アイテムあるんだけどって思いません?
またはワンパンで倒したのにムービーになると敵は余裕綽々で主人公は満身創痍、ちょっとモヤモヤしますよね?
でもそれってリアルには無いんです、当たり前ですよね?
「ここに『破邪の秘封鈴』があるじゃろ」
「えっ!?」
──チリンチリン
ステータスの半分にするデバフ『呪い』を解くアイテム『破邪の秘封鈴』を使いご両親の呪いを解除しました。
『破邪の秘封鈴』は呪いを吸い取り自壊することで呪いを帳消し出来る使い捨てアイテム、『魔力のオーブ』を売り捌いた大金で素材を買い漁り2、3個作っておいた。
一般には出回らない希少なアイテムなので1個で家が建つ値段がつく、魔術屋のおばちゃんに見せたら血相変えて「それは市場に出したらダメ、量産もダメ、貴方だけが使いなさい」と釘を刺されるくらいにはヤバい代物のようだ。
ゲームだったらレア度にして10段階の内の4、このレア度から市場に出せないと言う事だろうか。作るのは割りと簡単なのに。
まぁ何にせよサブクエスト完、起承転結の起と結しかないけど良いよね、誰も不幸にならないし。
「え、終わり?」
「はい、終わりです。ご両名は呪いから開放され元気になりますよ」
「あ、あっさり……私があんなに悩んだのに」
「人生の悩みの大半は他人が答えを持っていると言っていいでしょう、それを聞き出せるかどうかは貴方次第ですよ、クーネさん」
うーんカッコいい事を言ってしまった、でも、実際そうなのだ。自分で悩んで駄目なら聞いてみる、ゲームで息詰まったら街のNPCに話を聞く、そこに何の違いも有りはしない。
――ゲームって人生だ