ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります 作:テムテムLvMAX
「ヘイMrs.クーネ! 彼女の名前がなんだって!?」
「うわぁエリンさんが壊れた!」
「落ち着け!」
──ゴッ!
「ゴハッ!?」
なんじゃ、案外脆いのう。ワシの契約者とあろう者がそれでは笑われてしまうぞ?
クハハハハ、まぁワシの名を聞いてしまってはそうなるのも仕方あるまい、これからは慣れてもらわねばな? 契約者なのだから。
「落ち着きました。では改めてよろしくお願いしますコウテン様!」
「お、おお、お願いしますぅ!」
「なんじゃお主ら人が変わったように、言葉使いなぞ別に気にせんわ、ただしワシの名は言いふらすなよ? 教えた者にしか呼ばれとうない、人前で呼ぶときはランユンと呼ぶのじゃぞ、分かったな?」
「「はいっ!」」
分かればよろしい、ワシの名は特別広まっておるがワシの姿までは広まっておらん、ワシは現役を退いた身じゃ、今更目立っても約束を果たす障害になる。
──子孫を頼むぜ、コウテン
わかった、ワシに任せよ。とは言ったがな……
我が生涯最高の友よ、お前はワシに人族の良さを教えてくれた。
ある日竜族の里へ乗り込んできたお前の兄は、面白い奴だった。人族の英雄は確かに強く、夜通し戦ったこともあったな。
でもお前は兄のように強い訳ではなかったが、いや、強いのは強かったからあの世でしょげるなよ、お前は気にし過ぎだ。
お前は守る事が誰よりも上手かった、上手すぎてワシの出番が無かったじゃろ、最後の戦いの時。なんじゃあれ魔界王も引き攣っとったぞ。
ワシは少々寝過ごして約束は守り切れなかった、だから改めて今から約束し直そうやマディア。
ワシはお前の残したモノを最後まで守り切ろう、今度こそな。今度は協力者も居る、安心しろ、お前の子孫を助けた男だ、悪い奴ではないさ。
◆
後日。
あくる日の朝、朝焼けの空は人々に一日の始まりを告げ元気を与えてくれる。【フォルメタシア】にも季節が存在していて春夏秋冬毎にお祭りもある。ゲームだったら四季の祭りでヒロインの好感度稼ぎだ~って意気込んで祭りそのものを楽しむ事はなかったね。
今日は学園に申請書を出す日、申請から数日後にはテストが始まるので今のうちに早起きに慣れておこう。
僕はあくびをしつつ背筋を伸ばす、顔でも洗おうとベッドから降りると、なにか踏んだ。ふにって感じの、何だこれ人をダメにするクッション? 作った覚えはないけど。
「んがぁ……お主良い度胸しておるの」
踏んだのはコウテン!? 何で居るの誰が入れたの?! しかも裸だし!?
「お、お、おお、お母さぁぁぁぁん! 部屋に変態がいるー!」
「なんじゃと!? お主契約者を変態扱いとは何事じゃぁぁぁ!!」
ギャァァァ布団から出るな! 見える見える! 見えるから! まろびでるから! もうちょっと隠しなさいよ恥は無いのか恥は!
「どうしたのエリン! え、ウソ! お父さぁぁぁん今晩はお赤飯よー!」
何を察したのか我が母上は晩のメニューを決定した、待てやこの世界赤飯あるの? だとしても意味合いまで一緒とか恐ろしいね!
じゃなくてこの状況なんとかしてくれー!
僕の願いは届くことは無かった。
即座に父さんも母さんも朝からどんちゃん大騒ぎ、僕はコウテンを両親に説明するために二人に『サイレントグラス』のハーブティーを無理やり飲ませ黙らせた。こっちが説明し終えるまでは口出し厳禁とさせて頂きますね、実の親に容赦なさすぎだって? 馬鹿野郎、親だから強引に黙らせたんだよ。
「えーコホン、こちらの方は僕の契約者です」
「ランユンと呼ぶがいい、竜族の掟で真の名は明かせぬ」
「「……」」
しめしめ、ハーブティーがよく効いている。
取り敢えずコウテンがランユンであることは伏せ、僕と契約した人だと言うのは教えておく。
ハーブティーの効果が切れ、両親の第一声が何かと思えば「「結婚式には呼んでね!」」だった。だからそういう関係じゃ無いって説明したろうが!
これ以上あることないこと追求されても面倒なので申請書をふんだくってコウテンを連れてクーネさんのところへ逃げた。
クーネさんも僕と同じく学園へ向かうとの事、なので3人で一緒に行きませんかというお誘いだ。あとコウテン様のストッパーはクーネさんだから居ないと困る。
「エリンさんおはよーですぅ」
「おはようございますクーネさん、ちょっといきなりなんですがコウテン様しつけとかしたらいいと思いません?」
「おまっ人をそこらの童と同じにするな!?」
「住居不法侵入した人がなにか言ってますですぅ?」
「クーネまでぇ! ぬぅ煩わしき人族の法など木っ端微塵に……っ!」
「ダメですよ〜! メッ! です!」
そういう所だよコウテン様、竜族の人がストレート過ぎるのはゲームやってた頃からよぉく知っている。少しは自重を覚えてくださいよ? 直ったら直ったらで気味が悪いけど。
取り敢えずメンバーが揃い、クーネさん、コウテン様、そして僕。
三人で学園へ、【アルカ王立学園】へ申請書類一式を提出するために向かったのだ。
前もって警戒していた『ワイバーン』は姿を見せなかった、出会うとしたらやはり入学してからだろうか。