Fate/ワカメ じゃ ないと!〜幻の慎二ルート書いて見たかった〜   作:FGOキッズ

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実質遠坂回


気色の悪い夢(後)

「寒い」

 

結局、誰一人の反応もないまま数分を過ごすはめになった。今日ほど時間が早く進んでほしい日はないのに、今日ほど時間のゆっくりと進むのだ。気持ち悪いったらありゃしない。

 

だからこうして、服に着替えて新都の喧騒を眺めて過ごしている。

 

正確には、大橋を渡る手前の公園のベンチに、間桐慎二は座っている。

 

「がやがや、がやっがや…。なんでこう耳に入るんだか」

 

まるでその中にいるかのように、対岸の騒がしさが煩わしく耳に運ばれる。

 

誰もこの地で起きている異常な儀式を知らずに生きていやがるのだ。誰もが眠る夜に、誰にもバレてはいけない戦いがあるのだ。それを知らずのうのうと生きている。生活している。自分の時間を有効に活用しているのだ。

 

その点において、今の慎二というのは最悪である。

 

圧倒的多数に属する無知な人々に分類されず、分類されない者ども──聖杯戦争の参加者たちですら限られた時間をできる限り大事にして過ごしている。なのに、彼だけ、俺だけ、間桐慎二だけがその全ての枠組みの範囲外にいるのだ。

 

 

何にも属せない孤独、何者にも嚙み合わない孤独。

 

今、ここで彼がどんなことをしようとも、少なくとも瞬時の影響を与える可能性はゼロと言えるだろう。たとえ彼がここで自殺をしようとも。

 

「ここでもか」

 

ここでも、時間の流れは緩やかなままである。11時にすらなっていない。

 

もう本当にやるせない。

 

目的のない時間が一番つまらないことを知らぬ自分ではない。

 

「帰る」

 

そして、たいして時間も過ごさずおめおめとこの場所からも逃げ出したのだ。

 

 

 

────

 

 

 

家に帰り不貞腐れるように寝て数時間。ようやくまともな時間経過に喜び起床する。

 

時間は4時。糞みたいな時間流の中に身を置いてたにしちゃぁ上出来な時間経過スキップだ。高校も終わって自由な時間が始まる。そして、みな己と同じ暇人へと帰る。

 

では何をしようか。ゲームか?エロ本か?それとも────・・・それとも、あまりにもむごい現実をみた行動でもしようか。そうすることでしか、心のうちに、大きくぽっかりとあいた穴を埋める事ができないのなら、その人として道を外れた合理主義の道を歩んでみるのもありなんじゃないのだろうか?

 

元来魔術師という生き物は、”そういうもの”なのだろうから────

 

◇◇

 

「アーチャー、見回り御苦労ね。どう?候補はいた?」

遠坂邸の一室にて、家主である遠坂凜はサーヴァントである「アーチャー」へ通信を試みた。

「いいや、これといって怪しい人物は見当たらなかった。始まって間もない頃だ。敵もできる限り潜伏したいだろう。だが───

 

…いや……すまない凛。少し訂正させてもらう」

含みのある言い方で自身のサーヴァントは回答を変える。

「何よ。見つからなかったんじゃないの?」

「あぁ……どういうべきだろうか。語弊の無いようにいうのなら──君の高校の学生が今日河川敷で暇そうにしていた。何かに腹を立てながらにぶつくさ文句を言いながら不貞腐れていたよ。そして、しきり「ライダー」と口にしていた」

つまり、あたりが付いたというわけだった。

「…!?つまり……」

「おそらく、その人物が騎兵(ライダー)のマスターだろう」

「で、どうしたのよ」

「これといって何かをしたわけではないな。あくまでそう口にしていただけのことだ。加えてそこで攻撃にしかけてライダーとぶつかってしまってはそれこそ”神秘の秘匿”に反するものだろうと思い観察にとどめた」

アーチャーなんだからそんくらいはなんとかしなさいよと一瞬考えるが、あいにくと自身のサーヴァントのいうことがもっともであった。だから今次にすべきことは──

「そうね、よくやったわ。それで、あんたに言う通りならそのライダーのマスターはうちの高校の生徒らしいのよね?どんな特徴だった?」

「──うむ。

特徴的と言えば随分と特徴的だ。青い髪に妙にさらさらなワカメヘアー。それに顔立ちもそこそこ整っていたな。加えて体幹も随分としっかりしている。あと、あくまで私の個人的な考えだが、なんらかの武道を取っていると見える。しかし、不思議なこともある。ライダーのマスターと目星はつけたものの、魔力の反応はない。霊体化させ、魔力の消費をさげたとしてもだ。その男からは魔術師としてあるべき力の流れを一切感じなかった」

「そこまでわかれば上出来よ。最初の特徴でもう誰が誰だかわかったわ。今日通りでいないなと思っていたわけだわ!アーチャー!死なない程度にそのワカメを監視しておいて。もしそうね──幼気な後輩を危険にさらすような真似をしようとしたら、その時は迷わずうってちょうだい」

「ほう、もう絞り込んだ上に具体的な指示まで出すとは。どうやら考えを改めてなくてはならないようだな。ぬか喜びしたあげく、さっそく令呪を切るような阿呆な真似をしていた昨日の君とは見違えるようだ。勘のいいマスターをひけたのは幸先がいいな」

口を開けば皮肉皮肉皮肉。

とにかく文句を言わなくちゃいきていけいないタイプなのかと考えてしまう。こいつの前世、絶対ろくでもないに違いない。

「考えを改めていただき光栄ですわ弓兵の使い魔(バトラー)さん。女の勘は鋭いのよ?あんたの前世も手に取るようにわかるわ」

「何が女の勘だか。自分を買いかぶると痛い目にあうぞご主人様(おじょうさん)。その様じゃ、ふとした瞬間に足元救われて、自分の望みを誰かに──例えばハイエナなんぞに奪われる──そんな末路を辿るだろうな」

「妙に具体的ね」

「お互い様だ。どっちもこうして笑いあってるがいざとなったら平気で損切りする。そんなもんだろう?マスターと、サーヴァントというものは」

否定はできなかった。彼の言う通り聖杯戦争では最後まで生存し参加権を有したマスターが勝利者となる。必要とあらば、自身のサーヴァントすら切り捨てることだってあるだろう。勝ち残れば、それでいいのだから。

でも──

「私はあんたを手放すつもりはないわ。こんな有能な茶坊主を捨てれるほど、私の家には余裕がないのよ」

「では、それに応えよう。凜、この聖杯戦争では君を確実に勝利者へと導いて見せよう」

 




アーチャーと遠坂の掛け合いは書いてて楽しかった。マジ無限にかける。

でもね、私は今時系列の認識が実際と違うらしくて大慌てしておりますのよ。

Q:なんでアーチャーは慎二のこと気づいたの?
A:服が違くてもワカメなんで直感的にそうだと感じた。ってことにしてる
「追記」
誤字大杉
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