マリナ・イスマイールが東方不敗の弟子になりました   作:ソロモンは燃えている

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物理的に強いヒロインが見たくて書いてみました。


マリナ・イスマイールが東方不敗の弟子になりました

 

 

 

 マリナ・イスマイールは心優しい普通の少女であった。

 高貴な血筋の末裔ではあったがすでに没落して久しく、栄華を誇ったのも今は昔であり、一般市民として生活していた。

 それでもマリナは自分の国を愛していた。

 この国にはさまざまな問題が積み重なっている。

 化石燃料が枯渇し、太陽光エネルギーの恩恵も受けられないことで経済的な困窮に陥ってしまった。

 国内では、保守派と改革派が激しく対立している。

 貧しさから犯罪に走る者も多く、治安も良いとは言えない。

 そんな問題をどうにかしたいと思っても子供に過ぎないマリナに出来ることなど何もなかった。

 国を想いながら自分の無力を嘆き、涙する幼子。

 その姿は、身体に流れる血筋の高貴さを確かに感じさせるものだった。

 後に国の象徴として王室を復活させる際に皇女として担ぎ出されたのは血筋のみが理由ではなかったのだろう。

 皆がこの人を象徴として戴きたいと思ったから、国民から愛され支持されたのだ。

 

 

 このままであれば、マリナは自分の無力さを嘆きながらも争いを厭う優しさと国民のために何かをなそうとする想いを胸に抱いて国を導くと言うイバラの道を歩んだだろう。

 しかし、ここに泣いている幼子を放っておけずに声を掛ける老人がいた。

 

「幼子よ、何を泣いておるのだ?」

 

「みんなに幸せになってほしいのに何も出来ないの。

 なんで私はこんなにも弱いのかなって悲しくなってしまって」

 

 老人は、その幼子の心に黄金の輝きを見た。

 この世界に迷い込んでから世界を巡り、見て回ったが、この世界の人々もかつての世界の人々と同じ愚かさを持っていた。

 それでも絶望はしなかった。

 人間に失望していた自分を止めてくれたかつての弟子のように、自分の予想を超える何かを見せてくれる者に巡り会えると信じていたのだ。

 そして、老人は幼子と出会った。

 

「ふむ、そなたは熱く輝く魂を持っておるのだな。

 これも何かの縁であろう。

 ワシの弟子にならんか?

 どれ程の事が出来るようになるかは分からぬが、運命に抗う力が手に入るかもしれぬぞ」

 

「でも、わたし、争いは嫌。

 誰かを傷付けるのは怖いの」

 

「力が無くば何も守れぬ。

 対立する相手すらも傷付けずに守るならば、さらに強い力がいるものだぞ」

 

「お爺ちゃんの弟子になれば、そんな事が出来るほど強くなれる?」

 

「それは、お主しだいじゃ。

 だが、流派東方不敗に不可能はないと言っておこう」

 

「分かった、弟子になる。

 みんなを守れるくらいに強くなる」

 

 こうしてマリナは、本来なら存在しないはずの人物に弟子入りし、異なる道へと進んでいく。

 

 

 

 10年後

 

 中東の小国アザディスタン王国は内戦の危機に陥っていた。

 保守派を抑えていた宗教指導者マスード・ラフマティーが何者かに拉致されてしまったのだ。

 保守派の暴発を防ぐには、早急にマスードを探し出し救出しなければならない。

 マリナは、王宮前の広場にメディアを集めて国民に語りかける。

 

「今、マスード・ラフマティーは何者かに攫われ行方不明になっています。

 ですが安心してください。

 マスードは、私にとっても大切な方。

 必ず無事に救い出してくることを約束します」

 

 マリナは集まったメディアに、そしてカメラの向こうの国民達に向けて力強く宣言した。

 その目には迷いはなく、強い意志を感じさせた。

 その様子を見た国民達は、この皇女を信じてもう少し待ってみようと思い、軽はずみな行動を控えた。

 

「どうやって救出するのですか?

 そこまで言うのなら目処は立っているんですよね!」

 

 皇女のあまりに自信に満ちた発言に一部のメディアが踏み込んだ質問をする。

 皇女に対する無礼な態度にお目付役のシーリンが叱責するために前に出ようとするがマリナが手で抑える。

 そして、微笑みを浮かべて答えた。

 

「その質問はもっともです。

 答えは行動で示す事にしましょう」

 

 そう言って彼女は上着を脱ぎ、動きやすい軽装となる。。

 

「姫さま、はしたないですよ!

 だいたい・・・」

 

 シーリンの言葉を聞き流しながら上着を地面に落とす。

 

 ズシン!

 

「「「「「はっ?」」」」」

 

 広場の地面はコンクリートで舗装されている。

 あの華奢でたおやかな皇女が羽織っていた上着がその硬い地面にヒビを入れてめり込んでいる。

 見た目からは信じられないほど重量がある事を示しているが頭が理解することを拒んでいた。

 それほど非現実的な光景なのだ。

 だが、それはまだまだ序の口だった。

 

 マリナは、広場の演台から飛び上がり後方のバルコニーの壁に垂直に着地する。

 まるで彼女にだけは重力が働いていないかのような軽やかな動きだった。

 そして、

 

 ドンッ!!

 

 マリナの姿が大きな音と共に消える。

 彼女が足を着けていた壁に大きな凹みだけが残されていた。

 その場にいる者達の頭はまだ動いていない。

 それでも目の前で起きた現象から本能的に振り返っていた。

 そこには、建物の屋根を跳び移りながら凄まじい速度で離れていくマリナの背中が見えた。

 

 マリナ皇女がバルコニーの壁を蹴って加速した。

 言葉にすれば単純な事だ。

 しかし、理解しようとすると途端に難しくなる。

 結局、メディア達も王宮の関係者達も考えることをやめた。

 

 マリナ様を信じて待とう。

 

 その場にいた者達やカメラ越しにテレビで見ていた国民達の思いは一つになっていた。

 

 

 あっという間に街を出て、砂漠を走るマリナ。

 彼女は迷うことなく一直線に進んでいる。

 マスードが拘束されている場所の情報を掴んでいたのか?

 そんな事実はない。

 それなら軍が向かっていただろう。

 

「私がマスードの気配を間違えるはずがない。

 彼はこの先にいる」

 

 なんの根拠もない行動のはずだった。

 しかし、実際に彼女が向かっている先にマスードが拘束されていた。

 

 

 マスードの拘束場所にたどり着いたマリナは、見張りの兵士達を片っ端から殴って気絶させていった。

 全ての兵士を片付けて、マスードの拘束を解く。

 

「マスード、助けが遅くなり申し訳ありません」

 

「いえ、お気になさらず。

 しかし、姫様がこれほど強いとは思いませんでした」

 

「みんなを守るために鍛えてますから。

 さあ、戻ってみんなに無事を伝えましょう」

 

 マスードを伴い、その場を離れようとするマリナの前に立ちはだかる者がまだ存在していた。

 マスードを誘拐し、この国に内乱をもたらそうとした男。

 アリー・アル・サーシェスだった。

 

「おっと、お姫様、そこまでだ!」

 

 建物を出たマリナの前にモビルスーツが立っていた。

 すでに銃口を彼女に向けている。

 圧倒的に優位な状況にも慢心することなく警戒を緩めている様子はない。

 さすがは戦争屋と言ったところか。

 

「こんなにも早く嗅ぎつけられるとはな。

 しかも一人で部下達を制圧するなんて大したものだ。

 だが、それもここまでだ。

 あんたら二人はもう少し生かしておくつもりだったが、こうなったら仕方がない。

 この国を血で染めるために死んでもらうぜ」

 

「マスード、下がっていてください」

 

 マリナが戦いに巻き込まないように前に出る。

 そして構えを取る。

 

「ふはっ!おいおい、お姫様よぉ。

 生身でモビルスーツとやり合おうってのか?」

 

 マリナの行動を嘲っているがサーシェスに油断はない。

 むしろ、思考を止めず周囲を警戒している。

 こんな所に一国の皇女が単独で来るはずがない。

 そんな先入観があるが故にマリナの行動はサーシェスの注意を引きつけるためのものだと判断していた。

 何処かに兵力を伏せているのだと。

 

(何処に兵を隠しているのか分からねぇが、このお姫様はもう助からねぇよ!)

 

 奇襲を警戒しながらもマリナに向けて引き金を引く。

 対モビルスーツを想定した銃弾が発射される。

 人を相手に使うには大きすぎる弾丸が着弾の衝撃で砂埃を巻き起こす。

 マリナの姿が見えなくなるが確認するまでもない。

 粉々に砕けてミンチになっているはずだ。

 

「お姫様を撃ったのに攻撃がない。

 本当に単独で来ていたのか?

 だとしたら、とんでもねぇバカだな」

 

 拍子抜けしながら、次はマスードを殺すために砂埃が収まるのを待つ。

 そして、砂埃が収まった時、その場にはマリナが無傷で立っていた。

 

「なっ、バカな!

 外したってのか?

 この俺が!この距離で!」

 

 サーシェスは戦争の天才だ。

 その戦闘技術は異常と言ってもいいほどだ。

 如何に標的が小さな人間だとしても外す訳がない。

 何か自分に理解できない現象が起きている。

 サーシェスの背中に冷たい汗が流れる。

 この危機感知能力もサーシェスを超一流に引き上げている要素だ。

 彼は、その感覚を信じて逃走すべきだった。

 

「幸運は2度も続かねぇ!

 次は確実に殺す!」

 

 マリナを照準に捉え、引き金を引く。

 一発だけではない。

 確実に仕留めるために立て続けに数発の弾丸を撃ち込んでいく。

 再び砂埃が舞い上がる。

 

 今度こそ確実に殺したはずだ。

 息を飲みながら砂埃が収まるのを待つ。

 そして、収まった先でマリナが姿を現す。

 

「何故だ!何故、死んでねぇ!」

 

 そう叫びながら、サーシェスは気付いた。

 マリナの後方、マスードの監禁場所として使っていた建物に二つの巨大な凹みがある事を。

 

(ははっ、なんだあれは?

 そんな訳ねぇよな?)

 

 マリナはサーシェスの弾丸を余裕を持って後方に跳んで躱していた。

 そして、弾丸が着弾した後、後ろの壁を蹴って元の場所に戻っていたのだ。

 それはサーシェスであっても受け入れがたい事実であった。

 そして、そんな動きが可能であると言うことは、

 

 ドバンッ!

 

 大きな音と共にマリナが立っていた場所に砂埃が起きた。

 すでにマリナの姿は消えている。

 サーシェスは必死に周囲の様子を窺うが、マリナの姿を捉える事が出来ない。

 モビルスーツのセンサーは人間を見つけることを目的としていないがカメラの映像にすら影しか映ってない。

 機体を動かし、その影を追おうとするが全く着いていくことが出来ないでいた。

 

 ドカン!

 

 ベキッ!

 

 ズドン!

 

 機体に衝撃が走る。

 その度に損傷を示すレッドアラートが増えていく。

 ここに至って、サーシェスも認めざるを得なかった。

 この女は、生身でモビルスーツを圧倒できると。

 最早、人間を相手にしているとは思えなかった。

 

「くそっ!

 こんなの相手にしていられるか!」

 

 ボロボロの機体を動かし、逃走を図る。

 だが、あまりにも遅かった。

 戦闘が始まる前、まだサーシェスの危険性をマリナが認識する前ならマスードを救出できた事で良しとして、見逃されていたかもしれない。

 しかし、拳を交えた事でサーシェスと言う男の本質を理解したマリナは、ここで逃しては禍根になると判断していた。

 

「逃がしません!」

 

 体内に気を取り込み、練り上げる。

 それは、マリナが老人から習った武術の奥義。

 

「はぁぁぁぁ!

 石破!天驚ケーーーーーン!!」

 

 突き出された拳から巨大な光る拳が打ち出された。

 それはサーシェスの機体を捉えて爆発を引き起こす。

 後には何故か無傷のコックピットだけが残っていた。

 

 こうしてサーシェスは、内乱を引き起こそうとしたテロリストとして捕らえられ、刑務所に収監されることになった。

 

 

 マリナはマスードを救出して凱旋した。

 マスードをお姫様抱っこして空を跳んでメディア達が待っていた広場に降り立つ。

 呆然としていたため残っていたメディアも、まさかこれほど早く救出に成功して戻ってくるとは思わなかった。

 とんでもない偉業を成したマリナを誰もが遠巻きに見ている中、彼女に近付く老人が一人。

 

「あっ、師匠!

 来ていたんですか!」

 

「「「「「えっ!師匠?!」」」」」

 

「うむ、マリナよ。

 流派!東方不敗は!」

 

「王者の風よ!」

 

「全新!系列!」

 

「天破俠乱!!」

 

「「見よ、東方は、赤く燃えている!!」」

 

 この日、アザディスタンでのマリナの名声は極まった。

 その心だけでなく実力(物理)も示したのだ。

 これ以降、国民が反乱を起こすことはなかった。

 全ての国民がマリナに心から忠誠を誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 マリナとサーシェスの戦闘を目撃したガンダムマイスターの少年

 

「あいつが、あいつこそがガンダムだ!」

 

「おい、刹那。

 何を言ってるんだ!

 あの女はガンダムを持ってないぞ」

 

「そんなことは関係ない!

 戦場で見せた光。

 あれこそがガンダムだ!

 あいつに教えを乞えば、俺もガンダムになれるのか?」

 

「おい!刹那、何処に行く!戻ってこい!」

 

 

 その後、ガンダムマイスター達でシャッフル同盟を結成したかどうかは定かではない。






刹那と共に石破ラブラブ天驚拳で衛星兵器メメントモリを破壊する。
リボンズが秘密裏にDG細胞を入手してる。
劇場版でDG細胞とエルスの禁断の融合。
色々書けそうな気もしますが今のところ予定はありません。
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