マリナ・イスマイールが東方不敗の弟子になりました   作:ソロモンは燃えている

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刹那、怒りのスーパーモード

 

 

 

 流派東方不敗の脅威を認識し、世界は対ソレスタルビーイングという形で結束するはずだった。

 しかし、戦場にソレスタルビーイング以上に破壊と混沌をもたらす存在が現れた。

 

 それは、何の変哲もない普通のイナクトに見えた。

 戦場に現れたそのイナクトは、瞬く間にその場にいた全ての部隊を壊滅させていく。

 そこに一切の慈悲もなく、敵味方の区別も存在しなかった。

 さらに、あろうことか、そのイナクトは破壊した兵器を取り込んでいったのだ。

 このイナクトが普通の存在ではないことは明らかだった。

 

 その後も、このイナクトは世界各地の戦場に現れ、介入してきた。

 いや、戦場でなくとも各地の基地を強襲し、破壊した兵器を取り込み巨大化していく。

 三大国を始めとする世界各国も、このイナクトをソレスタルビーイング以上の脅威と判断、必死の抵抗を試みる。

 何の目的もなく、ただ破壊と略奪を繰り返すイナクトをソレスタルビーイングも戦争を引き起こす世界の歪みと断定し、各地で出現するイナクトにガンダムチームを派遣して武力介入を行った。

 

 そのイナクトのパイロットは、とんでもない腕を持っていた。

 普通の機体ではないとは言え、圧倒的性能差のあるガンダムに対して1対1なら圧倒できていたのだから。

 だが、ガンダムマイスターは一人ではない。

 4機のガンダムの前に大きな損傷を負い、逃げ出すのが常だった。

 

 三大国も、このイナクトが単体ではガンダム以上の脅威であっても、やはり総合的にはソレスタルビーイングの方が強力な戦力を保持していると思い、神出鬼没なイナクトへの対処を行いつつもガンダムの技術情報奪取のためにリソースを注ぎ込んでいく。

 ガンダムマイスター達は、戦場で異常なイナクトを追い詰める度に漁夫の利を狙う三大国の介入によって仕留め切る事が出来なかった。

 こうした足の引っ張り合いが最悪の展開を呼び込むことになる。

 

 

「くそっ、どうする?刹那

 あの化け物、どんどん強くなっていってやがる」

 

「俺達がやるべき事は決まっている。

 あれは、世界に存在してはいけない歪みだ」

 

「奴は肥大化し、もはやイナクトの原型も留めていない。

 ガンダムでも手を焼くほどになっている。

 ナドレを使うべきか?

 いや、こんな計画の序盤でその力を晒すわけにはいかない」

 

「大丈夫ですよ。

 スメラギさんも言っていたでしょ?

 既存の兵器を取り込んで強化してるみたいだけどこっちにはGNドライブがある。

 そう簡単に性能差はひっくり返せないって」

 

「だと良いけどな。

 なんだか、嫌な予感がするぜ」

 

 そのロックオンの予感は的中することになる。

 

 戦場に到着したガンダム達に気付いたイナクト。

 いや、もはやイナクトとは呼べないほど変貌を遂げた異形のモビルスーツ。

 デビルガンダム細胞を組み込まれたイナクト。

 (デビル)・イナクトがガンダム達と対峙する。

 そのD・イナクトから赤い粒子が放出され始めた。

 それはまるで、

 

「なっ、GN粒子!?」

 

「どういう事だ!」

 

 ガンダムのようだった。

 

 その後の展開は一方的なものとなる。

 パイロットは、イナクトでガンダムを手玉に取れるほどの腕。

 機体は、ガンダムチームが手こずるほど強化されていた。

 そこにリボンズが用意した擬似太陽炉が組み込まれたのだ。

 機体の性能差は逆転し、これまでとは逆にガンダムチームが追い詰められていく。

 一機、また一機と行動不能にされ、ついに最後に残ったエクシアも撃墜寸前まで追い込まれた。

 

 そこに三大国の連合軍が襲いかかる。

 これまでも漁夫の利を狙っていたのだ。

 ガンダムが撃破され行動不能になっている状況は、これ以上ないチャンスであった。

 物量によってD・イナクトを撤退させれば、動けないガンダムを手に入れる事ができる。

 だから、目の色を変えて戦場に介入してきたのだ。

 

 

「くっくっくっ

 狙いは動けなくなったガンダムか。

 物量で押せばどうにかなるって思ってんだろ?

 確かに相手がガンダムなら正しい判断だ。

 だが、このD・イナクトには通用しないぜ」

 

 ガンダムを他の機体とは一線を画す高性能機にしているのはGNドライブが生成するGN粒子によるものだ。

 GN粒子の生成速度よりも消費速度の方が早ければいずれ底をつき、撤退せざるを得なくなる。

 これまでD・イナクトの追撃を断念してきた理由だ。

 

 しかし、デビルガンダム細胞を組み込まれたD・イナクトにこの理論は通用しない。

 破壊した兵器を取り込み、自己の強化や修復に使えるD・イナクトは、継戦能力において既存の兵器を遥かに凌駕する。

 取り込んだ兵器を材料に擬似GN粒子の生成すら可能なD・イナクトの前に連合軍は蹂躙されていく。

 

「はっはぁーーー!

 いいねぇ

 やはり、戦争はこうでなくちゃいけねぇ」

 

 D・イナクトのパイロット、アリー・アル・サーシェスは、流派東方不敗とガンダム達による抑圧から解放されて歓喜していた。

 今までは、裏で上手く立ち回らなければ戦争を引き起こせなかった。

 だが、これからは違う。

 自分が望むままに戦争を始められる。

 それだけの力を手にしたのだ。

 

 D・イナクトから発せられた歓喜の声を聞いた時、刹那は過去の記憶を思い出していた。

 洗脳され、神の名の下に両親の命を奪ってしまった。

 戦場で(ガンダム)に出会わなければ、ただの少年兵として死んでいただろう。

 そんな過酷な道に引き摺り込んだ元凶とも言える男の声だった。

 

「その声、アリー・アル・サーシェスか!」

 

「なんだぁ?

 ガンダムのパイロット。

 お前、俺を知ってるのか?」

 

「ああ、忘れるものか!

 KPSAのリーダーだったお前がなんでそんなモビルスーツに乗っている!?」

 

「なるほど、てめぇはクルジスのガキか。

 生きてる奴がいたのか。

 それもガンダムのパイロットになっているなんてなぁ。

 これだから戦争は止められないんだ」

 

「お前は、何故こんなことをする!?

 何のために戦争をするんだ!?」

 

「理由なんてねぇよ。

 ただ、やりたいからやる。

 それだけだ!」

 

「なん・・・だと・・

 なんの理由もなく、俺を・・・

 俺達を・・・」

 

 刹那の頭の中に過去の記憶が甦る。

 共に訓練し、理想を共有していた兄弟のような仲間達が戦場で無惨に死んでいく光景。

 自分達がそんな地獄に叩き落とされたことに理由などなかった。

 ただ、この男が楽しむためだけに行われたのか!

 

 刹那の心が怒りで埋め尽くされようとしていた。

 

「あの戦争は楽しかったなぁ」

 

 介入してきた連合軍は、サーシェスによって大きな被害を出し、撤退していった。

 もう、邪魔者はいない。

 ガンダムにトドメを刺し、取り込むだけだ。

 GNドライブは、その特性上2個以上を同時に搭載することは不可能なのか、D・イナクトも擬似GNドライブを一つしか取り込めなかった。

 それでもガンダムはいい素材になるだろう。

 サーシェスの真の目的。

 マリナ・イスマイールに勝つための糧にしようとしていた。

 

「・・・けるな」

 

「ああ?なんだって?」

 

「ふざけるなぁ!!!」

 

 サーシェスの言葉と態度に刹那の怒りは限界を超えた。

 その怒りの咆哮と共にエクシアが赤く輝き出す。

 

「なんだ、これは!」

 

 突然の変化にサーシェスにも動揺が疾る。

 次の瞬間、エクシアはD・イナクトの後ろにいた。

 

「なっ、いつの間に!」

 

 それだけではない。

 エクシアはすれ違い様にD・イナクト左腕をビームサーベルで切り飛ばしていた。

 

 信じられねぇ。

 奴の攻撃どころか動きすら見えなかった。

 この感じ、あの女とやり合った時と似ている。

 

 エクシアの見せた圧倒的なスピードにサーシェスが冷や汗をかく。

 

 

 エクシアの突然の変化と性能の向上に驚いていたのはサーシェスだけではない。

 パイロットである刹那すらも想定していなかった事態に驚いていた。

 だが、刹那にはこの現象に心当たりがあった。

 師匠である東方不敗から話だけは聞いていた。

 

「まさか、これは!

 怒りのスーパーモード!?」

 

 怒りをトリガーに爆発的なパワーを発揮できる。

 それは、本来モビルファイターにしか搭載されていない機能のはずだった。

 

「まさか、エクシアにこの機能が搭載されていたとは」

 

 そんな刹那の呟きをモニターしていたプトレマイオスでは、

 

「いや、そんな機能なかったわよね?」

 

「はい、少なくとも設計データには記載されてません。

 もしかしたらブラックボックス内に組み込まれている機能かもしれませんが」

 

 突然、エクシアが自分達も把握していない機能を発動させた事に動揺している。

 だが、戦場は、そんなプトレマイオスのブリッジクルー達を置き去りにして進んでいく。

 

「出来る!

 今のエクシアなら、流派東方不敗の技を使うことが」

 

 ガンダムのブラックボックスに組み込まれていた機能の本当の名はトランザムシステムと言う。

 GN粒子を爆発的に消費することで短時間だけ飛躍的に性能をアップさせることが出来る機能だ。

 トランザム中は、機体のスピードだけでなく、機体制御の性能も向上する。

 そうでなければ、トランザムした瞬間に制御不能になってしまう。

 そして、この状態のエクシアの追随性なら流派東方不敗の技に付いていける。

 

「まさか、それ(トランザム)は流派東方不敗の技だってのか!」

 

「そうだ!

 これが流派東方不敗、怒りのスーパーモードだ!」

 

 トランザムの輝きに包まれたまま、圧倒的なスピードで迫るエクシア。

 何とか迎撃しようとするサーシェスだったが、あまりのスピードに対処できない。

 

 これじゃあ、初めてあの女とやった時と同じじゃねぇか!

 奴が流派東方不敗をここまでものにしていたとは。

 

 

「うおおおぉぉぉぉおお!!

 俺のこの手が真っ赤に光る!

 歪みを正せと輝き叫ぶ!

 GNフィンガー・ソード!!!

 メン、メン、メーーーン!!!!!」

 

 トランザムで赤く染まったエクシアがGNソードを振りかざし、D・イナクトをめった斬りにしていた。

 駆け抜けたエクシアの後ろでD・イナクトが大爆発を起こす。

 

 そこでトランザムの限界時間が来てエクシアの輝きが失われ、元に戻る。

 トランザムの代償としてしばらく性能が極端に落ちるが戦いは終わり、周囲に脅威となる存在もいない。

 

「刹那、やったのか?」

 

「いや、手応えがなかった。

 おそらく機体の一部を盾にして逃げたんだろう」

 

「そうか、また仕留めきれなかったか」

 

「次は逃がさない。

 そのためにも怒りのスーパーモードを完全にものにしなければ」

 

 行動不能になった他のガンダムを回収し、プトレマイオスに帰還した後、再び刹那は修行に戻る。

 

 

 

 

 他のガンダムマイスター達

 

「流派東方不敗の修行を受けてる刹那はともかく、敵にまであんなデタラメなのが出てくるとは」

 

「現状では対抗できる者が刹那しかいない」

 

「どうにかしないと」

 

「分かっている。

 刹那だけに任せるなんて、ガンダムマイスターの名折れだろう」

 

「何か考えがあるのか?ロックオン」

 

「まだ何もないさ。

 だが、今のままじゃ通用しない。

 強くならなきゃな」

 

「そうだな、私も少し考えてみよう」

 

「ロックオン、ティエリア

 僕はしばらくプトレマイオスを離れるよ」

 

「「アレルヤ!?」」

 

「心配しないで。

 必ず強くなって戻ってくるから」

 

 刹那以外のガンダムマイスター達も強さを求めて動き出す。

 GNドライブを持つガンダムは強力な兵器だ。

 だが、この先、それだけでは通用しなくなる。

 そんな確信が彼らにはあった。

 刹那だけに戦わせたりしない。

 同じステージに上がるための方法を模索していく。






刹那の中でトランザムは完全に怒りのスーパーモードになってますw
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