アクアちゃん曇らせ   作:ヤンデレ好き

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感想・評価ありがとうございます。
今回はあかねちゃん視点での地獄の宮崎旅行編となります。

不定期更新とはいえ、投稿がだいぶ遅れてしまって申し訳ございません。

言い訳になりますが、最近流行のアーマードコアに手を出してしまったのが全ての原因です。ゲームが面白いのが悪いんです。俺は悪くねぇ!

それにしてもゲームで指を釣りかけたのは久しぶりです。
ラスジナにはまだ一回しか勝ててません。


side:あかね③

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あかねはどういうのが良いと思う?」

「そうだね・・・今回の宿泊日数ならSサイズくらいで良いと思うけど、仕事でも使うことを見据えて選ぶなら、もうちょっと容量の大きいものが良いかな。この辺のとかどう?」

 

時刻はもうすぐ19時。

私はアクアと二人で旅行に使うキャリーケースを選ぶためにデパートに来ていた。

 

 

舞台『東京ブレイド』が無事千秋楽を迎え、私は束の間の休息期間を過ごしていた。

マネージャー曰く、『今ガチ』で色々な意味で世間で話題になり、続いて今回の舞台も成功した結果、今の私は波に乗っているらしい。

 

映画の主演としてオファーが来ているのだ。

上映館数が多くない映画とはいえ、映画で主演を務めるのは初めてのこと。緊張はしているけど、ここで成功するか否かが私のこれからの女優としての人生に大きく影響することは明白だ。気合を入れないと。

 

来年は大きな勝負の年になる。

事務所の社長も期待してくれているのか、『東京ブレイド』が終わってから年末年始はきっちりと休んで来年からに備えるよう言われている。

 

 

 

そうして出来た貴重な空白期間のことをアクアに伝えた所、私は苺プロ主導の宮崎旅行へと誘われることになった。

今日はアクアが旅行に持っていくキャリーケースを選ぶために私も同行している。年末年始に家族で海外旅行に行ってるし、その経験が少しでも役に立てるなら嬉しいと思う。

 

「この辺か・・・どうしようかな」

 

私は並んでいるキャリーケースを見比べているアクアを眺めながら、ここ最近のアクアの変化について考えていた。

 

 

 

 

 

明るく、快活で、言動や振る舞いの一つ一つに自信が感じられる。以前のアクアはどちらかと言うと物静かで、年不相応に高い知性を感じさせる女性だった。けど、今のアクアからはどちらかと言うと年相応の少女のような雰囲気がある。

『今ガチ』の時に私がアイの演技をする前、私に接近してきていた時のアクアに似ているかもしれない。

 

・・・いや、誤魔化すのはやめよう。

 

 

あれは『アイ』だ。

 

 

私は演技で『アイ』を再現出来る。それはつまり、再現出来るくらい『アイ』について知識を集めたということでもあるし、最近はアクア本人から家族の前での『星野アイ』がどういった人物だったかを聞いてもいるから、以前よりも再現度は上がっている。

 

その私が考えるに、今のアクアは母親である『アイ』と非常に近い振る舞いをしている、と思う。

ただ、演技だと断言することは出来ない。

 

 

今のアクアは確かに『アイ』に近いけど、以前のアクアからまるっきり変わったわけではない・・・と思う。なんて言うか、変わったというよりは元のアクアの性格に『アイ』の要素が混ざったというか、増えたというか。

 

 

曖昧な言い方をしてしまったけど、実際にそうとしか言えない。恐らくこの変化はアクアと長い時間接している人ほど強く感じている筈だ。

以前の『星野アクア』としての部分が失われたわけではなく、あくまで『アイ』の性格や振る舞いが加わっただけ。アクアの精神状態について、今までの経緯を把握していなければ、ネガティブに捉えることはない。だからこそ、アクアに近しい人たちは不安は感じてはいないと思う。

 

・・・舞台の初日が終わってからのアクアの変化には驚いたし、最初に抱えた不安はとても大きなものだった。

でも、変わってからのアクアと接するうちに、私は今のアクアに対して安心を覚えてしまったのだ。今までの、私と出会ってからの出来事の全てがアクアにとって良い影響を与えていて、それが結果として現れたのではないかと。

 

もしも本当に今のアクアが安定していて、私の不安が全て見当はずれのものだったならそれで良い。アクアのお父さん探しについては気になることはあるけど、それは私が気を付けて見ていればいい話。そもそも、家族を大切にしているアクアが危ないことをするとも思えないし、これは私が悪い方に考えすぎている可能性もある。

 

 

・・・そんな都合の良い話があるのだろうか。

でも、実際に今のアクアからは以前のような危うさと言うか、不安定さが見られない。でも、PTSDになる程の深いトラウマがこの短期間で治るのかという疑問もあるし・・・

 

 

 

 

 

「(やっぱり監督さんと話し合うべきなんだろうけど)」

 

監督さんはアクアが小さい頃からの付き合いで、アクアからも信用を得ている人だ。監督さん本人もアクアに変化が会ったら話すように言ってくれたし、当初は私も全部話してしまおうと思ってたんだけど・・・

 

「(PTSDのこともお父さん探しのことも、アクアは自分の身近な人たちには話していない。知られたくないと思ってるんだ・・・そして恐らく、監督さんもアクアにとってはその身近な人の括りに入っているはず)」

 

だとすれば、私が勝手に監督さんに事情を話すのはアクアに対する裏切りになってしまう。もちろん、私一人で対処出来ないとなれば、たとえアクアから嫌われようと監督さんを頼るつもり。

 

だけど今は、もうしばらくは私一人で何とかしてみようと思う。

 

「(私が悪い方に考えすぎているだけって可能性もあるしね)」

「よし、これにしようかな」

 

アクアはそう言うと、選んだ一つのキャリーケースを掴んで持ってきた。

特に変わった点のない、普遍的でシンプルなデザインのキャリーケース。頑丈なハードケースにしたのは堅実なアクアらしいと思う。色はネイビーだけど、何か理由があるのかな?

 

「この色でいいの?もっと可愛い色・・・そっちにある奴とかは?」

 

私が隣に並んでいる同じ種類の色違い、黄色やオレンジのキャリーケースを指差す。

すると、アクアは小さく苦笑いを浮かべながら肩を竦めた。

 

「色にこだわりはないけど、あまり派手な色はちょっとね。それにほら、あかねの髪と同じ色でしょ?」

「そ、そうだけど」

「会計済ませてくるから待ってて。終わったらご飯食べに行こう」

 

アクアの言葉に少し動揺しながらも、会計を済ませたあとはデパートを出て次のお店に向かう。

目的のお店は予約必須の所だったけど、アクアが事前に予約をしていたので特に問題なく入ることが出来た。

 

 

 

「『今ガチ』から・・・もう半年近くは経つのかな。私とアクアが出会ってから」

「そうだね。何だかあっという間だった気がするよ」

 

食事も終え、取り留めのない話をしながら二人でゆっくりと夜の街を歩いていく。

 

「(やっぱり、こういう所は出会った頃と変わってないんだよね)」

 

今回のデートもそうだけど、アクアはエスコートする側に立つことが多い。

食事や買い物は自分が支払うのが当たり前、って感じだし、荷物だってさりげなく自分で持とうとする。でも押しつけがましくしてくるわけじゃない。

私の反応を伺いながら、不愉快な思いをさせたくないという心遣いを感じて・・・私はそれがいつも嬉しかった。

 

「あかねは優しいね」

「えっ?」

 

隣を歩いていたアクアが突然立ち止まったため、私は後ろを振り向いた。

先ほどまで見せていた明るい表情は、俯いてしまって見えなくなってしまっている。

 

「急にどうしたの?」

「あかねなら、もうわかってるでしょ」

 

俯いているせいで口元くらいしか見えないけど、アクアは続きを話すことを躊躇っているような気がした。

 

「・・・私たちの関係は番組の形式上のものから始まった。本物の恋人関係とは違う、仮初のものにすぎない」

「それは・・・そうだね。本当の恋人とは違うかもしれない」

 

アクアの言う事は理解している。

それでも私は、嘘から始まったこの関係がいつか本物になればいいと思っている。いや、本物の関係にしようと今まで頑張って来たつもりだ。

 

「私はあかねが思っているような人間じゃない。ずる賢くて、汚くて、嘘吐きで・・・あかねの優しさを利用している、最低の人間なんだよ」

「アクア・・・」

「本当は私みたいな屑があかねと一緒になっちゃいけないんだ。なのに、仮初の恋人関係という立場を利用して、あかねを縛りつけてっ」

 

話すごとに、静かだった口調が感情を伴った荒いものに変わっていく。キャリーケースのハンドルを握る手は、力がこもり過ぎているのか白くなっていた。

 

「私なんか・・・!」

「やめて」

 

ほんと、こういう所は全然変わってない。

私はアクアの手に自分の手を添えて、ゆっくりとハンドルから手を離す。掴んだその手は冷え切っていて、温めるために両手でぎゅっと包み込んだ。

 

「知ってたよ。アクアが私を利用していることも、ずる賢い所があるってのも、全部知ってる」

「・・・」

「私も聞いていい?」

 

ゆるゆると顔を上げたアクアの表情は、少し虚ろで、暗くて、悲し気なものだった。

アクアのこういう顔を見るのは初めてじゃない。今まで時折、ほんの一瞬だけこういう顔をする時があった。

 

「アクアは最初から私を利用するために近づいたの?」

「・・・それは」

 

どうしてこんな悲しそうな顔をするのか、その理由はもうわかっている。

 

 

罪悪感。

 

 

アクアは根っこが善人なのだ。それも底抜けの・・・自己犠牲精神の塊みたいな人。

そんな人が他人を利用しようとすれば、精神的に苦痛を感じるのは当然のこと。私と付き合い始めてからずっと、アクアは罪悪感で苦しみ続けていたんだろう。

 

演技をしている時だけじゃなかったんだ。常日頃からアクアは苦しんで・・・

もしかしたら、その罪悪感は私に対してのものだけじゃないかもしれないけど。

 

「アクアが私を助けようとしてくれてるって、MEMちゃんに聞いた時は驚いたけど・・・それ以上に私は嬉しかった。アクアが思っているよりもずっと私は感謝してるんだよ?」

「・・・」

 

最初は何も知らなかったから、年下に優位に立ちたくてMEMちゃんにアドバイスを求めたのが切欠だったんだけどね。

アクアの優しさを知って、私が『アイ』の演技をするようになってからは可愛らしい反応をするようになったアクアの普段とのギャップに惹かれて・・・今思えば、再現した『アイ』の感情にも影響を受けたのかもしれない。

 

「本当にアクアに恋愛感情を持っているのか、私はまだはっきりとわかってない。けれど、アクアの力になりたい、助けになりたいって気持ちは本当だよ」

「笑顔でいてほしい、幸せになってほしい。そして、アクアの思い描く幸せの中に私も入れたらなって・・・そう思ってる」

「アクアは私のこと、どう思ってるの?」

 

「私は・・・」

 

手を握ったまま、アクアからの返答を静かに待つ。

 

勢い余った所はあるけど、自分の気持ちを正直に伝えたつもり。

今日は最初からアクアの雰囲気がいつもと違ったから、何か重大な話があるんじゃないかと予想はしてた。別れ話とかされたらどうしようと思ってたけど、予想外に踏み込んだ話をされたので少し驚いてる。

 

でも、このタイミングでお互いの気持ちをはっきりさせるのは悪くない。

アクアが歩み寄ってくれて、私をもっと信頼して頼ってくれるようになれば、少しでも重荷を私に預けてくれるなら・・・それは望むところだ。

 

他人を利用することに心を痛める優しい子が、苦しみながらもそうせざるを得ない目的。

多分、お父さん探しと『アイ』の死が関係していると思うんだけど・・・私が予想した内、一番最悪なものがそれに該当するなら私は何としてもアクアを止めなければいけない。

 

 

数分ほど時間が経っただろうか。

じっと返答を待つ私の前で、アクアは固く結んでいた口を開いた。

 

「いいの?私と一緒にいたら、あかねはきっと後悔する」

「しないよ」

「・・・私といても、あかねは幸せにはなれないよ」

「私が幸せにする。アクアが幸せなら、私は幸せだから大丈夫」

「もし・・・」

 

震える声で話していた少女の瞳から、一筋の涙が頬を伝い落ちていた。

少女の頬は薄っすらと赤く染まり、星のような瞳を真っすぐと私に向けている。

 

このシチュエーション・・・何だか『今ガチ』の時を思い出す。

あの時は何もかも初めてだったせいで緊張で何も覚えてないけど、今はしっかりと状況を認識出来ている。

 

「もしも・・・私が地獄に堕ちる時は、あかねも一緒に地獄の底までついて来てくれる?」

 

・・・その言葉にどんな意味があるのか、私にはまだ理解出来ないけど。

それでも、私が返す言葉は一つだけだった。

 

「ついて行くよ。地獄だって、どこだって・・・私はアクアと一緒にいる」

「・・・ありがとう、あかね」

 

アクアが抱きしめてきたので、私は片手を背中に回し、もう片手でアクアの髪をゆっくりと撫でた。人通りは少ないとはいえ、何人かの通行人から視線を感じてちょっとだけ恥ずかしかったけど、今はこの温もりを感じていたかった。

 

 

 

・・・ごめん、アクア。私、一つだけ嘘を吐いた。

 

「(一緒に地獄には堕ちないよ。アクアが地獄に堕ちそうになったら、私が絶対にアクアを引き留める。それでも、どうしても止められないなら・・・私がアクアの代わりになる)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人の心が少しだけ近づいたあの日から数日が経った頃。

私達は宮崎旅行当日を迎え、空港までの車、宮崎までの飛行機、そして苺プロの斉藤社長の運転するレンタカーに乗って高千穂の地を踏んでいた。

 

「近くに日本神話の天岩戸が有るんだって。ほら、アマテラスが引き籠って周りで神様達が宴会して外に出させたアレ!」

「神様・・・か」

 

撮影のためにバタバタとスタジオへ向かったかなちゃん達を見送り、私とアクアはこれからの行動予定を話し合っていた。

 

ここ、宮崎県高千穂町は神話の町と呼ばれている。

日本の有名な神様達が天上の世界から降り立ったとされる、天孫降臨の地。私も一度は来たいと思っていたし、国内旅行はあまり行ったことがないから結構ワクワクしていた。

 

「行きたい所があるの」

 

私がパンフレットを片手にあれこれ町の説明をしている途中、アクアは唐突にそう言うと背中のリュックを背負いなおした。

 

「悪いけど、今日一日は私に付き合ってほしいんだ。その代わり、明日はあかねが行きたい所を自由に決めていいから」

「全然いいよ!どこから行くの?」

「まずは病院かな」

 

えっ、病院?観光に来て?

もしかして具合が悪いのかな。あまり旅行したことないって言ってたし、ここまでの移動で調子崩しちゃったのかも。

私は念のため持って来ていた薬の入ったバッグから胃薬や吐き気止めを取り出した。

 

「お腹痛い?お薬飲む?」

「アハハ、そういうのじゃないよ」

 

アクアは口元に小さな笑みを浮かべながら、山の上に見える大きな建物に視線を向けた。

 

「私とルビーが生まれた病院がすぐ近くにあるの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと荒れてるけど、きちんと歩ける道になってるんだね」

「あぁ・・・昔はもっと整備されてたんだけど。転ばないように気を付けて」

 

病院での用事を済ませると、アクアは次に知り合いの家に用があると言って歩き出した。

 

 

アクアとルビーちゃんが産まれた病院。つまりは『アイ』が世間に隠れて出産した病院。田舎にしては・・・と言うと失礼だけど、中々に大きくて立派な病院だった。

私が外で待っていた時間は十分足らず。どんな用事かと思えば、勤めている知り合いがまだいるのか確認したかったらしい。

 

 

その後、私は次の目的地に向かうアクアについて行きながら、獣道のようなでこぼこの道を歩いている。

 

知り合いの家、というのは病院の近くにあるようだけど、病院の敷地の外に出たらそこはもう木々に囲まれた山の中だ。まだ明るいとはいえ、地理に詳しい人でなければ迷子になってしまいそう。幸いアクアは迷う様子がないから、この辺の道は頭に入っているみたいだ。

 

「知り合いってどういう人?」

「小さい頃に世話になった・・・って、言っていいのかな」

「?」

 

歯切れの悪そうな反応をしたきり、アクアは無言で歩き続けた。

知り合いに会うにしてはテンションが低いって言うか、あまり会いたくない人なのかな。でも用事があるそうだし・・・どういうことだろう。

 

疑問を浮かべつつも、十数分ほど歩き続けると一軒の家が見えてきた。

遠目から一目見でわかるくらい、かなり古そうな平屋建ての家。それどころか、距離が縮まるにつれて、碌に管理もされていなさそうな廃墟に片足を突っ込んでいる状態なのがわかって来た。

 

「ここだよ」

「な、何だか凄い・・・その、趣があるというか、時代を感じさせるというか・・・」

「素直にボロいって言っていいよ。住人は全員もう故人で、誰も住んでないから整備もされてない。まぁ、元々古い家だから管理されてようがボロいことには変わりないけど」

 

話を続けながらも、アクアは慣れた手つきで郵便受けから鍵を取りだして玄関を開けて入って行く。

表札に書かれた『雨宮』の字をチラリと見ながら、私も続いて中に足を踏み入れた。

 

「わざわざ足を運ぶ位だから、大事な人が住んでいたんだよね?」

「・・・」

 

私が聞くと、アクアは一人の青年と、高齢と思われる女性が写った写真立てを手に取った。

 

「・・・雨宮吾郎。そいつには母親がいなかった───」

 

 

それから語られたのは、雨宮吾郎と言う名の一人の男性について。

 

父親はおらず、出産で母親が亡くなり微妙な関係の祖父母の家で育てられたその人。

憧れだと言う外科医になることも、目指すことすら出来ず、祖母の意向に合わせて産科医になったという。

 

中々複雑な環境で育ったみたいだけど、それでもお医者さんになったあたり立派な人だったんだと思う。ただ、さっきアクアから聞いたことが本当なら、その人はすでに亡くなっているのかもしれない。

 

「───医者になったあとも、無力で・・・結局、何も出来なかった。本当に救いたいと思った子には何もしてあげられなくて、大事な約束も守れなかった」

 

こちらに背を向けて語るアクアが、どんな顔をしているのかはわからない。

・・・雨宮吾郎という男性について語るアクアが、お世話になった人について話すにしては随分と責めるような、貶めるような・・・というよりは、まるで自分自身を自虐しているような口ぶりだったのが気になった。

 

 

 

 

 

「お待たせ。次に行こう」

「あ、うん」

 

何やら物置の方を物色していたアクアが戻って来た。

遠目に見えるのは、物置の扉にたてかけられた2本の・・・シャベル?わざわざ中から引っ張り出して来たみたいだけど、何に使うんだろう。

 

「あのシャベルは何に使うの?」

「あとでもう一度ここに戻って来るから、その時に使う。悪いけど、あかねにも手伝って欲しいんだ」

「別にいいけど・・・何か埋めてあるの?あっ!小さい頃に埋めた宝物とか?」

 

小さい頃に来ていたみたいだし、タイムカプセル的なものが埋めてあったり?

でもそれなら一度ここを離れる意味がわからないけど。離れた場所にあるなら持っていくはずだし。

 

これから埋めるんだよ

「え?」

「・・・ごめん。後で話すから、今はとにかくついて来て」

 

不思議に思いつつも、私は再びアクアの後をついて行く。

 

 

 

 

 

「(どこまで行くんだろう)」

 

先ほど以上に不安定な道をズンズンと進んでいくアクアを見失わないよう、私は必死に後ろをついて行く。本当なら雑談でもしながら歩きたいけど、今のアクアからは気軽に話が出来るような雰囲気を感じられない。

それに、周囲の異様な状況に気づいた私がそれどころではなかったというのもある。

 

「(こっちを見てる、よね?)」

 

私は視線だけをチラリと上に向ける。

 

周囲に生える無数の木々。

それらの枝には漆黒のカラスがとまっていた。それも数羽程度の数じゃない。

 

道を進んで行く内にカラスの数はどんどん増えていき、今ではまるで私たちの両脇を黒い壁のように思える数で埋め尽くしている。両脇がカラスによって塞がれ、その様はどこかに私たちを誘導するための道を作っているような気さえしてくる。

 

太陽は雲で覆われ、周囲はいつの間にか恐ろしく深い霧で覆われてしまっている。

暗くなったことと、霧のせいで視界はすっかり塞がれてしまい、10メートル先だって見通すことが出来なくなっていた。

 

 

・・・怖い。今すぐ引き返したい。

ホラー耐性はそれなりにあるつもりだけど、現実でこんなに異常な状況に置かれるのはさすがに想像していなかった。初めて来る山の中で視界が悪いのは危険だし、周囲にいるのが物理的に危害を加えて来れそうなカラスっていうのも余計に恐怖に拍車をかけている。

 

「・・・アクアっ」

「・・・」

「アクアっ、アクアってば・・・!」

 

あまり大きな声を出すとカラスがどう動くか分からないため、小さな声で前方を歩くアクアに声をかけるけど気づいてもらえず、私は小走りでアクアの隣に並んで腕を掴んだ。

 

「どうしたの?」

「どうしたのって・・・周りを見てよ」

 

不思議そうな顔でアクアが見返してくる。

この状況でそんな態度をとれるのが私には不思議だけど、もしかしたら気づいてないのかもしれないので周囲の状況を説明する。

 

「───ね!?こんなの絶対おかしいよっ」

「・・・」

「今日は一旦引き返そう?私はどうしても行きたい所があるわけじゃないし、明日もう一度来れば・・・」

「ダメ」

「えっ?」

「今日じゃないとダメなの。出来るだけ急がないと・・・あの子が見つけてしまう前に」

「ちょ、待ってよ!アクア!」

 

私の説明にもアクアは眉一つ動かさず、説得も虚しく再び歩みを再開してしまった。

強引にでも引き戻そうと思ったけど、慣れない道と視界が悪いことも相まって私はアクアを見失わないようについて行くことで精一杯だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたよ」

「これは・・・祠?」

 

ようやっと足を止めたアクアに追い付いた私は、目の前に鎮座する小さな祠を見つめていた。

 

体感時間では結構経ったように感じたけど、実際は十分も歩いていなかったと思う。

少なくとも、私の体力に余裕がある内には目的地に到着することが出来た。

 

「結構立派な祠だけど・・・あれ?」

 

近づいて祠を観察していると、裏側に何やら空間があることに気が付いた。

 

「・・・」

 

背にアクアの気配を感じながら、私は思い切って祠の裏に顔を入れて覗こむ。

正直、私は半分やぶれかぶれになっていた。周囲の異様な状況と、明らかにいつもと違う雰囲気のアクアに精神的に追い詰められていたのだ。

 

顔だけで覗き込んでも、暗くて中の様子は見えない。

特に動物の鳴き声や気配もないし、恐らく危険はないと判断して思い切って体ごと中に入ってみることにした。

 

 

そこには───

 

 

 

「なに・・・これ・・・」

 

 

 

───異様な光景だった。

祠の裏にあった空間は想像以上に大きく、大人が複数人入れる程度の広さがあり・・・

 

 

その中心に、まるで安置されるかのように横たわった()()

 

 

ボロボロの・・・恐らく元はコートか、あるいは色からして病院の医者が着るような白衣だったのだろうか。既に襤褸切れになってしまった白衣を纏っている人だった物の、眼窩のあたりにはひび割れた眼鏡、首元には・・・身元を証明するものだろうか、カードのような物がかけらている。

 

・・・そう、人だった物。

長い年月が経っているのか腐敗臭などはせず、肉もすっかり腐り落ちたのか、襤褸切れの隙間からは骨しか見えない。

 

 

人間の白骨遺体だった。

 

 

「っ」

 

思わず口元を抑えた。

いくら腐敗臭がないとはいえ、これは間違いなく人間の遺体。それも、白骨化するほど長期間放置されたもの。朽ちた白衣や場の雰囲気、ここに来るまでの異様な状況も影響したのか、想像以上にグロテスクに感じて僅かに吐き気がこみあげて来る。

 

「戻ってアクア。これは死体だよ」

「・・・」

「撮影中の皆には申し訳ないけど、これは見過ごせないよ・・・まずは警察、その後は皆に連絡して、旅館の人にも事情を伝えて貰わないと・・・あ、アクア?」

 

私が話している間、無言で遺体を見つめていたアクアは背負っていたリュックを静かに降ろし、淡々と中身を取り出し始めた。

 

白い手袋、個包装のマスク、畳まれた布の塊、トンカチ・・・どれも今この場で必要となる物とは思えない。何のために使うのか、用途が予想出来ず困惑する私の前で中身を並べながらアクアが話し始めた。

 

「手伝って」

「手伝うって、何を言ってるの?早く警察に連絡を・・・」

「それはダメ。これは私たちだけで処分するから」

「・・・?」

 

・・・アクアは何を言っているの?遺体を、処分?意味がわからない。

この遺体が隠されるように置かれていたこと、白骨化されるまで放置された背景を考えるに何らかの事件によって亡くなった人の可能性が高い。もしかしたら警察が今も捜索しているかもしれない。

 

「い、意味がわからないよ。これは私達みたいな一般人が関わることじゃない、警察の仕事だよ。大体処分って・・・どうするの?」

「骨も、服も、他の所有物も・・・全てこの布で包んで埋める。場所はもう決めてあるの。地面が柔らかくて、掘り出しやすい場所・・・昔は田んぼがあった場所なんだけどね。そこに埋めようと思って──」

「そういうことじゃないよ!」

 

私は思わず、大きな声でアクアの話を遮った。

・・・アクアの言っていることが全く理解できない。きっとショックを受けたせいでこんなことを言い出したに違いない。

 

「さっきも言ったけど、これは遺体なんだよ。勝手に手を出していいことじゃないし、ましてや警察に連絡もしないで・・・埋めるなんて、そんなことしちゃダメだよ!」

「・・・」

 

ここまで連れて来たのが、アクアであるという事実から目を背けて私は必死に説得する。

でも、私の話を聞いているのかいないのか、アクアは決して手を止めなかった。

 

「っ」

 

私は一旦アクアを放置して警察に連絡すべくスマホを取り出した。

アクアの様子は気になるけど、一度警察を呼んでしまえばアクアも遺体を埋めるなんて真似はやめざるをえなくなると判断したからだ。

そうして電話をかけようとした私だったけど、後ろから素早く伸ばされた手によってスマホを取り上げられてしまった。

 

「アクア・・・なんで・・・!?」

「警察は呼ばないで」

 

振り向くと、そこには私のスマホを片手に持ったアクアが立っていた。

もう片方の手にはトンカチが力強く握られていて、私にはそれがどうしようもなく恐ろしかった。

 

「嘘だったの?」

「・・・え?」

 

聞いたことのない声音だった。

怒りと悲しみが混ざったような、今までのアクアからは日常で聞いたことのない、どこか冷たい声。

 

戦々恐々とする私の前で、瞳に真っ暗な輝きを宿した少女が話し出す。

 

「私と一緒に地獄の底までついて来てくれるって・・・あれは嘘だったの?」

「私の力になってくれるんでしょ?助けてくれるんでしょ?」

「だったら手を貸してよ。私が幸せになるために・・・これを隠すの。誰にも見つからない場所へ」

 

確かに、私はアクアに幸せになってほしいし、そのためならいくらでも協力する。その気持ちは嘘じゃない。けど・・・

私は混乱する頭を必死に落ち着かせようと、時間稼ぎも兼ねて疑問をぶつけた。

 

「何のためにこんなことをするの?この遺体を・・・埋めて、隠すことが、アクアの幸せに繋がるの?」

「・・・そうだ」

「この遺体は、もしかして・・・」

「あかねの考えている通り、この遺体は雨宮吾郎のものだよ」

 

もしかしたらとは思ったけど、やっぱり雨宮吾郎さんの遺体なんだ。

どうしてそんなものがここに・・・そしてその遺体をアクアが隠そうとする意味は・・・

 

・・・駄目だ。情報も、考える時間も足りない。

 

「手を貸してくれないの?ハハ、それもそうか、こんな狂った奴の言う事なんか聞けないよな、それも当然か」

 

考え込む私を見て、言う通りに動いてくれないと判断したのか。アクアは小さな苦笑いを浮かべた。

 

 

どうすればいいのだろう。

ここで仮にアクアの要求を拒否して強引に警察を呼んだとして・・・その後のアクアがどう動くかさっぱり予想がつかない。

今のアクアはおかしい。幼児退行した時とは違う、舞台で見せた狂気的な雰囲気に近い。あるいはそれ以上の常軌を逸した何かを感じる。口調も男の人みたいだし・・・まるで他人が乗り移ったかのような。

 

視界を覆う霧、大量のカラス、豹変したアクア、そしてこの遺体・・・もう何が何だかわからない。

だけど、ここで返答を間違えたら取り返しのつかない事態になってしまうという、確かな予感だけはあった。

 

「私・・・私は───」

 

いつもの明るい輝きとは違う、真っ黒な星の輝きを宿した瞳を見つめながら、私はその答えを口に出した。

 

「ありがとう・・・ごめんね」

 

答えを聞いて一瞬だけ悲し気に顔を歪めた少女。

その顔が、脳裏にこびりついて離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

ふと目が覚めた。

照明はついていないけど、月明りのおかげで意外と部屋の中ははっきりと見える。横目でチラリと確認したけど、隣には同室であるアクアはいないみたいだ。

壁に掛けられた時計を見ると時計の針は真上を指しており、今が夜中の12時であることがわかった。

 

 

───結局、私はアクアの言うことに従った。

すなわち、雨宮吾郎の白骨遺体を埋めることに協力したのだ。

 

手袋越しとはいえ手に残る硬質な感触。真っ暗な眼窩から感じるあり得ないはずの視線。耳にはアクアが骨をトンカチで砕く音が残っていて、今でもそれらは鮮明に思い出せる・・・というか、目を閉じると思い出してしまうのだ。

 

遺体はそれぞれ二つの布に包み、雨宮さんの家からシャベルを持ち出して少し離れた場所に穴を掘ることになった。

私が掘った場所には遺体を、アクアが掘った場所には何やら鉄製の箱のようなものを埋めていた。

何を埋めているのかは気になったけど、私は精神的にも肉体的にも疲弊していて質問するような余裕はなかった。

 

ただアクアは一言だけ『この場所を忘れないで』と私に言うだけだった。

 

作業が終わった後、私はアクアに連れられて一足早く宿に戻って休むことになった。

アクアの様子はすっかり元に戻り、宿に戻ってからも気分の優れない私をしきりに気遣ってくれていた。

 

・・・考えることはたくさんあるけど疲労が大きすぎて頭が回らず、私は再び布団の中で眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

「はぁ・・・」

 

誰もいない静かな露天風呂で、私は一人、大きな溜息を吐いた。

 

 

宮崎旅行二日目は、一日目が何だったのかというくらい、何事もなく平和に過ぎて行った。

最初はアクアに対してビクビクしていたけど、あんまりにもアクアがいつも通りだったせいか、気が付けば私も気が抜けて旅行を楽しむことが出来た。

 

個人的に気になっていた天岩戸神社にも行けたし、近くにあるお土産屋で買い物も出来た。

撮影で忙しいかなちゃんたちには申し訳ないけど、いつもと違う場所、違う雰囲気の中でアクアとデートが出来るのはとても楽しかった。

 

 

だからこそ、一日目のあの出来事が目立つ。

悪い夢だったらどれほど良かったかと、そう思いつつも温泉で体力を回復したせいか、頭は勝手に様々な可能性を求めていく。

 

「(どうしてアクアは、あんなに雨宮さんの遺体を隠すことに拘ったの?最初から目的地があそこだった以上、アクアは以前から遺体があると知っていたはず・・・ううん、そもそもの前提からおかしい)」

「(『アイ』があの病院で出産して、仮に雨宮さんにお世話になっていたとしても、産まれたばかりのアクアが雨宮さんを『知り合い』と認識するのはちょっと不思議。世間に隠していたことから察するに、アクアとルビーちゃんはあまり遠くに行ったり出来なかった可能性が高い。ましてや宮崎なんて)」

「(雨宮さんが会いに来ていた可能性はあるけど、それは雨宮さんがどのタイミングで亡くなったかが重要・・・いやでも、どれも雨宮さんの遺体を隠す理由にはなり得ないような・・・)」

 

その後も考えを巡らせるけど、確信をもって答えを出すことは現時点では出来ないような気がした。

 

「雨宮さんの死を隠すのがアクアの幸せ。アクアの幸せって・・・アクア自身の幸せじゃない?だとすれば、他の誰かの幸せが、アクアにとっての───」

「なーにぶつぶつ言ってるのよ」

 

いつの間にか考えが口に出ていたのだろう。というか、集中しすぎて周りの音とか全然気にしてなかった。気を付けないと。

声をかけてきた人物──かなちゃんが勢いよく私の隣に入って来た。

 

「顔赤いわよ。のぼせる前にあがりなさいよね」

「うん。ちょっとのぼせちゃったかも・・・」

 

かなちゃん、か。

アクアはルビーちゃんに誘われてゲームコーナーで遊んでからお風呂に入ると言っていた。本当は私も一緒に遊びたかったけど、私は何故かルビーちゃんに警戒されているので先にお風呂に入ることにしたのだ。

将来的なことを考えるなら、ルビーちゃんとは仲良くしたいんだけどなぁ・・・と、それは置いといて。

 

「聞いたわよ、あんた映画の主演やるんでしょ。この短期間で急に売れたわよねぇ」

「そ、そんなことないよ。上映館数多くない映画だし・・・」

「配給で作品語るんじゃないわよ。十分凄いことじゃない」

 

今はかなちゃんと二人きり・・・あっ、かなちゃんと一緒にお風呂入ってる!裸の付き合いもしちゃったし、もうこれは友達、いや、親友になれたと言っても過言じゃ・・・ってそうじゃない!

 

「でもねぇ、それくらいで良い気になるんじゃないわよ。あんたの栄光はこの有馬かながアイドルから女優に戻るまでの儚い期間に過ぎないんだから。て、ていうかぁ?実の所私にも次の仕事が入って───」

「かなちゃん!」

「うぇ!?な、なによ急に・・・」

 

今なら、アクアの変化についてのかなちゃんの客観的な意見を聞くまたとないチャンス。

かなちゃんは『今ガチ』より前から苺プロに所属しているし、ルビーちゃんや斉藤社長と違って家族としての贔屓目なしの話を聞けるはず!

 

「最近のアクア?別にどうもしないわよ。相変わらずシスコンだし・・・まぁ確かに、舞台が終わってからはちょっと変わったけど。よく笑うようになったっていうか、なんか陽キャっぽくなったわよね」

「そうだよね!」

 

アクアは以前のような控え目な笑顔もいいけど、今のニコニコとした笑顔も似合うんだよ!

私が頷いていると、かなちゃんは呆れたような顔で話を再開した。

 

「テンションたっか・・・後はそうねぇ、事務所で二人で稽古することもあるけど、今のあいつは何て言うか、活き活きと演技するようになった感じ?」

「きっかけはやっぱり、『東京ブレイド』の舞台からかな?」

「でしょうね。ったく、ただでさえ差があると思ってたのに、舞台が始まってから急にレベルが上がちゃって・・・」

 

かなちゃんの話を聞きつつも、私は内心で落胆していた。

別にかなちゃんが悪いわけじゃない。長年役者をやってきたかなちゃんにも違和感を感じさせないくらい、アクアが身内相手にも常に取り繕ってるということでもあるから。

 

やっぱり監督さんにも相談した方がいいだろうか・・・私が今後のことを考えていると、大きく伸びをしたかなちゃんが気になる言葉を口にした。

 

「変なのは妹の方よ。何があったか知らないけど、朝っぱらから浮ついちゃってまぁ」

「ルビーちゃんが?」

「ん、そうよ。今日の撮影中はずーーーーっとニヤニヤしてたんだから。ゴローせんせがどうとかぶつぶつ呟いてて・・・」

 

・・・え?

 

「・・・そういえばあいつ、せんせっていう年上の好きな人がいるって言ってたのよねぇ。そいつがゴローっていうのかしら。でもなんであんなに喜んで───」

「かなちゃん!!」

「うぇ!?ちょ、急に大声出すのやめてよ!あんたさっきも・・・」

 

ゴローせんせ・・・もしかしてその人は吾郎先生、つまりは雨宮吾郎さんのこと?

 

だとするなら───

 

 

「(アクアはこの世の誰よりも妹のルビーちゃんのことを大切に想ってる。ルビーちゃんの幸せがアクアの幸せと仮定すれば・・・ルビーちゃんの想い人である雨宮吾郎の遺体を隠蔽したこと。昨日アクアが言っていた『あの子が見つけてしまう前に』という言葉の意味・・・)」

 

奇妙で不可解だった昨日の出来事。

大量のカラスや突然の深い霧。超常的な現象や情報不足のせいで惑わされそうになっていたけど、かなちゃんの話を聞いて何かがわかりかけてきた気がする。

 

「ちょっとー?話遮ったくせになんで黙っちゃうのよ。もしかしてマジでのぼせたんじゃ───」

「かなちゃん!!!」

「だからなに!?」

 

私はかなちゃんの両肩をがっしりと掴み、勢いのままに問いかけた。

 

「その話聞かせて!ルビーちゃんの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・黒川あかね
 楽しい旅行のはずがホラー体験をした子。かわいそう(可愛い)。
原作でも白骨遺体に対してそんなにビビッてないし、その後も冷静に対処してるみたいなので今作でも心はまだ折れてません。
とはいえ、超常現象に遭遇した結果、精神的に結構ダメージを受けています。トラウマが増えました。

頑張れば独力で真実に辿り着けそうですが、問題はアクアの真意、目的を知った場合にどういう判断をするかが重要です。

アクアの意思を無視するのか。
アクアの意思を尊重するのか。
あるいは・・・と言った具合にルートが分岐します。
頑張れあかねちゃん!アクアちゃんの貞操とか命とかその他諸々は君の手にかかっているぞ!



次回から再びアクアちゃん視点となります。
原作との差異のせいで、本来起きた問題が起きたり起きなかったりして・・・どうなるかは私にもわからん。



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