アクアちゃん曇らせ   作:ヤンデレ好き

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感想・評価ありがとうございます。
今回はとっても可愛いルビーちゃん視点です。


side:ルビー②

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む・・・」

 

パソコンの画面には、二人の美少女が仲睦まじくキャッキャしている様子が映っていた。

肩を寄せ合って、仲良さげに手を繋いでお散歩なんてしちゃったり・・・ていうかそれ恋人繋ぎじゃん!まだ付き合ってるわけでもないのに、そんなのしちゃっていいの?

 

私は胸の内にモヤモヤとしたものを抱えたまま、その映像を見続ける。

 

 

お姉ちゃんから黒川あかねに対するアプローチが演技であることをバラされてから、『今ガチ』では二人の絡みが多く放送されるようになった。

 

私はもちろん欠かさず観ているし、ロリ先輩・・・有馬かなも何だかんだ一緒に隣で観るのが日課になっている。新生B小町はまだメンバーが足りないし、曲もないので今の所やれることがあんまりない。

 

先輩は今のうちに将来に向けた勉強しとけって言うけど・・・私は今それどころじゃなかった。

 

 

ああ!お姉ちゃんがあーんしてる!

そういえばこの前、朝からクッキー焼いてた・・・味見で私は何枚か食べたけど、まさか黒川あかねのために焼いていたなんて・・・!

 

「むむむ・・・!」

「なーにが『むむむ』よ、シスコンも大概にしなさいよあんたは・・・ぶっちゃけさすがにキモイわよ?」

「だ、だっていつものお姉ちゃんと違うから何か新鮮で・・・ていうか先輩、前は観ても得るものはないとか言ってたじゃん!何だかんだ毎回観てるよね!?」

 

『百合営業とかくだらねー』みたいな態度してたくせに、毎回興味津々で観てるの知ってるんだから!

私が指摘すると、先輩は視線を逸らして誤魔化すように弁明を始めた。

 

「参考にしてるのよ。私だって恋愛リアリティショーに呼ばれることがあるかもしれないし?べ、別に、黒川あかねが色ボケして堕ちたら面白いなー、とか思ってないけど!?」

「堕ちたらって、私の許可なしで本気でお姉ちゃんと恋愛するってこと・・・?私のお姉ちゃんなんだよ!?」

「やかましいわシスコン!てかアクアが恋愛するのに何であんたの許可がいるのよ!」

「う・・・!そ、それは・・・」

 

・・・わかってるもん。

お姉ちゃんが誰と恋愛したって、それはお姉ちゃんの自由・・・私が口出しすることじゃない。仕事でやってるなら猶更。

 

少し前までは、お姉ちゃんの好みのタイプとか、恋愛するならどんな感じなのかなー、とか興味があって、その時が来たら妹として色々と手を貸してあげようと思っていた。

 

でも、いざそういう状況になってから・・・特にあの日、演技とはいえお姉ちゃんが他人とキスしたって聞いた時から、私は嫉妬という感情に振り回されていた。

 

 

うん、でも・・・今ならわかる。どうして私が嫉妬なんてしてしまったのか。

私がお姉ちゃんを恋愛対象として見ていたから・・・ではない。

 

私は多分、無意識のうちにお姉ちゃんとゴローせんせを重ねて見てしまっていたんだ。

どうしてそう見ていたのかはわからない。確かに二人とも優しいという点では性格に共通したものがあるけど、それ以外はそんなに似てない・・・そもそも性別が違うし。

 

 

でも、お姉ちゃんが私に向ける視線。あれがせんせとすごく似てるって言うか・・・何て言えばいいんだろう。込められた感情?が近いのかな。

 

とても暖かい感情が伝わってきて・・・心がポカポカして、すごく安心出来る。

 

 

・・・と、とにかく!

 

「お姉ちゃんは仕事でやってるだけなんだから!勘違いしないでよね!」

 

私は画面の向こうにいる黒川あかねに対し、譲れない意思を込めて宣言した。

 

「・・・あいつちょっとヤバくないですか?親としてはそこんとこどうなんです?」

「このアホ娘は昔からベッタベタだから・・・まぁ、アクアも普段は取り繕ってるだけで似たようなものだし」

「・・・社長も大変ですね」

「・・・もう慣れたわ」

 

 

よ~し!

土日は収録であまり一緒にいれないし、その分は平日にいっぱい甘えまくるぞー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・」

 

 

私は胸の内にある黒い感情を絞り出すようにため息を吐き、自室のベッドでゴロゴロしていた。

 

 

・・・お姉ちゃんがおかしくなった。

きっかけはやっぱり、黒川あかねがキャラを変えてから。

 

 

まるでママを・・・私たちの母親であるアイを思い起こさせるような振る舞い。ちょっとした物真似とかそういうレベルじゃなくて、映像越しでも本人と錯覚してしまうほどの完璧な再現だった。

 

私はもちろん、ミヤコさんも驚いていた。

黒川あかねの演技のからくりについては先輩が説明してくれたけど・・・いくら才能があるからって、あそこまで赤の他人を再現出来るものなのかと、正直信じきれない思いが強い。

 

 

でも現実として黒川あかねはママの演技を完璧にこなしているわけで・・・お姉ちゃんがそれに多大に影響を受けたのは想像出来た。

 

だって、いきなりお姉ちゃんが受けに回るようになって・・・私の目には、今の黒川あかねに対するお姉ちゃんの満更でもない態度が、とてもじゃないけど演技には見えなかったのだ。

 

 

黒川あかねの一挙手一投足にタジタジになっているお姉ちゃん。

小さい女の子のような、はにかんだ笑顔を向けるお姉ちゃん。

手が僅かに触れ合うだけで顔を赤く染めるお姉ちゃん。

 

 

お姉ちゃんはもしかして、本当に・・・

 

 

「(やめよう、こんな考え・・・お姉ちゃんは演技だって言ってたんだから)」

 

お姉ちゃんは今日も収録だ。ミヤコさんはまだ仕事中だし、家には私一人だけ。

・・・今日は早めにお風呂に入って寝ようかな。どうせお姉ちゃんはまだ帰ってこないだろうし。

 

私は憂鬱な気分のまま、着替えを持ってお風呂に向かい・・・扉の前でばったりとお姉ちゃんと鉢合わせた。

 

「(あ、あれ?いつの間に帰って来て・・・ていうかここで鉢合わせるのおかしくない?もしかして私が来るの待ってた?)」

「ただいま」

「あ、うん。おかえり・・・お姉ちゃん先に入るの?だったら私はあとで・・・」

「待って」

 

色々戸惑いつつも、収録で疲れているはずのお姉ちゃんに先に入るように促して、私は一旦自室に戻ろうとする。

すると、突然手を掴まれて、そのまま脱衣所に連れ込まれた。

 

「な、なになに!?」

「今日は・・・一緒に入ろ?」

「・・・・・・え?」

 

 

・・・・・・・・・え???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう、ルビー」

「いや、別に・・・」

 

 

結局、お姉ちゃんからの突然のお誘いを断ることが出来ず、私たちは随分と久しぶりに一緒にお風呂に入っていた。

・・・ちょっと驚いたけど、昔はよく一緒に入っていたから、別に恥ずかしいとかそういうのはない・・・普段なら。今は気まずいというか、気恥ずかしいというか、なんか変に意識しちゃう。どうしちゃったんだろ私・・・

 

「(細いなぁ・・・)」

 

私はお姉ちゃんの背中を柔らかいボディタオルで洗いながら、何となくお姉ちゃんの体を観察する。

 

役者を辞めてからも筋トレとか体力作りはやってるみたいだし、ママの遺伝子も影響しているのか、出るとこ出て引っ込むところは引っ込んだ、モデルさんみたいに均整の取れた体だと思う。

私だってスタイルに自信はあるけど、お姉ちゃんはちょっと筋肉質というか、結構引き締まっているから、綺麗というよりはカッコいいという感想が先に出る。

 

でも何だか・・・

 

「お姉ちゃんさぁ」

「んー?」

「ちょっと痩せた?」

 

改めてよく見ると、以前より心なしか細くなったように感じる。

今は健康的に引き締まってるように見えるけど、結構ギリギリなラインじゃないかな。これ以上痩せたら危ない気がする。

 

「言われてみるとそうかも。ちゃんと食べてはいるんだけど・・・」

「体壊さないようにね・・・って、元看護婦さんに言う事じゃないか」

「・・・・・・・・・」

 

お姉ちゃんは前世で看護婦さんだったらしいし、自分の体調管理くらいはしてるか。素人の私が心配しなくても大丈夫だよね。

 

お互いに無言だけど心地よい時間・・・気まずい空気も和らいできたし、私もいつも通りに振る舞えている気がする。

 

「・・・ほら、次は私が洗ってあげるから」

「はーい」

 

今度は私がお姉ちゃんに背中を洗ってもらう。

はぁ~、気持ちいい。お姉ちゃんって体洗うの上手なんだよねぇ。

 

・・・昔、二人で一緒にママの背中を洗ってあげたこともあったっけ。

当時はママの綺麗な背中を洗うのに夢中でわからなかったけど、今思い返すとあの時のママはすっごく嬉しそうな顔をしてたと思う。

 

私が生涯忘れることのない、大切な思い出の一つだ。

 

「(・・・ん?)」

 

そうして私が当時の思い出に浸っていると、背中に奇妙な感触があった。

これは・・・たぶんお姉ちゃんの手のひらだ。背中を触ったかと思えば、そのまま肩や脇を・・・って!

 

「なななななにしてるの!?く、くすぐった、ひ、ちょ、やめ・・・!」

「・・・」

 

お姉ちゃんの手が体の色んな所に伸びていく。

なんで急にこんなことを・・・わ、私たち姉妹なんだよ!?なのにこんな・・・!私にはせんせがいるのに・・・!!

 

私は身を捩って精一杯抵抗するけど、お姉ちゃんは容赦なく私の体の隅々まで触り、撫で、時に揉み・・・・・・・・・

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・うぅ・・・」

「これは・・・・・・」

 

時間は数分程度だっただろうか。私が人前で女の子が出しちゃいけないような声をあげそうになった頃、ようやっとお姉ちゃんの動きが止まった。

 

「うぅ、ごめんねせんせ・・・私は・・・」

 

私は体に力が入らなかった。もう身を守ることすら出来ない。

まさかお姉ちゃんが私のことをそういう目で・・・嬉しい(?)けど、私には心に決めた人がいるのに!

 

「ルビー?」

「ちょっと待って、今覚悟決めてるところだから・・・」

 

あ、でも女の子同士だし、姉妹だからノーカンでいいかな・・・ゴローせんせならきっと受け入れてくれるよね。

私が脳内でピンク色な妄想をしていると、どこか硬い表情をしたお姉ちゃんが見つめて来た。

 

「いや、まぁ確かに覚悟は必要かもしれないけど・・・これもルビーのためだから」

「わ、私のため・・・?」

 

お姉ちゃんとヤるのが私のため・・・?

もしかして、私とせんせが将来そういう関係になった時のために、お姉ちゃんが色々教えてくれるってこと!?

 

私が期待と不安を込めて見返すと、お姉ちゃんは少しだけ目を閉じた。

呼吸を整えると、何やら覚悟を決めた様子で私に衝撃的なことを言い放った。

 

「少し・・・太ったね、ルビー。どことは言わないけど、全体的にちょっと、その・・・お肉がついたというか」

「・・・・・・・・・え???」

 

????????????????

 

「ごめんね。これは私にも責任があるから、減量にはきちんと付き合うよ・・・大丈夫。今ならまだ食事量を減らすだけで何とかなるから、一緒に頑張ろう」

「う・・・うそだ・・・」

 

私が・・・太った?何を言ってるのかわからない。

私はママの遺伝子を継いでるんだよ?ダンスだってやってるし、同年代の中では痩せてる方のはず。

 

「成長期だからって、ルビーがいつもご飯大盛りとかおかわりをしてるのは、ちょっとマズいかなって思ってた。毎日のように夕飯のあとにお菓子とかケーキとか食べてたし」

「・・・・・・・・・」

「でも、私は幸せそうにご飯を食べるルビーが好きだったから、つい・・・でも、早めに気づけたし、これからすぐに食事量を減らしていけば何とかなるよ!アイドルとして本格的に活動が始まれば、レッスンとかライブで運動量も増えるだろうし」

「・・・・・・・・・」

 

・・・実は・・・実は何となくわかってた。

 

成長期だから体が縦に伸びた分、横にもある程度サイズが広がるのは仕方ないこと。だから別に太ったわけではないし、これは順当に成長している証拠。

このまま行けば将来はミヤコさんのようなナイスバディになって、色気を手に入れてゴローせんせを誘惑してやるんだ、とか思ってた。

 

でも、身長はよく考えたら中学三年の時点でほぼ伸びなくなってたし、一般的には女性の身長は15歳前後で伸びなくなる。ママは今の私より身長が低かったはずだから、今以上に伸びることを期待するのは難しい。

 

つまり、私が最近感じていた『成長期』は、ただ横に伸びていただけだったということ・・・?

 

「普通の女子高生としては別に問題ないんだけどね。でもアイドルとしては・・・そろそろ危ないかな」

「・・・・・・ヤバい?」

「うん・・・とりあえず、お風呂上りに必ずアイス食べるの、やめようか」

「・・・はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルビー」

「うぅ・・・・・・なぁに?」

 

 

二人して湯船に浸かっていると、先ほどの件でのショックを引きずってべそかいてた私にお姉ちゃんが話し始めた。

 

「最近、私のこと避けてたでしょ?」

「っそれは」

「いいよ、理由はわかってるから。仕事とはいえ、家族が同性相手に恋愛して、それがネットで配信されちゃってるんだから・・・学校でも色々言われてるだろうし、複雑な気持ちになるのはわかるよ」

 

いや、まぁ・・・今のところ、学校の皆はわりとノリノリで楽しんでる人がほとんどみたいだけどね。

みなみちゃんは『どうなるんやろな~アクアさんと黒川あかね!観ててドキドキするわぁ』ってニッコニコで楽しそうにしてたし、不知火さんなんか『MEMちょも加えて三角関係作って欲しかった』とか言ってたし。

 

「私も今は女子高生だからさ・・・これから先、どうしても変わってしまう部分はあると思う。今のところはあり得ないけど、仕事で黒川あかねと付き合うことになるかもしれないし、そうでなくとも異性と恋愛したり、将来は結婚したりするかもしれない」

「うん・・・」

 

わかってるよ。お姉ちゃん昔から言ってたもんね。

記憶を持ち越しているとはいえ、前世の自分はもう死んで、今はママの娘として生まれ変わった。別人になったんだから、前世には縛られずに今の自分としての人生を生きるべきだって。

 

「でもね、忘れないでほしいの。()にとって、一番大切なのはさりなちゃん(ルビー)だから・・・これからどう変わろうと、何が起ころうと、これだけは絶対に嘘じゃないから・・・」

「っ!わかった、わかったから・・・もういいよ。避けてたのは私も悪いし、気にしてないから」

「ルビー・・・ありがとう」

 

・・・もう、こういう恥ずかしいことを直球でぶつけてくるから私は困るんだ。

嬉しいよ?大切にしてるって言われてすごく嬉しい。でもそんな真正面から言われたら私だって照れるんだよ!

 

 

それに・・・

 

 

「・・・せんせ」

「えっ?」

「ううん。何でもなーい」

 

何でかなぁ・・・どう考えてもあり得ないのに。

さっきの言葉。どうしてか私は、ゴローせんせに言われたような気がして・・・私はお姉ちゃんの顔を見る。

 

「?」

 

不思議そうに首をかしげるお姉ちゃんの顔は、最近はどんどんママに似て来た気がする。

私たちは二卵性の双子だから、似てるっちゃ似てるけど微妙に違う部分がいくつかある。お姉ちゃんは私よりもつり目気味だし、声は少し低くて、髪は癖のない完全なストレート。

まぁ、私もママに似て来てるから、どっちの方がよりママに近いかっていうと何とも言えない。

 

ただ確実なことは、お姉ちゃんはどう見たってゴローせんせとは違う人だということ。当たり前だけどね。

 

 

 

 

 

「あらなに?あんたたち二人で入ってたの?」

「えへへ~♪」

「お疲れ様」

 

お風呂から上がって、私がお姉ちゃんに髪を乾かして貰っていると仕事を終えたミヤコさんがやって来た。今日も一日お疲れ様です。

 

「まったく、高校生になったっていうのに、あんたたちはべったりよねぇ。仲いいのは悪いことじゃないけど、こんなんで自立出来るのかしら」

「え~?大人になっても皆でここに住めばいいじゃん。ミヤコさん一人だと寂しいでしょ?」

 

ミヤコさんが呆れたような目で見て来るけど、今の私はご機嫌なのでまったく気にならなかった。

 

そう!お姉ちゃんと私はお互いを一番に想いあって生きて来た。それはこれからも変わらない。

もちろん、お姉ちゃんが仮に誰かと付き合うことになっても、私がゴローせんせと結婚したとしても、その気持ちだけは変わらない・・・それだけは不変の事実なのだ。

 

何も心配することなんてないんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっそ・・・あいつらマジでやりやがったわね」

「・・・」

「確かに、視聴者だってカップル成立は望むところだろうし、番組側としても有終の美で終われる最高の形でしょうけど・・・よくやるわね。仕事上の関係なのか、本気で付き合うのか、気になるところだけど」

「・・・」

「・・・ルビー?ちょっとー?」

「・・・」

「し、死んでる・・・」

 

 

あ、あ・・・お姉ちゃんが、黒川あかねとキスしてる。

 

え、なにあの顔。なにあのリアクション。

 

年上の先輩に好きって言いたいけど恥ずかしさと覚悟が中々決まらなくて言い出せない恋する乙女ってやつなの?なんか漫画で見たことあるかもー

しかも黒川あかねは何ですか?キリっとした顔で顎クイなんかしちゃって。少女漫画に出て来るイケメンキャラなの?あれはママの演技じゃないよね?素なの?素であんなことしちゃうの?

 

 

 

・・・そう言えば収録の最終日。

帰って来たお姉ちゃんの様子がなーんかおかしいなぁとは思ったんだよ。

 

 

『お姉ちゃんおかえりー!今日で収録最後だよねー、どうだったー?』

 

ようやく収録が終わるから、これからはお姉ちゃんとの時間も前のように戻る。そう思っていた私はとても軽やかな気持ちで問いかけたんだ。

 

そしたら、お姉ちゃん急に顔を真っ赤にしちゃって。

 

『あ、あぁ、うん・・・べ、別に、普通?だったよ・・・ごめん。私ちょっと疲れたみたいで・・・先に休むね』

『うん?おやすみなさーい』

 

 

・・・あの時のお姉ちゃん、随分と慌ててたなぁ。ってそりゃそうか、人生初の恋人が出来た日なんだもの。さすがのお姉ちゃんでもいつも通りとはいかないか。

 

 

「・・・先輩!」

「ほわぁ!?き、急に起きるんじゃないわよ・・・なに、その目怖いからやめてくれない?」

 

私は髪の毛を弄って遊んでいた先輩の両肩に掴みかかった。

最悪の想像が頭をよぎる・・・でも私は演技についてはほぼ素人だし、先輩の意見をどうしても聞きたかった。

 

「これって演技だよね?演技だって前に言ってたもんね。そうだよね!?まさか本気なわけじゃないよね!?ねぇ!?」

「ちょ、おま、お、おちつ・・・・・・落ち着けぇ!」

「ひゃうう!?」

 

私が先輩の肩を揺らしながら問い詰めると、どこからともなく取り出したハリセンで私は頭をスパーン!と叩かれた。

ソファに倒れ込んだ私を見下ろすように立ち、先輩は腕組みをしながら話し始めた。

 

「はぁ~・・・ま、あんたには酷なこと言うけどね。これは多分ガチよ」

「???」

「だからぁ!アクアはガチで黒川あかねが好きなのよ!・・・黒川あかねの方は何とも言えないけど、少なくともアクアの好意に応じるくらいには向こうも好きってこと・・・たぶんね」

 

そ、そんな・・・確かにお姉ちゃん、仕事で黒川あかねと付き合う可能性はあるって言ってたけど。

仕事じゃないの!?本気で黒川あかねと付き合うっていうの・・・?

 

私が頭を抱えていると、先輩は真剣な顔で考え込むようにして呟き始めた。

 

「正直・・・最近のアクアは演技じゃなくて本気じゃないかってのは私も考えてたことなのよ。きっかけはやっぱり、黒川あかねがキャラ付けを始めたあの日から・・・あの日からアクアは演技をやめて、黒川あかねへの本気の好意を見せ始めた。あれが演技っていうのはちょっと考えずらいわね。一応、似たようなことが出来る演技法はあるけど・・・」

 

私は何事かをぶつぶつと呟き続ける先輩を放置して、頭の中ではお姉ちゃんのことだけを考えていた。

 

 

・・・この前お姉ちゃんが言っていたことが本当なら、仮にお姉ちゃんが黒川あかねと付き合ったとしても、妹の私を最優先で扱ってくれるのは間違いない。それはわかってる。でも・・・駄目だ。どうしても胸の奥がモヤモヤしてしまう・・・醜い嫉妬の感情を抑えることが出来ない。

 

黒川あかね。お姉ちゃんが今後付き合うことになるなら、そう遠くない内に彼女と会うことになるはず・・・その時に判断するんだ。奴がお姉ちゃんに相応しい人なのか。お姉ちゃんを任せてもいい人なのか。

 

私はスマホに表示させた、黒川あかねの公式プロフィール写真を見ながら強い決意を固めた。

 

 

これが、私が挑む相手・・・!!

 

 

 

 

 




・星野瑠美衣
 大好きなお姉ちゃんが取られそうで嫉妬心がメラメラしている妹ちゃん。
別に闇落ちしたわけではないけど、たまーに目の星が黒くなることがある。
アクアちゃんが甘やかしまくった結果、ちょっとムチムチになりかけていた。でもこれからいっぱいレッスンするし、食事量も控えるので多分大丈夫。




・黒川あかね
 泥棒猫。強い。(ルビーちゃん視点での)ラスボス(?)
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