ビルダーinハイラル   作:ゴランド

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本格的な夏季が訪れ、熱射が我々を照らすこの頃。
ファッキンホット!秋よ早く来てくれ…!



理解が早くて助かるが怖すぎる

 

 俺と言う尊い犠牲を出しながらも無事に?魔物の集団を撃退したカカリコ村。これはもう景気良く宴を開くしかねぇ!と思った矢先、俺達は思いもよらぬハプニングに見舞われてしまう。

 

「な、なんだこれ!?」

『インパ、貴女が言いたかったのはこれなのですか⁉︎』

「…その通りです。やはりこうなってしまったか……」

 

俺達の前には中身が荒らされた食糧庫があった。しかもただ害獣等に食い荒らされた形跡ではなく、燃やす切り刻まれるといった人為的なものが見て取れる。

インパ婆ちゃんが言っていた食糧の備蓄が底を突きつつあると言ってたのって…!?

 

「左様、何者かが魔物の襲撃に便乗して我々の食糧庫や他の施設の備品なども破壊されてしまっている。先程も忍杏亭*1に仕立て用器材の被害が報告されておる」

 

 思った以上の被害に思わず目を見開く。嘘だろ?それじゃあまさかあの魔物の集団は囮で別の魔物達が村に入り込んでそんな事を…!

 

『それは違うと思います』

「えっ?違うってどう言う事だよ姫様」

『確かにボコブリンと言った魔物ならば村に侵入する事はできるかもしれません…が、可能性としては低いでしょう』

 

ゼルダ姫は幾つかの点に注目する。

・定期的に村へ魔物達の襲撃。

・備品・食糧への人的被害が出ている事。

・村内に出ている被害が少ない事。

・村への侵入者を誰1人見ていない事。

 

これらに彼女は焦点を当て、魔物による仕業と言う線は薄いと言ったのである。姫が言うにはボコブリン達にピンポイントで被害を抑える該当はできない上に食糧を食べる目的ではなく、ただ荒らしている事がおかしいとの事。

 

今考えると魔物達の襲撃も魔物が考えたにしては高度な戦略だった。第一陣、第二陣とグループを作り断続的に襲って来ると言う戦略を魔物が立てられるとは思えない。

 

そう考えているとリンクの口から「しかも性格が悪い」と告げられる。一体何のことだ?と尋ねると彼は答える。

 

"自分なら建物に火をつけて燃やす。そうすれば人に被害が出るし作物だって燃える立地的に村の出入り口は二つしかないからそれの方が効果的"

 

 確かにリンクの言う通りだ。カカリコ村に被害を出したいなら火攻めにする方が手っ取り早い。だと言うのに何でそんなチマチマした方法で被害を出すのだろうか?

それにしても村に放火した本人からの説得力が違うな。

 

"怪しい人が居たから燃やしたまでのこと"

 

「相変わらずの蛮族思考だなお前ェ!」

 

しかしどうしたものだろうか。話によると被害を出した犯人を見かけた人は居ない、もしかしたら既に村の中に侵入者が身を潜めているって事になる可能性が考えられる。

こうして考えていても事態が好転する訳ではない。一体どうすれば良いのだろうか……?

 

自分に何かできることは無いか?こう、貰った神器とかで何でも解決できれば……良かったんだけどなぁ。女神様がくれたこのビルダーペンシル?っての何に使えば良いか分からないし。

 

「……いや待てよ?こう言う時こそ困った時の神頼み?」

「む、どうかしたのか?」

「ああ、インパ婆ちゃん。ちょっと聞きたいんですけど……」

 

 

 

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 

"あったよ女神像が!"

 

「でかした!」

 

 カカリコ村に祀られている女神像の前に来た俺達。ちなみにインパさん、ドゥランさんも一緒に来ていらっしゃいます。

と言うわけで今回もまた捧げる為の供物を作っていきます。用意する材料は『りんご』『チュチュゼリー』『氷の実』『きび砂糖』となる。これらを使って料理をやっていくとしよう。

 

『待ってくださいビルダー!チュチュゼリーは薬剤の材料として度々使われる事がありますが料理として使うのは良くないですよ!』

 

おやおや、姫様は脳内知識が100年前で止まっているらしい。確かに従来の魔物の素材は食糧として使えないとされていた……が、今は違うッ!チュチュゼリーはある一定の温度まで煮た後に濾す事を繰り返す事で有害な成分を取り除く事が可能となったのだ!

 

と、言うわけで自分はチュチュゼリーの毒を取り除く作業してるからリンクはリンゴと氷の実を砕く作業やっておいて。

 

"了解"

 

『ちなみにビルダー、こちらの氷の実と言うのは何なのでしょうか?見た事がありませんが…』

「ん、姫様知らないの?……あっ、そうか。年代的に知らなくても仕方ないのか」

 

氷の実や火炎や電気と言った属性の実は今より何十年か前にハイラルの各地に現れ始めたとされる謎の多い植物なのだ。専門家の調査、研究によって鳥が別の大陸より運んできた、もしくは天空に浮かぶとされる古代遺跡より落ちて来たのではないか?と言った説が提唱されている。

 

ちなみに有力なのは前者の別大陸から来た植物で、普通に考えて空飛ぶ遺跡なんてある筈ないだろうとのこと。

そう言う訳でハイラル王国がまだ健在していた頃には見つかってない植物を姫様が知らなくても当然なのだ。

 

『す、凄い…!まさかこんな物が存在していただなんて…!これの構造は!?分類体系的には恐らく種子植物だと思いますが、どうやって繁殖しているのでしょうか!加えてこのような属性エネルギーを放出する仕組みも興味深いです!』

 

凄い早口になるね姫様。ちょっと引きながらも無事にチュチュゼリーより無害な成分を抽出した俺はリンクが砕いたリンゴと氷の実を拝借する。まずリンゴと砂糖をゼリーと一緒に煮詰め、煮詰めた物をビンの中に投入。更に砕いた氷の実を少しだけビン内へと入れておく。

これで少し待った後に食器に移せば…!

 

「ビルダー特製!『リンゴゼリー』完成!」

 

"うわっ!ぷるぷるしてる!気持ち悪い!"

 

 はぁぁぁぁぁ!?何と言ったリンクお前!?俺が丹精込めて作ったスイーツを気持ち悪いだと!ゼリー馬鹿にするなよお前!畑や牧場、あと変な研究所ぐらいしか存在しない限界集落(ハテノ村)で編み出された次世代を担う(予定)村の名物スイーツなんだぞ!

見た目がチュチュっぽいから食欲湧かないと言われているけども!

 

『結局のところ、ウケは悪いのですね』

「姫様は静かにしててください。と言うわけでゼリーを生贄に女神様の天啓を受けます」

 

そうして供物を捧げると脳内に女神様の声が聞こえて……あれ?声が聞こえて来ない?

 

──ビルダー、聞こえますか?ビルダー。

 

「うわっ時間差で聞こえて来た!びっくりするなぁ!……あれ?」

「これは…まさか本当に女神様の声だと言うのか!」

『ええ、その通りです……ん?どうかしましたがビルダー』

 

いや、その何と言うか……今聞こえて来てる声、自分の知ってる女神様と違う気かすると言いますか…もしや別人なのでは?

 

──よくぞ言い当てましたねビルダー、私は女神ハイリア様の眷属。女神様の命を受けて貴方達の手助けをする事になりました

 

えっ!?それってつまり仕事を部下任せてる…ってコト!?

そう言えばガノン封印をゼルダ姫と一旦交代したんだっけか、ちょっと忘れてた。

 

「まぁいいか。ちょっとカカリコ村が真綿で首を絞められている状態なので手っ取り早く女神パワーかなんかで解決お願いします」

──無理です

 

「は?」

 

──申し訳ありませんがビルダー、我々はそう簡単に地上へ手を出す事はできません

 

女神様の眷属が言うには地上に手出しする事は謂わば貯池に岩石を投じるどころかかなりの劇薬扱いらしく、例外が無い限りは自分達に干渉は出来ないとの事。仮にそのタブーを破った場合は人々は神の力を巡って争う可能性もあれば、意味のない生贄を捧げたり、ヤバい宗教団体が設立される可能性もあるそうな。

…思った以上に真っ当な、と言うよりもガチで守らないと駄目な理由が出て驚いてしまう。

 

「…ん?、じゃあ何ですか。俺達は女神様の助けどころか助言すら貰えないって事ですか?…あーーーーーッもう!こう言う肝心な時くらいは役に立ってくれないかな女神様よォォ!」

「…あやつは本当に女神ハイリア様を信頼しておられるのでしょうか?」

『そこについては私も心配になって来ました』

 

後方の2人の戯言を無視していると、天からの言葉が紡がれる。

 

──しかし、手出しする事は出来なくとも恩寵を与える事はできます

 

 恩寵と言う言葉に自分はハッとする。時の神殿にて女神へ祈りを捧げ、ビルダーに課された試練を乗り越える事で神の力が宿りし道具、神器を手にした。もし今回も同じように試練を乗り越えれば今度こそ絶対的な力を手に入れられる筈…!

前回は地面に設計図を描くだけアイテムだったが今回はこそシーカーストーンに負けないくらいの力を手にしてみせる!と意気込んでいると眷属が語りかけて来る。

 

──申し訳ありませんビルダー。貴方に試練こそ課しますが今回は神器ではなく、村に魔物が入れないように光の領域を広げる事になります

 

「はぁーー、つっかえ!」

『無礼ですよビルダー!村に魔物の被害が出ないようにしてもらえるんです!露骨にやる気を失わないでください!』

 

そんなこんなでやる気が削がれつつも女神様の眷属からの話を聞く。どうやら自分に与えられたビルダーの力とは万物を媒介に森羅万象を『創造』する事が可能とのこと。今回はカカリコ村の人達から得られる想いの力、即ち『感謝の想い』を媒介に自分と女神像が『光の領域』を作り出せると言うのだ。

 

「…もしや俺って凄い存在だったりする?興奮して来たな」

 

"よっ!異常的存在!"

 

素っ裸で魔物を蹴散らすお前に言われたくはねーよ!でもありがとうな!話を戻すが俺に課された試練と言うのが

 

1.【畑を改善させること】

2.【畑の敷地を広げること】

3.【カカリコ村の修繕を行うこと】

4.【備蓄用の食糧を大量に用意すること】

 

以上の4つとなる。これら全てクリアする事で村に魔物が押し寄せる事は無くなるらしいのだが…難しい…難しくない?特に畑関連のやつ。こっちは農業のノウハウが全然無いからなぁ…。

 

『安心してくださいビルダー。こう見えて私は農作・畜産物に詳しいので、何か分からないことがあれば力になりますよ!』

「おお姫様、何と頼もしいお言葉!」

 

 流石は木こりおじさんの娘と言った所だ。王様から継がれた農業パワーと太眉毛は伊達じゃないな!

……ん?どうした姫様、なんか無言でこっちに寄って来t

 

 

 

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 

「…うへぇ、こりゃ酷い。どれもロクに育ってない…と言うか枯れてる」

「…あのビルダー殿、頰に赤い手形が…」

「気にしないでください。幽霊から受けたので実質ノーダメージです…あっ待ってくれ姫様。さっきのは謝るから同じ所を張り手するのはやめて」

 

ヒリヒリする頰を抑えながら目的の畑の元へ訪れた俺達。ゴスティンさんが管理するゴーゴーニンジンが植えられた耕地を見せてもらってるのだが、これが実に酷い。

農作物がどれも枯れている状態であり、本来見られる筈の橙色野菜を収穫するのに期待出来そうにない。

 

ひとまず土の状態を見る為にハンマーを使い一部を破壊し、素材として回収する。こうして自分は『汚染された土』を手にして…ちょっと待った、汚染されたって何?

 

自分のビルダー能力の一つに得た素材の情報を一瞬で分析し、理解する事が可能な物があるのだが、頭に浮かぶ汚染されたと言う単語に首を傾げた。おかしい、何故この畑は『毒』で汚染されているんだ!?

 

『何かあったのですかビルダー?』

「おいやべぇって姫様!実はここの畑が毒で汚染さ───むぐ!?」

 

いきなり何をするんだ!?と言いかけるがゼルダ姫が自分の言葉を遮る。

 

『この事態を私は見た事があります。ですが誤解やすれ違いが無いよう改めて聞きますが、コレは本当に毒による影響なのですか?』

 

 真剣に問いかけて来る彼女に対して自分は答える。これはあくまで女神様が与えてくれたビルダー能力によるものであって、自分の知識由来のものでは無いので自分でもこの情報を疑ってしまう。

だがこれまでの経緯や実績を考えれば女神ハイリア様が与えてくれたこの力は信頼に値するに相応しい。その事からこの畑は塩害や病気等の類で不作になった訳ではない。恐らく何かしらの事故で毒が混入したのではと考える。

 

『…いえ、恐らくですがこれは事故ではなく人為的なものです』

「はぁ?」

『何者かが故意に畑に毒を混入させた。私はそう考えます』

 

 その言葉に思わず息を呑み込んだ後、もしも彼女の言う事が本当ならば毒を混入させた犯人がカカリコ村に起きている一連の事件に関わっているに違いない。

ならば早速犯人を探してソイツを吊し上げなくては!とゼルダ姫に提案するが彼女は自分の案を却下してしまう。しかも即答である。

なんでや!眉毛の事引きずってんのかお前!私怨による却下なのかかお前!

 

『いいえビルダー、もしもそれをやったのならばカカリコ村は潰れてしまうでしょう』

「そーなの!?」

 

 潰れてしまう、その言葉の意味がよく分からない俺に彼女は順を追って説明をしてくれた。

現在カカリコ村は食糧難に加えて備品も壊されている、更にそこへ魔物の襲撃が定期的に行われている為、村人達の限界が近いとの事。もしも何者かが毒を畑に細工をしたと村の人達に打ち明けてしまえば疑心暗鬼の果てに、互いが犯人だと指差し合い殺し合う地獄が訪れてしまう可能性が大きいとの事。

その光景を想像し血の気が失せていき、心なしか体全体が涼しくなって来た。

 

Q.つまりどうしろと?

A.現状維持。事態が動くまでやれる事をやろう

 

一先ずそのような結果となり、自分は目の前にある畑と向き合う事となる。恐らくこの畑のみならず別のヨロイカボチャやカカリコ村特産の野菜にも毒の被害が及んでいるのだろう、ゴスティンさん達には土が駄目になってる為、こちら側で対処すると伝えておいた。すると魔物の撃退や食材を得る為に男達は狩りへ出ている為に畑作業を疎かにしてしまったと嘆いてたので良心が痛むだけに済んだ(吐血)

 

「さて、とりあえず土だ。こんな質じゃ野菜を育てる事なんてできないからなぁ…」

『つまり畑の土を全て新しい物と入れ替えるしかありませんね』

「その作業全て俺一人でやらなきゃ駄目なのか……」

 

そう嘆いているとリンクが"自分も手伝う"と言ってくれた。ありがとう、マジでありがとうリンク!お前こそ農業界の勇者だッ!と伝えると彼はハッと目を見開いた。

 

"思い出した…自分は農林業にその身を置いていたんだ…!"

 

「騎士だったんだよお前は!記憶の捏造すんな!まぁいいやササっと入れ替え作業を終わらせよう!」

 

 とりあえずポーチから大量の土ブロックを取り出し、役割の分担を決める。自分は今植えてある野菜と土を破壊&回収。リンクとゴスティンさん…ついでにゼルダ姫(幽霊)は自分が取り出した土を使って埋めるだけの簡単かつ大変な作業だ。

ハンマーで汚染された土を破壊していき、すぐ後方からゴスティンさんとリンクが凄まじい速度で新鮮な土を埋めていく。ちょっと二人のスピードが速くてビビったが自分も負けじと頑張る。すると想定していた以上に短時間での作業が完了した。

 

「おお!畑作業が終わりましたな。流石はビルダー殿とリンク殿です!まさか我々三人で簡単に終わるとは思いませんでした!」

「えっ、あ、はい」

 

実はゼルダ姫が居た事を俺は告げられずに居た。何故なら彼女は手伝いこそしていたものの、リンク達の作業スピードに着いて行けずただ茫然と立ち尽くしていたのだった。

…あの姫様大丈夫ですか?もしかして泣いてます?

 

『い、いいえ?泣いてませんが…?この程度の事で役に立たなかった程度で泣くようなみっともない真似はしませんが?』

 

 彼女の尊厳を守る為にガッツリ涙が溢れてる事に関して、俺は何も触れないようにした。

兎にも角にも、畑での作業を一つ終えたがここからどうすべきか頭を悩ます。土の入れ替えこそ終わったものの、畑の改善は全然出来ていない。そもそもの話、汚染された土地を戻すには何年もの月日を掛ける必要がある上に畑そのものを拡大する事だって大変な作業だ。神様パワーや古代技術のようなご都合主義バリバリな力が働かない限り簡単に改善なんて出来る筈が無い。

 

「……そう言えば神様パワー的なの貰ってたな」

 

ふと神器『ビルダーペンシル』の存在を思い出した。女神様から貰って以来、使ったことの無いアイテムだがコレを使えば何とかなる…筈も無いかと溜息を吐く。せめて村に活気さえあれば村内の設備改善にも繋がりそうのだが…そう考えつつ、息抜きも兼ねて適当にペンを弄る。

 

そんな事をしていると、ふと自分は気付く。ビルダーペンシルで宙に何かを描き出すと同時に、眼前の地面に青く光る線が刻まれ始めたのだ。横方向にペンシルを走らせると、地面に光の横線が刻まれる。縦方向に走らせれば縦方向に光の線が。

 

「む、ビルダー殿?一体何を…?」

「ああゴスティンさん。ちょーーっと、少しコレの使い方が気になって…」

 

何かが出来そうだと思い至った自分はある物を地面に描き始めた。我ながらこう思い至ると動かずにいられない性分だ。ソレを描き終わる頃には目の前の地面に『畑の設計図』が煌びやかに刻まれた。

 

「お、おお?なんか出来た!?」

 

 困惑している中、光が一段と輝く。描かれた図面に導かれるかの如く、村に住んでいるほぼ全ての人達が自分の元に集って来る。

……待って、めちゃくちゃ集まって来たんだけど何事!?

 

自分が困惑している中、インパ婆ちゃんがこの現象は一体何なのか?と問い掛けて来るが自分も分からないと答える。まさかこれが神器の力による影響だと言うのだろうか?

 

「良く分かりませんがビルダー殿、こちらの畑を作れば良いのですかな!」

「えっ、まぁ…はい」

「必要な材料があれば、我々が回収して来ましょうぞ」

「いや、あの?なんで、そんな理解力が凄まじいんです?」

「不足しているものがあればビルダー様が用意してくだされば幸いです!」

「いや怖い!怖いって!何、なんなの!?村の皆が凄い理解示して来るんだけど!待って、リンクとゼルダ姫助けて!思考盗聴されてるんだけど!」

 

 そんな事を言っている合間にも村の住民達は描かれた設計図に従う形で動き始める。唖然としている内に土は入れ替わり、柵が立てられ、農具により耕されていく。気付く頃には眼前に立派な畑が完成した…いや、正確には完成一歩手前のなのだろう。ドゥランさんが自分に向けて言葉を送って来る。

 

「さぁビルダー殿。最後の仕上げをお願いしますぞ!」

「え、あ…はい」

 

施されるままに自分は作業台を取り出し『木材』『ロープ』そして余っていたものを譲ってもらった『干し草』を加工及び合成する。それにより畑には欠かせないアイテム『カカシ』を作り出し、皆が作ってくれた農地にそれを深々と突き立てた。

 

すると周りから歓声が上がり、先程まで疲弊していたのが嘘のように村に活気が溢れる様子を見せる。

自分が手にしているビルダーペンシル。これは設計図を地上に描き記し、建造物等の作業効率を引き上げるモノだと察した。何も教えてないのに自動で組み上がっていく光景は本当に驚いた…だがそれ以上に人々の心に作用し"物作りへの欲求"を倍増させるのがビルダーペンシルの最大の特徴なのだろう。

自分が考えていた以上に神器は凄まじい代物だ。物質や現象に作用するのではなく、人そのものに作用するのだから末恐ろしく感じてしまう。

 

「……でも、まぁ…いっかァ!俺ビルダーだし。悪い事に使う予定なんか無いし!」

 

とにかくこれを繰り返していけば課題の一つである畑の敷地拡大は解決するな!ヨシ!(現場ハイラル猫)

そう思っていると、オドオドとした様子でインパ婆ちゃんの孫娘であるパーヤちゃんが自分に話しかけて来たではないか。男性が苦手だと言うのに精一杯声を絞り出す姿…かぁーーッ!卑しか女ばい!そう言う子大好きよ俺。で、自分に何かようかな?

 

「えっと、ですね……その……農地に植える為の種はいかがなされるのかと思い……」

「OK、OK。種ね、それくらいビルダーがなんとかするよハハハ。ところで畑に植える為の種はどこにあるか分かりますかインパ婆ちゃん」

「……まぁ、あるにはあるのだが…」

「うん?」

 

 急に頭を下げるインパさんの姿を見て自分は困惑と同時に嫌な予感が身体に駆け巡る。あの、もしかして…もしかしてなんですけど。

カカリコ村の被害って野菜の種にまで及んでたり?無いと思いますけどねハハハ。

 

自分がそう告げると図星なのか、顔を逸らす者や何も答えず黙っている者、カカシを敵と見たて松明を振るう者(無論、蛮族である)。有りと凡ゆる様子を見せる彼等の姿を見て察した。

あれ?もしや野菜の種ってめちゃくちゃ少なかったりする?

 

「…その、畑を広げようにも種が無いと意味が無くなってしまうかと…」

 

 なんでこうも問題点が次から次へと出て来るんだよドチクショウがァ!

 

 

*1
カカリコ村に構える防具屋





『女神の眷属』
ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド/ティアーズオブザキングダムに登場する女神像を介して会話してくれるお方。女神様本人は厄災を封じているので代わりに登場。魔物が侵入できない光の領域を広げる為にもビルダーに試練を課す事に。



【作成したアイテム】
『カカシ』
『木材』『ロープ』『干し草』を組み合わせる事で作成可能。畑において害獣除けとして使用する。野菜を作るには欠かせないアイテム。



ビルダーペンシルの真価を発揮する回でした。最初に貰った神器はビルダーベルのように人の心に作用すると言う、一瞬の洗脳……否、思考能力に変化を与える凄まじい物。悪用するとヤバい代物だったりする。

皆様はこの炎天下の中どうお過ごしですか?体調管理を心掛けて、熱中症にならないよう気をつけましょう。
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