貞操逆転世界でも陰の実力者になりたくて!   作:あああ

1 / 3
なんだこの雑な導入は……まるでAVみたいだあ……(直喩)。


貞操逆転世界でも陰の実力者になりたくて!

 

 転生して最初に感じた違和感は、男の数が妙に少ないということだった。

 

 いや、居るといえば居るのだ。めっちゃ少ないけど。

 まあ最初は、そんなに気にしていなかった。

 

 貴族の家っぽいし、執事よりもメイドの方を多く雇ってるんだろう。

 

 その程度にしか考えていなかった。家の敷地内からも出ないしね。

 しかし転生して数年が経つと、僕の違和感は確信に変わる。

 

 ここ貞操逆転世界だ!!

 

 まず、出会う女の人はみんな僕の股間に視線がいく。次に胸、そして顔。最後に股間だ。

 視線だけならまだいい方で、僕の股間をまさぐるために、()()()()水をズボンにこぼそうとしてくる給仕係もいる。ちなみに、そいつはクビになった。

 洗濯係もひどい。こないだなんて、僕のパンツを嗅いでいた。しかも使用済み。ちなみにそいつもクビになった。

 姉さんもひどい。いつも当然の如く、ベッドに忍び込んでくるし、僕の使用済み(以下略)。ちなみに、風呂に侵入してくるのだけは死守した。

 

 まあそんなこんなで、さらに数年過ごしていると僕も気付く。

 

 これ陰の実力者になるの無理では?

 

 だって街のどこ行っても、男ってだけで目を引くんだぞ。まずモブになれないじゃないか!

 もう諦めるしかないのか……。それしか道はないのか……。

 

 ………………。

 

 

 

 

 

 

 いや、せっかく魔力のある世界に転生したんだ、絶対諦めんからな!!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 転生して多分10年くらい経ったと思う。

 

 貞操逆転世界ということで、少し絶望しかけていた僕だが、まだ陰の実力者になることは諦められていない。なぜなら魔力があるからだ。

 

 魔力はすごい。人間の身体能力を、何倍にも引き上げてくれる。岩を砕くのも、超スピードで動くのもお手の物だ。これがあるから、まだ僕は絶望せずにいられた。

 

 まあそんな日々を過ごしている僕だが、今日は盗賊狩りに来ている。どうやら最近、近くの廃村にならずものが住み着いたらしい。それなりの規模の盗賊団がいるようだ。今回はまともなのがいると良いんだが……。

 

 野盗は見つけたらちょくちょく斬っているけど、全員変態だ。まず僕が男だと分かった瞬間、『げへへ、兄ちゃん良いち○ぽ持ってんじゃねえか……』と襲いかかってくる。脱いでないのに。このままではいけない。このままだと僕は陰の実力者ではなく、スタイリッシュ変態スレイヤーになってしまう。

 

 そんなこんなで、いつもだと若干憂鬱な盗賊狩りだが、今日は少しワクワクしている。新兵器を実戦投入するからだ。その名もスライムボディスーツ。

 

 説明しよう! スライムボディスーツとは………とは……。

 

 え、待って。さっきまでの感じだと、この装備も卑猥な感じに見えてきた。よく女騎士が呪われた装備を身につけて、中に潜んでたスライムにエッチなことされたりしてたけど……。

 大丈夫だよね? 元の世界基準で考えた時の、スライムにアソコをいじられてる女騎士みたいになってたりしないよね? なんか不安になってきたな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ大丈夫でしょう! きっと! 多分! おそらく……。may be……。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 僕は、今猛烈に感動している。僕の目の前には、裸の金髪エルフ少女がいた。しかも僕の股間を襲わない。

 

 おっと! ここまでの経緯をダイジェストでお送りしよう。

 

 あの後、僕は盗賊団もとい変態集団と戦った。不安は的中。全員『ち○ぽだー! 活きの良いち○ぽが、来たぞー!!』と襲いかかって来たので、叩き斬って置いた。その後、盗賊たちが持っていた檻の中に謎の肉塊を見つける。

 

 で、その肉塊に魔力を流し込んだりして実験していたらこうなっていた、というわけだ。

 

 うーん……このまま帰ってもらっても良いんだけど……。初見で僕を()()()()()で見ない女の人は、貴重なんだよなあ……。

 

 多分恩は感じてくれてそうだし、仲間になってくれると嬉しいんだけど……。

 まあ物は試しだ。とりあえず勧誘してみよう。

 

「君、僕の仲間にならない?」

 

「あなたには、命を救ってもらったもの。()()()()なるわ」

 

 ん? 今、なにか変だった気が……まあ良いか。

 とにかく、これで第一関門は突破だ。

 

「それで……というか君、名前はなんていうの?」

 

「私は……いえ、前の名前はもう捨てる。あなたが新しくつけてちょうだい」

 

 ええ……急にすごいこと言い出したな。前の生活がそんなに嫌だったのか? 

 

 そうは言ってもなあ。一緒に陰の実力者プレイしてくれれば良いだけだし……まあコードネームっぽいのつけとけば良いか。

 

「……よし。君は今日からアルファだ」

 

 A、アルファ、どっちでもいい。

 

「わかったわ」

 

 彼女は頷いた。金髪、青目、色白、美人、典型的エルフだ。

 

「そして君の仕事は……」

 

 僕は少し言葉を止めて考える。ここ重要だ。彼女の仕事は陰の実力者の補佐、それは間違いない。ならばそもそも陰の実力者とは何なのか、陰の実力者の目的は何なのかといった、この世界で僕が目指す陰の実力者の設定の根幹に関わってくるのだ。

 

 設定は大切だ。

 

 戦う理由が、ち○ぽをしゃぶらせないためでは格好がつかないのだ。

 

 その点僕は抜かりない。この世界に来る前も、この世界に来た後も、僕の考えた最高の陰の実力者を妄想し続けているのだから。今まで考えた数千、数万パターンの陰の実力者設定を組み合わせ、僕は瞬時に最適解へと辿り着く。

 

「魔人ディアボロスの復活を陰ながら阻止することだ」

 

「魔人ディアボロス……?」

 

 

 〜〜説明中〜〜

 

 

「我等はシャドウガーデン……陰に潜み、陰を狩る者だ……」

 

「シャドウガーデン。いい名ね」

 

 だろう、ネーミングセンス抜群だ。

 

 今日この瞬間、シャドウガーデンが設立され、世界の敵ディアボロス教団が誕生した。僕は陰の実力者への道程をまた一歩進んだのだ。

 

「ま、とりあえず魔力制御鍛えつつ剣の練習しますか。メイン戦闘は僕がやるけど、君も雑魚戦はやってもらうからそれなりに強くなってね」

 

「わかってる。敵は強大、戦力の底上げは必須ね」

 

「そうそう、そんな感じ」

 

「他の英雄の子孫を探し出して保護する必要もあるわね」

 

「え、あぁ、まぁほどほどにね」

 

 陰の実力者プレイは複数でやった方が組織的っぽくて設定に深みが出るからいいんだけど、そんな沢山はいらないんだよな。ぶっちゃけ2人でも問題ない。 というか、複数プレイっていう響きが嫌だ。

 

「後は……あなたの性欲処理も必要ね」

 

 ん? なんか流れ変わったな?

 

「いや、別にいらないけど……」

 

「いえ、必要よ。それなら私が今裸である理由を、説明できないもの」

 

 急いで、スライムで姿を隠す。

 

「恥ずかしがらないで……あ! 待ちなさい!」

 

 正体表したわね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんとか逃げ切った。転生して、初めて恐怖を感じたかもしれない。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 シャドウガーデン設立から3年ぐらい経った。あれからたくさんの苦労があった。どんどん増えるシャドウガーデンメンバー。ほどほどにって言ったのに、アルファが捨てネコ拾うみたいに連れてくるからどんどん増えるんだ。

 

 いろんな物語を話したら、なぜか官能小説を書き始めるヤツ。なんかエロい格好でピアノ弾き始めるヤツ。エロいグッズばっかり作るヤツ。etc、etc……本当にたくさんの苦労があった。彼女たちとのやりとりを思い出す。

 

 〜〜回想はじめ〜〜

 

僕   :「くそっ! また変態かよ! もう二度と来ないように塩まいとけ! 塩!」

ゼータ :「わかった。()()、まいとくね」

僕   :「ん? なんか字が違う気が……」

 

僕   :「事業計画書?」

ガンマ :「はい」

僕   :「なになに……陰の叡智を使った様々な商品を売り出す店と。名前はF○NZ……」

 

僕   :「蒸気には物を動かす力があるらしい」

アルファ:「それも陰のH?」

僕   :「……………………もうそれでいいよ」

 

 〜〜回想終わり〜〜

 

 ああ、そんな話をしてる場合ではなかった。どうやら姉さんが拐われたらしい。王都に出立する日だと部屋を見にきたら、消えていたたようだ。で、現在カゲノー男爵家大騒ぎってわけ。

 

 ちなみに僕は空気。期待はされてないけど、面倒もかけない、そんな感じのポジションをキープしている。

 

 しかし姉さん割といい人だったのに……いや、そんなに良い人でもなかったか? いっつも僕の股間狙ってたしな……。

 

 そんな事を考えながら自室に戻り、姉さんの消えた方に手を合わせてからベッドに転がった。

 

 そして。

 

「出てきていいよ」

 

「はい」

 

 声と同時に音もなくカーテンが揺れて、黒いスライムボディスーツに身を包んだ1人の少女が入ってきた。

 

「ベータか」

 

「はい」

 

 アルファと同じエルフの少女。アルファは金髪だったけど、ベータは銀髪だ。

 

 猫みたいな青い瞳に泣きぼくろの彼女は、僕とアルファに続く3人目のシャドウガーデンメンバーだ。ちなみに官能小説書いてるヤツね。

 

 ……ていうか、なんか足元濡れてない? 

 

「何してたの?」

 

「えーと……それは……そう花瓶! 花瓶を倒してしまいまして! これから倒される敵のように!」

 

「ここ花瓶ないよ。後、ウェットに富んだ返し考えなくて良いから」

 

「それを言うならウィットでは……」

 

「足元見てから言ってくれる?」

 

「…………………………」

 

 まあいい。いや良くはないが、この世界ではこんなの気にしてたら、時間がいくらあっても足りない。よって強引に話を進めることにする。

 

「で? 姉さんは?」

 

「アルファ様が追跡しています。アジトを見つけるのも、時間の問題かと」

 

「行動早いね……ん? 追跡? 探してるとかではなく?」

 

「はい。どうやらアルファ様が、シャドウ様の寝込みを襲いに行こうとした所、怪しい人影を見つけたらしく……」

 

「…………………………」

 

 

 

 

 うおおお! 盗賊団潰しに行くぞオラ!!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 まあなんやかんやで盗賊団退治兼、姉さん救出作戦は終わった。姉さんは気絶していたから拘束だけ解いて放置しといたら、次の日ご機嫌斜めで帰ってきた。あの人やたらしぶといからね、手の怪我も一晩で大体治っていたし。それから療養やら事件の調査やらで一週間ぐらいごたごたした後、姉さんは王都に出発した。その一週間やたらとかまってきてめんどくさかった。

 

 アルファ達は何だか盗賊団の調査やら残党処理やらで忙しそうにしていた。ああ、盗賊じゃなく教団か。まあ呼び方がどうであれ、結局ただの盗賊なんだけど。

 

 しかし盗賊団の赤眼のおっさんも、苦労してそうだったな。盗賊団では、いつもち○ぽを求められていたらしい。そんな状況にも関わらず、僕の陰の実力者プレイに付き合ってくれるなんて。もしかしたら彼のような人こそ、真の仲間と呼ぶのかもしれない。

 

 そして、見事陰の実力者を演じきった僕と、咄嗟の状況に対応したアドリブ力は必見だった。観客がいなかったのが残念で仕方ないが、それも後2年の我慢だ。2年後、僕も王都に行く。王都だ、あの王都である。この世界有数の大都市、この国では唯一の100万人都市。絶対主人公ポジションのキャラがいるはずだし、ラスボス的キャラもいるかもしれない。

 

 もちろん不安もある。うちの過疎ってる街と違って、人口がとても多いのだ。それにともなって、変態の数も激増するだろう。期待が半分、不安も半分って感じだ。上手いこと盾にできそうなモブ友でも見つけられるといいんだけど。まあ今考えても仕方がない。未来のことは未来の僕に任せよう。

 

 

 

 

 

 2年後に備えて更なる力を求める僕の下に、ある日アルファ達7人が集まった。何でも教団の調査やら呪いの研究、エログッズ売り上げの報告などをしたいようだ。最近はみんな色々と忙しそうで、7人全員集まるとか珍しい。その三つを同列に並べるのはどうなんだろう、と思いながら彼女達の報告を聞いた。

 

 簡単に纏めると。

 

 魔人ディアボロスと戦った英雄は全員女だった。だからディアボロスの呪いは女性にのみ発現する。

 

 当然の考えだね。この世界、貞操逆転世界だからね。そりゃあ女しかいないだろう、って感じだ。

 

 次、ディアボロスの呪いが発現する割合はエルフがもっとも多い。次いで獣人、最後に人間。これは種族ごとの寿命と関係していて、寿命の短い人間は英雄の血が薄まっていて呪いは発現しにくい。逆に寿命の長いエルフは英雄の血が濃く呪いが発現しやすい。獣人はその中間。ああ、確かにシャドウガーデンメンバーで人間は僕1人、その僕も悪魔憑きじゃないからね。他は獣人2人にエルフはなんと5人。当然全員元悪魔憑きだった。なんかそれっぽい設定、よく考えたね。

 

 ん? なになに?

 

 それを確かめるために、ぜひ子供を……

 

 

 

 

 

 

 

 僕は逃げた。




次回予告

やめて! 原作展開をなぞって、罰ゲームでアレクシアに告白なんてしたら、この世界ではそのまま種馬扱いになっちゃう!

お願い、罰ゲームは避けてシャドウ!

あんたが今ここで諦めたら、お姉さんやシャドウガーデンのみんなとの約束(結婚)はどうなっちゃうの?

チャンスは残ってる。ここを耐えれば、ディアボロス教団に勝てるんだから!

次回『アイアムアトミック(ぼろん)』デュエルスタンバイ!

続きません
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。